今年の2月に、「インフルエンザの感染が激減している」という主旨の記事を書いていましたが(「震えるインフルエンザ。」)、昨年度はどうも、1999年に現行の調査方法が始まって以来初めて、「インフルエンザの流行はなかった」という快挙が達成されたようです。

ウェザーニュースさん掲載の推計受診者数グラフを見ると、冗談かと思うような減りっぷり。

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 ▼「インフルエンザ、現行調査で初の流行なし 今シーズン激減したわけは?」(ウェザーニュース)

新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言は全都道府県で解除されたものの、感染者数は一向に減少する気配を見せていません。一方で例年多数の感染者を出しているインフルエンザについては2020年秋から2021年春にかけて、厚生労働省の推計で医療機関受診者数が約1万4000人と発表されました。インフルエンザの患者数は「定点」と呼ばれる毎週全国約5000の医療機関から報告された数値をもとに、全国の患者数が推計されているものです。例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いるといわれていますので、今シーズンは約1000分の1に。比較的患者数が少なかったとされる昨季でも約728万5000人とされていましたので、500分の1未満となる大幅な減少をみせました。また、患者報告数が流行の目安とされる水準に達することなくシーズンを終えたのです。流行入りすることなくシーズンを終えるのは、今の方法で調査が始まった1999年以降で初めてだということです。
(中略)
今年はどうしてインフルエンザが流行しなかったのでしょうか。インフルエンザ患者減少の理由について、感染症に詳しい横浜鶴見リハビリテーション病院(横浜市鶴見区)の吉田勝明院長に伺いました。

「インフルエンザ患者が今季大幅に減少したことにはいくつかの理由が考えられますが、多くの人が新型コロナウイルスの感染予防でマスクや手洗いをしていることが、インフルエンザ患者を減らしているものと思われます。インフルエンザも新型コロナ同様に飛沫と接触で感染するので、コロナ対策がインフルエンザ予防策になっているのでしょう。さらに2021年は3月以降の渡航制限によって海外との人的交流が減少したことが、インフルエンザ患者を減らしていると考えられます。流行が半年ずれる南半球や季節を問わず流行している熱帯・亜熱帯地域からの入国者が冬季のインフルエンザ流行に関与していると言われています。そういった人的交流の減少が流行を抑えていると思われます」(吉田院長)今季は南半球のオーストラリアやニュージーランドでもインフルエンザの流行がなかったとされています。北半球と南半球の人的交流がインフルエンザの流行の一因だったのかもしれません。「3つ目の理由は、早い時期から行われたインフルエンザのワクチン接種があげられます。新型コロナとの同時流行があり得ることから、ワクチン接種が啓発され、多くの人が接種したことでインフルエンザ患者が減っていると考えられます」(吉田院長)


かんたんにまとめると、①手洗い・うがい・マスクをみんながしている、②インフルエンザが流行っている海外との人的交流(旅行やビジネス)がほぼなくなった、③ワクチン接種が普段より積極的におこなわれた、という3点が今回の結果に結びついたのではないか、という話。

記事によれば、インフルエンザに限らずほかのウィルス性感染症の流行も劇的に減っているそうなので、インフルエンザに特化した②や③よりも、汎用的なウィルス対策である①手洗い・うがい・マスク、が極めて有効だということではないかと思われます。

というか、こんなに効果あるのならコロナが収束してもみんなマスクつけたほうが良いんじゃないかと思います。「マスクは失礼」なんて話もありますが、病気やそれに伴う死者をここまで減らすことができるのなら、基本的にマスクをするほうが礼儀でありマナーである、という考えにしたほうが良いんじゃないかな~と思うようになってきました。

もちろん、行き過ぎてマスク警察が跋扈することになるのは困るので今ほど神経質になる必要はありませんが、「マスクをしている人はちょっとどうなんだろう」みたいな考え方が減って、「マスクをしているのは周囲に気を配れる人」くらいのイメージになっても良いのではないかなと。

夏場とかはマスクが暑かったり熱中症の引き金になるといった事例が報告されているので無理にとは言えないのかもしれません。ただ少なくとも冬場に関しては、マスクを付けることのメリットとマスクを外すことに実害が伴っているということが証明……とまではいかないにしても、関連付けて良い程度には可視化されているようにも思うのですが、いかがでしょう? これでもなお、「マスクを外しましょう」と言う合理的な理由って私はないように思います。