3月は去るとはよく言ったもので、寒いなぁと思っていたらあっというまに春の陽気を通り越し初夏かと思うほどの暑さになり、桜の花が咲き乱れ、大きめの制服を着て花びらの舞う校庭でバックから青姦 クラス替えや配置転換、新入生やら新入社員が入ってくる4月を迎えようとしています。

新たな門出の時期ということで私もさわやかな気持ちで日々を送りたいのですが、そんな気分に水を差してくる人たちがいます。

いわゆる「名刺交換してください」軍団(仮称)です。

いかにもなフレッシュマンスーツに身を包んだ若い男女が、「わたくし、○○と申すものですが会社の研修で名刺交換をしてくるように言われておりまして……。お手数でなければお名刺を交換していただけませんか」と声をかけてくる。「いま忙しいので」というと、「ほんの少しの時間で良いんです。ちゃんと成績を残さないと怒られるので……」などと食い下がってきます。数日前にJR有楽町で。昨日は東京駅で。今日は品川駅で、今月に入ってから3度遭遇しました。(名刺交換なので、スーツを着ている人間狙い撃ちで声をかけているんだと思います)

ほんとうにそういう研修をさせられている新人さんもいるのかもしれませんが、多くの場合彼らに名刺を渡すと、電話で「押し売り」をされます。そういうタイプのキャッチセールス。いくらか亜種の話も聞きますが、多くの場合不動産関係、特にマンションの購入などを薦めてくるようです。それも、ひっきりなしに電話をかけてきて、最悪職場に突撃するとまで言ってくるのだとか。ほとんど犯罪(宅地建物取引業法違反)です。(実際に自分が名刺を渡したわけではないので伝聞ですが)

実際東京駅構内には、注意を喚起する掲示がしてあります。人多すぎて見られないような位置にですけど。あと書き方がすげーわかりにくい。

ネットでも、ずいぶん昔からこの手の話は多数あがっておりまして、たとえばこんな感じ。

 ▼「名刺交換の研修を装ったキャッチセールス?」(Yahoo!知恵袋) ※2010年頃の話
 ▼「「名刺交換してください」街中のさわやか新入社員にご注意」 (NAVERまとめ) ※昨年4月頃の話から
 ▼「新人研修の一環で名刺交換、応じたら営業電話がかかってきた」(IRORIO) ※昨年10月頃

街頭で新人教育のために名刺を集めさせる手法は、名刺集めのノルマを達成しないと帰社できないようなブラック企業でなくても実践している会社はあるようで、特に不動産関係に多いらしい。

国民生活センターによると、名刺を集めること自体が問題ではなく、マンションなどの販売・勧誘などにおいて「相手を威迫したり、電話による長時間の勧誘で相手を困惑させたりする行為」は宅地建物取引業法で規制・禁止されており、冒頭の投稿者が勧誘電話を「しつこく粘られた」とする悪質な勧誘こそが問題。 (IRORIOより)

気の毒に思って名刺を渡した……というと美談のように聞こえますが、上記サイトにも書かれている通り、「残念ながら名刺を街頭で渡してしまう側の方が不用意」です。「ビジネスで使う物とはいえ、個人情報も記載された名刺は、見知らぬ人との交換には応じない方が身のため」というのはもっともでしょう。

とくに新社会人の人は肝に銘じておいてください。名刺を作ったばかりの頃はついいろんな人に配りたくなるかもしれませんが、ほんとうに信頼できる人にしか配らないほうがいいです。私はそうしています。その結果裏切られたと思ったこともありますが、それは自分の見る目がなかったとあきらめもつきますからね。とりあえず名刺を渡す人というのを限られた範囲にしておけば被害は最小限に抑えられるし、また問題がおきたときも解決しやすい(少なくとも原因元くらいは判明しやすい)ものです。

こんな不信感のせいで若い人を応援できないというのには忸怩たる思いもありますが、やはり心を鬼にして断るか、どうしてもという心優しい人がもしいらっしゃれば連絡先も電話番号も書いていない専用の名刺でも作っておくといいんじゃないでしょうか。たぶん、どっちか書いてくれって言われると思いますけど。それ言ってきたらほぼキャッチ確定なのでスルー。言ってこなければ新人さんのノルマ達成に一役買えるというすばらしい解決策! ……そんな面倒なこと私はしませんけど。

あと、もし会社でそういう「新人研修」をやっている企業があれば、おせっかいながらやめておいたほうがいいと進言したいところです。「押し売り」行為をするつもりはなくても、そういうことをしている人たちがいてそいつらと間違われるというのは新社会人のいじめにはなっても教育にはならないでしょう。是非、若い力をもっと建設的なことに使ってあげて下さい。