この話は何回かにわけて、割とガチ目というか、スーツを買おう/作ろうと思っている人にはそれなりに有用な話にするつもりです。

 その2 :こちら
 その3 :こちら

以前少し書きましたが、神田~秋葉原のあたり(もうちょっと足を伸ばせば有楽町・東京あたりも入るかもしれませんが)にはスーツのお店が多い。それも、既成(吊るし)ではなくオーダーのお店がかなり多いんですね。

Suits Company、SADA、Global Style、ダンカン、ビッグヴィジョン、ツキムラ、ヨシムラ、エフワン、bref、FABRIC TOKYO、OGGI HOUSE、バルコン……最近はテーラーアライアンスジャパンなんていう2プライスオーダースーツ店もできていました。Global Styleの真隣です。渋い人だと深野羅紗店、トータルオーダータツミあたりがリストアップされるかもしれません。

suitsshop
Googleで調べるとこんだけ出てきますが、これでもまだ載ってない店あります。

革問屋が多かった浅草で靴作りが栄えたように、もともと生地問屋が多かったためスーツ店が増えたのだろうと思うのですが、それにしても多い。神田・秋葉原あたりを根城にしている人は、このよりどりみどりなオーダースーツ事情を知らないとちょっと損だと思います。いろんな選択肢から質の良いスーツが、既製品よりかなりお得に作れるんですから。

激戦区でどんなスーツができるのか、どこで買うのが「お得」なのか……というのを素人目線ではありますが、ご紹介しておきます。というか、自分でスーツを作ろうと思って調べた時にアフィリエイト系の記事ばっかりで辟易したんですよ……。革に詳しい人なら、一時期「ココマイスター」の製品がアフィでピックアップされまくったせいでどこを見てもココマイの品が出てくるみたいな状態になっていたのがおわかりかと思います(しまいには「ステマイスター」とか呼ばれてましたが)。だいたいあんな感じ。

そこでまあ、狭い範囲の読者に向けてではありますが利害関係絡まない立場から個人的なオーダースーツおすすめを紹介しよう、というのが今回からのコンセプトになります。

ただまあ、そもそもオーダースーツは何が良いの? って訊かれると困る。ぶっちゃけ自己満足です。……というと話が終わりますけどね。間違ってはいないと思うんですけど。


先日、ワークマンが上下4800円(税込)のセットアップスーツを発売すると発表しました。来年の2月からだそうです。

 ▼「ワークマンが初のビジネススーツを開発 ターゲットは?

 ワークマンがビジネススーツの販売を始める。建設現場とオフィスを行き来するビジネスパーソンなどの需要を想定し、2021年2月頃の発売を予定しているという。

 広報担当者によると、スーツはジャケットとパンツのセットアップで、生地には撥水加工を施す予定だという。価格はジャケットが2900円(税込、以下同)、パンツは1900円を想定している。

現場-オフィス間を行き来する人向け、ということで作業着的な位置づけなのかもしれませんが、それにしても驚異的な安さです。そして、需要がわかってるな、という感じがする。現場に良いスーツは着ていけません。すぐ傷むし。しかし、吊るしでもスーツはそれなりに高い……。

スーツの着用が求められるけれどアクティブに動いたり汚れやすい環境で仕事をする人にとってはかなり心強いアイテムです。一方、それほどハードな使い方は想定していない場合、それなりのおしゃれなセットアップの候補としてユニクロがあります。こっちも10,000円出せば(セール時なら6~8,000円ほどで)割と見栄えのするジャケットとパンツが揃います。

こういう安くて良い品がある中で、わざわざスーツを作る意味あるの? という疑問はまあ出てくると思います。ましてや今はコロナの影響でリモートワークも増え、ますますビジネススーツの出番は減少しています。アパレル系に勤務している友人の話を聞いていても、もはやスーツ文化は生き残りの危機なんじゃないかという気がしてくる。成人式も卒業式・入学式や入社式もなくなれば「定期収入」が激減するスーツ業界は間違いなくヤヴァいはずです。

ただ、だからといって「スーツをまったく着ない」というシチュエーションはユーザーとしては考えにくい。実際、この年の瀬でも街に出ればスーツ姿のサラリーマンを大量に見かけますし、私もなんだかんだ週6スーツです。

そして、ちょっとでも仕事でスーツを着る機会がある人や、オフの日にカジュアルスーツで出かける(そういうドレスコードを要求される場所に行く)人にとっては、オーダースーツという選択肢はかなり良いと個人的には思っています。

理由の1番は、なんだかんだで「きっちりして見える」から。

オーダースーツは基本的に自分の身体にしっかりあわせたものになるので、よほど仕立てが下手とか、体型が一気に変わったとかでなければそれなりに見栄えの良いものができます。気に入らなければ最悪後で調整も効く場合がほとんどですし。ぱっと見でオーダーかどうかはわからなくても、パツパツだったりダボダボだったり、身体にあってるかあってないかは素人でも一発で分かるので、まあ見た目の印象は変わります。私ですら、オーダースーツ仕立てたあとは「お、今日はOYOYOさんパリッとした格好ですね」とか言われましたから。マジで(ちなみに12,000円のオーダースーツでしたけどね)。

スーツは男の戦闘服、とはよく言われますが、要はユニフォームをちゃんとしている。それなりにこだわったものを仕立てていますよということは、大半のビジネスにおいて好印象を与えるはずです。オシャレであれ、と言っているのではありません。きっちりしている、仕事にしっかり向き合っている、誠実である……。スーツをきちんと着こなしていればそういう印象は与えられます。逆に、ダボダボのスーツをだらしなく着ている人に対してビジネスでは悪い印象がつきやすいですよね。というわけで、服装を変えるだけでちょっと印象をプラスできるのは大きい。

2番目。安いから。

これ意外に思われるかもしれませんが、オーダースーツは安いです。単にコスパが良いというのもそうですが、時期や店を選べば単純に吊るしより安価なスーツが作れます。

激安オーダースーツ店で有名なのはおそらくDANKANかSADAあたりですが、今なら新春セールでDANKANは1着12,000円、ウール100%のものでも15,000円でスーツが作れます。ありえない安さです。SADAも初回19,800円とかですね。洋服の青山とかAOKIで激安セールでスーツが10,000円切るみたいなのもありますが、あれパンツの裾直しとかの代金入ってませんから、結局使えるスーツにするのに15,000~20,000円くらいになるんですよ。そんで身体にフィットするわけでもないし、何シーズンか前の(酷いのは3年前とか)型落ちで化学繊維の経年劣化も進んでいます。それ考えると、20,000円前後でスーツ作れるのは安い。私が最初にオーダーしたのは都民共済でしたが、理由はマジで安かったからです。

3番目。楽しい。

正直私はファッションにあまり……いやほぼ全く興味がありません。センスもないし。モヒカンとか鎖ジャラジャラみたいな「やべーやつ」はさすがにチェックしますが、自分の服装も他人の服装もそんな気にしない。だから、スーツ自体の見栄えとかそういうのは割とどうでもいいんです。ただ、スーツって形から色、生地の織り方などなど、奥が深い。

和服のことを考えると分かると思うのですが、スーツ(洋服)はヨーロッパの文化を背負っています。和服にさまざまな「きまりごと」や「背景」があるように、スーツにもぶっとい背骨がある。パンツはシングルとダブルだとどっちがフォーマルなのかとか、ボタンはどこ閉めるのが正解なのかとか、そういう着こなしのレベルから、柄の持つ意味やらイタリア生地とイギリス生地の違いみたいな話までほんとうにいろいろあります。そういうことを知らずにスーツを着る、というのがもちろんふつうなのでしょうが、知ると面白いし「じゃあこういうところはちゃんとするか」と自分なりにこだわるポイントとかも見えてきます。

そういうのを知った上でちょっとしたこだわりを盛り込む……みたいなのは既成のスーツだと難しいのですが、オーダーだとすげー簡単にできちゃうんですよね。生地選んだり、裏地の柄変えたり、ボタン変えたり、襟変えたり。ほんとにどーでもいいところだとしても、そういうふつうの人には見えないこだわりって、なんかオタク心をくすぐるじゃないですか。そのへんが達成できるのはオーダーの魅力かなと思っています。優先度は低いですが。


とまあ、そんな感じで「オーダースーツ良いよ」みたいな話をしたところで今回はおしまい。次回は、実際に神田~秋葉原あたりのオーダー店を利用してみた話とか、個人的なおすすめを書いていこうと思います。前置きが長くなってしまった……反省。