最近、私の仕事場の近くに中華料理店が大量に出店してきています。それまでにあったお店が潰れてそこのテナントに入るかたちで増えているのですが、結構不思議だったのが、「維持できるくらい儲かってるの?」というところ。だって、以前同じ場所にあったお店もそこそこ人気あったし人も入っていたのに潰れたわけで、中華料理店も同じ運命を辿らないのかなぁ……と。

そんな疑問がちょっとしたことから解けたかもしれないので、メモがてら。ただ、以下は私が調査したわけではなくて、そこの不動産屋さんや家主さんから聞いた「またぎき」の話です。本当かどうかもわかりませんし(積極的に嘘をつく理由もないでしょうが)、また中華料理店一般に通用する話でもないと思うので、その点にだけはご注意ください。


■高額な家賃
もともと職場の近くは中華料理店が多かったのですが、最近の出店ペースは異常で、ここ3年ほどの間に歩いて15分ほどの圏内に新しく6店舗、四川料理やら何やらのお店が出てきました。しかも、大通りに面した良い立地に。

不動産屋さんから聞いた話だと、それらのお店の家賃、最低で月45万。最高で56万。場所によっては山手線沿線の駅前でも行けるんじゃないかっていう高額な家賃です。お客さんは結構入っているけれど、周辺のビジネスマンの昼食とか学生(大学がいくつか周囲にある)がメインで、ボロ儲けができている感じもない。値段も、定食が700~1000円程度で安くはないものの劇的に高いわけでもありません。

ちょっと縁のある大家さんとどうやってやり繰りしてるのか不思議だ、みたいな話をしていたら、「本職に聞いて見ましょうか」とかいい出して、そこの管理をしている不動産屋さんに電話。間もなく不動産屋のおじいさんがやってきていろいろなお話を聞く、というよくわかんないイベントになりました。


■削るのは「人」と「材」
すごい色んな話があったので全部書くのは控えるとして、とりあえずこの件に関係することでわかったのは、「人件費と材料費を削っている」ということ。まあ実際問題、削るならそこしかないですわね……。

驚いたのは、特に人件費のほうの削り方。

前提として、働いている従業員は基本すべて中国から連れてきている人だそうで。それはまあ、入れば事実だとわかります。そして、その人達の給料は、本人に渡さずに本国で親兄弟に支払うという形式なんだとか。

最初聞いた時どういうことかよくわからなかったんですが、要するに日本の賃金の相場で支払っていないということのようです。働いている本人には、小遣い程度のお金を与える程度で給料は本国で相場以下の支払い。それでも向こうでは十分な収入になっているらしいのですが、ともあれそうやって人件費をがっつりと抑えてコストダウンを図っているんだとか。

本当にそんな方法が成立しているのか私には判断がつかないのですが、できてるんだったらそりゃ日本のお店よりゃ有利だろうなと思います。

そしてもう1つは、材料。中華料理に使う大量の食材は、職場近隣のどのお店も「聞いたことのないところから仕入れている」ということでした。不法だとか怪しいとかいう意味ではなく、中国・台湾関係の人が使える独自の食材ルートがあるということだそうです。仕入れをそこから行うことで、ずいぶんコストカットしているらしいという、これは「またぎき」の「またぎき」になりますが、概ねそんなお話でした。


■お店を支える留学生
あと、やはり最近増えてきた中国からの留学生の存在も大きいようです。近隣の大学では、国公立も私立も中国人留学生の受け入れを多くしており、彼らを相手にすることで安定した収益を上げているのだろう、と。

もちろん日本人客もおおぜい入っているし、お客を掴めないような美味しくないお店は速攻で潰れているので「留学生さえいれば大丈夫」というわけでないのは明白です。ただ、長期休暇の影響やメニューの方向性などさまざまな点で「学生シフト」が敷かれているというのは私も感じていました。海外からの定期的な顧客の流入に頼っていてその動向に左右されるという意味では、「爆買い」バブルと似たようなものなのかもしれませんね。


■周辺トラブルも
不動産屋さんの言うところでは、その手の「中国カスタマイズ」されたお店が増えてきたことで、多少問題も発生しているようです。

たとえばごみ捨てに対する考え方の違いや、夜間の騒音、荷物の置き場所等々を巡って住民間で苦情が出たり、もっと直接的なトラブルになったこともあるそうです。大家さんは困ったことだ、みたいなコメントでしたが、不動産屋さんは「日本人同士であってもどこにでもあることだし、これからますます増えていくだろうことだから折り合いを付けるのが大事だ」みたいにおっしゃっていました。それはその通り(不動産屋さんの言うとおり)だなぁと思います。

それにまあ、このへんの話は今更騒ぎ立てるようなことでもなく、各地の「チャイナタウン」が通った道でしょう。池袋でも一時期問題が顕在化していましたし。あるいは、海外で日本人が住む「日本人街」では同じことが逆の立場で起きているかもしれません。

移民・難民以前のレベルとして、いま隣りにいる異国の人たちとどうつきあうかということは、このご時世どこにいてもつきまとってくる問題なのかなと思います。


■日本のお店が対抗するのはキツイ
最後に、結局こういうかたちで人件費・材料費で有利に立っているという現実がある限り、中華料理店は基本的に日本人の個人のお店よりは優位に立ち続けるんじゃないか、というお話でした。この辺はまったく私にはわかりませんけれど、日本の場合、かたちとして対抗できるとすればチェーン店とかその辺なんですかね。

私の職場付近にかぎらず、最近本当に中華料理店の躍進はすごいなーという印象。ちょっと前に入った、できたばかりの四川料理のお店では、「ぐるなび」みたいなサイトをどう使うか、いくら払うかみたいな生々しい話を広告会社の人と(日本語で)やっていました。マーケティングにかける情熱も並々ならぬものがあります。

この手の「進出」が今後私みたいなサラリーマンの懐事情にどういう影響を与えるのか…………。あんまかわんないかな(笑)。