昨日(2015年2月27日)は月末エロゲーの日でした。

『サノバウイッチ』や『ぼくの一人戦争』といった注目タイトルが目白押しだったこともあり、かなりイベントが盛りだくさん。当日のレポートも近いうちに書ければと思っているのですが、そんな中でちょっと気になることがあったので、そのことを先に記事として書くことにいたします。

当日、幾つか行われていた発売日イベントや予約者対象配布イベントのうち、ゆずソフトさんの『サノバウイッチ』やWhirlpoolさんの『鯨神のティアスティラ』の発売日イベントブースには「撮影禁止」のプレートが掲げられていました。しかし、にもかかわらずその様子を撮影している人が結構な数いたんですね。(外国からの観光客の方も多かったですがそういう人を除いてもぱっと見気になるくらいには)

私は一応、撮影をしていいかどうかを尋ねてから撮らせてもらうのを原則としているし、なるべくその原則を貫くようにしています。鼻持ちならない真面目さ自慢だと思われるならそれでも構いませんが、そういうわけではなく、自分が撮影したことによって何かトラブルが起きたり、スタッフさんに不都合が生じたりしてイベントが今後行えなくなるような事態になることを恐れるからです。

実際過去に、私は不注意で失態をやらかしたことがあり、以来なるべくこの手の行為には慎重であろうと考えているし、ツイッターやブログに載せる場合にはなおさら臆病になってしまいます。

とはいえ、「撮影禁止」というのはレイヤーさんの顔がわかるような至近距離での撮影がダメなだけで、遠景を撮るくらいなら問題がないのかもしれませんし、あるいは逆に、会場(ソフマップ)の都合で何が何でも撮影はダメなのかもしれない。そのことを訊ねようにも、誰に訊けばいいのかわからない、ということもあるでしょう。

その辺の話が気になるけど、ユーザーがいくら考えても解決するわけがありません。そこで、この日イベントを行っていたブースをまわって、メーカーさんに直接お話しを聞いてみました。 私にしては珍しい、突撃取材記事です。

あ、ちなみに何度か言っていますが、私はレイヤーさんに興味があってブースを撮影したいのではなく、エロゲーブースの様子をレポートしたくて撮影をお願いしているのでこういう問題が発生しています。レイヤーさんを撮影したい場合は素直にご本人に訊ねてください。それが礼儀だと思います。

さて、幸い、ほぼ全てのメーカーさんからお話をうかがうことができました。お忙しいところ、丁寧に対応してくださった各ご担当者様、ほんとうにありがとうございました。

ただ、「この話をブログ等に載せて良いか」と訊ねると(それこそ念のため確認しました)、全メーカーさんとも「名前を出すのは控えてほしい」とのこと。ご説明いただいた理由はいくつかあって、自分が直接メーカーの人間ではないスタッフだからだとか、幾つかのメーカーとの合同イベントで自分は1社の人間だから、あるいは、あくまで個人の見解であって会社のオフィシャルな見解ではないから(それが欲しければメールなりで問い合わせてくれ)、他には正式な取材ではないし間違った記載がされてもチェックできないから困るから、という感じ。

ただ、「こういうことを言っていたメーカーさんがあった」という程度なら書いてOKという風に言っていただいたので、 ざっくりとまとめていきます。

▼撮影許可について
どのメーカー関係者さんも、基本どんなかたちでも撮影するならひと声かけてほしい(至近距離はもちろん、遠景であっても)ということでした。主な理由は2つ。1つは配布会なりを行っているレイヤーさんや声優さんが顔出しNGの場合があるから。もう1つは、ブースに「流してはいけない」画像が貼ってある場合があるから。主に、エロ度が強いものがそれで、撮影してSNS等に流れ、証拠として残ってしまうことでさまざまな問題を呼びこむ可能性があるようです。そういう場合、取材であるというなら撮ったものを見せてもらえるのである程度受けることもあるが、一般人の撮影はそうもいかないので、事前の確認は是非してほしいと。

あるメーカーさんは、原画家さんや声優さんが来ていてサインをしているとかいう状況でなければ基本許可はだすし、そういう場合はそもそも撮影禁止札を立てる。それ以外のときには撮られていても見咎めることはしないけど、やっぱりひと言あるとありがたいとおっしゃっていました。

ただこのあたりのことについては、最近だいたいの人が撮影前にひとことことわってくれるようになっており、マナーの向上を感じる、という声が結構聞かれました。


▼誰に許可をもらうか
次にポイントなのが誰に許可をもらうかですが、これは原則、レイヤーさんや声優さん(売り子さん)に訊ねるのが良いそうです。なお、レイヤーさんが複数おられる場合は一応全員に確認をとってほしい(ある人はOKである人はダメということがある)とのこと。

この辺りのルール、実際には完全にメーカーの方針次第なのだそうですが、イベント時の「動き方」について売り子さんに一任している場合と、売り子さんをメーカー側で管理している場合があります。前者は売り子さん本人に許可をいただくのが当然です。後者は、売り子さんが直接判断できないためメーカーに問い合わせる必要がありますが、とりあえず売り子さんに訊いておけばその場でメーカー側の責任者に話を持って行ってくれるでしょう、と。

たとえば今回の発売日イベントでは、ほとんどのレイヤーさんが撮影に応じてくださいました。また、記事の冒頭で述べたブースの「撮影禁止」は、売り子さんが顔出しNGだから最初からしかるべく対応したのだとのこと。売り子さんの都合ではない部分――たとえばショップさんや地域の都合でNGという場合もあるけれど、そういう場合もたいていはじめから「撮影禁止」になっているので、許可云々の話にはなりませんね。

ということはユーザーからすれば、許可を出す権利が売り子さんだろうとメーカーだろうと、売り子さん本人のところで確実に事足りるということです。


▼撮影されて「これは困る」ということはあるか
当たり前ですが、無断で撮影されて問題が発生すると困る。既に上であげた通り。

あと、忙しいときにやってきてレイヤーさんにポーズを要求したり……みたいな、他のお客さんに迷惑になるパターンや、通行人の動きの妨げになって渋滞を引き起こしたり、ぶつかってトラブルになったり、ということがあるのも困るとのこと。特に一般人の方とのトラブルになるとクレームが入ったりもするようで、イベントの存続に関わる可能性もあるのだという声も聞かれました。

たしかに、秋葉原のイベントの場合特に道幅が狭い公道で実施されるところへもってきて、みんなエロゲー買って大荷物抱えてますからね……。一般人からすると邪魔でしょうがないだろうという……。同じエロゲーマー同士でも、ぶつかって倒れて箱が潰れたとか、怖いなぁと思います。

他には、イベントに来ている他のお客さんや、まったく無関係な通行人、あとショップ店員さんなどの顔が写っていると(直接困るというわけではないけれど)トラブルになる可能性があるので怖い、ということでした。できれば写らないよう工夫してもらうか、写っていたらモザイク加工などの処理をして対応してほしいそうです。


▼撮影についてどう考えているのか
時間の都合もありこの話は全部のメーカーさんには訊けませんでした。ただお返事をいただいた限りだと、SNS等に流してもらえるなら販促になるし、基本的には歓迎というのがほとんど。概ね好意的な感触でした。これは勝手な想像ですが、ネットにアップロードする場合は、どういう特典が配布されているのかとかどこでやっているのかとか、そういう情報とセットで流すと喜んでもらえそうです。

あと、ちょっと誤解があったのか、男性スタッフしかいないと申し訳ない気持ちになるというご回答もいただきました(笑)。大丈夫、私はどっちかというとブースの方に興味があるのでそれで十分というか、レイヤーさん撮りにきたのだと思われないぶん遠慮せずにすんでありがたいくらいです。


ということで、簡単ながら聞いてきた話をまとめてみました。特に目新しい話もなく、凄い常識的なところに終始した感があります。「そんなん知ってるわい」と感じられる方のほうが多いかな……(笑)。

また、取材自体も中途半端というか、本来なら売り子をしておられたレイヤーさんや声優さんにお声かけし、お話をうかがえればよかったのかもしれませんが、それはもう公のメディアの取材同様しっかりした準備と打ち合わせのうえでやるべきことで、個人が思いつきでやっていいことでもあるまいと思ってやめました。

とはいえやはり、これまで漠然と意識していた守るべきルール、守りたい最低限のマナーみたいなものがはっきりしてきたというのは、自分の中では意味があります。今回秋葉原でのイベントを開催しておられた幾つかのメーカーさんという限定がつく話ではあるのですが、他の場所や他のメーカーさんでも全く通用しない話というわけでもないでしょう。

メーカーさんが頑張ってイベントをしてくださっているので、ユーザーとしてもこういったイベントが少しでも楽しいものとなり、また長く続いていくよう、できるだけ配慮をしていけたらなと思っています。