ちょっと前のニュースですが、これ。ロシア凄いですね。

 ▼「ロシアで「自撮り」死亡事故が多発、政府が安全運動を開始」 (AFPBB News)

【7月8日 AFP】ロシア内務省は7日、危険なポーズでの「自分撮り(セルフィー)」の最中に悲惨な事故に遭う人が相次いでいることを受け、自分撮りを安全な方法で行うよう呼び掛ける運動を開始した。こうした事故では、今年に入ってから数十人が死亡、約100人が負傷しているという。

 ロシア内務省が作成した「楽しいセルフィーには命を落とす危険がある」と警告するパンフレットには、「武器を持ってセルフィーを撮ると、死に至ります」などの助言が満載されている。同省はさらに、動画やウェブサイトによる呼び掛けも行っている。

 首都モスクワ(Moscow)では今年5月、21歳の女性が銃を構えて自分撮りをし、誤って自分の頭を撃つ事故が発生。女性は頭部を負傷したが、一命を取り留めた。

 また同月にはリャザン(Ryazan)州でも、10代の若者が鉄道橋によじ登ってセルフィーを撮ろうとして送電線に触れ、感電死する事故があった。

 1月にはウラル(Ural)連邦管区で、若い男性2人がピンを抜いた手りゅう弾を持ってセルフィーを撮ろうとしたところ、手りゅう弾が爆発し死亡。自分撮り画像が保存された携帯電話が、記録として残った。(c)AFP/Anna MALPAS 

ロシア政府もかなり問題視していて、こういうパンフレットが作られたりしているのだとか。高圧線の上で撮影とかふつうしないだろ……。

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参考:「「自撮り」で死亡も、ロシア当局が事故防止パンフを作成」(CNN)

ただ、学校に配るとか言ってることからもわかる通り、これウオツカで酔っ払ったロシア人の奇行とか、麻薬でハイになった人がやっているとかではないようですね。上記の記事(CNN)によれば当局は「ソーシャルサイトの「いいね」を追い求める道が「死に通じることもあり得る」」というコメントをしています。ソーシャルサイトかぁ。日本で言えば冷蔵庫の中にはいっちゃったあの人とか、パトカーの上で暴れまわっちゃったあの人みたいな感じなんでしょうか。ホントにSNSは自己顕示欲の煉獄みたいになってますね。

それにしたってさすがロシア、クオリティが違います。感心しきり。

パンフのほうもなかなか面白い内容のようで、高電圧(напряжение)と頑張る(напрягаться)を掛けていたり、ターゲットである若者層に届きやすい、くだけた内容に仕上がっているようです。しかし、若干くだけすぎじゃないですかねぇ。皮肉に見えるというか。

また、こうした「自撮り(セルフィー)」を巡っては、つい昨日今日、こういうニュースもありました。

 ▼「国境で「自撮り」中に銃撃=ウクライナ側から?―ロシア」(Exciteニュース)

 【モスクワ時事】ロシア連邦保安局(FSB)は27日、南部ロストフ州の対ウクライナ国境地帯で休暇中のロシア人3人が自分たちを撮影中、ウクライナ側から銃撃を受け、うち1人が胸部を負傷したと明らかにした。命に別条はない。ロシア連邦捜査委員会は殺人未遂容疑で捜査を開始した。
 
 FSBの発表によると、3人は26日、国境検問所を背景に「自撮り」していたところ、ウクライナ側の軍人が「止まれ」と叫んで警告。その後、撃たれたという。旧ソ連圏の国境地帯や軍事施設などは撮影禁止の場合が多い。

 ウクライナ国境警備隊は「他国領土に銃撃することは国内法で禁止されている。弾薬の使用もない」と説明。「ロシア側の発表は事実と異なり、謀略とみられる」と反論した。その目的について「ウクライナに軍事介入している事実から目をそらすためだ」と主張した。 

そもそも軍事行動してる最中に自撮りとかしてる暇あんのか、という感じがしますが、ロシアでは兵士の「セルフィー」は比較的ふつうのことのようです。それについては、こちらの記事にたいへん興味深いことが書かれています。これまで述べてきた「若者のセルフィー」について触れながら、軍の中でも自撮りがたいへん一般的だというお話。

 ▼「ロシアの軍事介入を暴く「兵士たちのセルフィー」」(WEDGE INFINITY)

 ところで、セルフィー好きは一般の若者ばかりではない。

 ロシア語で「兵士 セルフィー」などのキーワードを入れて画像検索すると、軍の施設や演習場で撮られたと思われる画像が大量にヒットする

 日本よりもはるかに機密保持の厳しい国で一体どうなっているのかと思うが、何故か兵士が勤務中にセルフィーを撮るのは割と黙認されているらしい。

 その最たる例が、昨年2月、ロシア軍がクリミア半島を占拠した直後にVK(ロシア版Facebookと呼ばれる大手SNS)に投稿された一枚の写真だった。

 「クリミアなう」 

 とロシア語で投稿したのは、全ロシア軍中でも最精鋭の参謀本部直轄特殊部隊「特殊作戦軍(SSO)」の兵士だった。

 当時、ロシアはクリミアへのロシア軍派遣を否定し、議会等を占拠しているのはあくまでも「自警団」であるとの立場を取っていたが、これでは政府が何を強弁しようと台無しである(ロシア政府は後になってクリミア半島にロシア軍を投入していたことを認めた)。

「クリミアなう」には思わず笑ってしまった。もちろんロシアからすれば笑いごとではなさそう。

SNSで評価を得るため、無理に「つくった」記録を残すのは(命の危険はないまでも)馬鹿げたことかもしれませんが、しかし、こういう現実が発信されることでロシア政府が隠そうとしているさまざまな情報があきらかにされ残っていくということを考えると、「記録」としての自撮りというのが存外大きな意味を持つ可能性も同時に示しているように思います。

もし70年前に、あるいは第一次世界大戦のころに、「セルフィー」のようなものがあれば、あるいは戦争は起こらずに済んだのでしょうか。ふと、そんなことも頭をよぎったのでした。