新型コロナウィルスの影響で海外との「日常交流」が制限されて約1年。秋葉原に行くたびに「インバウンドで食ってたところはキツいだろうなぁ」と思って見ていましたが、外国人観光客のお買い物で成り立っていたような「化粧品」で、その影響が目に見えるかたちとなって出てきたようです。

 ▼「資生堂、「TSUBAKI」など日用品事業の売却を検討 低価格ブランドの競争激化で」(IT media  ビジネスオンライン)

 資生堂は1月22日、ヘアケアなどの日用品を扱うパーソナルケア事業を売却すると報道されたことについて、同事業の投資ファンドへの売却を「検討しているが、現時点で決定した事実はない」と発表した。ヘアケアブランド「TSUBAKI」など、量販店で展開する低価格帯商品の競争激化や、高付加価値ブランドを強化する方針が背景にある。

 パーソナルケア事業の売却については同日、ブルームバーグが報じた。

 パーソナルケア事業では、ドラッグストアやスーパーなどの量販店を中心に、低価格帯のヘアケア、スキンケア、ボディケア商品などのブランドを展開。TSUBAKIのほか、スキンケアブランドの「専科(SENKA)」、デオドラントブランドの「Ag DEO 24」、ボディケアブランドの「SEA BREEZE」などがある。

 資生堂は同事業について、2021年上半期をめどに「CVC Asia Pacific Limitedに譲渡すること、そして、その後、同事業を運営する新会社の株主として参画し、同事業のさらなる成長と発展に協力していくこと」などを現在検討しているという。

 同社は以前から「プレステージファースト戦略」を掲げており、今後も高付加価値のスキンケア領域を中核事業と位置付け、さらに取り組みを強化していく方針だ。デジタル技術も活用し、30年までに「高付加価値スキンビューティー領域」で世界トップになることを目指している。

 一方、低価格帯のブランドについては、日本のほかアジアで広く展開し、認知度も高いが、市場の競争が激しい。同社は、競争激化の中でパーソナルケア事業をさらに成長させるためには、商品開発や広告宣伝などへの重点的な投資が必要だとし、「それを可能とする新しい事業モデルを構築すべく、上記の案を含めさまざまな検討を行っている」と方針を示した。

日経新聞では少し踏み込んだ、違った角度からの捉え方をしています。

 ▼「資生堂「TSUBAKI」など日用品事業売却へ 1000億円超」(日本経済新聞)

資生堂は22日、へアケアブランド「TSUBAKI」を含む日用品事業を売却する方針を固めた。売却先は欧州系大手投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズで、売却額は1000億円を上回る可能性がある。新型コロナウイルス禍で業績が悪化するなか、事業の選択と集中を進め、高価格帯の化粧品事業に経営資源を集中させていく。

以下有料記事なので引用は控えますが、「UNO」や「TSUBAKI」などの低価格帯メジャーブランドの売上は2019年度12月で売上全体の9%ほどであること、新型コロナの影響でインバウンド需要が激減したこと、低価格帯域の化粧品はライバルとの競争が激しいうえに値下げ合戦の様相も呈していて収益性が悪いこと、などが書かれています。

インバウンド需要の激減がはっきりとしたかたちでメーカー側に影響を与えているわけで、これから同様にインバウンド便りだった商品(炊飯器とか掃除機とか)も製造数が減ってくるんじゃないでしょうか。

TSUBAKIやUNOのような「安くてそこそこ質も良い」商品というのは当然日本人にとってもありがたかったわけで、そこから資生堂が撤退することで(ブランドは売却で残るにしても)私たちの生活にも少なからず影響が出るかもしれません。電化製品なんかも同じですね。一部の超リッチ層向けと、庶民向けの製品の格差が激しくなる可能性はあります。

一方で、「日本製」のブランドパワーが確立できている分野であれば、コロナショックで入手が困難になっているわけですから、海外に直営店作ったり通販でうまいことやれば一儲けできるんじゃないか……みたいな話もあり。チャレンジのチャンスがどっかに転がっている気もします。

いずれにしても、海外からの動きも制限されてもうすぐ決算。先日は、まさに「インバウンド御殿」とでも言うべき、外国人観光客用の商業施設・GINZA SIXで大量閉店が始まったという記事も見かけました(「銀座最大級の商業施設「GINZA SIX」で大量閉店 1月17日に14店舗が一斉撤退」)。ここからインバウンド依存だった分野の「厳冬」が本格的に始まるのかもしれません。