先日、健康コンサルタントみたいな人の講習があり、そこで「タバコは健康を損なう」みたいな話がありました。

それはまあその通りだから良いのですが、その中で、「喫煙者のほうが風邪にかかる割合が多い」というデータがあったんですね。で、その人が言うには「タバコは体内の抵抗力を弱めます」と。

データそのものの信用性はひとまず措くとして、私が疑問に思ったのは、「風邪をひいている人の中に喫煙者が多いということが、タバコが抵抗力を弱めるという話に何でなるんだ?」ということ。

たとえばですが、タバコを吸う人の中には、自宅であってもベランダで吸う、あるいは外に出て吸うという人は結構います。 ホタル族なんてことばもあるくらいですから。

で、そういう人は冬になると、クソ寒い中外に出るわけです。防寒対策をしたとしても、短期間で頻繁に激しい温度差にさらされるわけですから、体調を崩しやすくなるということはあるんじゃないかと。もしタバコそのものと免疫系の因果関係を言うなら、たとえば夏場は喫煙者と非喫煙者の間に風邪の割合で差があるのかとか、そういう他のデータも必要なのではないか、と。

そう思って訊ねると(失礼な聞き方をしたつもりはあまりないのですが)、非常に怒られました。あなたみたいな考えの人がいるからタバコがなくならないのです、みたいな。

まあ、ちょっとうーんと。

だって、その発言から透けて見えるのは、その方がデータを分析した結果を語っているのではなくて、タバコは悪であるという主張のために都合のいいデータを揃えただけ、ということじゃないですか。

私は別に、喫煙が健康を損なわない、と言いたかったわけではありません。たとえ私の想像の通り、タバコを吸う人が外に出るから風邪になったのだとして、少なくともいまの日本の社会において、タバコを吸うこと(喫煙)が健康を損ないやすい環境にある、というのはその通りでしょう。 だから堂々と、タバコはやめたほうが健康には良い、ということを言って構わないと思う。でも、タバコそのもの(喫煙ではなく)が抵抗力を弱める云々というのならそれに相応しいデータを出してくれという話をしたつもりです。

もし、タバコを冬に外で吸うことが風邪の原因であるなら、喫煙者はなるべく室内でタバコを吸うことで、風邪による体調不良からは逃れることができるようになるわけです。彼女(女性でした)が「健康コンサルタント」を名乗るのであれば、喫煙者もより健康になれるような方法・可能性を提示するのがお仕事なんじゃないのかなぁ。そりゃ、タバコをやめれば万事解決といえばその通りなんですけど、そういうところで若干、姿勢に不誠実なものを感じてしまったのでした。