私がこどものころは、「風邪のときは無理してでも食べなさい。栄養をとって、身体を元気にしなきゃ」と言われ、消化に良いうどんやおかゆを食べることを勧められていました。

古くは、「風邪に大食、熱に絶食」のようなことも言われていたようです。ところが、最近はそうでもないようなんですね。いまは、医療機関でも「食欲無かったら食べなくていいから、とにかく水だけとって」とか、「あんまり食べないほうがいい」みたいなことをよく言われます。これはどうしたことか……。

そもそも、「風邪でも食べろ」というのはどういう理屈なのでしょうか。諸説あるようですが、調べたところをまとめると、おおむね次のような感じになります。
 ①食べると体温が上がる。体温が上がると免疫が活発になる。(栄養がつく、も同じ)
 ②風邪は身体の異常である。食欲不振はその異常のあらわれなので、正常に戻すために食べるべき。

まあ納得できるというか、食べることによって得られるエネルギーなり栄養なりが身体を助けてくれるという考えと、食べるという行為自体が身体を元に戻す助けになってくれるという考えですね。これ、「②」が迷信っぽく思うかもしれないんですが、個人的な感想としては①と②は密接に結びついていて、②は原因分析のように思っています。

どういうことかというと、「なぜ風邪をひくと食欲がおちるのか」というところなんですね。熱が出る、だるい、食べる気がなくなる……。食欲不振は望ましくない状態で、本来そうあるべきではないのにそうなってしまっている、というわけです。そこで、無理矢理にでも食べることで治すきっかけにする。じゃあ食べたら具体的にどういいのかというと①だ、という感じ。どうでしょう。まぁまぁ納得できませんか?

ところが、「ほんとうに食欲不振は単なる異常なの? なんか意味があって身体がそうしてるんじゃないの?」という研究が進んだようです。まあ、発熱だって体内のウイルスやら菌を殺すためらしいので、食欲がなくなることにも意味はあるかもしれませんよね。そして、実際にあったようです。

 ▼「風邪対策の新常識!「食べないと治らない」はホント?」(TBS)
脳が食欲を抑える指令を出すのには、れっきとした理由があります。風邪をひくと、脳は胃や腸に「風邪を治す免疫細胞を増やしてくれ!」と指令を出します。すると、胃や腸はそれまでの消火活動をやめて免疫細胞を増やす活動に励みます。免疫細胞が菌と戦うことで風邪が治っていくんですね。

 ▼「「風邪には大食、熱には絶食」は正しいか? 風邪をひいたときの対処法を検証」(logmebiz)
人間は、とても具合が悪くなると食欲がなくなります。ある科学者たちによれば、食欲減退が有効かもしれないのです。細胞は、戦うのにカロリーが必要であるという考えがある反面、1997年の論文によれば、感染症にかかっている間に絶食すると、体がそれと戦う助けとなるというのです。

そして、2001年の研究によれば、被験者に食物の代わりに水を与えたところ、「インターロイキン−4」という異なる信号を多く出すことがわかったのです。これは、「体液性免疫」という異なる免疫反応を促す信号で、「体液性免疫」とはバクテリアなどの実際に原因がわかる病原体がある場合、有効な働きをします。

また、絶食をすると、体がストレスやバクテリアにより生じた毒素などに対して、抗体する力が増すことがわかっています。

どうも、「食べない」ことによって消化に余計なエネルギーを費やさず、体内のウィルスや菌との戦いに身体が専念しやすい環境が作られる、という側面はあるようです。ただし、病気の時に「食べる」行為(ペースト状のものでもなんでも)をすることで、細胞性免疫に刺激を与える化学物質が体内で増えやすくなり、内部のウイルスなどの病原体に感染した細胞と戦うのに特に有効なことも事実だそうです。

記事の中にもあるように、「食べるか否か」は、何に感染しているかによって変わってくるけれどいちいちそんなの気にしていられませんから、「食欲が無かったら、とにかく水分がっつりとって寝る」のが良いのかもしれません。水が必要なことだけは間違いなさそうですね。

なお、よく言われる「アルコールで体内を殺菌する」というのは、おそらく迷信ではないかと思われます。