消費税増税にともなう軽減税率の導入をめぐり、微妙な混乱が生じています。

 ▼「全食品を軽減税率対象に コンビニ業界、政府と調整」(Yahoo! ニュース)
 来年10月の消費税率引き上げと同時に導入される軽減税率をめぐって、コンビニエンスストア業界が、酒類を除く全ての取り扱い食品を、客が持ち帰り、税率が8%となる軽減税率の対象品とすることで、政府と調整に入っていることが3日、分かった。店内のイートインコーナーでの飲食を外食扱いとすれば税率は10%となるが、コンビニ業界は同コーナーを「休憩施設」と位置づけ、外食としてのサービス提供でないことを明確にする方針だ。

 コンビニ業界は既に、財務省などに対して、この方式で取り組む考えを示している。関係者によれば財務省や国税庁からも一定の理解を得ており、今後、国税庁のガイドラインなどで運用ルールの具体化を進めるとしている。ただ、フードコートを展開するスーパー業界や外食産業からは、税率差が出るため、反発が強まりそうだ。

 コンビニチェーンでは、大手が軽減税率に対応した新型レジシステムの導入を済ませている。それ以外でも順次切り替え、来年9月までにはシステム的な対応を終える予定だ。だが、実際の運用を想定した場合、短時間に大量の接客をこなさざるを得ないコンビニのレジで、客に購入する食品について「持ち帰りか、イートインで食事するか」を、いちいち確認することは、現実的には無理とみている。

 そこで、「テーブルやイスなどの設備がある場所で飲食サービスを提供する」と定義される外食の概念に対し、コンビニでは、イートインを、飲食のサービスを提供するのではなく、単に休憩施設として場所を提供するものとして位置づける。

 購入した食品がトレーに載せられて座席に運ばれたり、返却が必要な食器に盛られて提供されたりすると、外食と判断される。そのため、現在一部で行っている、そうしたサービスはやめ、全ての食品を持ち帰りができる状態で販売するよう徹底する方向だ。

 コンビニ業界では、こうした施策で、取り扱う食品は全て持ち帰りと定義でき、税率は8%になるとみている。

 しかし、持ち帰りと外食が併用されるファストフードなどの外食や、フードコートを展開するスーパー業界などからは、コンビニの運用に対して批判が強まる可能性がある。あるファストフードの首脳は「同じ昼食の提供なのに、外食は税率が10%。コンビニ弁当などが8%で税率差が生じることは不公平だ」と不満を示している。

この話(軽減税率導入)に関して言えば大きな問題は、非常に雑駁に言って2つです。

1つ目は、理屈の話。もうちょと詳しく言えば、定義を厳格化できないことにともなう公平性の問題。「イートインをなくしたコンビニ」と「フードコートがあるスーパー」で税率を変えるのか。ファーストフードのイートインとテイクアウトで税率が変わって良いのか。マーガリンとバターで税率を変えるのか……。

「日常の必需品」は軽減税率にすると言っても、これだけさまざまな商品・サービスが多様化する現代社会で、すべての人が納得できる基準の設定は困難です。そうなると、基準をめぐって絶対にもめごとは起こる。新しい形態の商品やサービスがでると、その扱いを巡って対応に労力が費やされることになりますし、商品開発の自由度も減少するでしょう。

もう1つは、実生活上の不便さの発生。今回コンビニからイートインが消えるかもしれない、ということからもわかるように、いままで当たり前にできていたこと、便利に使えていたものが制限される可能性があります。今回の施策は制限を重くするけど一部にはお目こぼししますよという話ですので、それによって「これまでできなかったことで新しくできるようになること」はあまり考えられません。単純に不便が増えると予想されます。

まあもう「やってみるしかない」状況ですけれど、基本的に税を上げるわけで不満が続出するのは目に見えています。これに制度的なトラブルが重なると不満がはけ口を求めて暴走することも考えられる。大混乱でとんでもないことにならなきゃいいなぁ。