先日の記事でシェットランドフォックスに関する質問を掲載した時点でなんか予想ついてた人もいるなじゃいかと思うのですが、4月からの式典だのなんだのでちょっとフォーマルな靴が必要になり、いいのないかなーと思って探していました。

同じように、4月から新社会人、あるいは大学生……のような方もおられるのではないでしょうか。そういうとき、「靴」って結構気になりません? みんなどうしてるんだろうって。私は、自分が入学式や卒業式のときに靴を買いましたが、いまになってその靴は「全然外してる」靴だったことがわかって頭を抱えていたりします。外してるというのは、卒業式で使っちゃダメだとかそういうわけではないのですが、もっと堅苦しい他の式典なんかに行くにはフォーマル度がたりないとみなされる、というパターンです。ちゃんと考えて買っておけばよかったと後悔しまくるんですよね。安い買い物じゃないし。それに、見る人は見ていますので、就活やエライところへの営業なんかのときには念のため「礼儀は分かってますよ」というアピールをしておいて損はありません。

そこで、「最初の1足」を選ぶときの話を、何かの参考になればということで今回の私の購入体験を踏まえながらダラダラ書いてみたいと思います。まず基本としておさえておきたいのが次のこと

 【色】 [フォーマル]  黒 → 焦げ茶(ダークブラウン) → ブラウン → カーキー → その他 [カジュアル]
 【形】 ノーズが長い、とんがっている、やたら丸い、というのはカジュアルより
 【チップ】 [フォーマル] ストレートチップ → プレーントゥ → その他 [カジュアル]
 【デザイン】 内羽根がフォーマル。外羽根やメダリオンがつくとカジュアル。
 【甲材】 革がフォーマル
 【底材】 革がフォーマル
 【手入】 冠婚や式典の際は光らせる。葬儀の場合は光らせない(準備をしてきたとみなされる)。法要は光らせてOK
 
さて、いまの私はその辺の知識、最低限は仕入れたので目的をもって選びに行きました。式典用ですから、当然黒の内羽根ストレートチップです。いま、黒のストレートチプでないとダメ、恥ずかしい、みたいなこという人は減りましたが、それでも長い社会人生活、1年に何回かはそういうのに遭遇します。(堅苦しい式典の場合、靴のかたちとかデザイン、あげく底材にまでマナーというのがあるらしい。ホントうざいです)

見た目だけその場で取り繕うためだけに最悪その辺のホームセンターで買ってきてもいいんですが、ホームセンターのに1万5000円出すくらいならちゃんとしたのを30000円~40000円で買えないかと思いまして。正直、良い革靴とか履いたことなかったんで若い頃は「靴なんてぜんぶ同じだろ」くらいの気持ちでいたんですが、30代に入ってシェットランドフォックスの靴買った時、衝撃を受けました。歩き方とか歩く負担とかが全然違うんですよ。靴でこんなに歩くのが楽になるのか、と。以来、仕事で使うような長時間履く靴はちゃんとしたお店のをじっくり選んで買うようにしています。

逆に、どうせ冠婚葬祭なんてそんなにあるわけでもないし、こだわらなくていいやという人は、8000~10000円の、それなりにフォーマルな靴でじゅうぶん。実際、足元をそこまで丁寧に見てる人ほとんどいないですしね。

と、話がズレました。私の買い物の話続けます。折しもちょうど決算期ですし何かあるんじゃないかと。そういえば有楽町の阪急メンズ館が「JALAN SRIWIJAWA」(ジャラン・スリウァヤ)のフェアをやるとか言ってたなというのを思い出し、ぶらりと見に行ってきました。フェアというのは別に安くなる(セール)ではなく、いつもよりいろんなカラーや木型の靴が展開されているという感じです。まあ、黒のストレートチップなんかフェアだろうがフェアじゃなかろうがおいてあるので、私には関係無いことでした。

 ▼「JALAN SRIWIJAWA(ジャラン スリウァヤ) - BOQ」 

ジャラン・スリウァヤ。 聞いたことのないメーカーだという人も多いのではないでしょうか。名前からなんとなくイメージできるとおり、インドネシアの靴メーカーです。最近日本でかなり展開してきており、Amazonとかでも購入できるようになっていたはず。

インドネシアと聞くと、クオリティーは大丈夫なの? と思われそうですが、その考えは捨ててOK。凄くクオリティーはたかい。ヨーロッパの高級ブランド靴と遜色ないし、実際メゾン系(オフィスなどの高級衣装)ブランドのOEMを手がけていることからも、折り紙つきの技術力があることがわかります。

なぜインドネシアにこんな工場ができたかというと、もともとインドネシアは軍靴をつくる産業が盛んで、この工場もそういうものの1つだったそうです。しかし経営者のルッディ氏は平和の時代に軍靴は要らないということで、イギリスへ修行に行って紳士靴の製法を学び、その技術を持ち帰って自国に根付かせたハウスブランド。人件費が非常に安いことを活かして、手間のかかるハンドソールウェルテッド(機械の使用を極力おさえたグッドイヤーウェルテッド製法)で丁寧に靴を仕上げているそうです。

素材(革)もこだわったものを使っており、フランス・デュプイやアノネイのカーフを使っていて、日本でいえばスコッチグレインやシェットランドフォックスの最高級品と遜色のない革質を楽しめます。もちろん革のグレードが多少違うとかそういうことはありますが、基本的に「良い革」であることは間違いありません。

つまり、良い素材を使って良い技術で丁寧に作られた製品なわけです。

よく言われるのが、「ジャランの3万台の靴は、他だと6万はする」みたいなこと。これはジャランが安すぎるとか他が高すぎるという話というよりは、製造プロセスの問題です。

インドネシアは日本との貿易で関税がかからないので、ものが非常に安く入る。また、職人の工賃が安い。これはもう恐ろしく安いそうです。日本の職人さんはこの手の仕事ができる人が限られており、あちこちから引っ張りだこなのでとにかく工賃が上がりやすい。イギリスなんてもっと酷いようです。インドネシアでは、物価の違いもあって、それこそ「1/10とか1/20とかの値段で済む」と店員さんがおっしゃっていました。まあ百貨店の店員さんですから価格が正確かどうかは知りませんけれど、だいぶ差があるんだろうなというのは解ります。

あとは形の問題ですかね。ジャランの靴は割と「イギリスっぽい」です。と、店員さんに言われて何やらわからなかったのですが、イタリアやスペインの靴というのはノーズ(靴の先端)部分が尖っていたり、妙に長い、ファッショナブルなものが多いようです。いっぽうイギリスのはやや丸みを帯びて、ノーズも短い。土踏まずのところにツイストが入っていたりという細かい工夫はありますが、かなりオーソドックスな革靴というイメージです。

おしゃれ感を求める人には物足りないのではないかと思われますが、今回の私のようにフォーマルな靴を探していた人間にとっては渡りに船。いくつかあるシリーズの中で、いちばんかかとの締め付けが強い木型のものを購入しました。

リーガル系(シェットランドフォックスとか)の靴を履いていると忘れがちなのですが、海外の革靴というのはどうもかかとの部分が甘いというか、変な形にねじれて歩く度にカパカパ横が開くんですよね。あれが凄く気になるタチでして、できればかかとを密着させたいなぁと。かかとが浮きやすいと、地面にかかとがスレるので減りも早くなるし、空気が入ってきてニオイ菌も繁殖しやすくなるそうですし。

モデルによって28000~35000くらいで値段の幅があったのですが、これはクオリティの違いではなく、高いのは新しくデザインされた型だからまだ量産体制ができておらず高くなっているだけ、ということでした。

結局、いちばん無難な黒のストレートチップをふつうに購入して帰宅。フォーマルな場ではゴム底ダメというところもあるので(ホントにごくごく稀にですが)、念のため革底のタイプ。ほんとはゴムのほうが保ちがよさそうなんですけどね~。店員さんも、ゴム底のほうが分厚いし雨に強いしで良いと思う、というお話だったし。あと、黒は法要に履いていく場合もあるので、あまり光らせないほうがいいかなと、メンテナンスもクリームを塗りこむだけにとどめました。(磨きはしなかった)

昨日一日履いてみたところ、まあ履きやすいです。びっくりした。

リーガルはともかく、シェットランドフォックスの靴なんかは最初1ヶ月くらい痛くて履けないというか、一度なんか足の親指の皮がめくれて靴下が血塗れになってたこととかあったくらいですが、ジャランの靴は全体を締め付けつつも内部に適度な「遊び」があって、靴に窮屈さを感じません。底材のコルクがまだ落ちきっていないので、歩くと若干浮いている感じがありますが、しばらくしてコルクが私の足の形に落ち込んできたら、もっとフィット感がでるんじゃないでしょうか。

ただ、シェットランドフォックスの靴に感じたような、足をぐるっと包み込むような感じはありません。まだ足に引っ掛けているという感じがする。かかともやはり浮きますし、そこはシェットランドに軍配かな。やっぱ国内でも最高峰の靴ですしね。あれもインポートだったらヘタすれば桁が1つ上がる靴とか言われてますから。

シェットランドの靴の良さは、クオリティ面もさることながら、国内メーカーだからこそできる手厚いサポートです。どれも、靴を履きこんで、10年、20年と使い続ける中で意味のでてくる良さだと思う。ファッションとしての靴よりは、流行をあまり考えなくて良いビジネス用の靴と考えて、長く使う1足を選ぶなら私はシェットランドを推します。いや、他にもいろんな国内の靴メーカーありますからそこでもいいと思うけど、リーガルが一番日本人に広く知られてる感じがしたので、代表例としてシェットランド(リーガルのハイブランド)を挙げただけです。

ジャランの靴は、今回フォーマルのを買っちゃいましたけど、お値段的にも手頃だし、それでいて本格的な革靴だしということで、入門編として買ってお手入れとかいろいろしてみるといいんじゃないかなーと思います。はじめは凄い硬いソールが少しずつ柔らかくなっていく感覚とか、コルクが沈んで自分の足にあった靴に変身していく様子とか、見ていて楽しいですし。

他にこの価格帯でちゃんとした革靴となると、バーウィックとかかなぁ。ちょっと硬いんでなれるのに時間がかかるんですけどね。スペインのメーカーです。これも今見たらAmazonで買えそう。スペインだとヤンコもあるけど、お店で見るとフォルムやカラーリングが独特で個人的には使いづらそう。履いたことないからわかんないし。でも、ドレッシーなデザインが気に入ればアリかと思います。ただ、2万円台前半なら日本製の「Queen Classico」も良いと思う。

社会人1年目を迎える、という方もおられるでしょうから、その中で革靴とかしっかりしたのを……と考えている人がいたら、 ジャラン・スリウァヤを筆頭に、いま挙げたような靴はなかなか良いチョイスになるんじゃないかと思います。