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(c)カイコクソフト、2011 当ブログに掲載した画像は全てカイコクソフト様HPより転載した素材です。
タイトル:『りぞばレポート』(カイコクソフト/2011年12月31日) ※同人
原画:osa/シナリオ:上原明人・廣瀬一貴
公式:http://kaikokusoft.com/resoba/
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無
定価:2800円
評価:C(A~E)


批評空間さんに感想を投稿しております。ご関心ございましたら、上記リンクより拙文をご覧下さい。……というか誰も登録していなかったので、今回初めて自分でゲーム登録してみたんですが、うまくいってるのかちょっと不安。しかし、こんな良いゲームでも埋もれてるんですね。同人業界恐るべし。

なお本作の価格はパッケージ版のもので、DL販売ぶんについては2000円台前半。公式からアップデートパッチが配布されているので、プレイ前にはそれを充てられることをお薦めします。

▼攻略
一本道です。サブヒロインとのHを選ぶと、Hシーン後そのヒロインとのEDになってお終い。メインは愛莉とのお話。

▼物語
宮下恭也(みやした・きょうや)、18歳。高校時代最後の夏を迎えて、彼は焦っていた。――このままでは、「ひとなつの経験」すら味わわずに高校時代が終わってしまう!! 普通はじゃあ友達とナンパにでも行くか、くらいがせいぜいだと思うのですが、恭也くんはひと味違う。彼は、バイトでの出会いを夢見て、求人広告を漁り始めたのでした。そんな折、昨年バイトしたリゾート地の旅館から「今年も来てくれないか」という電話が。はじめは乗り気でなかった恭也も、「かわいい子が来る」と聞いて心変わり。意気揚々と旅支度を調え、船に乗り込んだのでした。ちなみにタイトルの「りぞば」とは、「リゾートバイト」のこと。

到着した旅館・海景館にはなるほど、かわいいどころ・きれいどころがズラリ。昨年からのスタッフで恭也とも顔なじみなのが2人。仲居頭の頼れるロリ型お姉さん、加瀬桜(かせ・さくら)。年下の見た目クール、中身お子様な地元娘、吉川碧(よしかわ・あおい)。そして今年初顔合わせのスタッフが、関西のおっとり女子大生(巨乳)、仲峰操(なかみね・みさお)と、北国出身の元気な同学年生、神代紗弥(かみしろ・さや)。テンションあがりまくりの恭也の前に、最後の1人があらわれます。それはなんと、同じ学校に通う隣のクラスの美少女、皆本愛莉(みなもと・あいり)でした。

離島のリゾート地で顔見知りと出会って驚く2人。気まずい空気が流れます。それもそのはず、愛莉は学校では「人を寄せ付けない才色兼備」なキャラで通っており、恭也からすれば近寄りがたい高嶺の花。一方愛莉は、人見知り+男性への苦手意識を克服するため、頼み込んでやらせてもらったアルバイト。お互い微妙な腹のさぐり合いを続けますが、やがてうち解けていくうちに、なんとなく仲も深まっていきます。さて、恭也の「最後の夏」には、どんなドラマが待っているのでしょうか。

▼感想
離島のリゾート地、旅館とくれば、Mielさんあたりの作品だったら、経営難に陥った旅館を金満富豪が買い取って、「肉姦溢れる接待」を展開するところですが、幸いにも本作の旅館・海景館は非常に繁盛している模様。凌辱モードには流れませんのでご安心あれ。

内容としてはありがちなボーイ・ミーツ・ガールもののですが、良い意味でシンプル。妙なヒネリ方をせず、恭也と愛莉の一途な恋愛という中心軸をずどんと通し、その周辺に魅力的なサブキャラクターを配置するという形で非常にスッキリとまとまっていて楽しめます。

片手では数えられないほどの告白を断り続けてきた難攻不落の要塞女・愛莉さんですが、実は夢見る普通の少女。ただちょっと、単に男が苦手なだけだったというベッタベタな設定が激しく良いですね。背後にはいじめやDVのように、特に重たい過去が無いのも、この手の作品としてはプラスポイント。

そんな彼女が苦手を克服しようと思い立ったところに、たまたま主人公が居合わせた。恭也としても、特に愛莉を狙っていたというわけではない。たまたま行ったバイト先にやってきた可憐な同級生を、なんとなく良いなと思いながら眺めていたという程度。そこには運命も、劇的なきっかけも無し。ボーイ・ミーツ・ガールだと言ったのは、そういう意味も含めます。描かれているのは等身大の若者の、甘酸っぱい恋。

女の子とつきあいたいのにつきあえない。ロマンチックな恋に憧れているけど男が苦手――それは、自分を受け容れてくれる相手を求めているのに、うまく自己表現できていないということです。そんな2人が、バイトでの交流を通してお互いに支え合いながら、理解しあって行く。他人に理解され、求められる喜びによって少しずつ距離が縮まっていく様子は見ていて微笑ましく、思わず応援したくなります。

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メインヒロイン・愛莉。不器用で人見知りで、ちょっぴりやきもち焼き。ほんまええ子やで……。

主に恭也の視点(時々視点は入れ替わります)でじっくりと描かれる日常からは、愛莉の新たな側面が次々に浮かび上がり、ユーザーとしても「おお、愛莉タンかわいいにゃあ」という気分になること請け合い。日常のシーンに応じて髪型を変えたCGを出すなど、細部への心憎い配慮も欠きません。また、サブキャラの魅力が高め。恭也と愛莉というしっかりした軸があるので、サブキャラたちがフラフラすることなく、バッチリ作品内での役割を果たしています。そして、きちんと役割を果たしているキャラというのは、えてして魅力的。「これ以上やったらくどくなるな」という絶妙のラインで、さっと身を翻してユーザーの手をすり抜けていくので、思わず追いかけたくなります。追いかけるとHした後、一応個別EDがあるのですが、基本は愛莉とのラブ・ストーリーなのでBADEND扱い。とはいえ別に誰が不幸になるわけでもないので、安心して浮気できますが。

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仲居バイト3人衆。朝なのでみなさんすっぴんでぬぼーっとしています。

というわけで、愛莉との恋でがっちり軸を固定し、魅力的なサブキャラ(Hシーンつき)を配置することで外枠を固めた盤石の構成。途中でHをするとアウトというのが象徴的で、清く正しいプラトニックな恋愛を楽しみたい人向けの、前向きでさわやかなストーリー。くり返している通り「シンプル」なので飛び抜けて目立つ脚本というわけではありませんが、キャラクターの魅力を丁寧に膨らませることで、充分楽しめる出来になっています。ストーリーよりもキャラクターを追いかけるタイプの作品だと言えるでしょう。

りぞば03
クール系かと思いきや、小動物系だった碧ちゃん。本人自覚ありませんが、とってもものに釣られやすいタイプ。

キャラの見所としては、なによりosa氏のグラフィック。氏の描く少女たちは非常に可愛らしい。テキストだけよりも、何倍も魅力を高めていると思います。個人的に小さな難があるとすれば、CV。特に操役の佐倉いのさん。フォローではなく、雰囲気は合っていたと思います。ただ、演技がどうこうではなく関西弁がいまいち(関西出身の方だったらごめんなさい!)。

関西人は関西弁にうるさいと、「コナン君も言っているでおまんがな」状態なわけですが、これは多少テキストのせいもあるかなあ。関西は「そうじゃなくて」の「じゃ」とかを「や」と言う(そうやなくて → せやなくて/せやなしに)とか、結構細かい関西弁のスタンダードから外れていたように思いました。いや、勝手に操さんが京都の人だと決めつけてるんですが、関西つっても広いので違う地域の方だったら大変失礼と知りつつ、やっぱり関東弁と関西弁がイントネーション的にもテキスト的にも混ざっていた感じに違和感が拭い切れませんでした。作品的には非常にどうでもいい部分なので、だからこの作品がダメだとか大きく評価下げるということは無いのですが、何となく操に乗り切れなかったのはたぶんその辺が原因です。うるさいのは関西人の特徴でおまんがな(笑)。

まあ、その辺の瑣末なことを措けば全体的にしっかりまとまった良作。特に、奇抜なことをせず地に足をつけた描写と演出で、やるべきことを絞って作られているところがポイント高いです。劇的なストーリーを求める人に薦めることはさすがに出来ませんが、のんびりしたラブ・ストーリーを堪能したいという人には迷わずお薦めします。

というわけで、先日の『柊鰯』に引き続いて、良い同人作品と出会えました。感謝感謝。しかし、これどう考えても夏の作品だと思うのですが……冬コミで出たのは、大人の事情なのでしょうか。

それでは、また明日。

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