築地移転問題で、「盛り土」の話が取りざたされています。

私の見る限り、規格通りの施工がされていなかったことをもって過去の都政の「不正」を暴き、対決していく姿勢を見せる小池知事は、いまのところ改革の旗頭のイメージをまとい、世論を味方につけることに成功している感がします。

 ▼「豊洲市場 盛り土せず/土壌汚染対策 主な建物/共産党都議団調査で判明」 (BLOGOS)

 ▼「豊洲新市場で浮上した統治の欠如が生む不正」(同)

築地反対をこころよく思わない勢力もこうした流れに乗っかり、大きな流れのようなものができつつあります。ここから、場合によっては築地移転を止めよう、あるいは何らかのかたちでさらに延期させていこうという動きが活発化している。小池知事ならば、あるいは「剛腕」を発揮してそういうことをしてくれるのではないかという期待もあるのでしょう。

ただ、こうした対決姿勢には疑問の声もあがっています。

 ▼「小池百合子都知事、突然「都庁全職員を粛正」ヒステリー発言の波紋」(山本一郎)

そもそも「建屋の下に柔らかい盛り土をして汚染土壌を遮蔽するなんて、建築物の強度に問題が出るだけでなく、建築基準法に引っかかる可能性がある」ので、子である技術会議で盛り土を無駄に押し込むことなく空洞にするというファインプレーをしたはずが、親会議である専門家会議がすでに解散していたため話が親に返らなかったというだけで「都職員は(綱紀)粛正」という話に発展してしまうあたり、たぶん「小池女史は最初から分かってなかったんだろうな」ということが良く理解ができる内容になっております。

また、建屋の下に盛り土を敷いていないことは、図面からも分かります。
計算書概略図の緑の資格の部分が盛り土のない、建屋の下部です。

つまり、この「外部有識者」は建屋設計の平面図を読めておらず、最初から豊洲新市場の設計は盛り土の上に建屋を建設するような愚を避け、空間を用意して汚染物質を遮蔽する方針であったことが分かります。なぜ、いまさらになってこんなことを言うのでしょう。

当然、地下水管理の概要図にも盛り土が建屋の下に入っているなんてことどこにも書いてありません。当たり前ですね。技術会議が決定してからは盛り土なんて無かったんですよ。 

ここで言われているのは、今回小池さんが騒いでいる件は的外れだという話。

要するに、報告がなかったのは会議が計画を決定した段階ですでに上位の(報告先であった)専門家会議が解散していたからであり、盛り土をしなかったのは建築的に見ても有害物質を抑える観点から見ても空洞にしたほうが有効だからであり、さらには設計の段階でもともと盛り土は取り除かれていたのでだましたというわけでもない、ということでしょうか。

こういった話もどこまで鵜呑みにしていいかわからない(少なくとも、私には空洞化するのが「より望ましい工法」なのかどうか判然としない)のですが、話の内容自体は説得力を感じます。

この内容が、恐らくは親会議に伝わらなかった、会議決定後、更新されなかったのは一種の凡ミスですから、それは都は都議会や都民に説明し直す必要は確かにあります。なくなった盛り土予算もどうなったか分かりませんので決算も再確認するべきでしょうし、再発を防ぐために遺漏のない会議体の運営に細心の注意を払うことが大事でしょう。

というのもその通りで、小池さんが騒いでいるのは的外れだけど「不正」がなかったかというとそれは別なので、要するに小池さんはどういう情報をきちんと扱い、何を問題とするかをきちんと考えなくてはならぬという当たり前の話で、要はそうした判断ができてないんじゃないかってことですね。都知事出現50億ガチャを再度回すかどうかはともかくとして、その辺がきちんとできないのはやはり不安です。これからの成長を待つ余裕があるのかどうか……。

肝心の移転問題のほうですが、正直、延期しても意味があるのかどうか。そもそもいまの築地はアスベスト問題なんかもあって、残しておくこと自体がリスクであり「違法状態」です。豊洲がベストかは不明としても、ベターではあるでしょうし、そもそも大金はたいて作った以上使わざるを得ないし使わないと無駄に金が消費されていくだけだし、延期つづけて大丈夫なんでしょうか。締め切りを引き延ばし続けてる漫画家みたいなことにならなきゃいいんですが。