エロゲーといえば、「発売延期」が風物詩みたいなところがあります。

先日、『未来ラジオと人工鳩』の発売延期をネタにした看板が微妙に物議を醸しておりましたが(その後、体験版のできのほうが話題になってどこかに飛んだ感)、なんというかメーカーさんもユーザー側も、「延期はしゃーない」みたいなところは若干あり、それがおおらかでいいことなのか、ふつうにわるいことなのかはちゃんと考えておくべきだとも思っています。まあ、普通に考えて良いことであるわけはないんですけども。

jinkobato

そんな中、下のような記事を見かけました。

 ▼「「近日発売」はアウト!?ドイツで発売日未確定での予約販売が禁止―消費者保護団体の訴訟が認められる」(GamePark)
これは、ドイツの消費者保護団体が行った提訴が発端(当初はドイツの小売Media MarktとサムスンのGalaxy S6がきっかけだった)となったもので、裁判の結果、リリース日未確定状態での予約販売が「ビデオゲーム」を含め禁止になりました。また、ミュンヘン高等裁判所は、「消費者は予約購入後、いつ配送されるのかを知るべきである」としています。

国内でも、2018年中や2019年春、または近日発売予定といった、非常にざっくりとしたリリース時期が示されることがありますが、この判決によりドイツのゲーマーたちは、発売日に関する悩みを減らすことはできるのでしょうか。

また、この動きを受けた他国の動向も気になるところですが、Eurogamerは、イギリスでは発売日が確定していなくとも、問題なく予約ができる、と伝えています。

海外でのことではありますが、注目すべきは「リリース日」のような情報とその確度が消費者の権利として認められている、という点です。

海外でやってるから偉いわけでもないし、ドイツと日本の社会制度、文化的背景が必ずしも一致するとは限りません。また、発売日延期云々の話とは、厳密には問題にしていることがずれているのでここで取り上げるのは若干我田引水かなぁという気もします。

とはいえ、発売日がわからないことによって被る消費者の具体的な損失というのが勘案されなくても、商品の製造過程や原材料などと同様に「消費者が知るべきこと」の1つに発売日が含まれているのだ――上の話が、つきつめるとそういう解釈で良いのだとすれば、これはなかなかおもしろいように思います。

実際、たとえばエロゲーの発売日が2ヶ月遅れたことで具体的にどういう損害がでるかといわれれば、きちんと定量的に示すのは難しい。使うはずだったお金はそのままとっておけばいいし、スケジュールの調整みたいな話にしても積みゲーがどんだけあるんだいとか、有給や何やを使ってまで調整してプレイしている作品がどれだけあるのかっていう話になります。

発売日を延期すれば製作コストもかかるからクオリティが相対的に落ちるだとか、生産ラインのスケジュール管理がしっかりしていないから駄メーカーなんだとかいうことも言えますけれど、それにしたって発売延期がもたらす直接的な被害というわけではありません。 その意味で、「まあまあ、発売延期くらいでンな目くじらたてなくてもいいじゃん」という層がいることも、わからなくはないんですよね。

ただ、そういう態度は消費者の権利を侵害するという意味で不誠実なのだということをバシっと言っちゃう国・社会があるというのが今回の話なのかなと。それに乗っかれば、やっぱり発売延期についてはあんまり寛容でなくても良い気がします。不寛容すぎる必要もないとは思いますけれども。