よい子わるい子ふつうの子2(仮)

18禁PCゲームをメインに、ラノベや漫画についてもダラダラ話を書きます。長文多いです。

エロゲー (レビュー)

レビュー:『サノバウィッチ』

sanobawitch

ブランド: ゆずソフト
定価: ¥8,800 (税込¥9,504)
発売日: 2015/02/27
ジャンル: おなやみ解決!魔女っ子ADV
原画: むりりん、こぶいち、こもわた遙華(SD原画)
シナリオ: 天宮りつ、籐太、保住圭
OHP: サノバウィッチ

▼批評空間投稿レビュー(81点): OYOYOの『サノバウィッチ』レビュー ※ネタバレ有

《ブログ用評価 S~D》 (S=非常に良い A=良い B=普通 C=やや難あり D=む~り~)
絵: S (これにSつけなかったらどれにつけるのか)
話: B (ストーリー重視かキャラ重視か曖昧。両方大事にしてどっちつかず。結局ここがボトルネック)
演: S (新しさはないが1つ1つが非常に丁寧。見る度に細かい配慮に唸らされる)
H: A  (各キャラ1回は抜きどころが。ちなみに寧々のオナニーがいちばん抜けました)
他: A  (これという欠点がない)
総合: A  (満足だが、まだまだ行けるんじゃという思いもある)
 


ストーリー(げっちゅ屋さんより)
保科柊史 (ほしな しゅうじ) は、とある秘密を抱えていた。
それは “他人の気持ちを感じ取れる” という不思議な力を持っているということ。
彼のクラスメイト・綾地寧々 (あやち ねね)。
彼女もまた、誰にも言えない秘密を抱えていた。 それは “自分の意思に関係なく発情してしまう” ということ。
 
ふたりはただのクラスメイトでしかないはずだった。
だがある日、柊史は不慮の事故から衝撃的なシーンを見てしまう。
彼が見てしまったものはなんと、発情した寧々のオナニーシーン!
そんなショッキングな事件を経て、ふたりの距離は急接近。

互いの秘密を共有する仲になり、彼は知る。
寧々が発情してしまう理由と、“魔女” と呼ばれる存在を――

時と場合を無視して発情する寧々に、密かに行われる “魔女” の活動。
それらに引き寄せられるように集まる、後輩・先輩・転入生。
静かだった日常は慌ただしいものへと変化して、柊史に淡い期待を抱かせる。
 
「ここから何かが始まるのかもしれない」

【雑感】
う~~~~~~~~~~ん。(モヤモヤ)

個人的な感想としては、共通がものすごく面白かったけど個別のほうで失速した感じ。そして、物語はやっぱり結末が面白くてなんぼというところがあるので、ちょっと残念です。比較で立ち位置のアタリをつけると、『DRACU-RIOT!』以上、『のーぶる☆わーくす』未満というところ。批評空間さんにつけた点数みると、『DRACU-RIOT!』と同点でしたけど(笑)。一応言い訳しておくと、楽しかったのは『サノバ』。キャラ気に入ったのもこっち。ただ、読後感は『ドラクリ』のほうが良かった、と。そんな感じでしょうか。

何が不満かっていうのは批評空間さんのほうで割とまじめに書きました。要約すると「噛み合ってない」ということです。本作への批判でよく耳にするのは、「シリアスはいらない」とか「シリアスがこけてる」とかいうことで、それと大差ないといえば大差ないんですが、一応分けてはいるつもり。というのは、シリアスがあってもいいしまったくなしにしてもよかったんじゃないかと。個別のパーツをとってみると、どれももの凄いクオリティで仕上げられてるから、どっちでも行けたと思う。シリアス路線にして残念扱いされてる寧々や憧子にしても、単独のルートとしてみればちゃんと一貫してやれていることはある。

しかし、この両ルートは作品全体の設定や構造に強くはたらきかける内容なのに、めぐるや紬のルートではその部分がスルーされてる、あるいはかなり違う解釈になっている、というのが問題です。寧々や憧子の「シリアスさ」が、彼女たちの話だけで完結する話なら問題なかっただろうし、逆にめぐるや紬のルートでもその「シリアスさ」の根本にある部分が引き継がれていたら、シリアス展開でじゅうぶんいけたと思うのですが、そうなっていなかったためにプレイしながら「あれ?」とか「いやいや、それこっちではこうじゃん」みたいな軋みがあちこちに発生して違和感を感じました。

寧々の凄いすっきりしないED、私は割とありだとは思っているのですが(好きかといわれると微妙だけど話のオチとしては深く納得できるところがある)、本作で言えばめぐるとか紬のような、いちゃいちゃ系の話のほうが面白かったです。寧々ルートみたいに深読みすることで余韻が出てくるタイプの話は、深読みを納得させるだけの説得力を全体に持たせないとダメで、それがうまく行っていない以上仕方ないかなぁ。世界の根幹に関わる部分でギミックを仕掛けたのに、他のルート見てると寧々悩み損じゃん、みたいなところがあるので。

と、文句から始まってしまいましたがキャラはほんと可愛かったです。ゆず史上ナンバーワンかもしれない。特に寧々。めぐるも可愛かったけど、やっぱ寧々。寧々かわいいよ寧々。

sano04
こんなんぬくしかないやろ……。

普段は真面目なくせに、妄想に下ネタにとネタ部分を一手に引き受けた感じのあるボケキャラになっていますが、何よりすばらしいのはエロ。とにかくエロい。自ら進んで見せてくるセクシー系じゃなくて、自分でもコントロールできない発情に悩まされてるウブい感じが最強です。お前がナンバーワンだ

sano05
これでHシーン突入しないんだから驚きです。レベル高すぎ。

微妙にこじらせた自意識とか、妄想エロふくらませて自爆とか、ダウナー通り越してヤンデレ気味になるところとか、ころころ変わる表情とメインヒロインとは思えないヨゴレっぷりが素敵。ちょっと余りの展開に可哀想になることもしばしばありましたが……。

sano03
SDキャラの演出もいい味出してます。ニヤニヤが止まらない。

ただ、寧々といえばこれ! というのはやっぱり「お家帰るぅ」。最強です。落ち着いた普段の雰囲気からの落差がたまりません。桐谷華さんの演技が光りまくってますね。ホントにすばらしい。

sano02

「表の顔」と「裏の顔」がいちばんはっきり分かれている(めぐるこそそういう設定だけど、見える範囲では一番落差が少ない)のが寧々で、「クラスメイト」、「仲間」、「恋人」という変化が楽しめました。

歴代ゆずヒロインの中でもトップクラスに好きなヒロインです。ただそれだけに、ルートのラストには残念なところがあり……。願わくは彼女には、平凡でいいからすっきりとした幸せを掴んで欲しかった。ゲームを終えて半月近く経ったいまでもそんな風に思います。

レビュー&攻略:『無法恥態~格闘美少女達の淫辱バトル~』

muhoutitai

ブランド: Devil-seal 
定価: ¥2,000 (税込¥2,160)
発売日: 2015/01/30
ジャンル: 淫辱バトルADV
原画: 神藤みけこ
シナリオ: hatsu
OHP: 無法恥態

※攻略は本記事の末尾。

《ブログ用評価 S~D》 (S=非常に良い A=良い B=普通 C=やや難あり D=む~り~)
絵: A (安定しているし構図もエロい)
話: B (キャラが立っているし話としてもまとまっている)
演: C (戦闘等での盛り上がりが一切ない。エロの演出もいつものアニメがつくだけ)
H: A  (シチュエーションと声優さんの勝利)
他: B  (低価格帯であるというあたりを考慮)
総合: B  (絵柄が気に入って凌辱OKか、強いヒロインを屈服させる系の話が好きならお薦め)


ストーリー (げっちゅ屋さんより)
IMG1 各所からの不良たちを集め、まとめて更正させる目的で作られた矛峰学園。創立当初の目的とは大きく離れ、今では日本最強の学生を決める場所となっていた。勝った者には賞賛と称号を、負けた者には絶対的な屈辱が与えられる。

そして今、二人の美少女格闘家がそれぞれの思いを胸に秘め、その門をくぐり抜けた――

「プロレスこそが最強である」という亡き父の意思を受け継ぎ、自らの力でそのことを証明し続けている姫神響。一方、編入してきた理由を「退屈な毎日に飽きたから」だと平然な顔で言ってのける天賦の格闘センスを持った藤城菖蒲。プライドを折られ辱めを受け、それでもなお立ち上がり、彼女たちは学園最強の名を手に入れる事ができるのか。

ぶつかりあう白と黒のカリスマ。 獲物を狙う男たちの魔の手。
最強の称号を賭けた淫辱バトルが今始まる―― 

格闘少女凌辱もの。「淫辱バトルADV」となっていますが、セックスバトルがあるとか戦闘シーンにあわせたゲームがあるということはなく、ごく普通の凌辱系ADVです。あとどうでもいいけど、たぶんキャラモチーフはいま新作で話題の『DOA』だと思う。あと『一騎当千』が混ざってるかな。見たまんまですね。

冷静沈着で、無法地帯となった学園の中でも秩序を重んじ、圧倒的な力によってそれを可能にしている姫神響と、おなじく圧倒的な力を持ちながら縛られることを嫌う狂犬・藤城菖蒲がぶつかり合い、敗れた側が辱めを受けます。更にその背後には、かつて菖蒲を辱めた謎の男の存在があり、2人を狙っている……という展開。

ストーリーはありがちながら読ませるものがあるし、Hシーンの質もなかなか。普通に良いゲームだったと思います。これまで数多くのSealゲーをこなしてきましたが、上位10本に入りそうなくらい。 

今回スタッフがなにげに豪華ですよね。

メインライターのHatsu氏は、『隠恋ぼ』や『LOあんぐる!!』などのロリゲーから『かみぱに!』のような巨乳ゲーまで幅広くこなすオールマイティー型のライターさんで、正直「これは無理やろ……」みたいな設定からでもキッチリ話を仕上げてくるという印象がありました。本作もその例に漏れず、Sealの半ば「丸投げ」のような設定をきちんと読めるものにしておられたし、またシチュエーションをうまく配置しながら、イベントのなかでキャラを見せていく手法でキャラを立てていたのが良かったです。

あと、テキストが普通に読みやすい。セリフに不自然さがあまりないし、誤字脱字も少ない(Seal比)から違和感感じない。個人的にはこのへん凄い大事。「既に、藤城の身体は、彼の舌によって丸裸にされていた」みたいな表現をDevil-sealで見ることになるとは思わんかったとですよ。

原画の神藤みけこ氏はLilith系やアトリエさくらあたりでのお仕事もあり、抜きゲーでは(私の中で)結構認知度高いし、絵買いも辞さないレベル。特に同じDevil-sealから出た『くノ一葵、悪ニ堕チル』が好きです。そしてさすがはSeal系列のブランドだけあってCGの質はかなり高いし、今回はCV大当たり。メインのお二人はともに『対魔忍アサギ』シリーズで活躍されているだけあって、バトル系の凌辱Hはお手の物。日常会話なんかでもキャラの味が出ていて、非常に良かったと思います。

抜きゲー枠なのでこのままHシーンのほうに突っ込んで触れていくと、敗北したヒロインの屈辱的な様子や、それでも折れない強さ、また堕ちたときの様子なんかがきちんと描かれていて実用性高めです。タイプ的にはクリムゾンてんてーの作品に近いのですが、あちらが堕ちのプロセスに強烈なこだわりを見せるのに対して、本作はどちらかというと堕ちる前と堕ちた後のキャラ立てを丁寧に行い、そのギャップで勝負している感じ。

不満点としては、そのプロセスの部分があまり丁寧に描かれないことと、堕ちた後の描写が少ないことから、ヒロインたちを凌辱しきった、あるいは征服しきったという気分になりにくく、またヒロインたちのエロさもMAXに到達する前に終わってしまったような感じがするところ。それでも菖蒲は輪姦されるシーンの屈服セリフとかがあってわりと頑張ってましたが、響のほうはやや唐突感があったかなぁ。強さを残したまま淫乱堕ちするのはいいんですが、過程がないせいで中途半端な印象をが否めません。

もちろん低価格帯のソフトなのであまり無茶は言えないというかお値段なりではあるのですが、キャラクターのバリエーションもそこそこあるし、冒頭のメインキャラとは関係のないHシーンは、この作品の世界観でもっとやれたんじゃないかという可能性を匂わせるものでした。こういう路線、あるいは同じキャラでもいいので、ミドルプライスからフルプライスの作品が出たら……と期待せずにはいられません。たとえば、今度は学校間の抗争にして、今回のヒロインたちはその中の勢力の1つにするとか。獅子堂先輩も出番増えそうだし。ダメですかね、Sealさん……。

というような、続きを望みたくなるくらいには好感触な作品。私は満足しました。強いヒロインを屈服させる、二次元ドリーム系の話が好きなら割とアリな線だと思います。


【攻略】
選択肢は3箇所。EDな4種類。ヒロインがそれぞれ「1人」で戦いを挑んだ後、タッグを組むと、ラスボスへの勝利の道が開けます。
※なお、下記攻略は確実な再現を約束するものではありません。誤りなどあればご指摘ください。

《響END》 今は答えを急く時ではない → 面白そうだ、乗ってやる → やはり姫神響
《菖蒲END》  それでも己の信念を貫く → 姫神など余裕だ。男の力は借りない → 藤城菖蒲を徹底的に
《雌犬END》 今は答えを急く時ではない → 姫神など余裕だ。男の力は借りない → 一人だけなんてもったいない
(それでも己の信念を貫く → 面白そうだ、乗ってやる → 一人だけなんてもったいない も可)
《逆転END》  それでも己の信念を貫く → 姫神など余裕だ。男の力は借りない → 一人だけなんてもったいない

▼選択肢1
それでも己の信念を貫く
今は答えを急く時ではない

▼選択肢2
面白そうだ、乗ってやる
姫神など余裕だ。男の力は借りない

▼選択肢3
やはり姫神響
藤城菖蒲を徹底的に
一人だけなんてもったいない

以上です。

レビュー&攻略:『不条理世界の探偵令嬢 ~秘密のティータイムは花園で~』

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ブランド: アーベルソフトウェア
定価: ¥8,800 (税込¥9,504)
発売日: 2015/01/30
ジャンル: ADV
原画: うじ金時
シナリオ: 遠野ひびき
OHP: 不条理世界の探偵令嬢 

▼批評空間投稿レビュー(42点): OYOYOの「不条理世界の探偵令嬢」の感想 (ネタバレ有
※攻略は本記事の末尾。  

《ブログ用評価 S~D》 (S=非常に良い A=良い B=普通 C=やや難あり D=む~り~)
絵: B (1枚絵はそれなりだしエロい)
話: C (不条理)
演: C (立ち絵が動かないし、戦闘もショボい)
H: C  (シーンへの突入が唐突だしワンパターンすぎる)
他: D  (どこがウリかわからない)
総合: C  (処置なし)

ややキツい言い方になりますが、正直、魅力を感じる箇所がありませんでした。批評空間さんに書いた内容を補足するようなレビューをしていきます。

※なお、こちらの感想もネタバレを含みます。気になる方は閲覧をご注意ください。

まず単純に、テキストが読みづらい。
tr01
ふう・・・・やっぱり、病み上がりだときついな。まだ本調子じゃないんだな・・・・。
今の俺の状態は、病み上がりで完全ではない。
どれだけ回復しているかを実感するために、きつめのペースで走ってみたが軽く息が切れている。
そんなに何度も「病み上がり」だと教えてくれなくてもわかります(笑)。

1つの情報を何度も同じようなかたちで言い換えたり、かと思えば説明が必要そうなところでかなり飛躍するので展開についていけなかったり……。細かい矛盾や違和感も押し寄せてきて、読むのに相当苦労します。1文を短く区切るなど読みやすいよう工夫はしてくれていると思うのですが、1つの文章、セリフ、シーンに持たせる意味がうまくコントロールできていない感じ。結果、異様にダラダラしたり、イベントが脈絡なく継ぎ接ぎされているような感じになっています。

また、探偵ものとしての緊張感や爽快感も味わえません。たとえば、蜂によるアナフィラキシーショックに見せかけた殺人では、トリックにつかわれたのがミツバチ。ミツバチは刺すとお腹がちぎれるから、生きたミツバチを捕まえたということはミツバチの毒で死んだのではない……みたいな推理がされるのですが、こどもだましも良いところです。

面白いミステリーというのは、何気ない会話や態度の中に仕込みがしてあったり、バラバラだと思っていた事実をつなぎ合わせると鮮やかに真相が浮かび上がったりするものです。蜂が死んでないから蜂の毒じゃないって、単に知ってるか知らないかだけの話で推理とは呼べないでしょう。その辺の物知りおじさん呼んでくればじゅうぶんです。

しかも、ちょっと調べたところミツバチ1匹ではアナフィラキシーショックを起こすほどの毒はないみたいですね。もちろん個人差はあるのでしょうが、そのあたりの「常識」を無視しているのも気になります。同様のシーンがこれ。

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ある人物を追い詰めるシーンですが、そこそこの地位の人の給料を何ヶ月も使うような万年筆って……。いや、そりゃ100万円超えるような万年筆ありますよ。持ってる人は見たことないけど。でも、それを落っことしてる犯人とかマヌケ過ぎませんか。しかも、スーツがよくなったとか女遊びが派手になったとかじゃなくて万年筆。よほど凝り性なんだと思いますが、そんな描写は全然なし。相手をどういうキャラにしたかったのかよくわかりません。

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細かいアラもたくさんです。たとえば上のシーン。これ、ナイフを突きつけてるように見えるけど、刺そうと思ったら芽衣の下半身が邪魔で無理ですよね。むしろ、芽衣が思い切り蹴っ飛ばせば逃げれるんじゃないか疑惑。しかも男のほう、足をだらーんと伸ばしてますから、せいぜい足を切りつけるくらいしかできないんじゃないかという……。それでもまあ脅しになるといえばなるのかなぁ。

演出もショボく、立ち絵がほとんど動きません。立ち絵に関してはアーベルさんの多くの作品でいろいろ問題になってたけど、今回まさかほんとに紙芝居になってるとは。表情もポーズもほぼ固定です。ごく一部の戦闘シーンでは申し訳程度に動くのですが、戦闘のほうもまた問題がありまして。特筆すべきはその迫力のなさ。およそ2015年のフルプライスゲームとは思えないはっちゃけっぷり。

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上のシーン、襲われている優香里を助け出すシーンです。立ち絵ではないのですが、左が殴る前で右が殴った後。マジか……っていう感じです。一枚絵使ってこれ。立ち絵のほうも推して知るべし。

ギャグをやっているのかとずっと疑っていたのですがそういうわけでもなさそうだし、シリアス路線にしては粗が多すぎて物語に入っていけないし、作中で提示される「謎」はチャチいし、登場人物たちの心理にはまるで共感できないし……という具合でほんとにどこがセールスポイントだったのか解りません。

どうもアーベルさんはいろんなところがよくわからなくて、たとえば広報のTwitter。発売後すべての呟きの枕に「
『不条理世界の探偵令嬢』無事発売して、」というひとことを付け加えています。SEO対策の一貫か何かなのでしょうか。ただただ不自然なだけで、およそ効果的とも思えないのですが。

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話が作品内容から離れたのでシステム的なところにも触れておくと、コンフィグも下のような感じで、コンパクトというか質素すぎるというか、必要最低限のものも揃っていない感じ。いやまあ、たしかにこれは絶対にないと困る設定項目ですがこれだけでいいかと言われると……。フルプライス作品だし、曲がりなりにも伝統あるメーカーさんなのですから、もう少しさまざまな機能を期待したくなります。過去の探偵シリーズの、無駄に凝ったシステムは何だったんだろう。

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エンディングは『男坂』も真っ青な打ち切りっぽい感じでスタッフロールもなかったし(私が見落としてるだけじゃないですよね?)、結果的に本作は、冒頭のこのひとことですべて片付いていた気がします。

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未来を予言するすばらしいOPだったのですね。予知能力を持ったソウシンシャからメールでも受け取ったのでしょうか。次回作が「アーベル殺人事件」にならないことを祈るばかりです。
 

【攻略】
EDは2種類。選択肢は3箇所。下記の方法でCGも埋まります。噂では、予約特典「アフターストーリードラマCD「探偵令嬢の憂鬱」」で若干本編の補完的な内容もあるようですが、真偽の程は不明。

※なお、下記攻略は確実な再現を約束するものではありません。誤りなどあればご指摘ください。

通常のED
(優香里)優しくして聞き出す → (伊織)優しくして聞き出す → (恵衣)優しくして聞き出す

バッドED
(優香里)強引にして聞き出す → (伊織)強引にして聞き出す → (恵衣)強引にして聞き出す

 

レビュー&攻略:『ハルキス』

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ブランド: 戯画
定価: ¥9,800 (税込¥10,584)
発売日: 2015/01/30
ジャンル: イチャラブコミュニケーションADV
原画: marui、みことあけみ
シナリオ: 森崎亮人
アーティスト: 新田恵海、佐咲紗花
作詞/作曲: RUCCA/喜多智弘
OHP: ハルキス

▼批評空間投稿レビュー(74点): OYOYOの「ハルキス」の感想
※攻略は本記事の末尾。 

 《ブログ用評価 S~D》 (S=非常に良い A=良い B=普通 C=やや難あり D=む~り~)
絵: A (非常に魅力的。1枚絵・立ち絵がときどき崩れる)
話: B (少し特殊なかたちだが、きちんと「恋」を描いていると思う)
演: C (結構不満あり)
H: B  (絵もテキストも悪くないのになぜかあまりエロくない。説明的すぎるというか頭でっかちなせいか)
他: B  (テキストの剽窃疑惑とかその辺のゴタゴタはちょっと残念)
総合: B  (比較がすべてではないが、『キスアト』の域には届かず)



ストーリー (げっちゅ屋さんより)
親元を離れ、いとこ姉妹の家で学生生活を送る主人公。
留守にしがちな従姉の代わりに、従妹と共に留守番をしつつ、早く自立したいと願いながら日々を過ごしていた。

そんな学生生活の最中、主人公は人助けのためにクラスメイトと “付き合っている” という嘘をついてしまう……
かくして始まる、ウソの恋人生活。
そこに実家から追いかけて来た義理の妹や、同じようにかつて住んでいた場所から様子を見にやってくる恩師の娘。
過去の生活。 今の生活。 そしてウソの恋人とのこれからの生活。
果たして待ち受ける未来はどんなものなのか。

戯画の恋愛ADV「キス」シリーズの第四弾。前作『キスアト』のヒットを受けてか、森崎亮人氏が単独でシナリオを手がけ、満を持しての登場となりました。

全体としては割と満足なできばえ。ただ、ちょっと変化球気味の内容だったかなという気がしないでもありません。

批評空間さんの一言感想でも書いたのですが、これどう見てもヒロインたちが主人公を攻略する話なんですよね。ヒロインたちみんな男前。あと頭がいい。お勉強ができるという意味ではなくて(このみは若干天然ですが)。ウジウジしていて不器用でスペックの低い主人公というのがどうも苦手という人や、エンターテインメントとしてのわかりやすい爽快感を重視するユーザーにはあまりウケがよくないのかな、なんて思ったりします。

いっぽうで恋愛物語として見た場合には、しっかりとした作りになっていると思います。どうしようもないダメ男に惹かれる女性の話というのは現実でもフィクションでもそれなりにあって、たいていお互いズルズルへんな沼に沈んでいってロクなことにならないのですが、本作はそこを「更生させる話」にすることで爛れた雰囲気を排除して、コメディチックな明るい恋愛ものに仕上げたという感じでしょうか。

ただ、通底する問題意識というのはやっぱり重なっていて、それは「一人でいることの孤独」ではないかと思います。ダメ男に惹かれるというのは、そのダメ男がどうしようもなく自分に頼ってくれるのが心地いいからであり、逆に言えばそういう全幅的な信頼みたいなものが得られていないからそれを求めてしまうということでもある。他者への関心が薄い人間に認められることでしか満たせない、強烈な他者への渇望。背景にあるのは、他者との繋がりに実感や満足感が希薄にしか得られないということ。母性本能とかボランティア精神とか、そういうのとはたぶんちょっと違う。

そういう、ある種の希薄な他者意識、または自己完結的な世界を抱えて、それが寂しいというのではなくてそれが寂しいと思えないことによって世間から浮いてしまう、そういう意味での「孤独」を感じている人には結構「刺さる」話なのではないかなと思います。逆に、これツマンネー、主人公ウジウジで気持ち悪いしヒロインもアホじゃねーの、という人は、変にねじれてない素直な人なのかなとかなんとか。

まあ、そんな感じの恋愛を描いているのでストレートなイチャラブではないよな、という感じを受けました。

エロに関してはちょっと不満。このみちゃんのエロがあまりにも唐突かつ口あんぐりだったこともあるのですが、なんかシナリオとか主人公の内心を変化させるための道具になってる気がしないでもないんですね。いや、描写としては抑えきれない欲望みたいなのが書かれてなくもないんですがどうも説明的&観念的で……。もうちょっと、性欲と直結させた青い感じがあってもよかったのかなと。

ただ、グラフィックのよだれはすばらしい。口をあけたときにこう、ヨダレが糸をひくんですが、これがもう最高。わかってほしいこのエロさ。

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みことあけみさんはあんまりヨダレ描かない方なので、maruiさんのキャラ(伊月、このみ)ですね。原画家さんによって違うということはメーカーさん側から指定されているのではないのでしょうか。今後は是非全キャラに入れてほしいところです。

演出についても批評空間さんのところで若干触れた通り、「俺の方なんて気にせず花火を見ていた」って書いてるのに花火見ずにこっちに視線が来てる一枚絵が表示されるとか、これはやっぱよくないと思うんですよね。天音さんは花火見てる。主人公はその天音さんの横顔か後ろ姿かそういうのを見てる。お互いの気持ちが近いようで遠い、そういうもどかしい距離感をイメージする場面だと思うのですが……。これだと雰囲気が全然出てない。

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©戯画2015、ハルキス

BGMも、クオリティーは高いのですがどうも雰囲気とあってない感じがするところがあり……。コミカルな場面だと思っていたら深刻そうなBGMが流れたりとかね。まあちょっと完成度的な部分でその辺に不満を覚えました。

あと、一部で話題になっているテキストの剽窃問題。このみルートの一部が2012年~2013年にかけて投稿されていた「やる夫はフェイトのダメなお兄ちゃん」と酷似しているのではないかという話ですが……。

該当箇所はここから以下の部分。(ネタバレが怖い方は見ないことを推奨)

harukiss_ss harukiss_ss02

SSを書かれた方もTwitterで言及しておられるとおり、剽窃かどうかは判りません。ストーリーのうえでどうしても必要な箇所ではない(撫子さんの微妙に不安定な性格と母親らしさが出ているところではあるし、その後の撫子さんのおちつきを考えればやや噛み合わない感じもするけれど)し、細かい表現は結構言い換えられてはいます。文言が完全に一致しているわけでもない。ただ、個人的には偶然の一致と片付けるのはちょっと難しいかなというレベルであるようにも思われます。



この部分を森崎氏が書かれたのか、代理で誰かが書いたのかはわかりませんし、単に記憶に残っていたのか明確な意図をもって真似たのか、他に事情があったのか(実は森崎氏のテキストが先にあって、それをこの作者の方が真似ていたかもしれない)とか、その辺は全然わかりません。

また、そもそもメーカーさんなんかが事前にチェックすることも難しいことだとは思いますのでメーカーさんや森崎氏を責め、断罪することに正直あまり意味があるとは思えませんが、森崎氏は名前がクレジットされているシナリオライターの責任として、一応何らかのコメントを出す(あるいは戯画側がそれを調査するなり、氏に依頼・許可する)くらいのことはしてもいい案件ではないかなと思っています。

せっかくの良い作品だし、シリーズとして知名度・人気も出てきているなかで、やはり少し残念な気もいたしました。


【攻略】
選択肢は2箇所。それぞれヒロインに対応するものを選べばOK。初回特典版のCG回収には、追加エピソードDL用シリアルを入力してスペシャルエピソードを選択する必要あり。

※なお、下記攻略は確実な再現を約束するものではありません。誤りなどあればご指摘ください。

伊月 :何だかんだで八住にも世話になった  → 水泳部の合同合宿が気になる
葵 :葵に一番助けられた  → 期末試験こそ頑張る
このみ :このみはテスト大丈夫だったんだろうか  → 客間の掃除を早めにやろう
天音 :天音さん、もしかして暇なのか?  → トレーニングを増やそう

体験版レビュー:『シルヴァリオ ヴェンデッタ』

めずらしく、本日2つ目の更新。

lightさんから2015年2月に発売予定の『シルヴァリオ ヴェンデッタ』。体験版レビューキャンペーンなるものを実施していたので、流れに乗る感じで体験版プレイしてみました。ってか締切今日までっての忘れてたんですよ! あぶないあぶない……。なお、今回プレイしたのは体験版1のほう。体験版Ver2は1月16日解禁の模様。Hシーンなかったけど2のほうには搭載されるのでしょうか。楽しみです。

『シルヴァリオ ヴェンデッタ』応援中!

【タイトル】 シルヴァリオ ヴェンデッタ
【種類】 Windows用ゲームソフト(18歳未満購入禁止 )
【発売日】 2015年2月27日予定
【価格】 8,800円(税抜)
【原画】 KeG / 夕薙
【シナリオ】 高濱亮 / 昏式龍也 / 無義歩
【音楽】 樋口秀樹 / 押上極

 ▼体験版感想キャンペーン (※リンク先18禁)




▼プレイ時間
設定いじったりショートカットいじったりしながら読みましたが、1時間半ほどでした。ゆっくりやっても2時間かからないと思います。

▼コンフィグ・システム類
体験版ということで基本的なところから。メッセージスキップ、セーブへのコメント挿入、ショートカット等々、最低限はかるがるクリアしてかなり行き届いた感じです。個人的に気になる部分はほとんど問題なし。また、地味ですがバックログ画面が好印象です。バックログでもルビが消えませんし、背景もゲーム画面透過とかではなく、雰囲気づくりができているので。

ただ、ウィンドウサイズが固定っぽく変更できないのはちょっと残念でした。私が見落としているだけかもしれませんが。

※追記 外部のmaliecfg.exeからサイズ変更できるということを教えていただきました。やはり、私が見落としているだけだったようです。誤ったことを書いてしまい申し訳ありません。おしえてくださったじゃこさん、ありがとうございました。

▼感想
さて、軽く感想など。

『Vermilion』ライン……と言って良いのかわかりませんが、lightの第二バトルラインの4作目。現在lightさんは、『Dies irae』ライン、『Vermilion』ライン、Sweet lightラインという、だいたい3ラインで動いているように見えます。本家lightに「中ニバトルもの」が集中しており、ここ2、3年ですっかりバトルもののブランドというイメージが定着してきた感。秋葉原を歩いていても、大通りに面したとらのあな店頭のでかいポスターも、lightといえばバトルもの! みたいなウリ文句になっていました。

んで今回の『シルヴァリオ ヴェンデッタ』、15周年記念として製作された第一弾で、シナリオ昏式龍也さんは今までどおりですが、原画から泉まひるさんがはずれ、夕薙さんとKeGさんのダブル原画になっています。まひるさん、また学園ものとか描いてくれないかな……。

それはさておき。

体験版範囲では非常に期待できるな、という印象でした。凄い魅力的。

ストーリーはOHPで3ページにわたって書いてあるので、まあそっちを見てください。今回の体験版範囲はキャラの紹介と「思わせぶり」な導入で終わっています。長さ的にも、個別のキャラや事件についてつっこんだ感想を書くのはちょっと難しいです。

ただ、体験版の構成は非常にうまいと思いました。内容の話じゃなくて申し訳ないんですが、過去と現在を巧みに織り交ぜながら、未来(この先の展開)を暗示的にちらつかせるので、物語の続きを読みたくなる。特にゼファーと軍の関係、彼の能力の秘密あたりが明かされることを思うと旨が高鳴ります。

また、ユーザーが期待しかつ「ウリ」となるバトルシーンをがっつり見せつつ、日常も過不足なく混ぜていて、ちょっとやればだいたいの雰囲気がきちんと分かる。主要なキャラを短い期間でざざっと出しながら、それでいて「あ、紹介パートですね。お疲れ様でーす」みたいな説明感が薄く、キャラが登場するたびに少しずつ世界・物語に引き込まれていく感じがしました。必要な情報を効果的に提供しながら、作品のイントロダクションとしての機能も備えた魅力的な構成だと思います。

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迫力あるバトルシーンがめまぐるしく展開される。

おそらく作品冒頭はこの体験版と大差ない内容になるのではないかと思うのですが、これなら「最初1時間で投げた」というようなことにはなりにくそう。

また、演出面も相変わらずキレがあって良いですね。体感ですが画面効果はいつも以上に積極的な感がありました。めまぐるしくキャラの表情が入れ替わり、立ち絵の遠近、1枚絵の挿入、カットイン等の画面効果がバンバン入ります。バトルもの、かくあるべし。目がチカチカするけど。

戦闘シーンはアニメーションなどをガンガン使う演出を取り入れているブランドもあり、静止画とエフェクトでまわすというのに物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、テキストも含めた想像力で楽しむものなので、私はこれでじゅうぶんかなと思っています。

ただ、メッセージ画面はいささか残念。普通のメッセージウインドウ形式と全画面文字が入るノベル形式の併用ですが、個人的には『Vermilion』のようなフキダシスタイルのほうが、フキダシの形なども含めてキャラクターの感情表現が豊かになるので好きなのです。まああれは手間が大変そうだから仕方ないのかもしれませんが……。

音楽は、体験版範囲は神がかってます。まずゲームを起動すると流れてくるケルトっぽい歌が良い。……いや、実際のケルト音楽がどんなもんか全然知らないんで適当言ってます。すみません。ただ、これたぶん樋口さんです。「norn」(『Dear My Friend』でしたっけ)を彷彿とさせる、物悲しくも美しい曲。Youtubeにあがっているムービーとちょっと違う気がしますが気のせいでしょうか。声がちょっと高いような。

総じて作品の雰囲気にあった音楽が、効果的に使われていると感じました。個人的にサウンドは作品の雰囲気づくりに占める割合がもの凄く高いので読み進めるモチベーションがぐっとあがる。ありがたいです。

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コミカルパートにもバッチリ対応。尻を押さえろ!

CVに関しても文句なし。いやホントみなさんハマり役じゃないでしょうか。主人公ゼファーが『Electro Arms』と同じくCV:ルネッサンス山田のせいもあってか、なんとなくデジャブ感があるのはご愛嬌で。ただ、ちょっと「ひとりがたり」が多いのでじゃまに感じる人はいるかもしれません。あと、余りに台詞がクサすぎて恥ずかしくなるかも……。これを「ウッヒョー」と狂喜乱舞しながらニヤニヤしてクリックできるようになると、立派な中二ジャンキーの仲間入りですね。

テキストは今回の範囲たぶん昏式さんだと思うのですが、安定しているし読みやすい。組織名に星座を割り振ってみたり、漢字にオリジナルのふりがなを振ったり横文字で読ませたりという中二の王道的な「格調高い」雰囲気を持ちながらも、読者を置いてけぼりにしないようなテンポ、読みやすさへの配慮があって、いい意味で抑制が効いています。振り落とされた奴は知らん! とばかりに走って行くのではなく、こちらのテンションが上がってくるのを待ってからエンジンをかけてくれる、じわじわ浸透するタイプのテキストです。非常に好み。

もちろん、日常パートも面白い。ミリィちゃんかわいいですわ。年頃のいい香りがしてやべっいかんいかんって感じですよ、ホント(笑)。

「給料前借りしたあげく一夜で溶かして闇金に走るタイプですね」のようにセリフの中に作品内部の生活感を入れながら、各キャラクターの考え方、視点などがしっかり入っているので、掛け合いがいきいきとしています。趣味似非紳士(ロリコンフェミニスト)のようにさらっと混ぜてくるネタも雰囲気を壊すものではないし、これはなんとなくの感覚ですが、キャラによって中二の度合いも少しずつ使い分けられているような繊細さも感じます。

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日常パートではガラリと雰囲気が変わるが、キャラがいきいきと動きまわる様子が伝わってくる。

個人的には、こういう「静」の部分――日常の生活感がしっかり出ているというのがすごくポイント高くて、これがじゅうぶんに描けているからこそ「動」にあたる非日常(戦闘)のかっこよさや激しさが際立つのだと思っています。そしてクライマックスに向かって日常と非日常が重なりあっていく、というダイナミズムが期待できる。

全編このペースならまったく文句ありません。とはいえライターさん3名なので最終的にどんな風になるか。シナリオそのものの出来不出来に加えて、用語の使い方とか人称呼称とか文章全体における漢字の比率とか、そういう細部の雰囲気の積み重ねが重要になってきそう。

グラフィック面は、ご覧のとおりなので全く心配していません。泉まひるさんが今回参加しておられないようでそれは残念ですが、クオリティ面ではかなりハイレベルなのではないでしょうか。私的にも好きな絵柄なので文句なしです。

というわけで、体験版やった感じ「買い」。まあもう予約してるんで検討もクソもないんですが、プレイの優先度はぐいーんと上がりました。2月期待の作品としてカウントしても良いかなと思っています。

レビュー&攻略:『南十字星恋歌』

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ブランド: すたじお緑茶
定価: ¥8,800 (税込¥9,504)
発売日: 2014/09/26
ジャンル: ADV
原画: るちえ、広瀬まどか(SD原画)
シナリオ: 氷雨こうじ、まとま
OHP: 南十字星恋歌

▼批評空間投稿レビュー(―点): 未投稿
※攻略は本記事の末尾。 

 《ブログ用評価 S~D》 (S=非常に良い A=良い B=普通 C=やや難あり D=む~り~)
絵: A (ハイクオリティ。キャラの可愛さがしっかり出ている)
話: C (シナリオは違和感だらけ。しかも主人公が思慮浅く、しかも場当たり的にヒロインにとって「都合のいい男」になるので、魅力的に感じない。キャラの掛け合いなど場面場面は面白い)
演: A (BGMが非常に良い。また、グラフィック面でも各章ごとにOPとEDムービーが入るアニメ形式や、立ち絵の表情変化など、画面に動きをつけている)
H: B (後半雪崩のようにエッチシーンが連続するせいで、いまいちムードに欠けるが、量や声・構図のような形式的な部分ではじゅうぶん要件を満たしている)
他: B (主題歌関連が非常に充実している。初回特典ボーカルコレクションCDがないと、音楽モードで歌が聞けないのはやや不便)
総合: B (細かいところが気になりだすとダメ。頭をからっぽにして、魅力的なキャラクターが動き回るのを愛でるのが良いだろうか)



ストーリー(げっちゅ屋さんより)
主人公・砥部亮輔 (とべ りょうすけ) は、アルバイトをしながら双子の妹・れな とりなを養っている苦学生。しかし無理が祟ったのかバイト中に倒れてしまう !?

そんな兄を心配した妹たちは、飛び級で大学課程を終えたその才能を活かし、南国の島国・グインベルン公国の研究施設に就職するのだった。

こうして南国の島での不自由ない生活を手に入れた亮輔だが、転入した学園では “特待科” なる型破りな学生が集められたクラスで過ごすことになり……。

進行は、短い章にOPとEDをひっつけて何度も繰り返すアニメ仕立て。質の高いテーマソングを繰り返し聴けて、耳福です。

荒唐無稽を絵に描いたような話なんですが、最後まで舞台設定やストーリー展開に「地に足の着いた」感じが生まれることがありませんでした。グインベルン公国の制度や文化が説明はされるのだけれど、主人公たちのいる「学園」空間はほとんど異国であることを感じさせないし、都合のいいときだけ「ここは異国だから」というのが入ってきて、なんだかスッキリしません。

物語は平和な学園ものと思いきや、メインヒロインである公国の姫・香乃梨の進める近代化政策を巡ってなにやらきな臭い話がもちあがり、中盤以降政治的な対立や公国の「秘宝」を巡る国際社会の陰謀に巻き込まれるという、シリアス路線にシフトしていきます。

ただまあ、正直これが失敗したかなぁという感じ。

シリアスな話にするのなら、やっぱり内容的にはしっかりしたものでないといけません。「もっとこうすれば解決するんじゃ」とか、「いやいや、そこはさっさと相談しようよ」とか、読み手からガンガンつっこみが入るのは良くないと思うんですよね。ちょっとくらい勇み足なところがあるのはハラハラ要素として楽しめるけど、毎度毎度「何やってんだバカ!」と思ってしまうとストレスになるというか。

刑事ものや探偵もので、主人公の刑事や探偵がミスばっかりして事件がなかなか解決しない……というのでは緊張感は無いし、フラストレーションが溜まるでしょう。主人公たちは、読み手の想像を超えるような活躍を見せてくれるけれど、なお相手がそれを上回っている……という状態だからこそ、心躍るサスペンスの楽しみがあるわけでして。そこがうまくいってないから、どうも中途半端な印象しか受けませんでした。

香乃梨ルートにはロックがかかっていて、他の4ヒロインを攻略して、公国をとりまく現状や人間関係があらかた見渡せると「真実」にたどり着ける構成になっています。ただ、これも「少しずつ事実が明らかになっていく」爽快感みたいなものはなくて、単に香乃梨とハッピーエンドを迎えるための事務手続きをしているだけ、みたいな作業感のほうが勝っていました。

というわけで、シナリオ面では作り込みの甘さというか、構成の弛さみたいな部分が目立ちましたが、キャラの掛け合いなどのコメディパートはいい意味で破壊力抜群
 
各キャラの個性がきちんとあって、それを魅力的に打ち出すエピソードが散りばめられています。また、基本的にみんな亮輔(主人公)が大好きなうえに一つ屋根の下(学園の寮)で過ごすことになるので、牽制しあったり対抗誘惑合戦が起こったり、ハプニングでラッキースケベ連発したり……と、お約束をおさえつつハイテンションが加速していく感じは、読んでいて素直に楽しかったです。

ヒロインでは、都と咲弥が可愛かったかな。特に都は、お兄ちゃんラブラブモードに突入する前のすなおになれない時が最高でした。

シリアス路線をもう少しコンパクトにまとめるか、いっそ学園ラブコメで押し切ればよかったと思う。結果論になるかもしれませんが、ストーリー的な「山場」を、事件に頼るのではなく感情の揺れ動きに持っていったほうが、今回のような作品では正解だったのではないかという気もします。

とはいえ(不満点はあるものの)、それなりのクオリティーを保った作品なのは確か。期待の方向や楽しみ方さえ間違えなければ、じゅうぶんな内容です。あと、BGMに非常に気に入った曲が多くて、個人的に満足しました。



【攻略】
攻略ヒロインは5人。
香乃梨ルートにはロックがかかっており、他4人を攻略することでルートに入る選択肢が出現。

※なお、下記攻略は確実な再現を約束するものではありません。誤りなどあればご指摘ください。
 
選択肢1
香乃梨 → 香乃梨ルートへ → 香乃梨のBADEDへ(「BAD」というのは便宜上私がつけただけです)
エリーゼ → エリーゼルートへ → そのままエリーゼED
魅月 → 魅月ルートへ → そのまま魅月ED
都 → 都ルートへ → そのまま都ED
咲弥 → 咲弥ルートへ → そのまま咲弥ED

選択肢2 (香乃梨以外の全ヒロインを攻略すると選択肢が出現)
魅月数式の解:魅月は起きてくる → 選択肢3へ
魅月は寝たまま → 香乃梨のBADEDへ

選択肢3
都DNA鑑定:都が監視している → 選択肢4へ
都は監視していない → 香乃梨のBADEDへ

選択肢4
エリーゼ決意:れなとりなを護る → 選択肢5へ
やはり香乃梨に任せる → 香乃梨のBADEDへ

選択肢5
咲弥公国地下のデータ:スパイを見つける → 香乃梨のハッピーED
スパイが見つからない → 香乃梨のBADEDへ

攻略は以上です。

レビュー:『なないろリンカネーション』

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定価: ¥8,800 (税込¥9,504)
発売日: 2014/09/26
ジャンル: 涙あり笑いありのホームコメディADV
原画: すめらぎ琥珀
シナリオ: かずきふみ
OHP: なないろリンカネーション STORY 

▼批評空間投稿レビュー(80点): 「なないろリンカネーション」の感想

 《ブログ用評価 S~D》 (S=非常に良い A=良い B=普通 C=やや難あり D=む~り~)
絵: A (すめらぎ琥珀氏の絵が作風にあっている。表情もよく動くし、服装や髪型にバリエーションがもう少しあれば最高だった)
話: A (しっかりしたテーマ、描きたいモチーフがあって作られた骨太の話。ヒロインごとのバランスの悪さと、コンパクト過ぎる内容が玉に瑕)
演: A (派手なギミックは多くないが、丁寧で、こだわるべきところでしっかりこだわっている。CVも、終わってみればこの人選しかなかったと思わせる)
H: A (下品にならないギリギリのラインでエロさを確保しているのが素晴らしい)
他: B (ムーサン・ベリー氏の歌う主題歌が素晴らしい。他は取り立てた特徴もないが、不具合がなかったのは地味に嬉しい)
総合: A (期待通り満足はしたが、期待を突抜ける部分はなかった。また、完成度の高さゆえに、「もっとできたのでは?」と思ってしまう部分もある)



ストーリー(げっちゅ屋さんより)
大学三年生の夏。加賀見真は亡くなった祖父から譲り受けた家に移り住み、かねてからの念願だった一人 暮らしを始める――はずだった。
 
祖父の家にやってきた真を出迎えたのは、座敷わらしの少女と自らを鬼と称する女性。彼女らは鏡に映らず、自分以外の人間の目に映らない不可思議な存在だった。真は知る。 自身が “霊視” という特別な力を持つことと、祖父から受け継いだのは土地と家だけではなかったことを。
 
鬼を従え、町に彷徨う霊魂を現世から解き放ち、常世へと送ること。それが代々受け継がれ、祖父から託された加賀見家の “お役目” であった。あまりに突然すぎて理解が追いつかない真であったが、実際にお役目を果たしていくことで、少しずつ加賀見家当主としての自覚が芽生えていく。

そしてこの小さな町の平和を揺るがす、とある事件に巻き込まれていくのであった。

私の読み取ったテーマ的な部分については批評空間さんのほうに書いたので、こちらでは総括的な話をちらりと。

まず、時間について。すげー短いです。11時間って書いたけど、割とゆっくり目にやってそれなんで、ボイス中断上等で本気でやれば7~8時間で終わりそう。しかも共通ルートがかなり長く、個別分岐後も半分くらい内容がかさなっているので、周回を重ねるほどマンネリ感が高まってくる。そういう意味で言えば、このくらいの長さにして攻略ヒロイン4人というのは、ちょうど良いバランスだったのかもしれません。少し物足りない気もしますが。あるいは、いっそ割り切って1ルート限定にしちゃうとか。……まあそれは批判殺到を免れないから難しいか。

4人の攻略ヒロインは、琴莉、梓、由美、伊予。ただし、琴莉がセンターヒロインでほかは枝分かれ分岐、という感じです。攻略順としては琴莉を最初にやるか最後にやるかだけが問題になるタイプですが、個人的には最初が良いんじゃないかと。モップ先生のオススメも、初手琴莉でしたし。あと、版権イラストにいない梓と由美が可哀想過ぎる気がします。もうちょっとこう、扱いなんとかならんかったのか……。

内容に関して言えば、とにかく、印象に残るシーンがたくさん。

ギャグは鉄板のものから意表をつくものまでさまざまですが、個人的に気に入ったのは、梓が最初に真の家を訪れたとき、伊予にいたずらされる場面。声、表情ともに最高です。あと、伊予がエロゲーしてるシーン。これは伊予ルートなので詳しくは省きますが、「エロゲーかよ!」と思わずツッコミを入れてもた。

シリアス系では琴莉のED。これはぶっちぎりです。琴莉EDは2種類ありますが、リンカネーションEDのほうが好みかな。「琴莉が最初で最後」と主人公が言ったとき、2人の恋愛は確かに成就したのだと思います。もちろん、だからといってもう1つのEDが不要とは言っていません。そちらがあるからこそ「映える」ので片方だけだとパワー半減。両方揃ってナンボでしょう。

他に挙げるとすると、ネタバレぶっちぎりになるので言えませんが、とあるホラーシーン。これは作中の展開である程度覚悟していたのでショックはなかったですが、後々語りぐさになるくらいのインパクト。たぶん数年経っても、「ななリンといえばアレよね」とすぐ思い出せるハズ。

その他のシーンでは、やはり食卓。「家族」の象徴として何度も登場するこのシーンが、本作日常のハイライトですね。

Hシーンは、かなりエロいと思います。ただ、全体の雰囲気も手伝ってガンガン抜けるところまではいかなかったかなぁ。伊予サマがいっちゃん抜けました。ロリコンじゃないのに……。あと、梓さんの青姦。立ちバック最高。

そう、梓さんですよ、梓さん。方向音痴の三浦さんじゃなくてね。この人マジ可愛いです。チョロそうに見せかけて実はちゃんと芯のあるところも見せてくれたり、ゲームを進めるたびに新しい一面が見えてくるんですよね。全ヒロインの中で一番好きです。愛おしい。付き合うなら絶対梓さん!! 

シナリオについては、正直殆どの人が「予想通り」と思うんじゃないでしょうか。ぶっちゃけ「仕掛け」と思われる部分をあまり隠せていないので。ただ、これはかずきふみ氏が失敗したとかじゃなくて、最初からそうやって「予想」させる手法だと思います。みんな、「これも伏線だな、これも伏線だな」と思いながら読むうちに、どんどん話が進んでいくというやつ。ユーザーの「予想」を推進力にするタイプですね。

言い方を変えると、こちらが付かず離れず予想を続けられるように、巧妙に・丁寧に作品が作られています。「おかしい」と感じる部分がほとんどなかった。ただ、どこまでも「予想通り」で終わってしまったのは少し残念。最後にどこか、こちらの予想を突破するような部分があれば、純粋にエンターテインメント的な盛り上がりがあったようにも思われます。

音楽も邪魔にならず聞き飽きない良質なものが揃っています。特に主題歌のムーサン・ベリーさんは、これ何度も言ってますけどホント素晴らしい歌声。感動しました。曲も雰囲気にあっていて良いですね。私は初回予約特典CDゲットできたから良いんですけど、そうでない人の中にはミュージックモードにリピート機能が欲しいと思ってる人も多いのではないでしょうか。

細かい工夫、たとえばタイトル画面がキャラを攻略するたびに変化したら「リンカネーション」っぽさが出るんじゃないかとか(そもそも攻略ヒロイン2人がいないタイトル画面ってどうなのとか)、シーンの頭出しできたらいいなぁとか細かい部分で色々言いたいことはあるんですが、全体としてはこれが処女作とは思えないほどしっかりした作品。まあこの件についてはツッコミはなしで。そういえば、EDクレジットで「あしずり岬」氏をはじめ、某所でお馴染みのお名前がちらほら出てきてるんですけど、elfさんと協力体制が敷かれてるんですかね。こんなぶっちゃけ気味の話(「独立に関するお問い合わせについて」)がOHPに載り、しかも「エルフさんみたいな作品を作ることもある」と言っちゃう辺り、少なくとも関係が悪い・アンタッチャブル、みたいなことは無いと思いますが。

こういう、ユーザーの好みにあわせるのではなく作品自体の自己主張が激しいタイプはきょうびあまり流行らないという話もありますが、個人的には今後も骨太路線で頑張ってほしいなぁと思う次第。次回作も楽しみにしています。楽しい時間をありがとうございました!

レビュー:『あの晴れわたる空より高く』

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ブランド: チュアブルソフト (このブランドの作品一覧)
定価: ¥8,800 (税込¥9,504)
発売日: 2014/09/26
ジャンル: 青春ロケットADV
原画: ちり、まんごープリン(サブ)、オレンジゼリー(SD原画)
シナリオ: 範乃秋晴、草壁よしお

※本日2つ目の記事。レビューはネタバレなしのエッセイ風「感想」と、ネタバレありの2段階に分けました。ネタバレはまだ勘弁、という人は「続きを読む」以降をお控えください。

あらすじ
天ノ島学園に通う主人公・隼乙矢は釣りが趣味の、ちょっと成績が残念な普通の少年。留年を賭けた追試から逃げまわり、いつもと変わらない学園生活を送るはずだったのだが……。夜釣りに行った先で偶然知り合った少女・暁有佐との出会いと、ロケット部「ビャッコ」への入部によって、乙矢の生活は大きく動き始める。あの遠い宇宙に、ロケットを飛ばすために――。 


▼青春って何だ?
おそらくもう「若者」と呼ばれる年齢をこえてしまった私は、「青春」を謳う作品と出会うと、不思議な懐かしさを感じることがある。とはいえ私の学生時代(何学生とはあえて言わないことにして)には、ドラマチックなイベントなどただの一度も経験したことがない。夏祭りは男友達と一緒だったし、クリスマスは1人でゲーム。部活には女子もいたが、悲しいかな練習が男女別。そもそも、エロゲーに出てくるヒロインのような魅力的(かつきわどい格好をした)女の子などいなかった。いや、いるにはいたか。二次元にだが。

そんなわけで、エロゲーの「青春」に私の感じている懐かしさというのは現実に起こったことに対するそれではなく、たぶん、都合よく過去を解釈してそこに想像を付け加えた一種のノスタルジーにすぎない。「夢や希望にあふれた」時間がもう戻らないことへの感傷なのだろう。

しかし、『あの晴れわたる空より高く』という作品から伝わってくる「青春」は、そういう後ろ向きさを伴った切ないものとはずいぶん違っていた。描かれているのは、Chuablesoftの青春。そして、これもまた紛れも無い青春だと思うのだ。

ただ、最初に少し言い訳をしておくと、私がここでどれだけことばを尽くしても、本作の雰囲気やメッセージを正確に伝えきることはできないだろうし、またそもそもそんなことを目指してもいない。私にできるのは、せいぜいが私なりの解釈を通して作品のごく一部を切り取ってみることくらいだ。結局、ロケットもゲームも「やってみる」以上の魅力の伝達方法というのはなかなかないのかもしれない。
 

▼物語の「引力」
私が特に見どころだと思うのは、ロケットを製作通して乙矢たちの関係が繋がっていくところ。それを見られただけで、本作をプレイした甲斐があった、と言っても言い過ぎではない。むろんこれは、他の部分がつまらないということではなく、乙矢たちの関係にもっとも惹かれた、という意味だ。

下ネタ中心の楽しい掛け合いには声をあげて何度も笑ったし、ロケットに関する詳しい知識は読んでいて分かりやすく興味深い。声優さんの演技もよくてバックログから何度も気に入った音声を再生したし、理事長の演説には拍手を送りそうになった。BGMはすごく雰囲気にあっていて(ちなみに今も「おまけ」のミュージックモードでBGMを再生しながら文章を書いている)、OP&EDテーマはどれもクオリティが高い。

けれど、それらは作品を支える彩りにすぎない。『はれたか』という作品を牽引しているのは、あくまで「ビャッコ」メンバー5人の交流だ。あるいはこうも言える。彩りがただしく彩りとして機能しているからこそ、私は半ば引っ張られるように、この作品に入り込むことができたのだ、と。

その「引力」の源は、登場人物たちのつよい自律性にある。メインヒロイン4人と主人公だけではなく、周囲の人びとも含めて、である。彼らは皆、自分なりの過去や意思を持ち、自分の考えで動いている。物語の都合によって、物語に動かされているキャラクターではなく、彼らが動いた後の軌跡が物語になる。そんな、自分たちで物語を作っていける《人物》なのだ。

もちろん、底流にあるのは要素を配置して構成し、テーマに収斂させるというシナリオスタッフの作為なのだが、それが見えなくなる、あるいは時々そこを離れているのではないかと思えるほど、自由で楽しそうに有佐たちは振舞っている。そこに、思わず覗き込みたくなるような魅力的な世界が生み出されている。

だからというべきなのか、あるいはこちらが原因なのかはわからないが、物語に入り込むとは言っても、自分が主人公である乙矢に感情移入するタイプの物語になってはいない。プレイ中の私の立ち位置は、「ビャッコ」の5人をそばで見守って応援するようなところにあった。

一応、あげようと思えば理由は3つほどあげられる。まず、乙矢の生まれ育った環境がかなり特殊で、しかも彼自身の過去がすべて明かされるわけではない(常に「昔何かあった」ことが匂わされる)ため、どうしても距離をとって見てしまう。次に、視点の問題。基本的に乙矢の一人称で進行するが、時々ヒロインたちの視点になることがあり、その時には乙矢のグラフィックと声が入る。つまり、物理的に乙矢もキャラクターとして物語に登場するので、それを眺めている自分、というのは整合性を考えるなら彼らの外に来ざるを得ない。最後に、乙矢自身の過剰な「語り」。乙矢は自律的なキャラクターとして、彼の目の前のできごとを積極的に解釈していく(夏帆ルートあたりが顕著)。その乙矢の語りが、ユーザーを受動的にさせる。自分から物語に入っていかなくても一応の「模範解答」が与えられるので、自分がヒロインたちと会話をする必要がない。

この辺りはテキストを読む人の読み方にも依存するので一概に一般化はできないが、外的な要因が多いので、おそらく多くのユーザーにとっても同じように感じられるのではないかと思う。

だから私は(そしておそらく私たちは)、作品の中にいながら「ビャッコ」には入れない傍観者として、彼らの物語に関わっていくことになる。そのときに強く思ったのは、自分もこの輪の中に入れたらなぁ、ということだった。そういうもどかしさを、本作は与えてくれる。


▼走り続ける
恋愛にはいろいろなかたちがある。世間体のために体面だけお付き合いをするのも一種の恋愛なら、どちらかが倒れるまで寄りかかり合うものもそう呼べるかもしれない。ただ、『はれたか』に描かれているのは、そういうものではない。目標を同じくし、一緒に走り続ける中で繋がっていったものの先に、恋愛があらわれてくる。だからそれは、本来は「外」にいる私にはわからないものだ。

もちろん本作をプレイする際、シンプルに登場人物との距離を詰めて、感情移入の対象として楽しむことは可能だろう。けれど、『はれたか』のエンターテインメントとしての美質はむしろ、ユーザーをあくまでユーザーとして一定の距離を保たせる誠実な距離感、作品の自律性にあるのではないかと思う。

ロケットを打ち上げることを目指して、知恵を絞り、励まし合い、涙を流し……その輪の中に私はいない。乙矢たちが輝いて見えれば見えるほど、そのことが残念に思えてくる。それは、最初に書いたノスタルジーに似ている。それだけなら私は結局、未熟で向こう見ずで、でも夢や希望にあふれた、人生の春のような時期がもう戻らないことを嘆くのと同じような感傷を抱いて作品を終えていただろう。

しかし、「ビャッコ」の面々が作中で私たちに見せてくれるのは、感傷に浸ることではない。(特に、有佐ルートと完結編で顕著だが)彼らは常に挑戦し続け、未来を切り開き、想いを繋いでいこうとする。

青春とは、熱い想いを燃やしてうしろを向かず前だけ向いて行くことでもなければ、不安と焦燥に苛まれ夜の校舎窓ガラスを壊して回ることでも、無鉄砲に盗んだバイクで走りだすことでもない。傷つき、失敗しながらでも、過去を振り返り、それを引き受けつつ未来の目標へ向かって走って行くこと。少なくとも私はそんなふうに、この物語からメッセージを受け取った。

それはつまり、青春というのが「若さの特権」ではない、ということでもある。30になろうが40になろうが、私達はいつでも「青春」できるし、そのことは決して未熟さの証ではない。誰だっていつだって、「ビャッコ」のような青春を始められる。今度は傍観者としてではなく、自分が主人公になって。

私にとって本作は、そんな勇気を貰える作品だった。


▼ 未来へ
最後に、少し蛇足めいた感想を。

私は最初、『はれたか』は青春の物語だ、と言った。同時に、始まりの物語でもあるとも思う。各ヒロインのED後には、「End」や「Fin」ではなく「To be Continued」という文字が表示される。これは、「まだ完結編がありますよ」という意味かもしれないが、そこをあえて、もう少し深読みしてみたい。

乙矢たちの物語は、まだまだこの先も続いていく――「To be Continued」は、そんな意味ではないだろうか。そして、作品が終わっても彼らの生が続いているという確信を持たせてくれる力が、本作にはある。あるいは、その続きを見たいと思わせるだけの力が。

だが、それならば。彼らの物語を見守ることができない私たちは、ここからどこへ向かうのだろう。いや、改めて問う必要などなかった。私たちの人生もまた、この先ずっと続いていく。だからこの物語は、終わりが始まりにもなっている。新しい挑戦への始まりであり、乙矢たちとは違う、私たちの生活の再出発に。私たちもまた、ここから未来に向かって走りだす。

まだ若い世代のユーザーなら、まっすぐ目標に向かう力と、ときどき立ち止まって過去を振り返ることの大切さを受け取るだろう。そして私のように世間的には中年と呼ばれるくらいの年齢に差し掛かった世代は、後ろばかり振り返るなという叱咤激励と、再び前を向いていく勇気を貰える。5年、10年をしてプレイしなおせば、違った風に見えてくるかもしれない。明るく楽しい世界の中に、そんな懐の深さも持っている。 

また、深読みついでに邪推をしてみるならば、10周年を迎えたChuablesoftがこの作品を出したということは、自分たちはまだまだ「青春」していて、ここを新たな出発点として、まだまだ変わっていくという意思表明なのかもしれない。




(以下ネタバレありに続く……)
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レビュー&攻略『イセカイ・ラヴァーズ! ~巨乳の勇者達はちょろいん~』

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ブランド: APRICOT
定価: ¥6,800 (税込¥7,344)
発売日: 2014/09/26
ジャンル: 俺TUEEEで異世界の巨乳を堪能するADV
原画: TOMA
シナリオ: 髪ノ毛座、石弓達也
OHP:イセカイラヴァーズ!
修正パッチ配布中。

▼批評空間投稿レビュー(72点): 「イセカイラヴァーズ!」の感想

 《ブログ用評価 S~D》 (S=非常に良い A=良い B=普通 C=やや難あり D=む~り~)
絵: A (TOMA絵補正。ムチムチしてエロい。ただ、口が妙に三角形になったりで違和感を感じることもあり)
話: B (細かいツッコミを始めると粗が目立つが、展開は面白いしキャラはうまく描けている)
演: C (BGMや画面効果がついているだけ)
H: A (シチュエーションも面白く、種類も豊富。各シーンのコンセプトも明快)
他: C (操作性なども含め「最低ライン」は突破しているが、それ以上の工夫が無いのが不満)
総合: B+ (萌え+エロ路線として高いレベルでまとまっていて楽しめたが、これぞという推しがない)

ストーリー(げっちゅ屋さんより)
異世界ファンタジーを近代兵器で攻略!
 
ファンタジー物語が嫌いな上杉勇 (うえすぎ いさむ) は、寝食を忘れて没頭していたFPSゲームで世界ランキング一位になる。その報酬であるゲームアイテム “赤紙” を入手し、拾集に応じた途端、世界が暗転して気がつくと見たこともない世界が目の前に広がっていた。上杉勇は異世界に飛ばされてしまったのだ。そこには、剣士・リーン、魔法使い・カチュア、エルフ・アイーダという、いかにもファンタジーな面々がいた。カチュアの秘儀によって世界を救う勇者の召喚を試みたところ、まるで戦力になりそうもないイサムが現れたということだ。

モンスターに襲われ混乱しながらも、まるでファンタジーゲームのようだと思うイサム。カチュアがイサムと一緒に召喚した武器の中からハンドガンを見付け、自分がいた世界のファンタジーゲームの知識でモンスターの急所を貫き、追い払うことに成功。英雄扱いでチヤホヤされて、いい気になってしまったイサムはモンスター退治を頼まれ、リーンたちと旅をすることになってしまう。しかし、この世界なら自分はお話の中の英雄や勇者のようになれるかもしれない! などと、夢想してしまうイサムだった。



【攻略】攻略ヒロインは3人。全員を攻略+Hシーンの選択肢総当りでCG・回想100%。
※なお、下記攻略は確実な再現を約束するものではありません。誤りなどあればご指摘ください。

▼リーナ 
《選択肢1》
騎士を助ける

《選択肢2》
リーナの胸

《選択肢3》
リーナの胸

《選択肢4》
リーナ

《選択肢5》
リーナの意見を聞く

《選択肢6》(※セーブ&ロードで総当り
パイズリを勉強させる
フェラチオを勉強させる

《選択肢7》(※セーブ&ロードで総当り
リーナに挿れる
魔王に挿れる

▼カチュア
 《選択肢1》
魔法使いを助ける
 
《選択肢2》
カチュアの胸

《選択肢3》
カチュアの胸

《選択肢4》
カチュア

《選択肢5》
カチュアの意見を聞く

《選択肢6》(※セーブ&ロードで総当り
フェラチオをされる
パイズリをされる

《選択肢7》(※セーブ&ロードで総当り
後背位をする
騎乗位をする

 
▼アイーダ
《選択肢1》
騎士を助ける

《選択肢2》
アイーダの胸

《選択肢3》
アイーダの胸

《選択肢4》
アイーダ

《選択肢5》
アイーダの意見を聞く

《選択肢6》(※セーブ&ロードで総当り
フェラチオをしてもらう
パイズリをしてもらう

《選択肢7》(※セーブ&ロードで総当り
胸を攻める
さらにキスをする



APRICOTさんお得意のミドルプライス抜きゲー。今回はファンタジーが舞台! というわけで、TOMA好き&ファンタジー好きの私は1も2も無く購入を決定。

ヒロインは、戦士(騎士)タイプのリーナ、魔法使いのカチュア、エルフの弓使いアイーダ。サブヒロインで魔王。全員巨乳です。CG差分抜き58枚、シーン数26(リーナ8(魔王との3Pあり)、カチュア10、アイーダ7、魔王1)。

基本的に、細かいツッコミをし始めるとキリがないタイプのシナリオです。たとえば、「死なない」加護もちでどんな怪我でもすぐ治るヒロインが、なぜか全身鎧でガチガチに身を固めていたり(鎧いらないだろ……)、おっぱい信仰の定義がブレブレだったり、主人公の武器召喚の条件がシナリオによって変わったり……。ただまあこの辺は、そもそもがネトゲーをしていたら異世界に召喚されるという、「なろう」小説などで流行っている異世界俺TUEEのテンプレ設定で始まっているので、あまり凝るつもりはないのでしょう。「そんなもんなんだ」という一言で流す度量が求められます。

ただ、それでも気になったのは以下の3点。

 (1)主人公が「元の世界」に全く帰ろうという態度をあまり見せない
 (2)異世界と現代日本の文化の差を強調する割に、「餅は餅屋」のような慣用表現を異世界人が使う
 (3)リーナさん、鎧いっぱい持ってるなら、まず控えの鎧のほうから召喚素材にしようよ!

要するに、(1)心理描写の問題、(2)世界観の問題、(3)構成・推敲の問題、みたいな話になります。(1)に関しては「ないものねだり」じゃないかと言われればその通りかもしれません。ただ、異世界にかっ飛ばされた主人公が当然遭遇するであろうさまざまな悩みや疑問が描かれないことで、「この主人公はこんなヤツ!」というイメージが掴みにくいというのがありました。

ヒロインとの恋愛も同じで、「こういうできごとがあったから好きになった」という設定の「説明」はできているんですが、具体的な心の機微みたいな部分で少し物足りなさを覚えます。

(2)は、「異世界」というのが単にドラゴンが飛んできて魔法が飛び交う、というだけになっているという話。たとえば『ゼロの使い魔』を読まれた方ならお分かりになると思うのですが、あの作品では「ハルキゲニア」という具体的な世界の息遣いが伝わってくるじゃないですか。でも、『イセカイラヴァーズ』の「異世界」は、一般的抽象的な異世界にすぎない。

「外国」に行ったという話を聞いたら、そこがアメリカかトルコかチリか……みたいなところが気になりません? そういう、異世界の具体性みたいなものがあれば、私としてはもっと面白かったしワクワクできたと思います。いまのままだと、設定は単なる飾り以外のものではないので。

(3)はそのままです。ご都合主義・なあなあで済ますにも限度はあるぞということで……。

最初に微妙だったところを挙げてきましたが、私の全体としての評価は結構高めです。理由は、まずエロが良い。これは大事なことですのでもう一度言いますが、エロが良い。私がTOMAさんの絵を好きだというのもありますが、CGだけでもヌけちゃうくらい良いです。お胸へのフェティシズム的こだわりもバッチリ。ただ、欲を言えば凌辱系シチュがもうちょっと欲しかった(アイーダのスライム姦のみ)。

あと、結構Hシーンなしの共通ルートのボリュームがあり、後半にHシーンが集中しているので、抜きゲーにしてはちょっと我慢が長く感じるかもしれません。

評価が高いもうひとつの理由は、ストーリー。意外としっかりしているというか、三者三様できちんと盛り上がるストーリーが用意されていました。特にアイーダルートは、彼女の故郷であるエルフの森にいくのですが、思った以上のシリアス展開。排他的なエルフの中で反感をものともせず堂々と振る舞い敵を退ける主人公の成長やカッコイイところが見られたり、意地っ張りの彼女が少しずつ打ち解けてくる様子が丁寧に描かれていたりして出色のできばえ。共通ではアイーダそんなに好きではなかったんですが、一気にベストヒロインになってしまいました。できれば後日談も読みたいなあ。

異世界の勇者として、パーティーメンバーのチョロい娘さんたちをだまくらかして美味しくいただいちゃう……みたいな話を期待していたら、主人公が割と真面目に戦闘参加するし一番活躍するので、予想とはちょっと違いましたが、それなりに楽しめました。お値段的な部分を考えてもわりとオススメできる作品です。

レビュー&攻略『触手の館』


syokusyunoyakata
タイトル:触手の館 ~快楽に捕らわれる女子校生~
ブランド: Devil-seal 
定価: ¥2,000 (税込¥2,160)
発売日: 2014/08/29
ジャンル: 触手と僕の復讐ADV
原画: ナカジョー
シナリオ: 天城悠理
OHP: 触手の館

▼批評空間投稿レビュー(74点): 「触手の館」の感想

 《ブログ用評価 S~D》 (S=非常に良い A=良い B=普通 C=やや難あり D=む~り~)
絵: B (悪くはないが時々崩れる。また、表情やポーズのバリエーションが小慣れていない)
話: A (多少強引なところはあるが、起承転結がしっかりしている。単調さもなく、先が気になる展開)
演: B (特に飛び抜けた工夫は無いが、簡易アニメーションがある。声優陣の艶技も悪くない)
H: A (触手へのこだわりは薄いが最低限の活躍。堕ちる過程や心理描写が丁寧で凌辱ものとして良い)
他: A (コストパフォーマンス的にはお買い得度が高い)
総合: A (私が考える理想的なバランスの抜きゲーに割と近い。あとは「これぞ」というシーンに出会えるか否か)



◆攻略 :選択肢【3】~【5】で2回選んだキャラのED
※なお、この攻略はOYOYOがEDを見られた手順の紹介であり、100%の成功を保証するものではありません。

▼選択肢
【選択肢1】 誰から復讐するべきかな?
翔子
かなみ

【選択肢2】 次は誰に復讐するべきかな?
 選択肢1で選ばなかった2人のうち1人を選択

【選択肢3】 この腕、誰で試そうかなぁ……?
翔子
かなみ

【選択肢4】 誰にこの腕を見せようかなぁ……
 選択肢3で選ばなかった2人のうち1人を選択

【選択肢5】 もう一度、誰かと……
翔子
かなみ


▼攻略例
翔子ED
【1】翔子 【2】聖 【3】翔子 【4】聖 【5】翔子

かなみED
【1】かなみ 【2】聖 【3】かなみ 【4】聖 【5】かなみ

聖ED
【1】聖 【2】翔子 【3】聖 【4】翔子 【5】聖

ハーレムED
【1】翔子 【2】かなみ 【3】聖 【4】かなみ 【5】翔子



ストーリー(げっちゅ屋さんより)

誰からも相手にされず、いつも学園でいじめられていた主人公。そんな彼が唯一心を落ち着けられる場所は、人が近寄ろうとしない 通称・迷いの森。いつもと同じように森の中を歩いていると、突如 古ぼけた洋館 が現れ、その中で主人公を好意的に(?)待ち構えている触手と出会う。

呆然と立ち尽くす主人公に向かって、触手が一直線に伸びてくる。死を覚悟した――しかし触手は目の前でピタリと止まる。
「あれ? 僕のこと食べないの?」
もちろん触手は何も言わない。
「じゃあさ、僕の話を聞いてくれるかい?」
触手へ一方的に語り尽くす主人公。

ある日、ワケあってイジメっ子たちと館に足を運ぶと、触手が突然彼女たちに襲い掛かる。こうして触手と仲良くなった主人公の復讐劇が始まる――

ルートはハーレムを含めて4ルート。CG差分なし20枚(翔子6、かなみ5、聖6、ハーレム3)、シーン数20(内訳はCGと同じ)。各キャラ1回ずつアニメーションのHが入ります。

触手の名を冠した抜きゲーということで、触手好きの私としてはやや厳しい目で見てしまったのですが、じゅうぶん納得のできばえ。触手そのものにドリルとか何とかのバリエーションは無いものの、触手を使った吊るし、複数穴挿し、縛り、搾りなど、最低限のツボをおさえたシチュエーションが用意されていました。

ストーリーは導入部分こそやや強引かなと思ったものの、「理不尽ないじめを受けていた主人公が、触手の力によってリベンジを果たす」というところだけに絞り込んだ内容だったこともあって、物語が終わるころには細かいところは気にならなくなり、そこそこ満足できました。

ヒロインは、高飛車ないじめっこ・翔子、翔子の腰巾着・かなみ、いじめの傍観者・聖の3人。キャラ的な棲み分けもきっちりできていて、翔子はプライドをへし折って屈服させる路線。かなみは完全に破壊する路線。聖は依存症のようにさせる路線、という感じ。まあ触手使うことがメインと考えると若干物足りないので、触手モノというよりは凌辱モノで触手が出てくる、くらいの認識で良いかもしれません。

面白いのは、単に凌辱してはいおしまいというのではなく、堕ちて/壊れていくヒロインの心理や、それを眺めている主人公の歪んだ愛情みたいなものがきちんと描かれている点。凌辱ゲーというのは肉体的な責めだけではなくて、心理描写も重要だと考えている私にとっては、非常に嬉しい展開でした。声優さんもなかなかの実力派揃いですし。

ただし、ストーリーもエロも期待しすぎるとダメというか、何か飛び抜けて良い点があるわけではありません。スマッシュヒットするシチュエーションとかシーンがあればまた変わってくるでしょうが、私には無かったな。とはいえどれも「まあ悪くはないな」という感じでコンパクトにまとまっていて、最後にちょっと余韻を残しつつフェードアウト。これでロープライスですから、普通に良作であると言えましょう。印象には残らないけれど、買ってよかったと思えるクオリティ。

なんというか、たまたま仕事で立ち寄った土地でお昼を食べに入ったラーメン屋で、思ったより美味しいラーメンが出てきた感じ。わざわざ「また来よう」とは思わないし、何年か経って話題にすることもないだろうけれど、その日一日はラッキーな気持ちになれるし、誰かが同じ土地に行くことがあったら軽く薦めようかな、というくらいの。

ただ、sealさんらしいネタっぽさは無くて、その辺が残念といえば残念でしょうか(笑)。 
《自己紹介》

エロゲーマーです。「ErogameScape -エロゲー批評空間-」様でレビューを投稿中。新着レビューのページは以下。
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