ステマの取締強化に乗り出しますよ、という話。私もネット住民の例に漏れず、ステマを憎むものですので基本的には歓迎の動きなのですが、ちょっと怖いなという感じもします。

※画像は読売新聞社の記事より
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 ▼「口コミ装う「ステマ」に刑罰も、政府が規制強化へ…再発防止命令に従わなければ対象に」(読売オンライン)

 政府は、ネット上などで個人の感想と装って広告と明示しない「ステルスマーケティング(ステマ)」の規制強化に乗り出す。景品表示法で禁じる「不当表示」の対象に、ステマの内容を追加する方向で調整を進めている。

 ステマは、広告主がネット上で影響力のある「インフルエンサー」などに対価を支払って投稿を依頼しているにもかかわらず、一般の口コミかのように装う行為を指す。SNSやブログのほか、商品やサービスのランキングを掲載しているサイトで広告であることを明示しないこともステマにあたる。

 米国では、不公正な競争を規制する米連邦取引委員会(FTC)法で「欺まん的行為」として禁止されている。日本では、景品表示法で、商品やサービスが実際よりも著しく優良である表示や、取引条件が実際よりも有利である表示を禁じているが、ステマ行為そのものを直接規制する法律はない。識者からは「広告であることを隠す行為は、消費者の自主的、合理的選択を阻害している」との指摘が出ていた。

 このため、政府は同法の不当表示の対象に、「(広告について)一般消費者が当該事業者の当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」という内容を追加する方向だ。早ければ来年6月頃までに告示する。告示後にステマの投稿を行ったと確認された場合、再発防止等を命じる措置命令の対象となり、事業者名も公表される。措置命令に従わなかった場合は、刑罰の対象になる。

 SNSの普及やネット広告の市場規模の拡大に伴って近年、ステマを巡る問題が相次いでいる。

 2012年には、飲食店の口コミサイト「食べログ」で順位を上げるために飲食店から金銭を受け取り好意的な投稿を請け負う業者の存在が問題視された。今年1月には、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の運営会社の日本法人が、ツイッターで影響力がある20人に対して一般の投稿を装って動画を拡散するよう依頼し、長期間にわたって報酬を支払っていたことが明らかになった。

 消費者庁は、9月に弁護士らで作る有識者検討会を設置し、ステマの規制について議論を続けてきた。検討会では27日にも報告書が決定される見込みで、同庁は報告書を受けて検討を加速させる。

実際には報酬を支払って行っているコマーシャルを、「広告であることを明示しない」でユーザーの前に示す。これはまあ、ステマで良いでしょう。今もステマとして消費者庁が禁止しています。ですが、「広告主がネット上で影響力のある「インフルエンサー」などに対価を支払って投稿を依頼しているにもかかわらず、一般の口コミかのように装う」。これ、基準がかなり難しい気もします。

いやまあ、「明らかなステマ」は良いんですよ。でも、こういうルールって抜け道が用意されるじゃないですか。契約書はない。金銭報酬も支払っていない。しかし、何らかの「おまけ」が発生している……。そういう場合、ステマになるのかならないのか。

たとえば、有名芸能人Aさんが、新規開店する飲食店に「お願い」されて、頻繁に通うようになった。インスタで紹介したらお客が増えたので、よろこんだお店は、Aさんが来るたびにオプションで結構高いお酒を無料で提供するようになった……。

これ、ステマですか? それともステマじゃない? この「結構高いお酒」が、お店の女の子(あるいは男の子)だったら? 飲食店じゃなく宝飾店で、渡しているものがアクセサリーだったらどうでしょう? 取締の対象とするとなると、結構揉めそうじゃありませんか? ましてや刑事罰の対象となるということですと……。

まあ「刑事罰」は、措置命令に従わないときに科されるということのようなので、ステマそのものが直接的に犯罪扱いなのか、というと微妙なところではあります。巷で騒がれているように、「ステマが犯罪になる!」という単純な話ではないのかも。それでも、「ステマっぽい行為」が厳しく糾弾されることは想像に難くありません。有名人が、「あのお店好きなんだよね」と気軽に言えなくなるかもしれない。それは、ちょっとまずかろうという感じもあるわけです。

これも、ある種「表現の自由」が絡んだ話と言えなくもないわけで、どこからが依頼でどこからが依頼ではないのか。何が報酬で何が報酬ではないのか。そういうことを適切なかたちで決めていかないと、公権力の過剰な介入につながるかもしれない、という意識は持っておくほうが良さそうです。

ただ本件に関しては、「とりあえず広告ですよと言えばOK」という話でもある(あと、ヤバそうなら措置命令が先に出る)ので、よほど悪質なものだけをフィルタリングすることは、そこまで難しくはないでしょうね。そうなると逆に、抜け道いっぱい作られて実効性あるのかっていうことのほうが問題視されそうですが、そこは実際に運用していく中で、時間をかけて落とし所を探っていけば良さそうでしょうか。

何にしても、18歳成人の契約履行が可能になっている現在、なるべく消費者が悪意ある嘘に騙されないような制度づくりは重要だと思うので、今後とも頑張っていただきたいところです。