よく一緒に遊んでいた知人が入院した。酒もタバコもやらない人なのに。

癌だ、というのを聞いたのは本人からのメールだった。

一気に進行するほど若くもないけれど、まだまだ現役の年齢だ。心配だった。

場所は? とたずねると喉だということで、それなら大丈夫かもしれないと少し安心した。喉は、まあまだ何とかなる可能性が高い。

ツテをたどって大きな総合病院に入ったそうだが、とにかくいろいろと驚いた、ということだった。

まず、医師がためらいなくハッキリと病状をいう。癌だという話も、検査後間髪入れずに告げられたらしい。「このままほっとくと死にます」「切除できるから、すぐやれば大丈夫」と言われ、じゃあもう早くやろうと、休職して即入院を決めたらしい。人にもよるのだろうけれど、治る見込みがあるのなら、ズバッと言ってくれたほうがありがたい。少なくとも私はそうだ。

入った後は、体調が悪くなるとすぐにさまざまな検査ができたという。私は、祖母が地方の小さな病院に癌で入院したとき、1つの検査をするのに何日も待たされて大変だったのを覚えている。機材が足りないし、専門の医師が出勤する曜日が決まっているからだ。都会の大きな総合病院だと、設備が整っているし医師も多いからさまざまなことがスムーズに動く。癌のような、トータルケアが必要な病気にとって、それはとてもありがたいことなのだろう。

最後に、治験。都内の大きな総合病院には、1つとか2つだが、「治験」の枠がある。それによって、国内でまだ実験段階の薬や医療技術の提供を受けられる。入院した彼は結局その治験を受けなかったそうだが、かなり難しい状態になって藁をもつかみたい人にとっては、治験枠があるということは福音となりうる。少なくとも、怪しげな民間療法に身を委ねるよりは良いのではないか。

幸い、彼は無事に退院した。声も失わずに済んだらしい。彼の無事は、彼自身の努力と運と、彼を支えた彼の家族に依るところが大きいのだろうけれど、大きな病院に入ったということも少なからず影響していたのではないかと思う。

助かるだろうと言われていた祖母は、ちょっとした診察ミスと対応の遅れが積み重なって手遅れになり、自分の病名を知ること無く(最後の方は悟っていた感じはあったが)他界した。すべての人が、都心の大病院に入院することはできないにしても、地方の病院でもじゅうぶんな医療を受けられるようになってほしいと思う。

あまり取り沙汰されないけれど、医療の地域格差はあまり放っておいていい問題でもないはずなのだ。