
タイトル:『LOVESICK PUPPIES』 (COSMIC CUTE/2013年1月25日発売予定)
原画:三九呂、羊箱(SD原画)
シナリオ:安堂こたつ
公式:『LOVESICK PUPPIES』 OHP (※リンク先18禁)
定価:8880円
期待度:A (A~F)
――過去は比べるためにあるんじゃない。越えるためにあるんだ。
というわけで(何がというわけなのかわかりませんが)、『LOVESICE PUPPIES』の体験版感想など。
いちおー「わけ」を申しますと、「体験版レビューキャンペーン」なども実施されておりまして、まあそれに向けてちょっと書こうかというので書いていたのです。〆切は14日で、たぶんギリギリ間に合ったでしょう。もう用済みといえばそうなのですが、本来ブログにあわせて絵などを入れる前提で書いていた体験版感想だったので、こちらではそれを補うかたちで一応残しておこうかなと。なんせ、「体験版のキャプチャ画像をご掲載いただいてもかまいません」ということなので、こりゃやりたい放題できるぞという。うふふ。
やっぱり、ゲーム画像好きに貼って良いとなると、かなり楽しく感想とか書けるんですよね……。なにより説明が楽だし。
さて全体の印象としては、まず非常に楽しい。そして楽しい中にもシリアスが混ざっている……というよりは、シリアスな中に楽しさが混ざっている、というほうが正確な気がします。楽しい→シリアス→楽しいという往来をするのではなくて、キャラクターのシリアスな意識が常に底を流れていて、でも普段はそれを「ネタ」で覆っている。だから、ギャグからシリアスへの繋がりがスムーズで違和感を感じさせません。流れるように物語が展開していって、全然疲れないし飽きない。良い作品です。
それではちょっと個別の要素を具体的に見ていきましょう。
▼システム
システムについては、基本的なところは全て揃っている感じ。特に、各種ショートカットの設定ができるのは便利。キーボードだけでなくマウスも割り当てることができました。Hシーンと通常シーンでウィンドウの濃度を調整できるのも良いですね。あと欲しいのは、やっぱりシーンジャンプ・「一つ前の選択肢に戻る」などの、大規模な移動かなあ。

あてってうれしいSC設定。その他、基本的なところは揃っている。
▼演出
個人的にはですが、かなり力が入っていて、しかも成功していると思います。たとえばコンフィグで、「時間帯によるキャラクターの色補正」なんて項目がある。しかも、とりあえずつけてみた死に設定というわけではなく、あると無いとで雰囲気というか臨場感みたいなものがぐっと変わることに驚きました(夜の映画館とか)。
また、テキストウィンドウのキャラ絵も連動して動いていて、割と芸が細かいです。立ち絵を自由自在に動かし、画面をフルに使って、物語の「時間」と「空間」をうまく表現しているなぁと。まぁこの辺は実際体験版をプレイしてもらうのが良いのだと思いますが。巷ではぬるぬる動くういんどみるさんの「E-mote」が話題ですが、もちろん単純に較べるモノではないにせよ、静止画文化もまだまだ捨てたもんじゃないと認識させてくれます。

立ち絵のバランスで距離等を表すのは基本だが、しっかりやれば幅広い表現が可能になる。
芸が細かいといえば、携帯端末(PDA)の出し方も面白い。基本的にはキャラ紹介や「報告書」作成に使われるくらいですが、単純な物語の進行(作品内世界)から離れた、外部情報をまとめて提示するのに上手く活用されているな、と思いました。こういうのって作中の地の文に入れるとそこで作品から離れてしまうし、かといって無理矢理内部世界にねじ込むと説明セリフになってやっぱり違和感が残るところなので、微妙な中間点をうまく縫って進んだな、という感じ。
あとは、PDAのボタンを押すとか、そういう操作ができればなおよかったかもしれません。一応ゲーム内のシステムボタンがそれにあたることになってはいますが、HOOKソフトさんの『SuGirly Wish』にあったPITシステムみたいなのでも、と。かえって操作が面倒かなあ。まあ難しいところです。


プレイヤーへの「説明」を担うPDA。途中からぷりちーな擬人OSになって愛着も倍増。
一番気に入っているのは、織衣とバスを待つシーンか、雨の中自転車を押して並んで歩くシーン。前者は1枚の絵に物語を閉じこめて圧縮している感じが、後者は静止画を組み合わせることで普通に動いているアニメーションより心の動きを綺麗にきりとっている、物語的「躍動感」が凄く良かった。ちょっと自分でも何言ってるか解らなくなってきた……。前者は綺麗なイラストを、後者は面白い漫画のコマを見ているというか、だいたいそんなところで。

おそらくは体験版のハイライト。明らかに「狙って」いるが、狙い通りやられてしまった。絵の動きは止まっているのだが、降っている雨も、歩いている二人も、自転車を押す音や、空を見上げる織衣の息づかいまで浮かんでくるような動きのあるシーンになっている。

私が一番好きなのはこちら。その場の雰囲気を写し取ったかのような1枚。切り取られた部分から、描かれていない余白をどんどん想像できる名シーンだった。
▼CG
あ、スゴイ綺麗です。言うこと無し。でもエロシーン無いからな! まだ何とも言えません。キャラクターの表情が凄く良いのは印象的でした。バリエーションも豊かだし。

立ち絵の表情は勿論、Hシーン以外でも差分で表情がころころ変化する。基本コミカル路線。
どうでも良いけど、ソーニャが両手を広げるあのポーズ、『WHITE ALBUM2』の雪菜さんを思いだして切ない気持ちに。いや、こんなポーズのキャラ他にもいっぱいいますけど、髪型が微妙にアレだし設定もなんか歌姫っぽいし。そこんとこどうなんでしょう。バンザイしてるほうはぽんこつ娘っぽいんですけどね……。pomさんからああいう話を聞いたからというだけで、考えすぎかしら。

どうなんでしょう……。
▼音声
最初ちょっと織衣の声に違和感があった(もうちょっと低く、冷たい感じかなと思っていた)のですが、終わってみると全然問題なかったというか……慣れたというより、織衣のイメージがぐっとかわったのが大きいと思います。逆に彩乃がもうちょっと声キンキンでもよかったかなとか思ってしまいました。まあ好みの問題ですけど。
他のキャストさんも凄くマッチしてる。特に千景室長は良いです(笑)。さすが女王様やで……。有希は日常会話がポンポンでてきて凄く楽しい。こんな会話幼なじみとしてみたいです。その前に幼なじみください。サンタさんにお願いしたら届けてくれますかね……。

この2人の掛け合いはとても楽しい。千景の影に隠れているが、彼女とやりあえる会長もまた相当のやり手だろう。
ソーニャは歌があるかな~と思っていたら無かったので、製品版期待です。まあ設定的にここで歌わせるわけにもいかなかったのでしょうが、ちょっと残念。
▼音楽
あんまり詳しくないので何とも言えませんが、作風にマッチしていて良いと思います。今のところ(体験版範囲では)コミカルな曲が中心で、どれも聞いていて楽しくなってくる感じでした。
▼ヒロイン
すみません。正直なめてました。ここまで良いとは……。みんな一生懸命で、嫌なキャラや嫌みな奴がいません。ぶっちゃけサブキャラ含めてみんな攻略したいくらいです。ヤバい。

三枚目親友キャラ・蓮次。ヒロインではないが彼のようなサブキャラが積極的に物語を彩り、盛り上げる。
会長(めいこ)とか志穂さんとか室長とか……。「ああ、やっぱ無理だよねー」とぼやきながら、何度もHPのキャラ紹介と相関図を眺め、メインヒロインとの間に設けられた区切りを見ては肩を落としていました。

頼れないおねーさん、志穂。それでも虎太郎の良きアドバイザーであり、寮の癒し担当。
本作のキャラが良いなと思うのは、単体の時よりかけあいをしている時のほうが輝いてみえること。これは何というか、作品のテーマみたいなものとも少し関わるのではないかと思いますが、人の見え方ってやっぱり一通りではない。見る人によって、また並んでいる相手によって変わってくる。キャラクター1人1人が活き活きしているから、それが2人、3人と組みあわさると、同じキャラのはずなのに全然違った側面が見えてきたりする。そういう楽しさがあります。もっともっと話を進めてみたいという原動力になってくれました。
一応簡単に、メインヒロイン5人の感想を。
【織衣】ちょっと優遇されすぎです。何とも思ってなかったのに、これでスキになるなというほうが難しい。体験版範囲はほとんど織衣の物語。さすがセンター。最初のイメージと、途中からのギャップも良いし、それでいて本質的な部分で皮肉屋というか、ちょっとクールな感じも素敵です。
【まるな】体験版範囲だとあんまりよくわかりません……。たぶん良い子。
【ソフィーヤ】同上。ちらちら出てくるだけでした。残念。歌は楽しみです。
【勇】棗と双子なのが信じられない……というか名前逆じゃないかと疑いました。おっぱい枠。ただ、性格もかなり可愛いです。下ネタ耐性が極度に低いのもチョロそうでグッド。ただ、今ひとつ飛び抜けない感じはありますよね。
【有希】一番私が好きなタイプ。幼なじみ最高。なんかこう、常に虎太郎と阿吽の呼吸で進んでいるのが良い感じです。会話が楽しくて、特に学食で料理(キャベツ千切り)を作るときの「わかってるよ~」という感じがたまらんかった。恋愛感情なさそうな、サバサバしたこの娘がどう変わるのか本当に早くみたいです。
あと、サブヒロインもホント魅力的なんですよね~。特に会長と志穂さんは是非なんとか……。
▼ストーリー
幾つものフックというか、ストーリーを駆動させる「謎」が散りばめてあって、なかなか興味深い展開。最初は織衣の「問題」にクローズアップしながら、じわじわと虎太郎の過去やその他のヒロインが抱えている問題を浮き上がらせるのも上手だと思います。

こんなことを宣っていた織衣がどう変わっていくのか。ユーザーは楽しみにクリックできるだろう。
基本そういうシリアスな話が底の方を流れていながら、普段はテンポの良いギャグで進行するので、体験版範囲だと楽しくプレイできました。今後の展開はまあ、蓋を開けてのお楽しみというところでしょうか。
あと主人公(虎太郎)のキャラもなかなか。空気を読み、心を読み、それでいて青臭くアツイ男。好感度がうなぎのぼりです。ちょっとやりすぎ感もしますが、「助けてやるではなくて力になる」みたいなスタンスが押しつけがましくも嫌味のない、誰にも行動が納得しやすいタイプかと。ちょっと自意識過剰なところもあるんですが、変にこじらせたところはなくて、割と幅広い層にウケる造型ではないかと思います。
なにより、下ネタとユーモアのセンスがあるのが私好み(笑)。
というわけで大急ぎでしたが、『LOVESICK PUPPIES』の感想でした。正直買おうか迷ったんですが、体験版やって購入決定。これは期待しちゃいます。
何というか「良い作品」というのは、そりゃまあ売れるに越したことはないので売れた作品がエラいんですが、それだけじゃないところがあると私は思っています。普通にユーザーを楽しませるのはもちろん、それプラス何かその作品にしか残せないような、固有の主張みたいなものがあるんじゃないかと。さもなくば、何年か経ってさくっと忘れられてしまうよう。この作品にはそういう、心に残る作品になる「かもしれない」(もちろん、今後の展開次第です)というのを期待させるものがありました。

応援バナーを貼り付けて本日はお終い。それでは、また明日お会いしましょう。





