今回は、お役に立つかわかりませんがちょっと警告的なお話を。

全国的に手洗い用アルコール消毒薬みたいなのが品切れになっていてなかなか購入できません。んで、多くの人が想像する手洗い用アルコール消毒薬ってこういうやつ。

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「ウイルス細菌に効く」と書いてあるタイプ。インフルエンザとかの時に流行ったやつです。昨年末に3本くらい買ってたんで、幸いあと1年くらいは保ちそう。消費期限が2022年なのもありがたいです(自慢)。

え、コレ以外のあるの? と思った人……実はあります。こういうやつです。先日、秋葉原のオノデンで購入しました。レシートがちょっと見えにくいので拡大。

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なんと、1760円もします。お高い!

フォロワーさんにもびっくりしておられる方がいました。同じ商品ですね。



で、今日の話はこのハンドジェル。

値段が高いから効果が高い! あるいは効果同等だけどこのご時世だから高くなっている!……と思っている人が多いんじゃないかと思うんですが、実はそうではありません。お気づきでしょうか。オノデンで購入したアルコールハンドジェルには、「殺菌」のような文言がないのです。実はコレ、消毒用のアルコールジェルとは別モノなんですね。

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代わりにあるのは、「肌コンディショニング剤」、「清涼剤」の文字。アルコールでスッキリさせるというものなんでしょうか。販売元である「東和化粧品」さんのHPには、こんな記載がありました。要するにこれは、化粧品であって消毒用ではありませんよ、ということのようです。


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2020年04月06日弊社ハンドジェルにつきまして
弊社が販売しているハンドジェルにつきまして、弊社から購入いただきました小売店様、販売店様において、「新型コロナウイルス対策」などとうたって販売しているという情報を得ております。

弊社としましては、販売当初から、弊社ハンドジェルが「新型コロナウイルスに対する効果がある」という表示は一切行っておりません(新型コロナウイルスに効果があるかどうかは、現時点では他社様の多くの商品と同様、確認できておりません)ので、小売店様、販売店様におかれましては、新型コロナウイルスに効果効能があるかのようなコピーや広告は控えていただきますようお願いいたします。

また、弊社ハンドジェルは化粧品として販売届を提出しており、医薬部外品ではございません。

そのため、パッケージやPOP等で、「殺菌」や「消毒」という文言を使うことは法律上禁止されていますので、「殺菌」「消毒」という文言を利用したコピーや広告も控えていただきますようお願いいたします。 また、弊社の商材を取り扱って頂いているネットショップ様へは一般消費者の方の誤解を招く様な表示の注意を促す資料の送付実施を行っております。 送付資料はこちらをご参照ください。

HPの記載を完全に鵜呑みにはできませんが(つまり、全部販売店が悪いのであると言えるのかどうか。アルコール濃度も書いてませんしね)、メーカーさんとしてはちゃんと「コロナの消毒に有用かどうかはわからない」という立場を明言しています。

実はこの話、結構以前から話題になっていたんですよね。「効果不明のアルコールハンドジェルが売られている」と。実際先日には、日経ビジネスの記事にもなっていました。要約すると、消毒・殺菌用のアルコールジェルはアルコール濃度70~80%程度のものが最適とされているが、それよりも少ないアルコール濃度のハンドジェルが販売されている、ということです。

 ▼「品薄続くアルコール消毒液、類似品どう見極める?」(日経ビジネス)

  新型コロナウイルスの感染拡大の影響で需給が逼迫している手指用アルコール消毒液。大手の消毒液メーカーは増産に乗り出すが、都内のドラッグストアをのぞいても品切れの札が掲げられている店舗が多い。一方で、通信販売サイトを検索してみると、大手メーカー以外が手掛ける商品も含め、さまざまな商品がやりとりされる。一部量販店で山積みになって売られているものもある。「どのような商品か分からないが、新型コロナ感染症の流行で新規参入もあるようだ」とは大手メーカーの広報担当者。一体何を基準にどんな商品を選べばいいのか、専門家らに話を聞いた。

 「コロナウイルスを含めウイルスや細菌の除去にアルコールは効果があるとされていますが、肝心なのは含まれている濃度です」

 アルコール消毒液の効果について尋ねると、獨協医科大学医学部公衆衛生学講座の小橋元教授はそう答える。

 小橋教授によると、最も適しているとされるアルコール濃度は70~80%程度。100%近いものであれば、消毒・除菌効果はあるものの、「揮発性が高いため、ウイルスを除去しきる前に蒸発してしまう可能性がある」という。逆に濃度が下がると「それだけ効果は下がってくると考えられる」と説明する。厚生労働省は同省ホームページ「新型コロナウイルスに関するQ&A」の中で、「アルコール消毒(70%)などで感染力を失うことが知られています」と表記している。

 実際に売られている商品を調べてみた。健栄製薬「手ピカジェル」は(76.9~81.4vol%)、サラヤ「ハンドラボ 手指消毒スプレーVH」は(76.9~81.4vol%)のように、確かに上記の範囲のエタノール濃度が表記されている。ところが、量販店や通販で売られている一部の商品には濃度の記載がないものがあった。その商品の1つを手に取ってラベルを見ると「アルコール洗浄タイプ」と記載されているが、その「アルコール」の文字の傍らには「※1」と注記があり「清涼剤・溶剤として」と補われている。つまりアルコールは消毒用途で入っているわけではないのか――。

 記者は製造販売元に問い合わせてみた。

 電話口の担当者に尋ねると「うちの商品のアルコール濃度は58%です。化粧品として販売しており、『除菌』や『殺菌』といった文言は使っておりません」と説明。同社HPには「新型コロナウイルスに効果があるかどうかは、現時点では他社様の多くの商品と同様、確認できておりません」との注意文も掲げている。アルコールが含まれる以上、感染防止に効果がないとは言い切れない。だが、感染リスクを下げる効果は、濃度が明記された商品に比べると劣る可能性が高い。

 同社はこの商品について「最近販売を始めた」という。「お客さまがどのような用途で購入されているかは把握していない」と話し、あくまでも消毒液を売っているわけではないという姿勢だった。確かにパッケージにも「洗浄」の文字はあっても「消毒」の文字はない。記者は販売意図を尋ねようと食い下がったが、最後は多忙を理由に電話を切られてしまった。(後略)

念の為、こちらの記事の製造販売元は「東和化粧品」とは違うと思います。ただ、発生している事態は同じかなと。

オノデンさんはそのへんわかってんのかなーと、一応「これ消毒できますか?」的なことをたずねたら、女性の店員さんが「わかりません」とおっしゃっていました。消毒用ではないということについては把握しているんじゃないかと思います。しかし、マスクや除菌グッズと隣接して並べてみたり、あきらかに「そういうもの」として売ろうという姿勢はあるんでちょっとグレーな感じはするんですよね……。

まあ実際、多少アルコールが入っていれば効果があるんじゃないか……という気もしますが、私は医療の専門家でないので言及を避けます。50%未満の濃度だとイマイチだとか小耳に挟んだりもしましたし、実際50%アルコールで消毒をうたっている商品もありますしね(参考)。

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ただ、2000円近く出して効果が実際どの程度あるかわからない、そういうものを買う必要は無いんじゃないかと個人的には思っています(じゃあなんでお前買ったんだと言われそうですが、まあそれはそれ)。手洗いのほうが効果は明らかにあるそうだから、薬用石鹸がっつり購入して泡たてまくって丁寧に手を洗うほうが良いでしょう。

そして、正直怖いのは飲食店などでこういう効果不明のジェルを有効だと信じて設置してしまい、お客さんもジェルでアルコール消毒したから大丈夫だろう、みたいな感じになり、感染が拡大する可能性があるということです。下手すりゃアルコール液水で薄めてるところとかもありそうですよね……。それ意味ないよっていう。だから、もし外食などをする場合にはきちんと手洗いをするか、アルコール除菌用のティッシュなどを携帯しておくのが良いと思います。

そして、外食産業の人はこの手の非消毒用アルコールジェルを、「効果があるかもしれない」と博打のつもりで設置しないでほしいかなと。みんなが触るわけで、効果がなかったら設置しないより感染拡大させる可能性ありますよね。

家用の気休めでいいや! というのでなければ、コロナ対策でアルコールジェルを買う前に、消毒用かどうか、きちんと成分表示にアルコール濃度が書かれているかどうか(消毒用のものはほぼ確実にアルコール濃度が書かれています)、確認するのが良いかと思います。化粧品として購入するなら特に問題ないのでしょうが。