先日話題になったこのニュース、保育施設でこういうことが起きるとか怖いですよねぇ。

 ▼「食塩中毒で1歳児死なす、元保育所経営の女逮捕」(読売オンライン)

 盛岡市の認可外保育所で一昨年8月、預かり保育中の1歳女児に食塩を入れた飲み物を与えて死亡させたとして、岩手県警は11日、元保育所経営者の同市北飯岡、衣料品店従業員、吉田直子容疑者(33)を傷害致死容疑で逮捕した。

 発表によると、吉田容疑者は2015年8月17日午前10時半頃~18日午前0時頃、同市菜園のビル一室で、預かっていた同市の下坂彩心あこちゃん(当時1歳)に食塩を入れた飲み物を与え、食塩の過剰摂取による中毒で死亡させた疑い。

 調べに対し、吉田容疑者は「(彩心ちゃんの)体調が悪くなったので食塩入りの飲み物は飲ませたが、具合を悪くさせるつもりはなかった」という趣旨の供述をしているという。

 彩心ちゃんは父親に引き取られた直後に体調が急変。18日午前0時半頃、両親が市内の病院に運んだが、約4時間15分後に死亡した。18日は彩心ちゃんの1歳の誕生日だった。子どもの預かり保育中は保育士が常駐する必要があるが、当時、施設内は保育士資格のない吉田容疑者と彩心ちゃんの2人だけだった。

 盛岡市などによると、保育所は「スマイルキッズ」で、吉田容疑者が15年7月に開設した。市への届け出では、保育士は常勤1人、臨時2人の計3人だった。保育所は事件後の8月31日付で閉所した。

 彩心ちゃんの両親は11日、代理人の弁護士を通じてコメントを発表し、「もう何があっても娘は帰ってきません。せめて真実が明らかになり、二度とこのようなことが起きないようにしてもらいたいと切に願っています」と訴えた。

 盛岡市子ども未来部の石橋浩幸次長は「大切な子どもを預かる施設で事件が起きたことを重く受け止めている。今後、市内すべての保育施設に対し、注意喚起を呼びかける」と話した。


まずそもそも「認可外保育施設」って何だという話から入ります。知らない人も少なくないと思うので。これは別にヤミ保育施設というわけではなく、施設やスペースといった設置基準などを理由に、国の認可を受けていない保育施設のことです。国から許可が出ていないだけで、国とは別の基準によって「認可外保育施設」に対して審査を行い一定の基準を設けている自治体も多くあります。

いっぽう「認可保育所」というのは、国の設定した基準をクリアすることで認可を受けている保育所です。

これだけ聞くと「認可保育所」のほうが絶対いいだろうと思うかもしれませんが、「認可保育所」は公的な補助金をもらう関係で、入所者の選り好みができないなど、独自のカラーを出すことがあまりできません。厳しい審査と高額な利用料があるかわりに、行き届いた高級サービスを受けられるような私設保育所にも一定のニーズはあるわけですね。

今回の保育所はビルの3Fで運営され「24時間営業」をウリにしていたようで、そういう高級志向のものというよりは認可保育所には不可能なサービスを提供するタイプだったのではないかと思われます。

いずれにしても問題は「子どもの預かり保育中は保育士が常駐する必要があるが、当時、施設内は保育士資格のない吉田容疑者と彩心ちゃんの2人だけだった」ところにあります。雑な管理体制だったことは明らかでしょう。

しかも、その間に保育士資格のない人が勝手に保育業務をして、子どもに食塩水を飲ませるとは……。家庭科の授業で習うだろうにというツッコミは置いとくとしても、正直この容疑者の方はちょっと気の毒。どっちかというと管理責任者の保育士の職務怠慢ですよねぇ。少しの間不在にするなどの場合でも、やっていいこととわるいことのリストくらいはちゃんと作っておけという話です。

「私たちは、この2年間、娘を失ったことの哀しみと辛さに加え、どうして娘が帰らぬ人となったのか、一体、スマイルキッズで、その日何があったのか、についても全く分からず、言葉に言い表すことができない怒りと辛さを味わってきました。

 本日関係者の逮捕でようやく真実が明らかになる道が開けました。これからは司法の場であの日のことを明らかにしていただきたいと思います。」

とは、被害者のご両親の弁ですが、ほんとうにこの辺の詳細を明らかにしてほしいと思います。というより、なんで逮捕までこんなに時間かかったのか……。

そういえば、ちょっと前に乳児にハチミツ食べさせたお母さんの話もありましたが、乳幼児は身体ができていないから大人の感覚でやるとダメなことが多い。塩分だって、体重が50kgある成人にとっての5グラムと、10kgほどの1歳児にとっての5グラムはまったく違うわけで。

仮にも子どもをあずかる仕事につく人には、せめてそういう知識を持っていて欲しいところですね。