よい子わるい子ふつうの子2(仮)

18禁PCゲームをメインに、ラノベや漫画についてもダラダラ話を書きます。長文多いです。

2014年08月

『ひまわり!!』の謎

2014年8月29日、Sweet lightさんから発売された『ひまわり!!』に奇妙な「謎」が持ち上がっています。

 といっても、内容に関する話ではなくて動作環境の話。ただこれ、結構面倒な感じで。また、複数の相があるんですが1つだけが特化して広まってる感じがあるのでちょっと相対化を図る意味でピックアップしてみました。

まず、この手の話の定番・OHPの表記。

himawari_dousa01
2014.08.30時点のOHPスペック表記

OS
Windows日本語版 VISTA/7/8
 
CPU
Core2Duo以上(必須)/3.0 Ghz以上(4コア以上推奨)
 
メモリー
2GB以上(必須)/8GB以上(推奨)
 
HDD空き容量
未定

※Windows95/98/Me及びWindows2000Server、WindowsXP MediaCenterEdition、64bit版Windows、Windows8RTでの動作は保証外

「おや?」と思った方もおられるでしょうか。そう、「8G以上のメモリ」が推奨されているにもかかわらず、「64bitOS」の動作が保証外なんですね……。32bitOSでは原則、4G以上のメモリは無意味なので、これはどういうことやねん、と首をひねったかたも多いようで、ツイッターではあるユーザーさんのこの疑問が爆拡散しておりました。

ところがこのスペック記載、パッケージ裏のものとは異なっています。 

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製品版のパッケージ裏。

OS
Windows日本語版 VISTA/7/8
 
メモリー
2GB以上(必須)/8GB以上(推奨) 
 
HDD空き容量
7.5GB以上(推奨)
 
※Windows8RTでの動作は保証外 

ご覧いただければ分かる通り、HDD空き容量に関する記載が追加されました。また、「動作保証外」の注意書きに関しては、「Windows8RT」のみ保証外という書き方に変更されています。

この前までの「Windows95/98/Me及びWindows2000Server、WindowsXP MediaCenterEdition」を保証外とする、というのは、確かに不要です。なぜなら、対応OSとして記載されているのが「VISTA/7/8」なのですから、そもそもXP以前のバージョンのOSについて、あえて言及する意味はありません。

そう考えると、パッケージ裏の動作環境について特筆すべき変更点は「64bit版Windows」に動作保証がついた、というところになるでしょう。

HDDの容量が確定されている点から鑑みても、OHPの動作環境は古く、パッケージの動作環境のほうが新しいものである……これで説明がつくのではないか、と考えておりました。

ところが、そのことをツイッターで呟いた直後、ゆず茶先生からツッコミが入ります。

曰く、「ヘルプファイルを見るとさらなる謎が!」とのこと。どらどら(エモーション!)? と思ってヘルプファイル(ゲームインストール後にスタートメニューから閲覧可能)を見てみると……。

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ヘルプマニュアルVer1.0のスペック表記。

OS
Windows日本語版Xp/Vista/7/8 (XPの64bitは非対応)

HDD空き容量
7.5GB以上(推奨)

※Windows95/98/Me及びWindows2000Server、Windows2000 WindowsXP MediaCenterEdition、64bit版Windows Windows8RTでの動作は保証しておりません。

なんと動作環境にXPが加わっています。そして、64bit版OSはやっぱり動作保証外、と。うーん。これはどういうことなんでしょう。しかも、HDD空き容量は7.5GBと指定がついていますので、OHPより後に作られたものであると想像されます。つまり、時間的な前後関係でOHPの記載が間違えているだけで、後から変更されたのではないか……という想定は、必ずしも妥当なものとは言えなくなりました。

ただ、ここでXPが対応OSに入るというのは何か不自然です。そもそもサポートが終了しているOSで、多くのアプリケーションソフトで、すでにサポート外扱いとなりつつあるOSなのですから。また、このヘルプマニュアルはそもそも購入者が見るものですので、必要スペックを見て購入するかどうかを決める、というプロセスにとってはあまり必要ないといえばその通りでしょう。大事なのはどちらかといえば、購入前に閲覧可能な公開情報のほうです。

そういえばDMMでも販売していたな、ということでDMMを見に行ってみると……。

himawari_dousa04
2014.08.30時点のDMMでのスペック表記

細かいスペックについての記載はありませんでしたが、WindowsXPが対応OSとして記載されています。こうなると、XPが対応OSなのかどうなのかも、結構大きな問題になってくるでしょう。

とりあえず簡単にまとめると、ここまで確認した限りでは以下のような違いがあるということです。

(1)OHP   :XPダメ、64bitOS保証外、推奨メモリ8GB
(2)パケ裏   :XPダメ、64bitOS可(保証外との記載なし)、推奨メモリ8GB
(3)ヘルプ  :XP可、64bitOS保証外、推奨メモリ8GB
(4)DMM   :XP可、64bitOS保証については記載なし、推奨メモリ8GB 

細かいことを気にして揚げ足をとっているように思われるかもしれませんが、たとえばDMMには「※体験版が正常に動作しても、対応OS以外は動作保証外となります。」という文言があります。 いざ購入してみても、XPで動作しなかった場合にサポートが受けられるのか否か、というのは検討に際して結構大きな問題でしょう。私自身は複数のマシンを持ち、しかも1台は自作なので必要スペックは目安程度で、サポート条件としての側面はあまり気にしなくなりましたが、昔メーカーPC1台でやっていた頃は、非常に気にしていました。

というわけで、 この件に関してはlightさんに問い合わせました。公式に発表があるか、あるいは返答がいただけたら追記のようなかたちでお知らせできればと思っています。個人的には、(2)のパケ裏が一番最新のものに近いのではないかと思うのですが、果たして。

なお、私の環境下ではXPマシン、64bitのWindows7マシンともに『ひまわり!!』は正常動作しております。 

ラブライバー凄い。

昨日、「熟練のラブライバーは「パーツ」を一部見ただけで誰か判別できる」という話を聞きまして、ツイッターでちょっと試してみました。

下の画像をご覧ください。

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スカートと足。

これで、「誰か分かりますか?」という問いを不特定多数に向けて放ってみたのですが……。

5分もしない間に、リプライ・空リプライ含めて5人以上の猛者が正解しまして、これはもう簡単過ぎであった、版権絵を出題するなどラブライバーの方に対して失礼であった、といたく反省した次第であります。



なお、正解は真姫ちゃん。

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足のココ。

いや、確かによく見る絵ではあるんですが、普通そんな簡単に分かんない気もするんです。げにラブライブとは修羅の道よ……。
 

2014年8月・月末エロゲーの日の話とか

本日2014年8月29日はエロゲータイトルが大量に発売される「月末エロゲーの日」でした。

ただ、あいにくの雨模様だった天気のせいか、コミケという一大イベントがあって資金難の人が多いせいか、同日のアニサマに行く人が午前中の行動を控えたせいか、はたまたあまりビッグタイトルが無いせいか、とにかく今日はいつもにくらべて人出が少ない感じでした。

9時頃にアキバソフマップ1号館前に付きましたが、いつもなら既に店の横の巨大ポスターのところに長い列ができているのに、本日はありません。かなり前の方に並ぶことができました。また、その後もあまり人が集まらず。結局、ちょっと人通りが寂しいまま開店となりました。

すぐ買えるかなと思っていたら、引き換えフロアが5、6階の2フロアのみ(普段は3フロア、多いと4フロア)、レジ数もやや少なめだったためか、20分くらいかかって引き換え完了。本日は5タイトルと、私もちょっと抑えめ。


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まず、Sweet lightさんの『ひまわり!! -あなただけを見つめてる-』。E-moteを取り入れたイチャラブ系で、これまでのlightにはありそうでなかった……は言い過ぎか。久しぶりに見るタイプの、ストレートな萌え系恋愛ものっぽいです。ぽいというのは、蓋を開けてみるまでわからないから。ぬいぐるまー……うっ、頭が……。

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続いて、ALcot ハニカムさん、『サツコイ ~悠久なる恋の歌~』。宮蔵さんラインの新作で、なかなか雰囲気があります。お値段も(実売)5500円と良心的で、サントラまでついてくるのだから文句なし。内容も期待しています。

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Navelさん『月に寄りそう乙女の作法 アペンドディスク』も買いました。まあ半ばお布施&好きな作品のコレクション的な意味あいで。 「月に寄りそう乙女の作法 衣遠兄様の華麗なる一日」は、単にムービーが入ってるだけかと思ったらゲーム化されてるんですね。ちょっと楽しみです。

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個人的にかなり期待を寄せている、propellerさんの『蒼撃のイェーガー』。燃えます! 燃えたいです! なにげに、『あやかしびと』ボイスドラマのDL権がついてくるのも嬉しい。


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抜きゲー(凌辱)枠で、インターハートさんの『催眠パラノイア』。別に必ず一本は凌辱ゲー買うとか決めてるわけではないんですが、無いと寂しいですよね、凌辱。『晴のちきっと菜の花びより』と迷ったんですが(迷う相手がおかしい)、金松由花さんに惹かれてこちらに。かなり期待しています。


といった感じ。その後は、特にサイン会とかも私は無かったので(『できない私が、くり返す。』とかはサイン会の事前募集があったはずです)、ふらふらとアキバを回ってきました。

ソフ1号館前では、『イェーガー』や『催眠パラノイア』あと、エスクードさんの『花嫁と魔王』の発売記念イベントが開催されていました。

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その他、予約者限定引き換えイベントも。
(撮影は許可をいただいて行っております)


アミューズメント館さんのほうでは、『つりおつ』などの予約者対象配布会。

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ブースの様子と、配布されていたクリアしおりなど。

他にもいろいろあったのですが、とりあえずはこんなところで。また余裕があれば追加するかもしれません。見てもらえばお分かりのように、やっぱりちょっと少ないですよね、人通り。イベントスペースに人のいない時間を狙うのがいつもは大変なのですが、今日は結構楽で、スタッフの方にもお願いがしやすかったです。いいんだかわるいんだか。

まあそんな感じで帰ってきて、さっそく色々プレイしようかなと。まずは『ひまわり』か『パラノイア』ですね。うーん。悩ましい。

みなさんも、良いエロゲーライフを満喫してください。

信長「狂」想曲

私は歴史SLGが大好きで、とくにKOEIの『三國志』と『信長の野望』は一応全シリーズ(無双とかネトゲーは知りません)やってるファン。その『信長』の新作が発表されたと聞いて、意気揚々とページをひらいたのですが……。

 ▼「『信長の野望201X』が発表!現代日本を舞台にしたRPG」 (INSIDE)
コーエーテクモゲームスは、8月26日にネットワーク事業戦略発表会を開催しました。

この発表会では、代表取締役社長の襟川 陽一氏、ネットワーク事業部長の小林 伸太郎氏、ネットワーク副事業部長の藤重 和博氏などが登壇。据え置きゲームアプリ、オンラインゲーム、ポータルサイト運営などの「ネットワーク事業」の現状の報告と、新タイトルの発表や海外展開を含む今後の戦略が説明されました。

この記事では、全体的なレポートに先駆けて、今回発表された注目情報をお伝えいたします。

◆現代に甦る「信長の野望」
iOS/Android/PCタイトル『信長の野望201X』がシリーズ最新作として発表されましたジャンルはRPGとなっており、舞台は現代日本。シリーズに登場した魔物たちが現代に出現し、陰陽師のまつえ達が現代に甦った戦国武将たちと共に戦っていきます

またシブサワ・コウ氏はゼネラル・プロデューサーとして本作に関り、奇門遁甲を視覚化したバトルシステムが楽しめるとか。

■ストーリー
その日、京都に穴が空いた――
穴から溢れ出した異形の「幽魔」たちは、周辺地域へ次々と侵攻。
幽魔の支配地は空間の歪みに覆われ、人々が踏み入ることすら不可能となった。
そして、その内部は驚くべきことに戦国時代の日本へと変貌していた…

この未曾有の事態を収拾するため、政府は全国から「適性」を持つ者たちを召集。
支配地の奪還に向けた臨時組織を編成する。

今まさに、現代市民と戦国武将による奇想天外な共同作戦が始まろうとしていた。
すべては、現在と戦国の日本を在るべき姿に戻すために――

『信長の野望201X』は今冬サービス予定で、価格は基本無料のアイテム課金制です。

(つд⊂)ゴシゴシ→(;゚ Д゚) …!?


nobunaga201x

の、信長がインカムつけて銃持ってる……。なんだこれ。

銃は詳しくないんでよくわかりませんが、M4か何かですか? どうやらRPGで、アイテム課金制のネトゲーで、舞台は現代で、信長たち戦国武将が陰陽師と一緒に魔物と戦って、バトルシーンは奇門遁甲らしいです。

…………。
…………。
…………。
…………。
…………。


imiwakannai
ナニコレイミワカンナイ!!!

ネトゲー版全然知らなかったんだけど、こういう路線になってたんですか……? このへん(「スマホゲームの海外展開はアジアに注力--コーエーテクモのネットワーク事業」CnetJapan)を読む限り、コーエーテクモの方針は以下のようです。わかったようなわからんような。

 ・ネットワークゲームに注力している。
 ・独創性の高い新コンテンツを継続的にリリースする。
 ・アジア圏のスマホ需要増大をうけて、スマホアプリを軸にしたい。
 ・試金石としての3タイトルは、以下の3つ
  1.「ぐるぐるダンジョン のぶニャが」(ダンジョン探索型RPG)
  2.「信長の野望 201X」(フォーメーションバトルRPG)
  3.「三國志レギオン」(ソーシャルシミュレーションRPG)

なお、ここには襟川氏(シブサワ・コウ)が「最初にこの企画の提案ならびにイメージイラストを見て、思わず絶句した」という話が書かれており……。やっぱり変ですよね、どう考えても。いやまあ、だれでもパッと思いつくようなことではないという意味では意表をついているのかもしれませんが……。

なんか奇抜に走って本道を見失っている気がしないでもない。少なくとも、私が楽しんだSLGの『信長』とは違ったものができるのだろうなと思いますが、それも時代の流れということなのでしょうか。だとしたら、少し寂しいものがあります。

とりあえず言いたいことは、次はSLGの『三國志』お願いしますということで。最近飢えてるんですよ~。イケメン武将とかかわいい女武将だしてロマンスとか盛り込まなくていいんで、ガチで歯ごたえあるCOMと快適なインターフェイスと、深みのある戦闘モードを備えたKOEIにしかできない『三國志』を是非お願いします。

『三國志3』くらいのバランスが個人的には好きです。引き抜きは隣国からだし。あれでネット対戦とかできたらホント最高なんだけどなぁ。KOEIがサーバー運営とかしなくていいんで、IP直撃ちで知り合いと対戦できる、『AoE』みたいな感じで……。そんなの出たら、毎日やっちゃうよ!

丸見えが怖い話と拍手へのお返事など。

丸見えってマジか。怖いなぁと思った記事。

 ▼「無線LANのメール丸見え 成田・関西・神戸の3空港」(日本経済新聞)

2014/8/26 14:00 
 成田、関西、神戸の3空港が提供する無料の公衆無線LANサービスでインターネットを利用した場合、送信したメールの宛先や中身、閲覧中のウェブサイトのURLを他人がのぞき見できる状態になることが26日、神戸大大学院の森井昌克教授(情報通信工学)の実地調査で確認された。

 無線LANを暗号化すればのぞき見を防止できるが、パスワードの入力などが必要となり、3空港は利便性を考慮し暗号化していないという。

 現在、全国の公共施設やコンビニなど約90万カ所で公衆無線LANが利用できるが、暗号化されていないものも多い。森井教授は「利用者はリスクがあることを理解し、クレジットカード番号など大事な情報のやりとりは避けるべきだ」と話している。

 調査は7月下旬に実施し、無料で入手できるネットワーク解析ソフトとパソコン2台を用意した。2台とも無線LANに接続し、1台目のパソコンから自分宛てにメールを送信、2台目のパソコンの解析ソフトでメールの内容などを確認できるかどうか調べた。

 関西空港では、件名に「こんにちは」、本文に「おげんきですか」と打ち込んだメールを1台目から送信。数秒後、2台目の解析ソフトに同じ件名と本文、送信先のアドレスが表示された。1台目のパソコンでサイトを閲覧すると、2台目の解析ソフトに閲覧サイトのURLが表示された。

 成田、神戸の2空港も同様の結果だった。

 成田国際空港会社の話 お客さまが簡単に利用できるよう事前設定の必要な暗号化は使用していない。お客さまには同意の上、自身の責任で利用してもらっている。重要な通信は暗号化された無線LANを利用してほしい。〔共同〕

うーん、これは知らずに使っている人多そう。そして、空港での無線LAN使ってのやりとりとか、ビジネスパーソンの結構大事な情報とか飛び交ってそうですけど、大丈夫なんかいな。メールの末尾に個人情報とかひっつけてる人は、あっというまに垂れ流しになる可能性も(((((((( ;゚Д゚)))))))。

屋外の無線LANって今では結構一般的になってあちこちで利用されていますから、するっと使っちゃう人多いけどこういう怖さはあまり知られてないですよね。きちんと告知等があっても良いんじゃないかなという気はします。といっても、具体的にどう怖いのかも分からない可能性がありますが……。

まあ何にしても、重要な情報は安全確実なことを確かめてからやりとりしたいですね。 

*********
【拍手に対して】

幸い代ゼミとは私は関係ないので巻き込まれてはおりません。ご心配ありがとうございました。

リアリティは、仰るとおりマジックワード(バズワード)化していますね。「科学的」や「論理的」というのも、確かにそれに近いです。「常識」もそうでしょうか。何かのことばに託さなければどうしても表現として落ち着いた感じはしないのですが、その内容がどんなものであるかはきちんと考える必要がありますね。 

「リアリティ」を巡って

これももう何度目の話になるのかって感じですが、定期的に出てくる「リアリティ」の話。

ことの発端は、某マーニーと『リアリティのダンス』を観た友人が、「マーニーにはリアリティがない」みたいな話をし始めた。まあマーニーの監督はホドロフスキーじゃないしね、とかそういう話ではなくて、マーニーはリアリティがないから面白くなかった、というのです。

で、毎度言っているのですが、この「リアリティがないから面白くない」というのはわかるけれどわからない。少なくとも、作品のある価値については言いとれているのだろうけれど、それが何なのかがよくわからないんですよね。

経験上、「リアリティがない」という批判の意味するところは、およそ次の4つくらいに分かれるかなと思っています。

(1)自分にとって、リアリティは物語の重要な要素である。それがないと自分は楽しめない。

(2)物語というものの価値は、リアリティにあると思っている。

(3)単に「ピンとこない」とか「理解できない」のような感想を、「リアリティがない」ということばに託している。

(4)作品にとってリアリティが重要な要素のはずなのに、欠けている。 

(1)は、たとえば『テニスの王子様』や『キャプテン翼』のような漫画が、ルールを無視していたり物理法則を無視していることが気になってしょうがない場合などを考えればわかりやすいでしょうか。そもそもフィクションなのだからある程度現実にそぐわないのは仕方がないとしても、あまりにも現実離れしていると興が冷めてしまう、というパターンですね。

(2)は、(1)と似ているようで違います。たとえばかつては、「政治小説こそ最高」にような主義主張がありました。あるいは「小説で革命を起こす」だとか。そういうのと同様に、物語というのは現実に近ければ近いほど価値がある、という考えを掲げるのが(2)のパターンです。これは、(1)のような主観的な話ではなく、客観的な価値付けとセットにして考えるというもので、滅多にいないと思われるかもしれません。確かに自覚的にこの立場をとっている人というのはあまりいないのですが、たとえばギャルゲーのヒロインに対して「こんな女実際にはいねーだろwww」みたいなことを言う人は、無自覚的にこの立場に立っていることがあります(現実に「こんな女」がいないことが、なぜフィクションを楽しめない原因なのか説明はできていませんよね)。

(3)は、おそらくもっとも多いタイプ。自分にとって真に迫るものがない、訴えかけるものがない、ということを、「自分には実感がわかない」というくらいの意味で「リアリティがない」と使っている。(1)と同じく主観的な話ではあるのですが、違っているのは、(1)の場合事実に即していないことを面白いと思うか思わないかが主観的なだけで、「事実に即しているか否か」は客観的に判断ができます。

たとえば、『テニプリ』でいえば、ネットの横から入ったボールがフェアかアウトかは、きちんとルールで決まっているので、それに照らしあわせて「リアリティ」が判断できます。そして、そういうルール無視が気にならないか気になるか、というのが(1)の話。これに対して(3)は、「別れようと思ってる彼氏のために弁当はつくらないでしょ」とか「ほんとうに好きなら、私だったら反対を押し切ってでも告白した」のように、そもそもの「リアリティ」の判断自体が主観に委ねられている場合。だから、(3)の意味で「リアリティ」を問題にする人は、明らかに物理法則を無視した話でも「リアリティがある」と褒めることはありえるわけです。

ただそれは、「ピンとこなかった」ということばを「リアリティがなかった」と言い換えただけで、あんまり説明にはなってないんですよね。もちろん、具体的にこのシーンのここが……と説明されることで「リアリティ」の正体が見えては来ますけれど。

ことわっておくと私は別に、「リアリティ」云々ということばを使うな、と言いたいわけではありません。「リアリティ」だけが絶対的な価値だ、といわれたら反論しますが、(1)や(2)のように立場の1つとして「リアリティ」なるものに価値を置くというのはありえるだろうし、むしろ作品側からの要請としてそういうこだわりのもとに読むほうがいい場合もあるでしょう。それが(4)です。

たとえば野球漫画の『ONE OUTS』。これは、現実の野球の細かいルールを駆使して頭脳プレーで勝つ、という要素が入っています。こういうタイプの作品で、ルールが実は違っていた、というようなかたちで「リアリティ」が損なわれると厳しいでしょう。「膝の裏ペロペロさせてくれって頼んでOKだす美人の先輩なんかいねーよ!!」という批判を受けて『アマガミ』の善さなり面白さなりが些かも傷つくことはないと私は思いますが、作品自体が「リアリティ」を売りにする要素を含んでいるのにそれが無かったとしたら、それは深刻な瑕疵になり得ます。


で、私の友人の「マーニー」批判はおそらく(3)です。要するに、彼自身にとってどうも真に迫るものがなかった、ということだろうと。私はマーニー見てないから、マーニーが「リアリティ」を売りにしていたのかどうかまではわからないんで、話を聞いている限りはですけど。

まあただ、彼は何が気に入らなかったのかがよくわからない。ゆりゆりしい展開がダメだったのか、なんか後半一気に駆け足になるのが物足りなかったのか、「成長」が描けていないように見えたということなのか……。そういうもろもろの、もっとハッキリさせられる部分を適当にごまかしてまとめる「便利なことば」として「リアリティ」が使われる傾向がある、というのは個人的に少し危惧するところではあります。

なので、自分で使うときには慎重に。また、他の人が使っているのを目にしたら、いったいどういう意味の「リアリティ」なのかを見定めてから話に入ろうと(あるいは見定められるように話を聞いていこうと)、そんな風に考えた昨日なのでした。 

C86簡易レポート(16、17日篇)

昨日からの続き。

【16日】
16日は、朝から参加はしませんでした。 というのも、朝は「AUGUST Summer Vacation2014」のほうに参加していたからです。(→「AUGUST Summer Vacation2014に行ってきた話」)

15時半からのKAIブース、田宮秋人先生サイン会に参加するためだけにコミケ会場へ。サインを無事いただきました。田宮先生、ありがとうございました!

その後は、ふらふらと会場巡り。ほとんど人がいなくなった企業ブースなのでかなり快適に見て回ることができ、スタッフの方にお願いして写真とか記念に撮らせていただきました。

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ぱれっとブース。巨大パネルの存在感が凄い。撮っていいですか、と訊いたらご丁寧にスタッフのかたがしゃがんで退避してくださいました。人がハケた後の企業ブースはスタッフの方も開放感があるせいか、割りといろいろ融通してくださいます。

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Viewsブースの仕切りをしてた、なんか偉いっぽい人にも「漢らしい背中を是非」とお願いして撮影させていただきました。「つり乙」のハッピです。ちょっと欲しくなった。買いませんでしたが。

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Front Wingブースのレイヤーさんと、TISブースのレイヤーさん。ショボいカメラしかなかったんですが撮影に応じて下さり感謝。見た中でトップ5に入るくらい似合ってたと思います。構図が悪いのはお察しください。

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カメコのみなさんは基本、女性レイヤーさんのところにいくのですが、「弱ペダ」ブースの男性陣も頑張っていたと思います。携帯会社の人なのかレイヤースタッフなのかわからんかったけど。

あとこの日は、ケロQ×枕でトークイベントがあったのですが、どうもそこにNavelの王雀孫先生が特別ゲストとして参加され、新しく出るラノベのこととか、近況とかを語っておられたようです。あと、お友達がじゃんけん大会でサイン入りローラーボードをゲットしていました。持って帰るの大変そうだな~と思っていたら、『世界と世界の真ん中で』か何かの等身大パネルをお持ち帰り中の人が凄い苦労されてるのを見かけて、この程度で文句言っちゃいかん、という感じになりました。あの方は無事おうちに辿りつけたのでしょうか……。


【17日】
17日は、サークル参加のためのんびり参戦。7時半頃にお友達(zigzagさん)と待ち合わせてサークル入場。もう一人のサークルメンバー(赤戌さん)は一足早く現地に入り、彼の友人関係を回っていたため設営等には参加せず。 

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当日のブースの様子はこんな感じ。

初手のみ、初日に買えなかったCygameのモバマス(デレマス)グッズを買いに西へ行きましたが、基本的には私とzigzagさんが店番をするスタイル。赤戌さんは常に「ファンネル」として飛び回っており、「ご注文の品」をゲットしておりました。時々戻ってきてたので、zigzagさんじゃない人が私の隣にいるぞ!? と思った人は、それが赤戌さんです。まあ、赤戌さん目当てで来られた方は直接連絡とっていたようで、ほとんどこちらには来なかったので助かりました。

今回、西1ホール「に」というのは西館の端のほうで、ぶっちゃけ大手もそんなにおらず、人通りが少ない平和な地域でした。そのせいで、評論ブースらしい閑古鳥状態が前半は続いたのですが(基本的に評論ブースは一気に売り切れることがないので、午前中からあまり人が来ない)、目立たないスペースのぶん、通る人は多くが興味・関心を持って来ておられる感じで、見ていってくれる人は例年よりおおかったです。

ちなみにどのくらい人が少ないかというと、風通し良いし空気も淀んでないしで、座っていて寒かったくらいです、物理的に。東館にいくと、入った瞬間汗が吹き出したので、西が異様に快適だったんですね。曇りがちで気温があがらなかったとはいえ、ピーク時すら汗もかかないし、飲み物も全然消費しなかった……。

同人誌のうりあげは、前にも申し上げた通り45部完売となり、安堵の胸をなでおろしました。また、当日は遠路はるばるいろいろな方がブースにいらしてくださり……。ほんとうにありがとうございました。

15時頃に新刊全てを売り切ったため、撤退。長いようで短い3日間が終わりを告げたのでした。

戦利品等について書こうかとも思ってのですが、まあそれは今度でいいかということで、とりあえずキリのいいところまできたのでおしまい。コミケに参加したみなさん、そしていつもコミケ運営をしてくださっているスタッフのみなさん、お疲れさまでした&ありがとうございました。

また可能ならば、冬にお会いできればと思っております。 

C86簡易レポート(15日篇)

というわけで、ずいぶん遅くなりましたが、8月15日~17日にかけて東京国際展示場で開催されたコミックマーケット86(C86)の感想など。ギリギリ一週間やからセーフ!?


とりあえずコミケは神によって守られたイベントであるという噂もうなずける優遇っぷり。奇跡的な晴れ。

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改めて見るとほんとうに凄い(引用もと:上記ツイート)。


【入場まで】
お盆中とはいえ、金曜日(平日) だったこともあってか、今年は結構人数が少なめだった模様。私は当日夜勤がえりの友人の車で途中まで送ってもらい、始発組より少し早めの5時頃に現地入り。西館(企業)列を目指します。

去年の地獄のような暑さ(コミケ雲が出たとか)を経験しているせいか、私を含め多くの人が「暑さ対策」バッチリという感じ。中には対策しすぎてバカンス状態の人もいましたが……。

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分かりにくいが、写真の方たちはヨーロッパ系のコミケ戦士。

現地に到着して列に入るや否や、列確定のアナウンスがあり、8時45分(予定。だいたい遅れる)の列移動時間まで自由になりました。私はソロ行動なので近隣のコンビニや建物に行って涼をとろうかと思っていたのですが、隣近所の方2人と会話が弾んだので、そのまま4時間ほど、いろいろな話をして楽しい時間を過ごすことができました。

いやー、身近な友人とでも4時間話すって結構大変なんですけど、見ず知らずの人とさらっとそれができちゃうあたり、同好の士が集うコミケの凄いところですね。お2人とも京都からいらしていたようで(知り合いではなかった模様)、私も関西出身なので話があったりとか。あと、『ラブライブ!』凄い。最近ようやくBDを見始めておりまして、お陰でいろんな話についていくことができるようになりました。現状、会話のネタとしてはかなり強力な武器になるなぁ。

ともあれ、普段なら退屈な待機時間を楽しく過ごすことができたのはお2人のお陰です。ありがとうございました。


【入場開始】
そうこうしているうちに、入場に向けた列移動スタート。結局、9時20分頃に動けました。私のいた範囲では、今年は置き引き・熱中症でダウンといった人はいなかったように見えました。

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聖地へ向かう巡礼者の群れの如し。

私は、西ホール軍団としてはそこそこ前の方にあたる、西4ホールの屋外展示場(屋上)の4列目くらいにスタンバイ。途中、階段手前で「体調不良」の人が出て《何か》をブチ撒けたようで、清掃の人が出ていました。エボラが流行っていた時期だけに、コミケ戦士たちもちょっと警戒していた雰囲気。 

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西4ホール屋外に整列している図。一般参加でここまで前に来たのは、実は初めて。

そして、いよいよコミケ開始。拍手とともに、人波がドドドっと動き始めます。

今回は「なのは完売」でお馴染み、なのはブースがそこまで貴重なものを売り出さない。また、ギャルゲージャンルでは相当な集客力を誇るオーガスト/ARIAが出展していないということもあり、どこに人が流れるかが読みづらい状況でした。ただ、「まどマギスタッフ本」がでるシャフト、「ごちうさ」関連でRONDO ROBE、アニメ化控えた「デレマス」を擁するCygame。この辺が大変なことになるのではないかと予想されており、まあ実際その通りだったようです。アニメあんまり関心がなくてよかった……。

私はどこへ行ったかというと、『WA2』のお疲れさま本目当てでLeaf/AQUQPLUSブースへ。しかし、驚いたことに私が並ぶ直前で、列形成中止のアナウンスが流れます。始発以前に着いて列に並ぶことすらできないってどういうこと……。

ただ、これはLeafブースに人が多すぎた以上に、他のブースとの相性問題があったような感じでした。相変わらず恐ろしい人気を誇るぱれっとブースと、限定グッズを抱えるTIS×DMM、VIEWSあたりが近隣に配置され、同じようなところに列をつくっていたので屋外展示場の整列スペースが飽和したんですね。スロープ下も他のブースで占拠されていたようですし。

列形成は中止、再開は未定、という報告を受け、私はさっさとKAIブースへ。グッズ購入で先着110名ほどに田宮秋人先生のサイン会チケットがもらえるということで密かに狙っていました。Leafさんの後で時間があれば……と思っていたのですが、ならば先にということで突撃。無事グッズを購入して、再びLeafブースへ戻ります。

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比較的落ち着いていたKAIブース(撮影は許可をいただいて行っております)。


【混乱のLeafブース】
さて、戻ったのは良いのですが、Leafブースは大混乱に陥っていました。

列形成中止であるにもかかわらず、その形成された列の後ろに、お客さんが勝手に列を作っている状態。スタッフは、「邪魔になるからここに並ばないように」と声をかけておりましたが、次々に人が入れ替わりたちかわりやってくるので、ほぼまったく効果はあがっていません。しまいには諦めて、完全黙認状態になっていました。

私は列から離れたスペースからそれを見ていたのですが、まああれだけ並ばれてしまうと無理やり解散させるのも難しいだろうなぁという感じ。気が立っている人がいれば、暴動にもなりかねませんし。 

結局、その「勝手に作った列」をそのまま正規列にジョイントさせる、という話をスタッフがしているのを聞いたので、私はそのスタッフにコバンザメ。列形成再開のアナウンスのようなものはなく、「最後尾」看板を持った人が移動するのを見て、列の中に入りました。 

そのまま1時間ほど並び、なんとかお昼ごろにWA2本とCDをゲット。あと、買う予定なかったタマ姉のタペも買ってしまった……。恐るべし、場の雰囲気。

で、Leafブースなのですが、まさかの3レジ。しかもレジの奥で物品を捌くスタッフが2名しかおらず、そりゃ列はけも遅いだろうという感じ。品物の手渡し、お釣りの受け渡しでも結構時間のロスがあり、華麗な列さばきとはいえそうにありませんでした。ただでも混雑しているスペースの列さばきが悪いと、そりゃこうなるかなぁ……。

ちょっと感想めいたことを言うと、まぁ自分が非正規列の中にまざっておいて言うのも何なんですが、今回のLeafさんの対応は不味かっただろうと思います。列を捌くのが遅いのは仕方がないとしても、列形成中止に関係する対応がまずい。

列形成は後だ、と言われて素直に立ち去った人が時間的にバカを見たパターンですし、しかもその後「WA2お疲れさま本」は2限をかけていたにもかかわらず品薄になり、1限、売り切れとなっていったわけで。

その後はかなり厳格に見張りをたてて「なしくずし列形成」が行われないようにしていましたが、コミケに来たばかりの新人企業ではないのですから、もうちょっとうまく対応できなかったのかなぁという気がしないでもありません。「WA2お疲れさま本」をはじめ、グッズのできはとても良かっただけに、そういう内容と関係のないところでケチが付いたのは残念でした。

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Leafブース前の巨大パネル。新郎姿のかずさと新婦姿の雪菜。
 

【その後】
一番の目的は達成したので、他のブースを回りましたが、CygameやDMMなどでお目当ての品はほぼ全部売り切れ。密かに購入を検討していた等身大おっぱいマウスパッド、ミカちゃんまで売り切れでした……。ショボーン。そに子は売れ残ってましたけどね! (一応予約受付はあったけどそこまではせず。2万という価格の重さをコミケ会場で感じたので……)

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そに子とミカちゃん、どうして差がついたのか。慢心、環境の違い、生産数の違い……。

その後、お友達に挨拶したり、なんやかんやして帰還しました。


という感じで初日は終わり。天候が崩れることもなく、暑すぎることもなく、比較的過ごしやすいコミケだったと思います。ちょっと私がバタバタしていたせいで最後まで残れなかったのが残念でしたが、ひと通りご挨拶したり狙っていたブツを買えたり買えなかったりという感じで、「いつものコミケらしさ」を存分に味わうことができました。

2日目と3日目の感想はまた明日ということで。 

代ゼミの縮小と教育産業の今後について思うことなど。

コミケの話とかしようと思っていたら、また興味深い時事ネタが飛び込んできたので、先にこっちを……。こうしてどんどんタイミングを失っていく気がしてならない。

 ▼「代々木ゼミナール:7拠点に集約へ 少子化、25校舎整理」(毎日新聞) 
毎日新聞 2014年08月23日 東京朝刊

 大手予備校「代々木ゼミナール」(本部・東京都渋谷区)が、北海道から九州まで全国展開している25校舎を整理し、東京、大阪、名古屋など大都市圏の7拠点に集約する方向で検討を始めたことが分かった。少子化に伴う受験人口の減少が理由とみられる。代ゼミ広報担当者は「情報を把握していないので確認できない」としているが、少子化が進む中、大学とともに予備校や塾の受験産業も大きな転換点に立たされている。

 代ゼミは1957年に大学受験の予備校として開校。現在では予備校の25校舎や芸術系大学を目指す受験生を対象とした造形学校のほか、大学入試対策の模擬試験や高校への授業コンテンツ配信といった各種教育事業を展開している。

 関係者によると、代ゼミは今月、講師らに対し、受験人口の減少や受験生の現役志向を受け、全国的な校舎展開が困難になったと説明。本部校代ゼミタワー▽札幌校▽新潟校▽名古屋校▽大阪南校▽福岡校▽造形学校(渋谷区)の7拠点に集約する方針を示しているという。今年度はこれまで通り運営し、再編は来年度以降になる見通し。講師の配置なども未定で、生徒や保護者らに対しては9月以降に状況を説明するとみられる。

 大学志願者数は、18歳人口が205万人となった1992年に92万人とピークを迎え、その後年々減少。2012年には66万人になり、20年で26万人も減った。今春入試では4年制私立大の46%が定員割れするなど厳しい状況が続いている。【澤圭一郎、坂口雄亮】 

▼教育産業の黄昏
ということだそうで。25拠点を一気に閉めて、7拠点にするというのは正直相当な「縮小」 ですね。しかし、広報担当者が知らないってどういうことなの……。

校舎数自体が7になるわけではないでしょうが(たとえば東京に何校もあるだろうから)、地方からの大手予備校の撤退というのは、他の大手予備校によるパイの奪い合い、あるいは追随した業務縮小などを引き起こすことも考えられ、受験生にとって、あるいは日本の教育産業全体にとってさまざまな影響がありそうです。

記事には、「少子化」と今回の件を絡める内容が見られます。まあ、とても常識的な見解ですね。実際、東京都内の中学・高校でも年々入学者の減少が問題となってきています。またそれと同時に、入学者数を確保すると「質」の問題が出てくる。あまり聞こえのいい話ではありませんが、倍率が下がったことによってこれまでなら不合格だった学生が合格するようになり、全体としての学力レベルが下がる、というわけです。これは、中学高校にかぎらず、大学でも――というか、大学のほうがよりいっそう顕著にあらわれている傾向でもあります。

こうした縦方向の変化は「偏差値」のようなかたちではあらわれない場合もあるのですが(偏差値は、基本的に横の相対評価なので)、聞くならく現場の教職員の間では深刻な問題のようで、いまはどの学校も「数と質」の問題に頭を悩ませているのが現状のようです。


▼代ゼミの凋落? それとも改革?
そんな中、代ゼミが真っ先に「縮小」というのは、私としては少々意外な気がしました。というのも、代ゼミというのはいち早く、教育産業の衰退に対応して新しいビジネススタイルをうちだした予備校に見えていたからです。

私が学生であった1990年代後半、代ゼミといえば「サテライン授業」というのが代名詞のようになっていました。当時、駿台・河合・代ゼミという3大予備校の中で、代ゼミは衛星中継を利用した授業を本格的に導入していたのです。たとえば、私は関西の某都市の代ゼミにかよっていたのですが、そこでの授業には、東京の授業の様子をリアルタイムで中継したものが使われていました。(普通に先生が来るナマの授業もありましたが)

これは当時、学生の側からはあまり評判がよくなかった。というのも、教室が暗くなってノートがとりにくいし、寝ていたり喋ったりする人に注意をとばす先生がいない(監督者の事務員のような人は座っているけれど、ほとんどいていないようなものでした)。また、先生がいるという緊張感がないのでだらけがちだし、なにより先生に質問に行きづらい。まだ新しい試みだったこともあり、そうした負の側面にばかり目が行って、敬遠する生徒が多かったのです。

ただ、東京の人気講師の授業が受けられる、というのはやはりそれなりに魅力的で、「わかりやすい」という評判は徐々に広がっていましたし、「プッチ」(授業に出ないこと)や内職をしても先生からのお覚えが悪くならないということで、自分のペースで学習をしたい人には割りとウケがよかったりもしました。

学生にとってはそんな風に「一長一短」な感じでしたが、予備校側からすればとてもメリットが大きい。まず、全国の授業の一部なり半分以上なりを放送にすることで、人件費が一気に浮きます。もちろん中継の設備代などはかかりますが、先生を何人も雇うのに比べればはるかにマシでしょう。また、その結果教員1人が受け持つ生徒の数が激増するので、教員に好条件を提示することができます。

事実代ゼミは、そうやって優秀な教員をあちこちの予備校から引き抜いたり、自前で育成したりして、「カリスマ講師」を作っていきました。数学の荻野や古典の吉野(現東進)、英語の富田や今井(現東進)なんかが挙がるでしょうか。文系だったので理科はよく知りません。で、その「カリスマ」がまた人を呼ぶ餌となり、学生数が増える……というわけです。

代ゼミは他にも、大手予備校の中でもいちはやく現役学生の指導に力を入れたり、いわゆる国公立・有名私立だけではなく地方私立大学や私大の医学部など「狭い専門性」に特化した方針を打ち出し、予備校業界の新しい道を切り開く試みを行っていました。その代ゼミが、時代の流れに飲まれて撤退戦を演じることになるとは……。諸行無常を感じます。

ただまあ、これが「撤退戦」だというのは記事を読んだ私の勝手な感想なので、もしかすると何か攻めの改革のための準備という可能性は当然ある(たとえば今後は通信教育に力をいれるとか、地元の予備校をフランチャイズ化するとか)ので、規模縮小の一事をもって代ゼミの終焉を予測するのは早計にすぎるかもしれません。どういうことになるかは、しばし様子見といったところでしょうか。(この記事書いた後にいろいろヤバいデータが出てきたので、ほぼほぼ撤退戦で間違いはなさそうです)


▼教育産業の行く末
とはいえ、少子化、更には大手予備校の縮小などという話を聞くと、日本の教育産業に暗い影を見て取る人も多いかと思われます。また、教育産業の衰退は間接的に、日本の教育の土台そのものにも少なからず影響を与えますから、この話題から昨今の小保方問題や科研費削減とあわせて、日本の将来を憂う……というのも、決して大げさではないでしょう。

ただ、今回の記事ではそういう方向にはいかず、意外とまだ教育産業なんとかなるんじゃね? 的な話をしてみたいと思います。

先ほど申し上げたことの、ある種裏返しになるのですが、これまで学力が低くて俗にいう「いい学校」へと進学できなかった学生が、ところてん式に上位校を狙える、そんな状況にいまなりつつあります。ただもちろん、高校にしろ大学にしろ、先生たちは長い間一緒ですしそうそうレベルが下がるわけでもないので、たとえば入試などで要求される学力はそこまで落ち込まないし、授業の内容も学生のレベル低下よりは緩やかなのが基本です。

そうなると、学校の求めるレベルに到達しない学生というのは増えてきて、塾や予備校の需要は当然出てくるし、大学受験生を抱える高校は、受験対策用の専門的な授業なども行う必要に迫られる、ということになります。

ただ、そのやり方というのが問題で、昔よりもいわゆる「落ちこぼれ」やすい層が増えているわけですから、皆と一緒に一斉授業……というのでは効果が見込めない。むしろ、個別に弱点を補強したり、丁寧に教えてくれる家庭教師・個別授業のような形式が望まれるようになってきているようです。

実際、これは友人から聞いた話ですが、十年くらい前から「個別教育センター」なるものを開いている駿台グループでは、予備校と連携して個別授業を行うサービスを実施しているのですが、これの応募者は年々増加傾向にあるのだとか。

つまり、たしかに少子化によって学生の数は減っているけれど、教育を必要とする学生の数はまだ一定以上ある。いや、一人っ子が増えたことなどもあって、学生1人にかけられるお金はむしろ増えていたりもするのだそうです。要するに、客単価があがっているわけですね。

ということは、基本的な方針として教育産業はこれから、「庶民のスーパーマーケット」より「セレブ向けの百貨店」のようなスタイルを目指すべきではないかと思われます。

つまり、これまでの集団授業では充分にフォローしきれなかった層に目を向けて、そこを中心に置くシステムをつくっていく。みんなのための授業ではなく、あなたのための、オーダーメイドの授業。そういうのをウリにして、そのぶん高いお金をとる。

もちろん集団授業も主力として残るでしょうが、人数が減ってきたぶんサービスのクオリティを根本から変えていけば、需要はまだまだ開拓できるのではないでしょうか。

また、代ゼミのように「撤退」する大手が今後も増えていえば、地方都市の中小予備校、塾にとっては大手が奪っていたシェアを労せずして取り戻せるわけで、ある意味チャンス到来です。

そんなふうに考えれば、ちょっと違ったかたちで界隈の動きを見られるのかなと思います。もちろん、そんなに簡単な話でないのもわかってはいるのですが、教育がこれからの日本の支えであることは間違いないし、少しでもクオリティーを保ったまま前に行くしかないですからね。
 
【2014/8/24 追記】
代ゼミ、センターリサーチもとりやめるようで……。これは本格的に経営がアカンのかもしれませんね。データこそは他にはできない大規模予備校の有力な武器・優位性なのに、それを捨てるわけですから。国公立大合格者の数が激減しているという話もあり、「終わりの始まり」感が漂います。

 ▼「代ゼミ、センター試験の自己採点集計も中止へ」 (読売ONLINE)
 全国の拠点の大幅な閉鎖方針を打ち出した大手予備校「代々木ゼミナール」(本部・東京都渋谷区)が全国模擬試験を来年度から廃止することが23日、わかった。

 来年1月の大学入試センター試験の自己採点結果集計・分析は実施しない。模試の分析データは受験生や高校の進路指導などでも参考にされており、影響は大きい。

 代ゼミ広報企画室によると、全国27校のうち、来年3月末で閉鎖するのは、仙台や横浜、京都、熊本など20校。本部校と、札幌、新潟、名古屋、大阪南、福岡の各校、造形学校(東京)の計7校に集約するという。

 4月以降は、「センター試験プレテスト」や「国公立2次・私大全国総合模試」などの全国模試を廃止。大学入試センター試験の自己採点結果を集計・分析し、志望大学の合格判定などを示す「センターリサーチ」は2013年度、全国で約42万人が参加したが、とりやめる。「東大入試プレ」など個別大学志願者向け模試は、存続の方向で検討している。 

同人誌をつくってみて(2)

前回(1)というナンバリングを振ったかどうかも既に怪しいのですが、とりあえず今回の同人誌を作ってみた反省などを簡単に。

1.編集は記事を書けない!
今回、私は編集担当の予定ではなかったのですが、7月末に急に編集長が投げまして……まあこんな小さくて地味なサークルが新刊を落としたら何一つウリどころがなくなるじゃないかということで、私が手を挙げました。まあやったことといえば全方向土下座祭りくらいで、いろんなところにお願いして同人誌を仕上げて「いただいた」という感じなのですが……。なんかこの展開デジャブ感が。

実は今回の「クソゲー」ネタは冬コミ用に用意していたもので、幸か不幸か形があったのと、前回の冬コミ終了時にメンバーやゲストの人に構想だけ話していたので、直前スタートでなんとかゴールまで走り切れた感じです。

まあそういう忙しい状態だったこともあって、今回はほとんどまともな記事が書けず……お手にとられた方は、なにやらいっぱい書いてるように思われるかもしれませんが、私のオリジナル記事は殆どヤケクソみたいなもんです。お恥ずかしい話ろくに推敲もしておらず、自分でも何が言いたいのかよくわからんという。 

逆に、テープおこしだとか月別採点表のまとめみたいな、まさに「編集」っぽい作業のほうはサクサクいったし、それなりにうまく乗り切ったんじゃないかと思っています。まあ、自分でゼロから何かを作るタイプの記事は、おちついて書けなかったということです。

で、これ今回が(も)余りにばたばただったとかそういうのとは関係なく、編集をやるとどうしても自分のことはやりづらいだろうなぁと思います。前回もそうですが、今回もいろんなところにメールしたり、印刷所の予定調整したり、ページ数調整したり、誤字脱字チェックしたり……。そういうので、凄い時間がかかる。

しかも、こういう作業って事実上終わりがなくて、何というか「締切の時間が終わりの時間」なんですよね。つまり、時間があったらあったで、どこまでも完成度を追求できてしまう。すると、結局自分が何かを書いたりする時間というのはあんまりとれなかったんじゃないかなぁと思うわけです。

今回の本の編集は、お世辞にもクオリティが高いとは言えないのですが(最低限はがんばったつもりなんですけどね)、それでも自分が思っていた以上に時間と労力と精神力を消費しました。んで、もっと時間があればなぁ……と思うことがたくさん。編集をきっちりやるというのはなかなかたいへんだと思います。世の編集役の人はほんと偉いですわ……。


2.ありがたいのは締切を守ってくれる書き手
されど編集ばかりでは本はできないわけで……。今回の同人誌、ありがたいことにツイッターやメール、あと直接のお話などで、感想を頂いていたりします。もちろん身内の気遣いで褒めてくれているというのもあるのでしょうが、比較的好意的なご意見が多くて、まあ作って良かったなと。

その功績はぶっちゃけ、今回記事を書いてくれた同人やゲストの皆さんに帰することは間違いないわけですが、本当にありがたかったのはかなり無茶なスケジュールであったにもかかわらず、皆さんきちんと原稿を仕上げてくれたこと。タイムオーバーしたの1人だけでしたからね……。

これはもう、予定が異常に組みやすかったです。もちろん本来ならそこから皆の原稿を読んで、クオリティアップに努めるために話し合いとかもしたかった――実際、同人の1人の記事は論旨が余りにブレていたのと、結論が陳腐ではないかということで編集会議でリジェクトして書き直しにしたのですが――というのはあるものの、 とりあえず弾が揃って「絶対出せる」という状態になっているということは編集にとって非常にモチベーションを高めてくれましたし、校正を含め最後にドタバタすることを極力防ぐことができました。

どんなに面白い内容であっても――もちろん同人誌ですからそういうこだわり、自由さも保障されているとは思いますが――とりあえず「形にする」ことなしに表現が成立しないのだとしたら、やっぱり書き手の最も優れた能力の1つというのは、「締切を守ること」だと痛感しました。

本当に、真面目な同人とゲストの皆さんに感謝感謝です。 


3.カラーの表紙は意外と目立つ
これは売れ行きの話になりますが、いままで白黒。今回カラー表紙にしました。値段は、今回500円。評論系の同人誌、50p弱で500円ってたぶんすげー高いというか強気な設定なんですが、過去最多で売れました。

もちろん同人や私のお友達パワーが炸裂した(ブースに来てくださった皆さん、本当にありがとうございます) 部分はあったのでしょうが、見知らぬ人が手にとって見てくれる率は白黒のそれより高かったです。やっぱりカラーでぱっと見目立つ表紙なのは大事なんですかね。

というくらいでしょうか。なんか他にもいろいろあった気がするんだけど、うまくまとまらないので本日はこの辺で。また思い出したら何か書きます。 
《自己紹介》

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