さすがにこれはどうよ、という気がします。

 ▼「“150万円の支払い” いじめ認定は困難 横浜市教委」(NHK NEWS WEB)

原発事故で、横浜市に自主避難してきた生徒がいじめを受けていた問題で、生徒側が、同級生におよそ150万円を払わされていた行為もいじめと認定するよう求めていることについて、横浜市教育委員会は、認定は難しいという考えを示しました。
 
この問題は、原発事故で横浜市に自主避難してきた現在、中学1年の男子生徒が、転校してきた小学校でいじめを受けていたもので、生徒側は、同級生に遊ぶ金としておよそ150万円を払わされていた行為が、いじめと認定されなかったことについて、市側に改めるよう求めています。

これについて、横浜市教育委員会の岡田優子教育長は、20日、開かれた市議会のこども青少年・教育委員会で、「関わったとされる子どもたちが『おごってもらった』と言っていることなどから、いじめという結論を導くのは疑問がある」と述べ、いじめと認定するのは難しいという考えを示しました。

いやいやいやいや。

小学生が自主的に150万円も払うわけないじゃないですか。常識的に考えて。

普段は常識を疑え、みたいなことを私も言いますけど、これはもうそういう次元をこえてるでしょ。というより、その「常識からの乖離」が問題です。逆に、どういう根拠があっていじめではないという判断にいたれたのか。そのプロセスを知りたい。というか、「(原発事故の)賠償金をもらっているだろう」と言って150万もの遊興費支払わせるって、世間の常識ではもう恐喝とかのレベルでしょ。「おごってもらった」ってあんた……。

横浜市民のかたは、是非この件の議事録を請求してほしい。過激な人の中にはすでに、岡田優子教育長、あるいは彼女を任命した市長にお手紙とか送ってる人とかもいるのだと思いますけれども。

あと、これ声を大にして言いたいんですが、教育長の言ってることっておかしいんですよ。だって、おたくのとこのホームページにはこう書いてあります。

 ▼「横浜市いじめ問題専門委員会
  →横浜市いじめ防止基本方針

yokohamaijime

第1章 いじめの防止等のための対策の基本的な考え方
1 いじめの定義
法第2条にあるように、「いじめ」とは、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」をいう。

※いじめの定義に係る用語の解釈及び留意点については「国の基本方針」を参照

よく言われることですが、いじめとかハラスメントって「被害者がいじめだ、ハラスメントだと思ったらそう認定する」んでしょ? 人権擁護の観点から、教育委員会の方々はしょっちゅうそう口にしておられる。んで、横浜市教育委員会もそれにしたがっている、と。

だったらなんで教育委員会がいじめかどうかを判断できるんですか? それを判断できるのは、教育委員会や第三者委員会でもなければ「おごってもらった」とか寝言ほざいてる生徒でもないはずですよね。「いままでなんかいも死のうとおもった。」って手記に書いてる生徒だけでしょう。

いや、ぶっちゃけこの定義自体に私は結構異論があって、「被害者がそう感じたらいじめだ」のようないわゆる「被害者唯心論」は、心構えとしては立派なれど行政が大真面目に掲げる定義としては問題が多すぎると思っています。行政は(あるいは司法、立法も含めた公的な権力は全て同じですが)主観的なことであっても客観的にわりきるのがお仕事なわけで。いじめだと言ってるのを全部いじめとして処理していたら話が終わらない。生活が苦しい人にぜんぶ生活保護を出すわけにはいかないのと同じことです。
 
ただ、現状少なくともこの定義を掲げているのですから最低限それに従って判断し、発言すべきでしょう。なぜ、どういう理由で150万円もの一方的な支払いが「おごり」だと判断されたのかという会議の内容も気になりますが、それ以前に教育委員会の掲げる方針にしたがえば教育長がいじめだと判断することが可能なのかという「そもそも論」のほうにもキチンと向き合ってほしいと思います。 

あと、横浜市長はこのクソみたいな教育委員会をどうするのか。

岡田教育長は教委が単独で検討したのではなくて第三者委員会が判断したことなんですとか意味不明なことを言っているそうですが、それに関しては高史明氏のこの発言がすべて。



一応教育委員会は行政組織の方針として市長から独立しているので、市長の責任をどこまで問うかという問題はある(実際、横浜市長は被害児童への謝罪対応を検討しており、教育委員会と判断が異なっています。参考:「横浜市側、早期謝罪を検討 林文子市長「つらい思いをさせてしまった」」2017.01.11産経新聞)にしても、議会でこの件を追及するのは悪くない。

「林市長は「初期段階の対応が遅れ、つらい思いをさせてしまった。相手の希望があれば、(教育長らが)おわびに伺えれば」と述べた。」 とのことで、おそらく市長はいじめ問題として認識してますよね。いじめじゃないのに「おわび」はおかしいし、いじめじゃないということは定義上「その生徒はつらい思いをしていない」ことになるわけですから。

議事録を含めた報告書が公開されていないことも含め、この岡田教育長が役職にふさわしい方かどうか、いまいちど検討したほうが良いような気がします。言いたくないけど不適切な背後関係とか疑われてもしょうがないし、もし私が横浜市民だったならそのへんもきちんと調べ上げてほしいですけどね。