というのも、「賀正」とか「賀春」という言い方は敬意が省略されており、目上の人に送るのは失礼だ、という話を知らなかったんですね。高校とかの時って、普通に先生に「賀正」って書いたのを出していた気がします。
▼参考「「迎春」「賀正」「謹賀新年」…上司に送って失礼にならないものは?」(マイナビ・ニュース)
「迎春」や「賀正」には、それぞれ文字をご覧いただいて分かる通り、「春を迎えます」や、「正月を喜びます」と言う意味があります。2文字の賀詞は、お祝いの言葉を簡単に表したもので、相手への敬意を省略した形。目上から目下に送る場合は構いませんが、目下から目上の方へ送ると失礼にあたります。その場合は、相手に敬意を表す意味が含まれる「謹賀新年」や「謹んで初春のお慶びを申し上げます」といった言葉を使うのがふさわしいでしょう。
大学に入ってすぐくらい、お世話になっていた先生に賀状を出してすぐ、たまたまこのことを知り、急いで年賀状を差し止め(郵便局にいって申請すれば、配達を待ってもらうことができます)、 新たに書き直したものでした。
そこまで気を使わなくても……と言われそうですが、年賀状の類というのは出すだけでは不十分で内容も問われるというか、出したほうがかえって失礼というか、 そういうふうに受け取られる場合があるので……。正直、こなかった人間はあんまり覚えてないけど、変なのを送ってきた人というのは覚えられてしまいますからね(´・ω・`)。
そんなめんどくさい賀詞ですが、最近では横文字の年賀状も増え、「HAPPY NEW YEAR」という表記を見るようになりました(印刷はだいたいこっち)。ただ、「A HAPPY NEW YEAR」と書いている人もいて 、どっちが正しいのか、あるいはどっちでも良いのかというのはちょっと気になっていまして、先日カナダのネイティブに訊いたら「A HAPPY NEW YEAR っていうのはあんまり言わないなぁ」という返答。でも、「We wish you a Merry Christmas には、Aをつけるよね」っていうと、「うーん……」と唸って、結局よくわからん、という結論になりました。
で、ちょいとネットで検索かけてみると、こんな話が。
▼「A Happy New Yearと Happy New Yearのどっちが正しい?」(広瀬直子の英語セラピー)
英語で「新年のご多幸をお祈り申し上げます」というようなことを示す表現が、
I (we) wish you a happy New Year.
という文。これは文としての要素が満たされていることが必要なので、「1年」の1という意味の 「a」 をつけなければいけません。"I wish you happy New Year." は a が抜けていて間違いです。
しかし、"thank you" から主語「I」が省略され、文になってないのに慣用表現として使われているのと同じで、あいさつとしての "happy New Year" は慣用表現になっているので、実際に人間を前にして「あけましておめでとうございます」という意味で使う場合は 「a」 をつけないほうが自然です(私の経験では、口語のあいさつではつけない英語人がほとんどだったと思います)。
どうやら意味が違う、ということのようです。「A HAPPY NEW YEAR」は、偶然にも私が例として引き合いに出したクリスマスのそれと同じように、「I wish」が本来はあった。あるいは仮定法的なニュアンスが気になるなら、「I hope you will have a happy New Year!」のほうが良いのかもしれませんが、それはさておき。つまり、来るべき新年に対して年末に行う挨拶が、「A HAPPY NEW YEAR」。日本語だと「よいお年をお迎えください」にあたりそう。
いっぽう、「A」を付けずに「HAPPY NEW YEAR」と言うと、これは慣用表現としての「あけましておめでとう」なので、新年を迎えた後に行う挨拶、ということのようです。
ということは、年賀状に書くのは「A」を付けないほうが正解なんでしょうね。新年になってから受け取るものですから。
めんどくさいですが、挨拶のことばとかはきちんと使いこなせるようにしておけば、恥ずかしい思いをしたり「やっちゃった!」と冷や汗をかくことが減るかもしれません。