鴻海に買収されたシャープから、「話が違う」的な声があがっているというニュース。産経の記事なのでいくぶんバイアスがかかっているようにも見えますが、「まぁせやろな」という感じはします。

 ▼「釣ったシャープに餌はやらない?…本性むきだし鴻海の豪腕テリー・ゴウの“シメ方”」(産経WEST)

シャープの買収が承認された鴻海の株主総会で「飼い主を代えても悪い卵しか産まない鳥はいらない」と人員削減に踏み込むと宣言したのだ。「雇用を守る」などの条件を並べ「トラスト・ミー(信じてくれ)」と訴えた姿から豹変した。ただ、業界からは「生き馬の目を抜くグローバルビジネスで、どんな手を使ってでも勝ち抜いた執念をシャープは学ぶときだ」との声も上がる。

(中略)

4月の調印式後の会見で「鴻海では毎年、業績をみて3~5%に辞めてもらっている。しかし、日本(シャープ)では、全員(雇用を)維持できるようにしたい」と述べ、雇用を守る姿勢はみせていた。

 それが、鴻海の株主総会で「悪い卵しか産まない鳥はいらない」と人員削減に言及。総会後、世界で7千人規模の人員削減があるのかと問われた戴副総裁は「可能性はある」と語った。これは、国内外で4万7千人に上るシャープの全社員の約16%に相当する規模になる。掌を返した格好だ。

 条件に掲げていた経営陣の残留も気に懸けたようすもなく、シャープの高橋興三社長は出資完了後に退任。取締役9人のうち6人が鴻海が指名した役員で、完全に経営権は握られる。

これ別に、鴻海の背信行為とかじゃないよなぁ。買い取った側の理屈としては当然だし、ビジネスの世界では本当に「よくあること」でしょう。

バブル破綻の際の金融問題からこのかたずっとつきまとっているのが、この手の日本企業の交渉下手さというか、終わった後でこんなはずじゃなかったと嘆くパターン。

いやまあ、選択肢がほとんどない状態に陥った時点で負けが決まっているのだから、死に体になってごちゃごちゃ言ってるのが何というかもはや既におかしいというか手遅れなのですが。

個人的に問題に感じるのは、設定している最終防衛ラインが的外れなこと。「社員と役員の雇用を守る」なんていう目標は、こうなった時点でそもそもほぼ達成不可能だし意味もないわけです。どの再生プランに乗っかるにしても、まあ無理じゃないですか。たぶん、ニュースで身売りの話が出た時に、雇用を守る云々のことを聞いた多くの人が「そりゃ無理やろ」と思ったはずです。

素人にだって分かるような夢物語。ンなもん口にしても一時的な気休め程度にしかならない。それをやろうとしちゃってる時点で厳しい言い方をすれば、現実が見えていないのではないかなという疑問が拭えません。

もちろん、多くの社員への対応というのを考えればそうした気休めも必要だと言われればそうなのかもしれませんが、結局そういった的外れな目標を立てて追いかけてしまう現実性のなさ、みたいなところが問題なのかなと。

まあもう終わってしまったことについてあれこれ言っても仕方ないんですけどね。それにしても、「悪い卵しか産まない鳥はいらない」ってのはけだし名言ですわ。ホンマその通り。