2日連続でお別れ記事を書くことになるとは……。本日0時、light、Campusなどのブランドを持つ株式会社グリーンウッドの社長・服部氏が「解散」を宣言しました。
▼「株式会社グリーンウッド 解散のご報告」
lightブランドといえば、この前15周年を迎えたばかり。私の所属している同人サークルでも、全作品レビューという無茶な特集を組んだりしました。エロゲーに首を突っ込んだ人なら誰でも知っているというほどではないかもしれませんが、『Dies irae』をはじめメガヒットも飛ばしており(なんせアニメ化のCF企画で1億円集めたくらいですからね[参考:『Dies irae』アニメ化プロジェクトCFの最終集計が完了。5,187人から約9,650万円の支援を受ける(電撃オンライン)])、90年代後半から2000年台のエロゲー史を語る上で無くてはならない存在だったことは間違いありません。
個人的には、『僕と、僕らの夏』という作品が私のエロゲー人生の中で最も好きな作品(これに関しては、何度も言っているのですが躊躇なく1番だと言えます)で、そういう作品を生み出してくれた大恩ある会社でもあります。
そういうブランドが苦境に立たされていたことを今更知り、母体となる会社が散っていくのを為す術なく見送ることになるというのは、やはり寂しい。
いっぽうからの話ですのでどの程度の信憑性があるかはさておき、今回の解散はソシャゲー『Dies irae PANTHEON』の開発難航に依るものだった、ということのようです。とはいえ、2度も開発会社とトラブルというのは選定過程に問題があったと言わざるを得ませんし、コケたことで会社が飛ぶことになったというのは見通しが甘いと言わざるを得ないのかなというのが、私の率直な感想です。
服部氏も書いておられるように、「SNSゲーム業界初参入」です。「コケたら死ぬ」ような危機的な状況でそこに突っ込んだのだとすれば自分たちの今までの実績を信じられなかったのかと悲しいし(つまり、PCゲームにこそ活路があったのではないか)、余力はある状況で突っ込んだなら、引き返すタイミングを見誤ったとしか思われません。
まあ私は会社の舵取りをしたことなどありませんし、またもう済んでしまったことをとやかく言ってもしかたないとは思うのですが、言いたくなるくらいには残念なわけです。なぜこうなったのか、この結末は避けられなかったのか、と。
服部氏の報告文を拝読した限り、解散するのは株式会社グリーンウッド。Campusブランドは「有限会社AKABEiSOFT2」にブランド名を維持したまま吸収。lightブランドのほうは、シルヴァリオチームが移籍を準備中ということでしょう。
「これからもDies irae PANTHEONは可能性を信じて活動致しますと共に、Campusチーム並びにシルヴァリオチームもまた開発を継続致します。」とありますから、明言されてはいませんが、正田氏やGユウスケ氏を中心としたDiesチームとでも言うべきlightの古株の人たちの一部は、現状移籍しないということではないかと思われます。Twitterでも正田氏がこうおっしゃってますしね。
そうなると、lightというブランド名は残るのかもしれないけれど中身は今までどおりとはいかないわけで、そこに疑問を感じる方もおられるみたいです。もうlightはなくなるんだ、と。
個人的な感想ではあんまりそうは思えなくて、私にとってそもそもlightというブランドにはじめから一貫性をあまり感じていませんし、ぶっちゃけると泉まひる氏こそlightの看板! みたいなイメージもありました。まひる氏やまゆき氏がいなくなっているところから、シルヴァリオチームだけでもまるっと移籍するなら、それはそれでlightブランドの血脈は保たれると言えるんじゃないかなとも思います。
まあそんな定義話はともかく話をもとに戻しますと、やはり力も歴史もあった会社がこういう終わり方をしたのはなぜなのかというところが気になるわけですが、世間で言われているように、本業を離れ慣れない分野に手を広げすぎたことそのものを問題視するのは不毛かなという感じもあります。そんなこと言ってたらアニメ化はどうなんだとかグッズ販売はどうなんだとかいろいろ出てくる。
ソシャゲーにしろアニメにしろ、エロゲーから離れても成功しているところは成功しているし、エロゲーだけしかやってなくてもちゃんとやれてるところはうまく回してる。ソシャゲーで失敗しても体力を残すようなリスク管理できてる(ゆずソフトとか)とこもあるわけです。グリーンウッドが「力つきた」のは、エロゲーだとかソシャゲーだとかいう媒体の問題ではなく、運営の手法とか見通しとかの問題だったのではないかな、と。
何も知らない人間が何を利いた風なと言われるかもしれませんが、いたずらに悲観的になって「エロゲーの終焉」みたいな話がまたぞろ出てこないように、見えている部分は整理して考えたほうが良いだろうと思っています。
まぁいずれにしても、長きにわたる活動お疲れさまでした。
▼「株式会社グリーンウッド 解散のご報告」
2019.03.31株式会社グリーンウッド 代表取締役 服部道知1999年6月に設立いたしました弊社ですが、2019年3月31日を以て解散をする運びとなりました事をご報告させて頂きます。弊社では新規事業として2016年に大型プロジェクト「Dies irae PANTHEON」を立ち上げ、この完成に向け総力を注いで参りました。SNSゲーム業界初参入の弊社としては、一社でこれを完成させる事はできません。そこで、開発の主体となる共同開発会社様を探し、協業でこの事業に取り組む事と致しました。その結果、2017年より株式会社スーパーアプリ様と共に共同開発を開始致しました。しかし2018年初頭、株式会社スーパーアプリの開発遅延と、それに伴い同社の資金繰りが悪化し、結果として株式会社スーパーアプリ様は開発から撤退する事となりました。主体となる開発会社を失いながらも、弊社では再び新たな共同開発会社様を探し、プロジェクトの続行を図ってきました。その結果、2018年春に株式会社Session様とご縁があり、改めて共同開発の契約を結び、開発を再開致しました。しかし、2018年秋には当事業とは別の理由にて株式会社Session様が倒産される事となり、二社目の共同開発会社を失う事となりました。二度に渡り、共同開発会社様の撤退・倒産で苦境に陥るも、三度目の正直を目指し、これまで開発の継続を目指して活動をして参りましたが、誠に残念ながら弊社の体力も限界を迎える事となり、この度、解散を決定する事となりました。応援頂き、ご期待頂いたユーザーの皆様には、ご期待に添えぬ事となり、誠に申し訳ございません。●Dies irae PANTHEONの今後についてこれを持ちまして、株式会社グリーンウッドは解散する事となりますが、企画やこれまでの成果物などは存在致します。これらの権利は一旦債権者のものとなり管理される事となりますが、まだ無くなった訳ではございません。製作メンバーは、どのような苦境にあろうとも、可能性がある限りこれを進めたいと思っております。これを機に、この企画にご興味のある企業の方がいらっしゃいましたら、support@light.gr.jpまでご連絡下さいませ。●Dies iraeアニメ化プロジェクト クラウドファンディング リターン未完了の皆様へPANTHEONの再スタートが切れたら良い状態で実施しようと思い、計画して参りましたが、結果としてまだ履行できていないリターンがございます。「lightスタッフと行く1泊2日温泉小旅行ペアツアー」「アニメ化記念・打ち上げご招待(代替日)」の合計8名様です。これにつきましては、弊社は解散するものの、服部個人のお約束としていつか必ず履行させて頂く所存でございます。詳細についてはそれぞれにご連絡をさせて頂きます。●ラインハルト・ハイドリヒ 抱き枕CF企画につきましてこの企画は、Dies irae PANTHEONのプロモーションに付属する企画でございました。これまでの状態では実行してもお約束の履行が叶うか解らない状態でございましたので正式な企画スタートをする事ができませんでした。現在、Dies irae PANTHEONの企画の推進に全力を注いでおります。その結果が出ましたら、その状況に応じて実行するかどうか決定させて頂ければと思います。●弊社ブランド light、Campusについて弊社の解散理由は、あくまでも、予算を投下したDies irae PANTHEONが開発途中にも関わらず、共同開発会社様を二社立て続けに失った事にあります。どちらのブランドも開発メンバーは優秀である為、ブランド踏襲のまま、作品の開発を継続させて頂く予定です。Campusブランドにつきましては、「有限会社AKABEiSOFT2」様にて継続して販売が決まりました。4月26日発売タイトル「恋音セ・ピアーチェ」もCampusブランドのまま発売されます。また、「シルヴァリオチーム」は現在別の会社での開発を準備中でございます。シルヴァリオシリーズ最終作となるタイトルも来年、発売ができるよう準備をしております。詳報をお待ち下さいませ。●弊社過去タイトルのサポートにつきまして弊社過去タイトルについては、有限会社AKABEiSOFT2様にて引き続きサポートが行われます。販売店の皆様、ユーザーの皆様におきましてはご安心の上、引き続きお取引、並びにプレイをして頂ければと思います。●light Online Storeにつきまして現在、弊社のHPも全て有限会社AKABEiSOFT2様に引き継いでおります。現在のところ、継続して注文を受け付けさせて頂いておりますので宜しく御願い致します。●Happy light Cafe Channelにつきまして弊社の解散に伴い、channelは近いうちに閉鎖となります。その後はそれぞれのプロジェクトがそれぞれの方針で宣伝活動を行います。これまで制作に携わっていただきましたクリエイターの皆様並びに関連会社の皆様に改めて御礼申し上げます。お陰様を持ちましてこれまでユーザーの皆様に愛される作品を製作する事ができました。会社は変わりますが弊社メンバーもまた開発を継続して参ります。機会がございましたら、是非ともまた宜しく御願い申し上げます。また、これまで弊社を信じご支援頂いておきながら、結果的に債権者となってしまった皆様には、これまでのご厚情に感謝すると共に大変なご迷惑をおかけしてしまう事を深くお詫び申し上げます。できる限りの事をして参りたいと存じますので宜しく御願い申し上げます。2000年より弊社製品をご愛顧いただき、支えていただきましたユーザーの皆様には誠に感謝の言葉しかございません。誠に、誠にありがとうございました。これからもDies irae PANTHEONは可能性を信じて活動致しますと共に、Campusチーム並びにシルヴァリオチームもまた開発を継続致します。変わらぬご支援を賜りますよう、宜しく御願い申し上げます。この度は多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。
lightブランドといえば、この前15周年を迎えたばかり。私の所属している同人サークルでも、全作品レビューという無茶な特集を組んだりしました。エロゲーに首を突っ込んだ人なら誰でも知っているというほどではないかもしれませんが、『Dies irae』をはじめメガヒットも飛ばしており(なんせアニメ化のCF企画で1億円集めたくらいですからね[参考:『Dies irae』アニメ化プロジェクトCFの最終集計が完了。5,187人から約9,650万円の支援を受ける(電撃オンライン)])、90年代後半から2000年台のエロゲー史を語る上で無くてはならない存在だったことは間違いありません。
個人的には、『僕と、僕らの夏』という作品が私のエロゲー人生の中で最も好きな作品(これに関しては、何度も言っているのですが躊躇なく1番だと言えます)で、そういう作品を生み出してくれた大恩ある会社でもあります。
そういうブランドが苦境に立たされていたことを今更知り、母体となる会社が散っていくのを為す術なく見送ることになるというのは、やはり寂しい。
いっぽうからの話ですのでどの程度の信憑性があるかはさておき、今回の解散はソシャゲー『Dies irae PANTHEON』の開発難航に依るものだった、ということのようです。とはいえ、2度も開発会社とトラブルというのは選定過程に問題があったと言わざるを得ませんし、コケたことで会社が飛ぶことになったというのは見通しが甘いと言わざるを得ないのかなというのが、私の率直な感想です。
服部氏も書いておられるように、「SNSゲーム業界初参入」です。「コケたら死ぬ」ような危機的な状況でそこに突っ込んだのだとすれば自分たちの今までの実績を信じられなかったのかと悲しいし(つまり、PCゲームにこそ活路があったのではないか)、余力はある状況で突っ込んだなら、引き返すタイミングを見誤ったとしか思われません。
まあ私は会社の舵取りをしたことなどありませんし、またもう済んでしまったことをとやかく言ってもしかたないとは思うのですが、言いたくなるくらいには残念なわけです。なぜこうなったのか、この結末は避けられなかったのか、と。
服部氏の報告文を拝読した限り、解散するのは株式会社グリーンウッド。Campusブランドは「有限会社AKABEiSOFT2」にブランド名を維持したまま吸収。lightブランドのほうは、シルヴァリオチームが移籍を準備中ということでしょう。
「これからもDies irae PANTHEONは可能性を信じて活動致しますと共に、Campusチーム並びにシルヴァリオチームもまた開発を継続致します。」とありますから、明言されてはいませんが、正田氏やGユウスケ氏を中心としたDiesチームとでも言うべきlightの古株の人たちの一部は、現状移籍しないということではないかと思われます。Twitterでも正田氏がこうおっしゃってますしね。
ただ、自分とGユウスケはパンテオンの作業を続けますし、やれる限りのことをやっていくつもりです。
— 正田崇 (@masada_takashi) 2019年3月30日
そうなると、lightというブランド名は残るのかもしれないけれど中身は今までどおりとはいかないわけで、そこに疑問を感じる方もおられるみたいです。もうlightはなくなるんだ、と。
個人的な感想ではあんまりそうは思えなくて、私にとってそもそもlightというブランドにはじめから一貫性をあまり感じていませんし、ぶっちゃけると泉まひる氏こそlightの看板! みたいなイメージもありました。まひる氏やまゆき氏がいなくなっているところから、シルヴァリオチームだけでもまるっと移籍するなら、それはそれでlightブランドの血脈は保たれると言えるんじゃないかなとも思います。
まあそんな定義話はともかく話をもとに戻しますと、やはり力も歴史もあった会社がこういう終わり方をしたのはなぜなのかというところが気になるわけですが、世間で言われているように、本業を離れ慣れない分野に手を広げすぎたことそのものを問題視するのは不毛かなという感じもあります。そんなこと言ってたらアニメ化はどうなんだとかグッズ販売はどうなんだとかいろいろ出てくる。
ソシャゲーにしろアニメにしろ、エロゲーから離れても成功しているところは成功しているし、エロゲーだけしかやってなくてもちゃんとやれてるところはうまく回してる。ソシャゲーで失敗しても体力を残すようなリスク管理できてる(ゆずソフトとか)とこもあるわけです。グリーンウッドが「力つきた」のは、エロゲーだとかソシャゲーだとかいう媒体の問題ではなく、運営の手法とか見通しとかの問題だったのではないかな、と。
何も知らない人間が何を利いた風なと言われるかもしれませんが、いたずらに悲観的になって「エロゲーの終焉」みたいな話がまたぞろ出てこないように、見えている部分は整理して考えたほうが良いだろうと思っています。
まぁいずれにしても、長きにわたる活動お疲れさまでした。