虫歯予防に歯磨き……というのを私たちは誰も疑っていないと思うのですが、それに冷水をぶっかけるような記事を読みました。

 ▼「歯磨きに「虫歯を予防する効果はない」衝撃事実」(東洋経済)

「むし歯」は、むし歯菌によって作られた酸が歯を溶かして、歯に穴があく病気です。その予防法には、大きく次の3つの考え方があります。

1つ目は、むし歯菌を取り除く歯磨き。2つ目は、砂糖を減らしたり、酸ができない糖に変えること。そして3つ目は、歯の質を強くして酸に溶けにくくすることです。

これら3つの考え方の中で、私たち日本人は、「むし歯菌を取り除く歯磨き」が最も効果的と教えられてきました。

私が教鞭を取っている大学の歯学部では、予防歯科学を学ぶのは2年生になってからです。予防歯科学を学ぶ以前の1年生に、効果的なむし歯予防法について尋ねると、ほとんどの学生は「歯磨き!」と答えます。

では、「歯磨きの方法とは?」と尋ねると、大半は「歯ブラシで歯をくまなくこすること」と答えます。しかし、残念ながら、歯ブラシでこするだけの歯磨きには、むし歯の予防効果はないことから、「歯磨きには、むし歯の予防効果はありません」と私が答えると、彼ら彼女らは一様に驚き、絶句します。

そう、子どものころから「歯磨きこそが最大のむし歯予防法」と教えられてきたのですから、驚くのも無理はありません。

でも、実際に歯ブラシでこするだけの歯磨きには、むし歯の予防効果はありません。なぜなら、むし歯になりやすいところは、たいてい歯ブラシの毛先が届かないからです。

むし歯になりやすいところとは、奥歯の噛み合わせの溝の中と、歯と歯の間です。また、一度むし歯を削って材料を詰めた場合、詰めた素材と歯の境目も、歯ブラシの毛先が届かず、新たにむし歯になりやすい箇所です。

歯ブラシによる歯磨きのむし歯予防効果がどれほどのものか、これまで多くの国で検討されてきました。しかし、残念ながらほとんどの研究で歯磨きによるむし歯予防効果は実証できませんでした。

ええ……ホントかよ、じゃあ歯磨きって意味ないの? と思ったのですが、どうもこの記事が引っかかります。だって、歯は「歯ブラシの毛先が届か」ないような細いところばかりではありませんよね。歯磨きをしなければ、そういうところから虫歯になるのでは……という感じがあるわけです。

親戚に歯科医がいるので彼にたずね、更に近所のかかりつけ歯医者さんにもたずねたところ、2人とも同じような回答をしてくれました。

まず、この記事(新書の抜粋)はかなりミスリーディングである。書籍自体を読んでいないけれど、歯磨き(ブラッシング)は口内全体の虫歯菌増殖を抑制するので、予防に効果がないわけではない。実際、予防歯科の先進国として知られるスウェーデンではブラッシングが推奨されており、結果も出ている。また、ブラッシングの目的はプラーク(食べ物の残りカスに細菌が付着して増殖したもの)を擦り落とし、歯周病を防ぐことにもある。こういう記事で「歯磨きはいい加減で良いんだ」と思われるのは困る。

だいたいこんな話でした(伝聞なので細部が正確ではないかもしれません)。そりゃあまあ、磨かないより磨いたほうが良いでしょうし(歯を傷つけない限り)、虫歯だけが口内トラブルの原因ではありませんからね。

というわけで、この記事が言うように歯のブラッシングだけでは虫歯を防ぎ切ることはできないのだとしても、歯磨きはやっぱりきちんとしたほうが良さそうです。