雨の日に革靴履いて歩くと、革靴の表面が乾いた後でデコボコになることがあります。いわゆる銀浮きと呼ばれる症状で、靴好きとしてはちょっとみっともなく、かつ革にも良くないので、実用面でも心理的な面でも、できれば防ぎたい症状です。

とはいえ、銀浮きするということはそれだけ水が染みやすい革を使っているわけでして、そういう靴はガラスコーティングと違う、良い靴である可能性も高い。雨の日に履いていくことはなくても、気合を入れて履いた日に限って雨に降られる、なんてことも、まぁフツーにあり得ます。てか、私はしょっちゅうです。

で、タチの悪いことにこの銀浮き、フツーにしてるとなおらないんですよー。水を吸った革が膨張してよれた状態で固まっちゃってるので、クリーム塗ってもブラシかけてもなおりません。で、ちょっと見栄えが悪いまま履く。すると、メンテを怠る。余計にボロくなる。扱いが更に雑になる……。以下、この繰り返しで、雨に濡れた革靴はあっという間に死を迎えたりするのです。哀しいことです。

実はこの銀浮き、専門のお店にメンテに出せばあっさりなおります。まぁ浮いたまま何年も経ってたら厳しいかもしれませんが、それなりにボロく見える状態からでもリカバリーできる。プロの腕前は凄いです。

とはいえ、履けないほど機能がやられるわけではない靴を、わざわざ金と時間をかけてメンテに出すのもなぁ……という思いはあるでしょう。ふつうの人にとって、靴のメンテナンス店はちょっと探しにくかったりもしますし。

そこで、ちょっとした裏技紹介です。銀浮きが出た靴の汚れをブラシで丁寧に取り除いた後、水で濡らして軽く絞ったタオル、あるいはキッチンペーパーを巻きつけて、一晩放置してください。ピッタリと張り付く分、キッチンペーパーのほうが向いています。要するに、水を吸わせてやり、一部膨らんでデコボコしていた状態を、全部膨らませて解消してやろうというワケです。自信がある人は靴を丸洗いしてサドルソープでじゃぶじゃぶ洗濯したりもするんですが、そんなのは超上級者。めっちゃ難しいです。でも、キッチンペーパー巻くだけなら簡単ですよね。

基本的に、軽い症状ならこれで革の表面が平らになり、銀浮きが解消されます。ただし、水分を吸った後乾くと一気に革の油分が抜けてしまい、ひび割れの危険が高まります。乾かすのは2、3日かけてじっくり乾かし(絶対にドライヤーとか使ったらダメ)、乾かした後にデリケートクリームを塗りこんでやる必要があります。靴用のデリケートクリームはメンテナンスの必需品。これをそもそも持ってません、という場合は諦めましょう。

あと、やっぱり素人がやると割れる危険性はあります。ほんとうに大切な靴、高価な靴ではやらないほうが無難です。慣れないと被害が拡大して取り返しのつかないことになるかもしれないので、すでにボロボロの靴とか、安い革靴で試してみると良いかもしれません。