2位でも凄いことですが、すわ優勝か!? という期待が高まっていただけに、少し残念な感があります。しかし、シリッチは凄かったですね。ビッグサーバーがああなったら手が付けられん……。
現代テニスでは、昔と比べてレシーバーが有利になったと言われています。正確な年数ではありませんが、だいたい1990年以前はファーストサーブが入った時の決定率が8割~9割という世界でした。それはテニスの技術というよりは道具の問題で、綺麗に芯を食わないと勢いのあるボールに対抗できない「木製ラケット」や「ガット」の影響が大きかったと言われています。
いまは多少芯を外しても、振り抜けなくても、時速250kmをこえるようなサーブを相手のコートにボールができるようになり、強烈なサーブは強烈なリターンとなってかえってくる諸刃の剣となりました。ビッグサーバーにとっては苦しい時代とも言われていたのですが……。
師匠であるイヴァニセビッチも真っ青な強烈なサーブの連発で、まさに錦織を圧倒する展開。決勝戦としては面白みに欠けましたが、新たなスターの誕生を予感させるゲームだったと思います。
まあ錦織も格が違うとかそういう話ではない。シリッチみたいな選手は調子の波が激しく、好調時は手が付けられないけど不調の時は本当にさっくりと負けたりします。錦織はその点安定がウリの選手。まだまだ少なくないチャンスはあるでしょう。「これが最初で最後だったのに……」のような悲観的な意見も聞かれますが、それこそイヴァニセビッチはウィンブルドンで3回決勝で敗れ、「無冠の帝王」の名を与えられていました。そして年齢的にも誰もがもうダメだと思っていた2001年、30歳のときに、とうとうウィンブルドンで優勝したのですから、マスターズの決勝に戻ってくることは、決して夢物語ではありません。
もちろん、グランドスラム決勝などというビッグチャンスがそうそう簡単に巡ってくるとは思えませんが、今回の経験を糧に、是非更に成長したプレイヤーとしての姿を見せて欲しい。
また、記録といえば車椅子テニスの国枝慎吾選手がまた年間グランドスラム(4大大会制覇)を達成しておられます。錦織選手にスポットがあたりますが、こちらもユニクロがスポンサーの選手で、2007年に世界初となる車椅子テニスの年間グランドスラムを達成。以後も一線で戦い続けている凄い選手です。私は車椅子テニスの試合を頻繁には見ないのですが、何度かビッグマッチを観て、運動量の多さに驚きました。
▼「国枝慎吾選手が全米オープンテニス2014で優勝、錦織圭選手も日本人で初めて決勝に進む歴史的快挙!!」(Sankei Biz)
国枝慎吾選手が全米オープンテニス2014で優勝4度目の年間グランドスラムという偉業を達成!
車椅子テニス女子の全米オープンでは、上地結衣選手が優勝。もうちょっと話題になってほしいし、こういうのこそ積極的に「良い時間に」(車椅子で生活を送っている子どもたちが見られるような時間に)地上波で放送してほしいなぁ。
▼「国枝と上地が優勝 全米・車いすテニス」(NHK NEWS web) ※NHKの記事はすぐ消える可能性があります。
テニスの全米オープン、車いすの部のシングルスで、男子の国枝慎吾選手と女子の上地結衣選手がそろって優勝し、ともにダブルスと合わせた2冠に輝きました。国枝選手は7日、ニューヨークで行われた決勝で20歳のアルゼンチンの選手と対戦し、7―6、6―4のストレートで勝ちました。国枝選手は2011年の大会以来、5回目の優勝です。また、上地選手はオランダの選手と対戦し、6―3、6―3で勝って初優勝を果たしました。全米オープンの車いすの部は、国枝選手と上地選手がシングルスとダブルスの2冠に輝き、国枝選手は、ダブルスのみが行われるウィンブルドン選手権を除いて、今シーズンは四大大会のシングルスすべてで優勝しました。また、20歳の上地選手は、ことしは四大大会すべてでダブルスを制し、シングルスは全仏オープンに続く優勝となりました。
どの選手も、これからの活躍が楽しみですね。