沖縄の小さな村で、医師が脅迫されて撤退したというお話。

 ▼「島で唯一の医者が脅迫され避難 沖縄・北大東島 常勤医が不在に」(沖縄タイムス)

 沖縄県北大東村(人口約600人)の県立北大東診療所の常勤医師が2月上旬から1カ月以上、不在となっていることが17日までに分かった。常勤の女性医師が村内で男に脅迫される事件が起き、村外へ避難したのが理由。診療所は現在、本島の県立病院からの代診派遣でやりくりしているが、県病院事業局の伊江朝次局長は「やる気のある医師がこんな形で島を離れざるを得なかったことを、もっと重く受け止めてほしい」と村に要望する。村は役場や駐在所と連携した医師の安全確保策などに取り組むとし、常勤配置を求めている。

 那覇署によると事件は2月7日夜に発生。男が酒気帯び状態で運転する車が対向車線に進入し、医師の乗る車と正面衝突した。男は「通報したらどうなるか分かるよな」などと医師を脅し、後に脅迫の疑いで逮捕された。「示談にしたかった」と供述したが、医師は事件翌日に村外へ避難し、その後に離任が決定した。

 現在は県立南部医療センター・こども医療センターや中部病院の医師らが数日ずつ代診を務めている。航空機の手配や医師確保が間に合わない日があり、患者の経過を継続して診られないなどの影響も出ている。

 病院事業局は事件後、村が村民に対し、常勤医師不在の理由について十分な情報を提供せず、危機感が薄いことなどを指摘。後任を4月から配置する方向で調整中だが「赴任後の安全が担保できなければ、延期もあり得る」とする。

 宮城光正村長は「事件は診療時間外の発生。県警が捜査していることもあり、村としても対応が難しい面があった」と説明する。

 事業局には「島の医療を守る連絡会議(仮称)」を立ち上げて医師住宅への防犯カメラ設置を含めた安全確保策を講じ、村議会で飲酒運転撲滅決議を提案することなどを提示。村長は「関係機関との調整が必要な部分もある。常勤医師がいてこそ住民の安心が得られるので、県や地域と連携しながら再発防止に取り組みたい」と語った。

この手の「軋轢」は頻繁に耳にする話ですが、まあ難しい話だと思います。

このクソみたいな話を聞いて島側を擁護するつもりはあまりないのですが、じゃあ医師の側に何の問題もなかったのかというと、それもわからない。友人で、国境なき医師団のようなNPO活動をしている専門家がいるのですが、彼は常々、「現地に行っても文化の違いを理解していないと医療を十分に提供できない」という趣旨のことを言っています。

今回の件も、表面的には「村民が医師を脅した」というだけの話ですが、医師の方が身の危険を感じて撤退するくらいの何かが水面下ではあったのでしょうし、またそういう脅しを受けた時、周りに相談できない程度には村が非協力的だった、という可能性は考えておく必要があると思います。

その責任を、村側だけに押し付けることはできないでしょう。「医師を派遣するんだからお前たちの村の生活を変えろ」というのを承服しかねるという人はかならずいるはずです。

小さな村だからこそ独自の文化や歴史があり、そこに「外」の人間が近づいていくには、それなりの時間や労力が必要で、そのためにサポートが求められる。 医療関係者はそんなこと百も承知でやっておられるでしょうから、どちらかというとマスメディアや行政がそういった視点できちんとこの問題をとりあげてほしいなと思います。