ドイツ、VW車のディーゼルエンジン不正が世間を騒がせています。

 ▼「VW規制逃れ:ドイツ国内では米上回る280万台」(毎日新聞)

【ロンドン坂井隆之、ベルリン中西啓介】ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が米国でディーゼルエンジン車の排ガス規制を不正に逃れていた問題で、同社は25日午前(日本時間同日夕)、監査役会(取締役会に相当)を開き、対応策の協議を始めた。経営責任を取ってウィンターコルン会長兼最高経営責任者(CEO)が23日に辞任したほか、不正が行われていた当時に開発責任者だった役員3人と米国法人社長も辞任の意向とされ、経営陣の大幅な刷新が確実な情勢だ。

私は経済に疎いので具体的にはいまいち「ピン」とはこないのですが、ただそれでも、非常にヤバい感じは漠然としています。

まず、VW社はドイツを支える自動車産業です。ドイツ国内で自動車産業に携わる労働者の数は相当多く、うち半数近くがVWという話もあります。また、自動車・自動車部品セクターはドイツの輸出の20%を占めますから、
まちがいなく主幹産業です。

 ▼「アングル:VW問題、ドイツ経済にギリシャ危機以上の打撃」(Yahoo! ニュース もとはロイター)

[ベルリン 23日 ロイター] - 独フォルクスワーゲン(VW)<VOWG_p.DE>の米排ガス規制逃れはドイツの産業界や政界を揺るがしており、アナリストの間からは欧州随一のドイツ経済にとって最大の脅威になりかねないと危惧する声も出ている。

VWはドイツ最大の自動車メーカー。雇用も最大級で国内の雇用者数は27万人を超え、部品納入業者も加えればさらに膨らむ。しかし米当局の排ガス規制試験での不正が明らかになって23日にはウィンターコーン最高経営責任者(CEO)が辞任に追い込まれたことから、アナリストはドイツ経済への影響を推し量り始めた。

INGのチーフエコノミストのカルステン・ブルゼスキ氏は「突如としてVWはドイツ経済にとってギリシャ債務危機を凌ぐ下振れリスクになった」と指摘。「VWの北米での売上高が今後数カ月で落ち込めば、その影響はVWだけにとどまらずドイツ経済全体に及ぶだろう」とした。

VWの昨年の米国での販売台数は約60万台で、全世界の販売台数(950万台)の約6%に相当する。

米環境保護局(EPA)はVWに最大180億ドルの罰金を科すとしている。これは同社の昨年の営業利益を上回る。

VWの手持ちのキャッシュは210億ユーロ(240億ドル)に上り、罰金を支払って余りあるが、それでも今回のスキャンダルで大量人員削減の不安が高まっている。

ドイツ政府にとって大きな懸念はダイムラー<DAIGn.DE>やBMW <BMWG.DE>など他の国内大手への影響の波及。ただ今のところ両社の不正を示す材料は出ていない。

ドイツ経済省の報道官は自動車業界について「ドイツにとって極めて革新的で成功を収めた産業だ」と述べた。しかしアナリストは、こうした自動車産業への依存体質こそがドイツの経済見通しを脅かしかねないと指摘する。

ドイツ経済研究所(DIW)のマルティン・ゴルニク氏は「自動車の販売が落ち込めば部品納入業者も打撃を受け、その影響は経済全体に及ぶだろう」とした。

昨年のドイツの自動車産業全体の労働者数は77万5000人で、全労働者数の2%に近い。

さらに自動車・自動車部品セクターはドイツにとって最も優良な輸出産業だ。昨年の輸出は2000億ユーロ(2250億ドル)と、全輸出の約5分の1を占める。

IW経済研究所のミヒャエル・ホイサー所長は「今回のスキャンダルを軽視できないのはこのためだ。ドイツ経済の核を直撃した」という。

つまり、今回の事件はドイツの1企業の問題を通り越して、ドイツ国家の経済を直撃しかねない問題なわけです。そして、結果的に引き起こされるであろう事態としては、以下のようなことが考えられます。

 1.ドイツが中心となっているEUの衰退とユーロの弱体化
 2.ドイツでの工場閉鎖などに伴う雇用削減、または(雇用は維持されるが)給料の低下

「1」は、中国市場の株価混乱と相俟って円高に繋がるのではないか、ということが懸念されます。もちろん局地的に見れば、トヨタのライバルであるVWがへこんだことによって日本の自動車産業に益があるのかもしれませんが、欧州の混乱は決して単純なプラスではないでしょう。

また、「2」は政治的な混乱に繋がる心配があります。国内での労働者の問題もそうですが、ドイツがEUに参加している1つの大きな要因は、国内自動車産業における安価な労働力をEU経済圏によって確保するという目的があるとも言われています。万一工場の閉鎖等が続けば、上記記事にもあるように「大量人員削減」がおこなわれる可能性があり、そうなるとドイツがEUに参加する意味が急速に薄れるのではないか……というのが私の素人考えです。
 
またそうでなくても、この前シリアからの難民(移民)を受け入れたというのは、国内での雇用を見込んでのことだったわけですが、そちらのほうにも暗雲が立ち込めてきました。今後新たな移民を受け入れないとしても、既に受け入れた人たちをどうするのか、という問題はあるでしょう。

いや、景気が悪くなるからこそ、移民や海外からの労働者を「安価な労働力」として使い潰すのではないか、という話もありますが、そうすると今度は、使い潰せない「ドイツ国民」 の雇用が減り、不満が高まることになりかねません。

私が若かりし頃、ふとしたことから「ソ連」が崩壊するという大きなできごとがありましたが、もしかするとこれをきっかけにEUの崩壊が進んだりするんじゃないかと、まあたぶんそんなことにはならないと思うのですが、でもそれくらい大きなことじゃないかなーと思ってニュースを見ています。

身勝手と言われるかもしれませんが、何にしてもホント、日本経済に深刻な打撃が来ないことを祈りたいです。