そろそろ成人式やら卒業式やらでスーツが必要になる人も……今年は少ないのかな? まぁそれでも仕事用にスーツ買うぞ、着るぞ、という人がいるかもしれないので、私が新卒くらいの頃に知らなくて苦労したスーツの基本知識、中年の今になって分かってきた押さえておくべきスーツの常識などを書いておきます。たった3つなので、これから初めてスーツ買うぞ、という人は基本として押さえておくと便利じゃないかなと思います。

ただし、以下に書くのはあくまで「仕事着」としてのスーツです。そのスタンスは崩しません。オシャレをアピールするものではなく戦闘服としてのスーツ。冠婚葬祭とか成人式みたいな式典用のとはだいぶ違います。

あとほんとうに初心者向けの話。詳しいワイ、知ってるワイ、という人はスルーして下さい。

1、色合い

navy

ネイビー(紺)◎ 黒△ グレー△ ブラウン△ その他✕

黒がかっちりしている、というイメージがあってそれは間違っていないのですが、実は黒はフォーマル過ぎます。真っ黒のスーツというのは、余りに堅すぎてビジネス向けではありません。欧米では、仕事着として黒のスーツを選ぶ人はほぼいないとまで言われます。

リクルートスーツで黒無地を選ぶ人は多いのですが、ほんとうに着なれていない感じになるので、正直、よほど鈍い人でなければ早晩タンスの肥やしになります。冠婚葬祭用にするんだという人もいますが、それならボタンやベント(スーツの後ろのつくり)、ズボンの裾などもセオリー通りにやらなければなりません。そして、そんな「ガチのフォーマル」仕様にしたスーツを就活やら成人式に着ていくのは少々場違いで恥ずかしいものです。

どうしても黒がいい、という場合には無地ではなくストライプ(できればシャドーストライプ)や織柄の入った生地が良いでしょう。

スーツの基本はネイビー。それもダークネイビーがおすすめです。これならお堅い場所にも問題なく着ていけますし、仕事着としても適切です。仕事用なら明るめのネイビーという選択肢もありますが、就活にはちょっと不向きですね。

グレーは年配向け……という話がよくありますが、正確には「立場が上の人」や「成功者」が着る色とされています。だから必然的に着用する年齢層も上がるわけですが、ちゃんとドレスコードを知っている人からするとじじむさく見えるというより、偉い人、重々しい人というイメージがつきまとうんですね。だから、若い人でグレーのスーツを着ていると「おっさんくさい」というより「調子乗ってる」と見られかねません。怖いです。

ブラウンは若い人でも着こなせる色だと言われています。実際、着てみると案外あわせやすい。特にスーツの場合、黒や茶色の靴、それにあわせた小物が多いのでファッションとしては扱いやすい色ではないでしょうか。日本人の顔(特に黒髪)にはあわない、という話もありますが私にはよくわかりません。黒スーツに茶靴が良いなら茶スーツに黒髪でもええやろ、と思うんですけど。

ただ、茶色のスーツはかなりカジュアル感が出ます。週に2度、3度と着ていく服ではない。その一点で微妙です。あと、秋冬限定になりやすいのも悩ましい所でしょうか。ネイビー、グレー、黒あたりは3シーズンから場合によっては通年で使えますが、晩春から夏にかけて茶色のスーツ着てたら季節感がおかしな人になってしまいます。

というわけで、お仕事着の基本はネイビー。ワードローブにスーツは3着、ネイビー・ネイビー・グレー、などと言われますが3着ネイビーでも良いんじゃないかと個人的には思っています。無地のダークネイビー、ストライプ、明るめのネイビー。これでバッチリのハズ。

2.柄
stripe


基本は無地です。ビジネスなら、ストライプはあり。ただ、できればシャドーストライプ(色の違う糸を入れるのではなく、同じ色の糸で織り方を変えて入れたストライプ)のスーツが良いんじゃないかと思います。よく「上品に見える」と表現され、私にはその意味はわかんないんですが、シャドーストライプのほうがスーツに光沢感が出て見栄えが良いからです。

白い糸とかでストライプ入ってると、下手をすれば囚人服みたいになりますからね。ストライプが良いという人は、なるべく細いストライプにしましょう。太いほど重々しい人よりということになっています。

スーツが面倒くさいのは、この「ことになっている」というやつで、実際にどう見えるかより「ルール」を知っているかどうかが重要、というところですね。ただ、服を着るということは文化を着るということでもあるわけです。たとえば和服を、めちゃくちゃに着崩してパーティー会場に来ている人がいたら「うぇっ!?」と思いませんか? スーツだって同じことのはずです。

ファッション・オシャレとは別にスーツという文化へのリスペクトを抱いて知識を身につけておく姿勢は大事だし、それこそが「社会人」とそうでない人の区別だと私は思っています。仕事着としてスーツを選ぶ以上、そこは最低限じゃないでしょうか。

ちなみに、チェック柄なんかはかなりカジュアルです。格子がでかくなるほどカジュアル度UP(ということになっています)。仕事着としては微妙な感じがありますが、色合いほど重要ではないかもしれません。落ち着いた、濃い色合いの生地にチェック柄が入っているならギリギリ許容範囲のオシャレ……なのかなぁ? ドレスコード緩めの職場なら良いかもしれません。

3.ボタン
double


「ダブル」がフォーマルなのは間違いないのですが、やっぱりパーティーとか式典とかに使うという意味でのフォーマル。お仕事着としてはちょっと格好つけすぎです。

シンプルに、シングルの2つボタンが良いでしょう。3つボタンや、段返り3つボタン(襟の裏に1つ釦があるので、2つボタンに見えるやつ)なんかもありますが、段返りはアメトラという感じでお仕事着的ではありません。3つボタンになるとVゾーンが狭まりすぎてちょっと重々しくなりすぎるんで、標準的なシングル2つボタンが最強です。誰も文句言いません。

と、ジャケットはこんなところかなと思います。あとはパンツのほう、裾をシングルにするとかダブルにするとかありますが(ちなみにパンツの裾はダブルがカジュアル、シングルがフォーマルです)、足元はそこまで気にされないのでスルーでもいいと思います。シングルは堅すぎるという人もいれば、仕事なんだからダブルはカジュアルすぎるという人もいて、まあ流派によってまちまちですね。式典やパーティー用なら迷わずシングルですが、日常的なビジネスならダブルもじゅうぶんアリじゃないでしょうか。

私が、スーツを買う時に知っておけばよかったなと思っていた知識はこんなところです。他にもこだわりだすといろいろあるし私が知らないことも山程あるのでしょうが、色・模様・ボタンのかたち、というこの3つで外さなければそれほどおかしなことにはならないハズ。

ご参考になれば幸いです。