先日のエロゲーの日、発売日イベントのために並んでいると、近くを通りかかった女性の集団が「何これ? 何の列?」「あれだよ、オタクのイベント」みたいな会話をしているのが耳に入ってきました。で、無料配布のビラとクリアファイルをチラ見して、「キモーw」「オモテでやらないでほしいよね」という感想を漏らしていた。

喧嘩売られてるな、と正直思いました。

私はエロゲーが好きです。だから、よく知りもしないでエロゲーをバカにされるのは納得がいかない。いや、知ってて言われるのもアレですけど、知っていればそう頭ごなしに、一言のもとに却下するような態度はとれないだろうと思う。まあだから、上のようなテンプレ的「知りもしない人」にはぶっちゃけカチンと来ます。お前らに人の好きなモノをとやかく言われたくないわい、と。エロゲーマーがキモいとか、私個人がキモいとかそういう話ならまあ甘んじて受けいれるにしても、エロゲーをバカにするな、と。

ただ同時に、エロゲーマー側にもまったく責任がないかというとそういうわけではないだろうとも思います。責任とかいうとなにか大きな話になりそうですから何か別のことばがないかな……。う~ん、戦略というか。要は、エロゲーマーを見てエロゲーを敬遠する人がいるのだとしたら、そういう事態を招くような態度をとらないということに最低限の気を使ってもいいのではないか、という話。

たとえば、えっちな絵の描いてあるポスターやチラシをそのままぶらさげて街中を歩く人、レシートや紙袋をその辺にポイ捨てしている人や、友達同士で盛り上がりながら道幅いっぱいに広がって歩きときどき奇声を発している集団、道端で堂々とパッケージをあけて中身を出している猛者……等々を当日見かけたわけですが、そういう態度が非常識ととられ、そういう非常識な人たちが好んでいるコンテンツは気持ち悪い、あるいはそのコンテンツにハマると非常識な人間になる、という風にとられるということはあるのではないでしょうか。

(恥ずかしい話ですが、こういうことを書いている自分もまた、きちんとした態度がとれているかというと自信はありません。どころか明らかにダメ判定です。写真撮影をお願いする際にはどうしても通行のじゃまになりますし、レシートを空き缶用のゴミ箱に捨てたりもしますし、いただいたビラもその場ですぐにしまわず、少し離れたところでケースに入れたりしていますから。自戒も込めて、ですね)

実際にはコンテンツ享受者の人間性やら何やらとそのコンテンツの内容はそんな直接関係するものではありません。それこそ「残酷なゲームをすると犯罪者になる」みたいなトンデモ理論と似たり寄ったり。また、オタク特有の行為というわけでもないはず。有楽町あたりのセレブな繁華街に行っても別にそこの客層が秋葉原のオタクたちと本質的に違う行動をとっているようには見えません。新宿なんかもっと酷い。

その「誤解」あるいは「偏見」はおいおい解いていかねばならないしいずれは戦うべき相手であるとしても、しかし、オタクの姿というのが異質に見えて感情的に拒絶したくなるのも分からなくはない気がします。エロゲーの日にはいませんでしたけど、全身に缶バッジを身につけ、キャラクターの絵の描かれた服をまとった人が歩いていたら、私だってぎょっとするでしょう。

東京都の健全育成保護条例やら何やらで締め付けが厳しくなっている昨今、むやみに敵対関係を続けてもこちらにとって「得」はありません。迎合するのではなく、むしろそういうことを言う相手に堂々ともの申すことができるだけの準備を整えておく必要もあるのではないか。変な人たちが謂われのない誹謗中傷をしてきたときに、「いや、私たちはきちんとしてますよ」と言えるのは大きな武器ではないかと思うのです。

コミケ帰りの人たちの「いかがわしい袋」事件にしてもそうですが、コンテンツの内容をよく知らない人というのは、とかく目に見える部分、見た目の印象で判断します。そして悲しいかな、そういう人が大多数であり、その大多数の声というのが影響力を持つのも事実です。それなら、そういう層が味方につくように無理のない範囲で「品行方正」にすることの意味は大きい。

たとえばゴミを捨てないとか通行の邪魔になるべくならないようにするとか、エロい絵のペーパーなんかはすぐ鞄にしまうようにするとか、そういう部分って私たちエロゲーマーの活動の本質にはあんまり関わらないところだと思うんですよね。でかい看板を展示するなと言われると困りますからそこは戦うけど、ちょっとした行動とかに気をつけていれば一般の人から見てお行儀よく見えて心証がよくなるというのなら、やらない手はない。少なくとも手を抜いて敵対される要素を増やすよりはよほどマシではないかと。

むろんそういう態度がズルズル譲歩と迎合につながって、事実上の自主規制とかに発展していくのは問題でしょうからそれはそれで考えなければなりませんが。

実際、オタクたちが非常にマナーよく振る舞うことで、いわゆる「聖地」の地元の人たちから快く受け入れられ、外の人間が「キモい」みたいなことを言ったときに地元から擁護の声があがったという話もあります。それと較べ、列が車の通行を邪魔し、大量の荷物を抱えた人間が周囲を見ずに走って一般歩行者とぶつかり……といういまの秋葉原で、果たしてエロゲーマーがそんな風に受け入れてもらえているか。たぶんムリだろうなぁと思う。

繰り返しになりますが、いま言った程度のこと――ほんとうにちょっとしたマナーとか良識程度のこと――に気をつけることで印象が良くなり、攻撃の矛先が鈍るというなら安いもんでしょう。ほんとうに譲れないラインを守るために、戦略的な、あるいは政治的な立ち回りというのも求められるんじゃないかなと思う。少なくとも私は気をつけていくつもりです。