よい子わるい子ふつうの子2(仮)

18禁PCゲームをメインに、ラノベや漫画についてもダラダラ話を書きます。長文多いです。

2012年06月

IDOLM@STER 2仕様のオリジナルノートPCが発売らしい話。

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(C)窪岡俊之 (C)NBGI

公式:予約用特設サイト

PC Watchさんの記事によれば、デジクラフトさんから、「「THE IDOLM@STER 2」仕様のオリジナルノートPC」が発売されるそうです。実は隠れアイマスファンの私としてはちょっと興味アリ。

モデルは4種類。完全受注生産で、受付は2012年8月31日まで。出荷は10月末とのこと。ちなみにキャンセル不可なので、ご利用は計画的に。

小鳥さんの新規録り下ろしシステムヴォイス・オリジナル壁紙などのオプションも多数。

気になるお値段のほうは、ネットブックモデルが79,800円(税込)。エントリーモデルが99,800円、スタンダードモデルが120,000円、ハイスペックモデルが160,000円。OSは、基本全部Windows7のHomeのようです。

スペックを見ている限り、ちょっと割高かなと思わないでもない。ネットブックモデルの詳細スペックはこんな感じですが、たとえばマウスコンピューターのほぼ同スペック、SSDが半分(60G)のモデルだと、4万円くらいです(参考)。まあスペックで買うものではないですし、十分実用の範囲なのですが、お金に余裕が出来たら買おうかなあ、程度。どうしても欲しい! という感じではありませんでした。なんかこの手の商品については「買わないと思います」パターンが板に付いてきた(笑)。ステマには向かない性格です。

グッズとしては実用性もあり悪くないと思うし、常にナムコプロのアイドルたちと一緒に行動できると思ったら思い切っても良いんですけどね……。ネットブック以外のモデルは見送り。

というわけで本日は、アイマスPCのご紹介でした。ではでは、また明日。

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「「TGフロンティア」と転載の問題について

既にご存知の方も多いでしょうか、エロゲー界屈指のメジャー誌、『テックジャイアン』さんがレビュー投稿サイトを立ち上げました。その名も、最強美少女ゲームレビューサイト「TGフロンティア(Tech Gian Frontier)。以下、「TGF」さんという略称で呼ばせて頂きます。

関連記事:「TGFさんのその後の話」(2012年7月8日)

▼「最強」の利用規約
非常に特徴的なのがその利用規約 ※本記事の末尾に全文を引用しておきます。

何と言っても目を引くのは、権利帰属に関する第8条。「無期限かつ無償で、「投稿情報」の全部または一部を翻訳・翻案のうえ複製、出版、販売、頒布、展示、公衆送信(自動公衆送信可能化を含みます)等することができるほか、当該行為を第三者(以下「再許諾先」といいます)に許諾することができるものとし、会員は、この旨予め異議なく承諾する」――。どうも、掲載されたレビューについては《投稿者の名前だけ残して好き勝手に使う》(悪意ある翻訳ではなく、わりとそのまんま書いたつもりです)ということのようです。

TGFさんの狙いとしてはおそらく、雑誌掲載を展開を考えつつ、それをモチベーションとしてレビューを書きに来てくれる人を探す……読者投稿欄の出張というか、そういうイメージで考えておられるような気がします。うがった見方をすれば、無料で雑誌のネタを集めようみたいな感じかもしれません。少なくとも、独自のランキングデータには利用できるでしょう。また利用者が大規模になれば当然、広告媒体としての価値が出てくるし、市場への影響力も強くなる。業界での地位は今よりも向上します。そのあたりが狙いかな、と。

良いレビューを集めて出版する気じゃないか、みたいなことも囁かれていましたが、たぶん素人のレビューをかき集めてできあがった本を買う人はそう沢山いないので、その可能性は薄いと思います。

もし自分のレビューが雑誌に載れば嬉しい。そう思う人も多いでしょう。しかし一方、レビューが勝手に使われることに不安を覚える人も少なくないハズ。さまざまな規約、特に第9条「会員の義務」によってトラブルを防ごうという配慮は見えるのですが、ちょっと怖いところもある。

たとえば、「会員が本条の義務に違反したことにより、エンターブレインに損害が生じた場合、当該会員はエンターブレインに対し、その損害を全額賠償するものとします」という文言。きちんと義務を守れば良いわけですが、その義務には「その他、エンターブレインが適当でないと判断した行為」を行ってはならない、などとある。これは何というか、非常に曖昧です。具体的な運用の実態が見えないだけに、無茶なことを言い出さないか不気味。

そもそも、この手のサイトとしては私程度でも投稿している程メジャーな「Erogamescape」さん(以下、ES)があるのに、どうしてわざわざ類似のサイト立ち上げるの? とか、データ数が分散して足の引っ張り合いになるんじゃないの? とか、いろんな疑問が沸いてきます。ただ、折角新しい投稿サイト、しかも企業が運営母体であることから、軌道に乗りさえすれば潤沢で安定したサービスを受けられる(かもしれない)場が提供されたわけで、積極的に参加・利用して快適なエロゲーライフを構築したい、という想いもあります。

そうなると当然、TGFさんという特殊な環境のルールを理解し、メリット・デメリットを考えて投稿していくほうがよさそう。何も考えずにESさんと同じことをやっても芸がないし、ついでにトラブって大けがでもしたら馬鹿馬鹿しいですから。

とはいえ、「見えない不安」について想像を逞しくしていても仕方がないので、ちょっとTGFさんにからんで現在進行形で発生している問題についてピックアップしてみようかと思います。

▼投稿者、media_clipさん
当初皆が「様子見」をしてほとんど投稿が無かったTGFさんですが、6月19日から20日にかけて、突如として大量のレビューが登録されました。その数、実に899件。投稿者は全て、「media_clip」さん。

……ん? 何か聞いたことのある名前……。そう、「Media Clip」さん(以下、MC)といえばまっ先に連想されるのは、アダルトエンターテインメント情報の発信を試みている情報サイト。複数のライターさんがそれぞれに書いたエロゲーの攻略やレビュー記事を、集めて掲載しておられるところです。レビューの内容を幾つか対照させてみたところ、どうもTGFさんの投稿記事はMCさんから転載されたものでした。一部では、MCのスタッフがもともとエロゲー雑誌関係者であった(経歴はスタッフ紹介に載っています)ことなどから、「提携関係にあるのではないか」といった憶測が流れていました。

ところが、先日『姉と俺はナカが良い』の記事を書いておりまして、その途中でMCさんに立ち寄ったところ、意外なコメントを発見します。面倒なので、全文掲載。なお、太字は私が勝手につけたものです。
かなり急ぎの仕事をしているときに限って面倒ごとが起こるという不幸……。この記事は1日寝かせてしまいました。TwitterのTLで記事が転載されていることを知り悩んでいたからです。記事を追加すると某所に転載されるおそれがあるため、どうしたものかなと。とりあえず読者の方も何が起こっているのかわからないと思うので、自分が把握している状況を記しつつ、今回は記事を掲載しておきます。某所の件は3月頃に記事を転載させてほしいと問い合わせがあったことを聞いていましたが、その後は現時点(2012/06/23)まで自分は先方に会ったことも話したこともないので、Webサイトのコンセプトも記事の転載に許諾を与えた際の条件なども一切聞いていません。そもそも判断できる状態にもなっていないため、少なくとも自分の記事に関しては今のところ転載を許可していない状態です。Media Clipは記事数が多いから記事の取得はScriptを書いて一括処理だったと思うので、(先方だけでなくこちら側も含めて)どこかで情報の錯誤があって手違いで自分の記事も誤って公開設定にして掲載されているのかもしれません。先方にはできるだけ早く自分のように許可を出していない人の記事は削除していただき、許可した人の記事だけにするよう願いたいところです。もちろん、この作品の記事を転載することはお断りします。

記事を書かれたのは、伊織舞也氏。ここで氏は、過去のレビューが「某所」に転載されているが許可は与えていない、とおっしゃっています。状況的にこの「某所」、TGFさんのことかなと思ったのですが、確証も無い。著作権がらみの複雑な問題となりえるだけに憶測は怖かったので、とりあえずメールで問い合わせてみました。

問い合わせた内容は、以下の三点。
 1.伊織氏の言われる「某所」とは、TGFさんのことか。
 2.media_clip名義での投稿は、MCさん公認なのか。
 3.公認であった場合、記事の権利帰属はどのようになっているのか。

これに対して伊織氏は非常にご多忙な中、即座に丁寧なお返事をくださいました。1ユーザーの些末な質問に真摯に向き合っていただきましたこと、この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

で、ご回答は要約するとこんな感じ。(「某所」=TGFであると公開することについては、伊織氏よりご許可を頂いております)

まず、「某所」とはTGFさんのことで間違いがない。次に、「Media Clip」は複数のスタッフが関わって作ったもので、「各ライターは独自行動」である。Media Clip全体として仕事を受けることもあるけれど、非常にレアケースで、今回はそうではないつもり。現在引退して連絡がとれないスタッフもいるので、投稿されたレビューの全ての許可が取られているということは無い(少なくとも伊織氏は許諾をしていない)。ただし、全員ではないだけで個別に転載を許諾しているスタッフはいる。最後に、権利帰属については「聞いていないので現状においては不明」だそうです。

誤解を招かないようにあらかじめことわっておきますがこの記事は、TGFさんが無断転載した、権利侵害だ、と言うための記事ではありませんし、事実関係としてもそんな単純な話では無いと思われます。これは、妙な「TGF叩き」が発生しないよう、大きな声で言っておきます。

伊織氏も「(先方だけでなくこちら側も含めて)どこかで情報の錯誤があって」と書いておられる通りです。というのも、MCのスタッフの中には現在、『Tech Gian』誌で仕事をしておられる方が2名おられ、そのお2人は、きちんと転載の許可を出しておられるとのこと。恐らくはそこからMC全体の記事の転載許可がでたものと早合点し、他の方のレビューも掲載してしまった、というのが実状ではないでしょうか。1人1人のライターの方の記事を、サイトの記事と混同してしまったために生じた行き違いのように思われます。先方(TGFさん)に伝われば、すぐに対処がなされるのではないでしょうか。

伊織氏ご自身がお忙しい状態のため、まだ正式にエンターブレインさんに問い合わせをしていないようですし、TGFさんがお2人以外の方が書かれた記事を取り下げていないのもむべなるかな。この件に関して当事者でもない人間が出しゃばったり、これ以上憶測をするのは止めておきたいと思います。

ただ、個人的にちょっと首をひねりたくなるのは、転載に際して行われている改変。

たとえば、『淫薬依存学園』のレビュー伊織氏の書かれた元記事ではプレイ時間が「1play50分」。これが転載後は「0.8時間」となっています。50分と48分は違う! 細かすぎますか。では、これはどうでしょう。

TGFでは「40点」となっていますが、元々の伊織氏の点数は、「☆☆」です。これは氏の評価基準を参照すると、「過去1年程度の作品と比較した結果で、コストパフォーマンス的に15%以上劣っているんじゃないかと感じた場合に付けているスコア」ということです。ちなみに「☆☆☆」は、「過去1年程度に発売された作品と比較して、クォリティーが平均から±15%以内に収まっていると感じたら付けています」とある。つまり、「☆=20点」では全く無い。そもそも、絶対評価でなく過去1年を参照にした評価です。伊織氏の、おそらくはさまざまな条件を勘案した末に導かれたであろう採点基準を、無造作に「40点」としてしまうのは移植作業としては雑だし、ご本人の許可を得ていないものであるというならば尚のこと、疑問を感じます。

勿論これとて、転載許可を出されたお二人についてはそれで良い、という風に言われたためにこうなったという、不幸な行き違いから生じたことなのかもしれません。ですが、そうだとしても書き手が違うことには気づいて欲しいし、書き手によって採点基準が違うかもしれないことは意識して欲しい、というのは贅沢でしょうか。

900近いレビューを2日で転載したのだから……というのはあるのかもしれませんが、それだと移植を優先するあまり、一つずつのレビューを雑に扱ったということになってしまいます。少なくとも「利用規約」でうたわれている「全部または一部を翻訳・翻案のうえ複製、出版、販売、頒布、展示、公衆送信」が今後、このようなレベルで行われるのであれば、ちょっとレビュー書くのを躊躇ってしまうのが正直なところです。レビュアーが、1つ1つのレビューと真剣に向き合っているということを、せめて認めて欲しいですから。

※今回の「転載」がTGFさん主導で行われた、という前提でお話ししていますが(というか、それをTGFさんに聞けば良かった。でも、他のユーザーのプライバシーにあたるのかな……)、事実が全く異なっていて、それこそ第三者のイタズラの可能性も勿論あります(900も転載する暇な人がいれば、ですが)。もしそうであれば上の話は的を外した失礼な内容ですが、以下述べることはそれとは別に、述べることができる内容だと考えます。

▼持ち上がる、「転載」と規約との問題
さて、話を戻しましょう。今回の伊織氏とTGFさんの間に生じた件から、私たちには一つの重大な問題が見えてきます。それは、転載主に関する問題です。

伊織氏はご本人が現役で活動しておられたので、手違いで転載されてもすぐに気づくことができました。しかし、これがもしずっと更新が止まっているホームページからの、第三者による「転載」だったらどうでしょうか。

転載した本人は、「こんな良いレビューが埋もれているなんて勿体ない!」と思って、善意で転載したのかもしれません。しかし、TGFさんに投稿した瞬間、そのレビューは自動的に改変されて別物になる可能性が出てくるのです。これは、非常に厄介な問題です。

善意ならまだしも、明らかな盗用の意図をもって書いた本人とは別の名義で転載を行ったり、悪意をもって本人になりすましてIDを作成し、レビューを投稿しまくる、といった可能性は当然ありえる。そこからTGFさんの改変を経て妙な拡散をして、トラブル発生……なんてことも想像に難くありません。

そもそも、「なりすまし」は非常に発見が困難です。たとえば私が、5年前に某サイトに寄稿したレビューを「OYOYO」名義で投稿したとして、当時使っていたHN(たとえば、「ポヨヨ」とでもしておきましょうか)は全然違います。だから、いざ同一人物だと証明しろと言われても困る。

「ポヨヨ」名義で、私の過去のレビューを投稿する偽物があらわれたとして、私自身はもはや、自分が「ポヨヨ」であることを証明する術がほとんどありません(当時の関係者をしらみつぶしにあたる、ということを除けば、せいぜい文体くらいです)。ネット上で勝手に名乗られるくらいなら放置でも構いませんが、それが「一部を翻訳・翻案のうえ複製、出版、販売、頒布、展示、公衆送信」されるかもしれないとなると、ちょっとイヤだなあ、と思ったりもします。まあ、私のレビューを転載する物好きはいないと思いますが、魅力的なレビュアーさんや有名なレビュアーさんだとそういうことがあるかもしれません。

このパターンで厄介なのは、既に述べた通り「当人が引退している」場合。大手レビューサイトのESさんなどでも、引退した方のレビューが今でも可読状態で残っていることは多々あります。そういうものを、本人になりすましたり、あるいは別名義で投稿されたとしたら……? この場合、「無断転載だ」と訴えるべき本人がそもそもTGFさんを見ていない可能性がある。

では、TGFさんは全く無関係な第三者からの「通報」を頼りに、記事の差し止めをしてくださるのでしょうか。まあ聞いてみないとはじまらん、ということでこちらも問い合わせをしてみました。お返事は以下。
ご本人様以外からご連絡いただいた場合につきましても
ご指摘箇所を調査いたしました上で然るべき対応をいたします。

なお、対応の進捗・結果につきましては、お知らせいただいた方へ
個別にご報告はしておりませんので併せて予めご了承ください。

第三者からの通報(非親告)もOKだそうです。

これなら、さしあたりの問題はクリアーされそう。よかったですε-(´ー`*)。しかし今度は逆に、気に入らないレビューを潰すために、「あれは無断転載だ」のような悪意あるデマを流す人が出てこないとも限らない。たとえばですが、ある作品に異常なまでの愛情を注ぐ人が、思いあまってDis記事を消しにかかる。可能性は、高くもないけれど笑って流せるほど低くもない気がします。

やりようなんて(書きませんが)いくらでも思いつくし、ガチの工作員でなくても、愉快犯ならば時々出てきてもおかしくない。そしてそんな事態になったとき、調査にはマンパワーが求められる。確認のメール送ったりする程度でも、10件とか発生すると面倒な量になります。

企業がついているサイトとなるとサポートのよさに期待したくなるのですが、こういった個別の複雑な案件が重なったときどこまで対応できるのか、いささか不安です。何が不安って、これ一応「お仕事」でTGFさんはやってくださっているわけですから、余りに割に合わないとすぐ撤退、という可能性もあるんですよね……。かといって放置すると叩かれるのは目に見えていますし、痛し痒しというやつです。まあそれはどんなサイトでも同じかもしれませんが、何をするにも人件費がかかるというのは、とりわけ企業であることが足枷になりやすい部分にも思われます。

不安点を整理すると、以下の2点。
 1. 転載を巡るトラブルが予想されるが、転載者の身元調査は可能なのか。
 2. この手のトラブルに対応できるだけの準備(主に人員的な)があるのか。

心配のし過ぎでしょうか。そうかもしれません。ただ、ユーザーとしては心配したくなる事情があるのも理解してほしいな、とは思うのです。

▼第8条は誰がために?
投稿型レビューを採用しているところでは、こんな問題、当然のようについてまわります。それこそAmazonレビューにだってあるでしょう。全て承知のうえで、レビューサイトに転載されるだけであれば目くじらをたてなくても良い、という寛容な人もおられると思います。ただ、普通以上にTGFさんでこれが重要な問題となるのはたぶん、「なりすまし」がどうこうというよりも例の規約に起因するものだと思われます。

TGFさんが投稿されたレビューを自由に扱って良いという第8条。これがやっぱり凄く特殊な効き方をしてくる。自分の書いたものが、自分の知らないところで誰かにいじられていたら、誰だっていい気はしない。まして、商用利用されるかもしれないとなると尚更です。そして、「無断転載」だったことに商用利用された後で気づいても、後の祭りです。

いっそ、一切の転載を禁止して、転載・あるいは一定以上の引用が発覚した時点でアカウント停止にすれば良いのではないかと思うのですが、それだと現状、レビューの数が集まらないんでしょうね。なんせあんまり新規投稿は無いし、転載がほとんど。この記事を書いている6月28日現在、サイトの公式ツイッターもフォロワー数50人未満という寂しい状況です。レビューがないレビューサイトなんてギャグにしかならないので、まずは集めたいのが本音だろう、と。

TGFさんがどういう意図でこの第8条の規約を作ったのか、その辺ははっきりわかりません。しかし普通に考えれば、レビュー書いたり読んだりを楽しむうえでは全く不要の規約です。つまり、ユーザーのための規約ではなく、TGFさんのメリットに繋がる規約なのだろうと推測できます。そしてその規約のせいで、投稿者の作品を扱う姿勢がいい加減なものになっては本末転倒。ましてTGFさんは雑誌が主体のサイトであり、この手の問題には最も気を遣う立場のはず。そう考えると、かなり苦しい条項に思えてきます。

粛々と自分の書いたレビューを投稿してさえいれば問題ないと言われればその通りです。ただ、自分の書いたモノが使われるかもしれない(そんな可能性はほとんど無いと思いつつも)となると、その書いたモノがどの程度大事に扱って貰えるか――レビューの取り扱いに対するサイトさん側の姿勢が気になるのは人情ではないでしょうか。ことと次第によっては、普通の投稿型サイトさん以上に投稿者の素性を巡る問題が起きやすくなるようにも思われます。現実問題として既に、その辺の権利関係を巡る「事件」も起こっているわけですし。

他にも色々気になることはあるのですが、TGFさんというサイトの魅力とか意義とか、戦略であるとか、そういうものはひとまず度外視して、現実に生じた問題(転載を巡る権利関係の問題)に基づき、今後TGFさんに自分が投稿すると考えた場合、気になることを限定的に述べてみました。結局、(おそらくは必要以上に)敏感にならざるを得ないのは、規約の第8条の得体が知れないからではないか、という気がします。一体何に、どんな風に使うのか。私に限って言えば、あれさえなければ普通に書き込んでました。

まあ誰もお前のレビューを何かに使ったりしないよ、と言われそうですし私もそりゃそうだよねー! と思いますが、全文でなくてもたとえばその作品に寄せられた全員の感想を「切り貼り」して1つの感想を作る、という(PULLTOPさんが最近『この大空に、翼をひろげて』のレビューコンテストで行ったような)ことも考えられる。ああいうのがガンガンされるとなると、やっぱり躊躇います。少なくとも自分の感想は、そんな風に「パーツ」にしてほしいとは思わない。

もちろん今後、何か凄く魅力的なコンテンツが生まれて、あの規約がものすごく重要な意味を持つようになったら、手のひらを返すと思いますが(笑)、現時点ではちょっと様子見したい気持ちが勝っています。

何にしても折角できた新しいレビュー投稿サイト。エロゲーライフを楽しむ為に、有効活用出来ればと思います。結局、レビュー投稿するサイトなのか、情報を集めて購入の参考にするためのサイトなのか、いまひとつはっきりしないのも使いづらさの一因かもしれません。

まだまだ超えるべきハードルは多そうですが、面白そうなアイディアもあると思うので、サービスが軌道に乗って欲しい。ただやっぱり、投稿したレビューの処遇をTGFさんに任せるかどうかは、せめて投稿者に承諾をとって選ばせる形にして欲しいなあ。

今回の記事では、新しい投稿サイトを使ってみたいけれど使うのを躊躇っている1ユーザーの不安というか懸念というか、そういうのを書き起こしてみました。TGFさんに有意義な内容かはさておき……。

うーん、あんまり批判的な内容にしないようにしたかったのですが、ちょっと偏っているでしょうか。でも何というか、許可出ていないレビューを転載してしまったのはミスだとしても、よそのレビュー内容をまるっとベタ移植するのはなんかかっこよくないし、そのノリのままで投稿されたレビュー勝手に使いますというのはやっぱり印象あんまりよくないですよね……。そこは包み隠さず申し上げておきます。

というわけで本日はこれまで。お疲れさまでした。最後に参考として、TGFさんの会員利用規約全文を掲載しておきます。

▼TGフロンティア会員利用規約

第1条(本規約の適用)

・ この規約(以下「本規約」といいます)は、株式会社エンターブレイン(以下「エンターブレイン」といいます)が提供する本規約第2条の「本件サービス」を、同条に定める「会員」が利用する場合の一切に適用されるものとします。

第2条(定義)

・ 本規約において使用する次の用語は、次の内容を有するものとします。

・ 「本件サイト」とは、エンターブレインが主催・運営する情報サイト「TGフロンティア(TG FRONTIER)」のことをいいます。
・ 「本件サービス」とは、エンターブレインが「本件サイト」を通じて「会員」に提供する本規約第6条第1項記載のサービスを総称していいます。
・ 「会員」とは、本規約を承認の上、本規約第3条の登録手続を完了した個人をいいます。
・ 「パスワード」とは、本件サービスを利用するために必要となる英数字からなるアカウントのことであり、会員1名に対して1アカウントずつ発行され、個人を識別する指標と なるものをいいます。
・ 「投稿情報」とは、エンターブレイン所定の方法により、「会員」が「本件サービス」を利用して投稿する情報をいいます。
・ 「ユーザーID」とは、会員が本件サービスを利用する際に使用する名称をいいます。

第3条(登録手続)

・ 本件サービスの利用を希望する者(以下「登録希望者」といいます)は、エンターブレイン所定の方法により、本件サービスの利用を申し込むものとします。
・ 会員は、登録事項に変更が生じた場合には、エンターブレイン所定の方法により速やかに変更の届出をしなければなりません。

第4条(パスワードの保管)

・ 会員は、パスワードを善良なる管理者の注意をもって保管・管理するものとし、会員以外の第三者に開示・漏洩してはならず、若しくは当該第三者をして使用させてはならないものとします。
・ エンターブレインは、パスワードの喪失、盗難、漏洩、会員及び/又は第三者による不正使用、その他の事由により会員に生じた損害については、エンターブレインに故意・重過失のある場合を除き、会員に対して何等の責任も負わないものとします。万一、当該事由によりエンターブレインに損害が生じた場合には、エンターブレインは会員に対し、当該損害を全額賠償請求することができるものとします。

第5条(個人情報の取り扱い)

・ エンターブレインは、登録希望者及び会員から提供された個人情報については、エンターブレインのプライバシーポリシーの定めるところにより、適正かつ適法に取り扱うものとします。
・ 前項に定めるほか、エンターブレインは、会員から提供された個人情報について、自己の営業に関する連絡(執筆依頼等)のために利用することができるものとします。

第6条(本件サービス)

・ 本件サイトにおいて、会員が利用できる本件サービスは、次の各号に定めるサービスをいうものとします。
・ レビューログサービス(ユーザーレビュー投稿サービス)
・ 本件サービスの対価は、無償とします。

第7条(会員による投稿)

・ 会員は、本件サービスの利用にあたっては、本規約に定める会員の義務を遵守し、適正かつ適法に利用するものとします。
・ エンターブレインが投稿情報の内容等につき、本規約第9条第2項各号のいずれかに該当すると判断した場合には、当該投稿情報を投稿した会員の事前承認を得ることなく投稿情報(当・ 該会員の投稿情報の全部又は一部)を削除・公開停止等する措置を講ずることができるものとします。
・ 前項の場合、エンターブレインは会員に対し、投稿情報の削除・公開停止等の措置に先立って、真偽・内容確認等の目的で問合せをすることがあります。会員が当該問合せに対して、7日以内に回答を行わない場合には、エンターブレインは投稿情報の内容の如何に関わらず、投稿情報(当該会員の投稿情報の全部又は一部)につき、削除・公開停止等の措置を講ずることができるものとします。また、エンターブレインは、会員へ問合せを行なった場合であっても、会員からの回答を待たずに、また、回答の内容の如何に関わらず、前項の措置を任意に講ずることができるものとします。
・ 会員は、エンターブレインによる前二項の措置に対して、如何なる請求・異議の申立て等もできないものとします。

第8条(権利帰属)

・ 「投稿情報」に関する著作権、その他の権利は、当該会員に帰属するものとします。
・ 前項にかかわらず、エンターブレインは、無期限かつ無償で、「投稿情報」の全部または一部を翻訳・翻案のうえ複製、出版、販売、頒布、展示、公衆送信(自動公衆送信可能化を含みます)等することができるほか、当該行為を第三者(以下「再許諾先」といいます)に許諾することができるものとし、会員は、この旨予め異議なく承諾するものとします。
・ 前項の場合、エンターブレイン及び再許諾先は、当該投稿情報を投稿した会員のユーザーIDを明記・明示して利用することができるものとし、会員は、この旨予め異議なく承諾するものとします。

第9条(会員の義務)

・ 登録会員は、本規約に定める一切の義務を誠実に履行するものとします。
・ 登録会員は、本件サービスの利用にあたり、次の行為を行なってはならないものとします。
 ・ 公序良俗・一般常識に反する行為
 ・ 虚偽の事実を投稿する行為
 ・ エンターブレイン及び/又は第三者の権利(著作権、商標権、名誉権、肖像権等)、利益、名誉、感情を害する行為、若しくは害する恐れのある行為
 ・ 個人情報(本名、住所、電話番号、メールアドレス、銀行口座等)を公開する行為
 ・ 営業行為、及び営利を目的とした販売・譲渡、及びこれらを勧誘・斡旋する行為
 ・ 特定の個人・団体等を誹謗・中傷する行為
 ・ なりすまし行為(特定の人物・団体等を装う行為)
 ・ 選挙の事前運動、選挙運動又はこれらに類似する行為、及び公職選挙法に抵触する行為)
 ・ 犯罪行為を助長・促進する行為
 ・ 宗教活動又はこれらに類似する行為
 ・ 寄付を呼びかける行為
 ・ 犯罪行為を助長・促進する行為
 ・ コンピュータウィルス等の有害なプログラムを、本件サービスを通じて利用・提供する行為(スパム行為を含む)
 ・ 本件サービスのシステムに損害を与え、またはその運営を妨げる行為(不正アクセス行為、スパム行為を含む)
 ・ 法令・法律・規則・命令に違反し、または違反する恐れのある行為
 ・ 登録会員及び/又は第三者が管理・運営するサイトへのリンクを設定する行為
 ・ エンターブレインの承諾を得ずにアフィリエイトのリンクを設定する行為
 ・ 他の会員及び/又は第三者の個人情報を収集する行為
 ・ 1人の会員が複数のパスワードを取得する行為、もしくは1つのパスワードを複数人で使用する行為
 ・ その他、エンターブレインが適当でないと判断した行為
・ 会員が本条の義務に違反したことにより、エンターブレインに損害が生じた場合、当該会員はエンターブレインに対し、その損害を全額賠償するものとします。

第10条(本件サービスの停止等)

・ エンターブレインは、会員が以下の各号のいずれかに該当する場合には、当該会員による本件サービスの利用を一時的に停止し、あるいは会員資格を取り消すことがあります。
・ 本件サービスの申込に際して虚偽の事項を申し出たことが判明したとき
・ エンターブレイン、他の会員、その他の第三者に損害を与え、又は与える恐れのある行為をしたとき
・ 本規約に違反したとき
・ 本件サービスの健全・スムーズな運営・利用を妨げる行為をしたとき
・ 本項各号に定める行為を、教唆・幇助・助長する行為をしたとき
・ 合理的な理由なく、エンターブレインからの本人確認に応じず、あるいはこれを拒んだとき
・ その他、エンターブレインが登録会員としてふさわしくないと判断したとき
・ エンターブレインは、前項により本件サービスの停止又は会員資格の取消をするときは、エンターブレイン所定の方法により会員に事前に通知します。但し、違反の程度が特に甚だしく、緊・ 急を要する場合、あるいはエンターブレインがやむを得ないと判断した場合には、この限りではありません。

第11条(本件サービスの中止・中断)

・ エンターブレインは、次の場合には、本件サービスの提供を中止・中断できるものとします。
・ 本件サービスを運用するための設備及び/又はシステム等の保守・点検をするために必要であるとき
・ 天災、戦争、停電、通信事業者の設備障害等により本件サービスの提供ができないとき
・ その他エンターブレインが必要であると判断したとき
・ エンターブレインは、前項の理由により本件サービスの提供を中止・中断する場合には、中止日・中断日の1ヶ月前までにエンターブレイン所定の方法により、その旨を会員に通知するものとします。但し、緊急止むを得ない場合は、この限りではありません。

第12条(本件サービスの廃止)

・ エンターブレインは、営業上の理由若しくはその他の理由により、本件サービスを廃止することができるものとします。この場合、エンターブレインは会員に対し、廃止日の1ヶ月前までにエンターブレイン所定の方法により、その旨を通知するものとします。

第13条(期間)

・ 本件サービスの利用期間は、本規約第3条第1項により登録希望者が本件サービスの会員となった日から、会員が本件サービスから退会し、若しくは会員資格を取り消されるまでとします。

第14条(規約の変更)

・ 本規約は、エンターブレインにより、会員の承諾を得ることなく変更されることがあります。この場合、エンターブレインは会員に対し、エンターブレイン所定の方法により当該変更について通知するものとし、変更後の本件サービスの利用条件は、変更後の規約によるものとします。
・ 変更後の規約は、変更事項を本件サイトに掲載した時点、またはエンターブレインが別途指定した期日から効力を生じるものとします。
・ 変更後の規約に同意することのできない会員は、エンターブレイン所定の方法により、本件サービスから退会することができます。

第15条(退会)

・ 会員が本件サービスを退会しようとする場合には、エンターブレイン所定の退会手続をとるものとします。
・ 前項の場合、会員は、エンターブレインが退会を受理した日をもって退会したものとします。

第16条(本人確認)

・ エンターブレインは、本規約第3条第2項により登録会員の登録内容を変更する場合、及び本規約第15条第1項により登録会員の退会を受理する場合、事前に登録会員の本人確認をさせていただく場合があります。又、「なりすまし行為」を防止する等の目的の為、登録に際し、あるいは本件サービスの利用期間中において、登録会員の本人確認をさせていただく場合があります。
・ 前項により、エンターブレインが登録会員の本人確認をする場合、登録会員本人であることを確認できる身分証明書(ex.運転免許証・住民票・健康保険証・パスポートの写し)をご提出いただくことがあります。なお、登録会員が身分証明書等の提出を拒んだ場合、又はその他の理由により、本人であることが確認できない場合には、登録内容の変更、退会の受理、その他の請求・連絡等には応じることができない場合があることにつき、登録会員は予め承諾するものとします。

第17条(免責事項)

・ エンターブレインは、本件サービスを利用することにより登録会員に生じた損害については、エンターブレインに故意・重過失のある場合を除き、一切賠償の責を負わないものとします。
・ エンターブレインは、投稿情報の正確性、特定の目的への適合性については一切保証しないものとし、登録会員は本件サービス並びに当該投稿情報を、自己の責任と負担にて使用するものとします。また、エンターブレインは登録会員に対し、投稿情報の保存・管理について如何なる保証もしないものとし、投稿情報が消失・毀損等したとしても、賠償等に応じることは致しません。
・ エンターブレインは、登録会員が本件サービスを利用することにより第三者との間で生じたトラブル・紛争等に関しては、一切責任を負わないものとします。

第18条(準拠法)

・ 本件サービスは、日本法に準拠し、日本法に従って解釈されるものとします。

第19条(合意管轄)

・ 本件サービスの利用に関して、エンターブレインと登録会員間に生じる一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的管轄裁判所とします。

以上

最終改定日:2012年5月1日

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攻略:『姉と俺はナカがいい』

関連リンク
 公式:http://www.heat-soft.com/anenaka/
 2012年6月27日記事:レビュー:『姉と俺はナカがいい』
 批評空間レビュー:ネタバレ無し

◆ルート攻略
・選択肢1
 説得する → 選択肢2へ
 もはや何も言うまい → 選択肢2へ (※実質どちらの選択肢も一緒)

・選択肢2
 姉に付き合う → 選択肢3へ
 なんとかして断ろう…… → 選択肢4へ

・選択肢3
 りこ姉と話そう → 同棲ED
 距離をおく → 奴隷ED

・選択肢4
 セックスしたい → 選択肢5へ
 ………… → 選択肢5へ (※拒否権無し。どちらの選択肢も一緒)

・選択肢5
 2人のほうがいい → 妊娠ED
 3人がいい → 乱交ED

◆EXTRA解放
最初はルートロックがかかっています。解放条件は「全EDを見た後」ではない模様。「乱交ED」と「同棲ED」だけで解放されました。「同棲ED」と「奴隷ED」だとダメ。たぶん、「乱交ED」と翠子メインのEDを1つで解放されるのではないかと思います。が、まあ全ED見た後でやれば問題ないでしょう。

◆シーン数等
シーン数28。うち翠子が22、茜4(3Pっぽいのが1)、3Pが2シーン。CGは差分抜き29枚。softhouse-sealの2000円ゲーがだいたい20シーンあることを考えると(除:『くのいちがイクッ!』)、ややコストパフォーマンスは悪いかもしれません。ただ、シーンの丈は長いし翠子に限ればシチュエーションはかなり豊富なので、一点突破モノというコンセプトから見れば、許容範囲かと思います。

ミドルプライスであることを考えると、選択肢の1と4がハッタリなのはちょっと物足りないでしょうか。せめて、それぞれに別のシーンをつけてほしかったな……。

というくらいで、本日はおしまいです。

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レビュー:『姉と俺はナカがいい』

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タイトル:『姉と俺はナカがいい 』(HEAT-SOFT/2012年6月15日)
原画:七G/シナリオ:DEカモ
公式:http://www.heat-soft.com/anenaka/
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無
定価:3800円
評価:C(A~E)


※具体的な内容に踏み込んだ長文感想(内容紹介)は、批評空間さまにて投稿しております。ご関心あれば上記リンクよりご覧下さい。

関連記事
 2012年2月22日:前作『エロゲーしようよっ!』の感想
 2012年6月28日記事:攻略:『姉と俺はナカがいい』

◆評価について
うーん、エロも物語も、「そこそこ」というのが一番しっくりきます。あとはその「そこそこ」さとお値段との相談ですが、お買い得という感じではなかったかな。シーン数は30足らず、キャラはほぼりこ姉一辺倒。コスチュームは比較的多めとはいえ、りこ姉一点突破なら2000円台のロープライスでも可能だったのではないか、という感はあります。では、値段が倍になったぶんの厚みが物語にあったかというと、正直微妙なところ。気まぐれ誘惑系お姉ちゃんが好きとか、七Gさんの絵に惚れたとか、DEカモさんの文章大好きとか、そういうエクストラの動機があれば良いとは思いますが、その場合内容あんまり関係ないか。

◆雑感
狙いが絞り切れていなかったか、詰め込みすぎて分散したという印象です。長文感想で書きましたが、5つか6つか、とにかくいろんなところに力を入れていたぶん、1つのはっきりした特徴を掘り下げるのに力を注ぎ切れていないと言いますか。パケ版付属の小冊子によれば翠子は「小悪魔的な猫系」を、茜は「クール」なキャリアウーマンを目指したということのようですが、その割に翠子は簡単に自分の感情の底をつかませてしまうし、茜はクールというより天然さんに。

征司くん(主人公)が性的な誘惑を除いて、割と本気で翠子さんを避けているのも、「ラブコメ」や「イチャラブ」としてはどうなのかな、という感じ。お姉ちゃんの冗談とみせかけた本気のアプローチを、結局弟のほうが本気で受け止めきれないという図式は、心と身体の分裂を思わせ、どっちかというと凌辱ゲーとかの悲哀に通じる阻隔感があるのですが、そっちに舵をとりきるわけでもなく。針の穴を通すようなピンポイントの属性がヒットでもしないかぎり、何かもどかしい感じがついてまわる内容だったように思います。

別の言い方をすれば、結局このねーちゃん、どうなったら幸せなのかよくわかんない。いや、一応真情は語られますが、それで見えない部分が多いというか。たとえぼろぼろにされても弟と二人で一緒にいられれば良かったのかと思えば、茜さん巻き込んで三人一緒でも喜んでいるし、それなら最初の状態でも良かったんじゃないの、という。結局エッチしたかっただけ、というならわからないでもないのですが、それだけじゃなさそうな思わせぶりな言動も振りまいているし……ああ、このつかみ所のなさが「猫」なんでしょうか。でもそうだとしたら、このお姉ちゃん好きっていう人はやっぱり、相当限られそう。

前作と比べるとヒロインの数を絞り、シーン数もだいぶ偏らせて一点突破を狙ったコンセプトだったものの、ややピーキーにしすぎたのかも知れません。テキストは結構面白くて笑えたし、絵柄は相変わらず味があって好きなのですが(特に斜め下からの見上げる視線)、個人的には今回は残念賞。次回に期待したいと思います。

というところで、本日はこれまで。また明日、お会いしましょう。

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攻略:『この大空に、翼をひろげて』

関連記事
 2012年4月10日記事:体験版レビューコンテストについて
 2012年4月15日記事:体験版レビュー
 2012年5月29日記事:パッチについて
 2012年6月25日記事:製品版レビュー
 批評空間レビュー:ネタバレ無し

というわけで、『大空翼』の攻略。体験版から共通ルートの内容が多少変更されています。体験版には無かった選択肢が追加され、天音ルートに入る場合はある決定的なイベントが回避されることになります。

選択肢の一覧は以下の通り。

◆選択肢1(部室へ向かう前)
 あげはを待つ
 小鳥と一緒に先に行く

◆選択肢2(夜の食堂にて) ※小鳥ルート攻略後出現
 好きです
 違います

◆選択肢3(海水浴)
 小鳥
 あげは
 誰でもない
 天音先輩

◆選択肢4(今日の当番は)
 小鳥
 あげは
 天音先輩
 俺

◆選択肢5(放課後はどうする) ※天音ルートでは出現せず
 あげはと一緒にいく
 小鳥と一緒に帰る
 亜紗ちゃんのところへいく

◆選択肢6(迫られる決断) ※双子ルート時のみ
 亜紗ちゃんを選ぶ
 どちらも選ばない ※亜紗ルート攻略後選択可能

攻略手順 ※天音は小鳥ルート後解放。依瑠は亜紗ルート後解放。
 小鳥:(1)小鳥と~ (2)違います (3)小鳥 (4)小鳥 (4)小鳥と~
 天音:(1)小鳥と~ (2)好きです (3)天音 (4)天音
 あげは:(1)あげはを~ (2)違います (3)あげは (4)あげは (5)あげはと~
 亜紗:(1)あげは~ (2)違います (3)誰でもない (4)俺 (5)亜紗~ (6)亜紗~
 依瑠:(1)あげは~ (2)違います (3)誰でもない (4)俺 (5)亜紗~ (6)どちらも~

共通パートがだいたい10時間程度(音声、演出を見るか見ないかで多少前後)。事実上、「選択肢5」までが共通です。ちょっと長いうえに、作業感が漂うでしょうか。

その後、個別は一人4~6時間前後。亜紗と依瑠は途中までかぶります。早ければ30時間、ゆっくりやれば40時間くらいかかるかもしれません。1日で1人を終わらせると考えても、ちょっと平日は厳しいかなあ……。

シナリオとしては小鳥・天音で完成されているという見方もありますが、やっぱり全員の話が必要だったと思います。ただ、もしこの作品が誰か一人のための物語であったと言うのなら、やはり小鳥の物語でしょう。彼女と碧が出会ったことで、全てが始まったのですから。

予約特典パッチ等無しの状態で、CG差分無し99枚(うち、SD絵19枚)、シーン数17シーン。内訳は以下。
小鳥:4シーン/22枚(うち1枚は風景)
あげは:4シーン/16枚
天音:4シーン/16枚(うち1枚はイスカ)
亜紗:2シーン/12枚(双子は実質2人で1セット)
依瑠:2シーン/9枚
双子:1シーン/2枚
※CG枚数は、SD絵を除外しています。


特典の「Sweet Love Append Disc」の内容は以下。
小鳥: お互いの親公認となった碧と小鳥。ところが小鳥は「倦怠期」が来ていると思いこんで……。ポニテ+ユニフォームのコスプレH! マジ最高です。マチュピチュのように完璧でした(笑)。

あげは
: ソアリング部の今後の活動を考えると、普通に飛べる機体が欲しい。けれど、先立つものがない。そもそも、新入部員が来ない……。そこで発動したのが、あげはの「グライダークイーン作戦」! というわけでコスプレH。しかし、あげは嬢から「あの言葉」が聞けるのは、いつになるのでしょう。

天音
: 天音の恋人に無事おさまった碧。九月の終わり、花火大会に出かけた二人はそのまま盛り上がって物陰へ。浴衣の天音ちゃんいろっぽいです! しかしこの女、いまや完全にエロ担当である。

双子
: トリプルデートに出かけた碧・亜紗・依瑠の3人。メイド喫茶の前を通りかかった碧たちは、メイドさんに目を奪われる。寮に帰った亜紗と依瑠は、実家からメイド服を取り寄せて……。ベタベタな展開ではあるのですが、依瑠ちゃんのキャラ変わりすぎじゃないでしょうか。

という感じでした。間違いなどあればご指摘頂けると幸いです。それでは、本日はこれにて。また明日、お会いしましょう。

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レビュー:『この大空に、翼をひろげて』(製品版)

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タイトル:『この大空に、翼をひろげて』(PULLTOP/2012年5月25日)
原画:八島タカヒロ、基井あゆむ、田口まこと(SD)/シナリオ:紺野アスタ、七烏未奏、奥田港
公式:http://konosora.jp/
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無し
定価:8800円
期待:B(A~E)


※具体的な内容に踏み込んだ長文感想(内容紹介)は、批評空間さまにて投稿しております。ご関心あれば上記リンクよりご覧下さい。

関連記事
2012年4月10日記事:体験版レビューコンテストについて
2012年4月15日記事:体験版レビュー
2012年5月29日記事:パッチについて
2012年6月26日記事:攻略手順

◆評価について
Aに限りなく近いB……というか、感覚としてはA評価でも良かったのですが、穴が無いかと言えばあるし、非常に良かった部分だけでそれを補いきれるかというと、その「良かった部分」に絡む穴もあったので難しい。よってBとしました。ただ、まんべんなくBというタイプではなく、一部が突出して良いけどバランス取り損ねてB、という感じなので、プラスの箇所を重視すればここまでの2012年半期でもトップクラスの出来映えだったと思います。

◆雑感
とうとう終わりました、っていうかだいぶ前に終わっていたのですが、なかなか感想をかけなかった『大空翼』。色々思い切って、ようやく完了。体験版から随分長いお付き合いになったなあ。やっぱり感想の全文掲載は重複になるのでやめます(といってまた復活させるかもしれませんが)。お手数ですが上の「批評空間レビュー投稿」リンクをご覧になってくださいということで。

実は感想をもう書かないでおこうかなーとか思っていたのですが、pomさん(@pokpokpolk)とお話をさせていただく機会があり、そこでもうちょっと色々考えてみよう、と。どうして感想を書くのをためらっていたかというと、どうしても一部キャラの「空」への動機であるとか、碧への「好き」という気持ちのでどころであるとかが、わからなかったからです。情けないことに。

特に、あげは・亜紗・依瑠の3人。小鳥と天音は、直接好きになったのが何時とか、どうしてとか書いてはいませんが、一応きちんとそう読める場面があるので楽でした。ただ、先の3人はどうも「いつのまにか」好きでしたを強調する余り、ホントにきっかけがわからない。あげはの場合、最初から好きだったのだ、ということかもしれませんが、でも生まれたときから好きなわけはないですし、「幼なじみだから」というのは理由のようでやっぱり理由になっていません。それなら、達也(あんちゃん)や柾次を好きになる可能性もあったわけじゃないですか。それでも碧じゃなきゃダメだ、というのがこの作品が繰り返し言っていたこと(「あのガレージとグライダーは、もう俺たちにとって特別なんだ」)なので、そこがありません、というのでは納得できない。あげはにとって碧が特別なのは、どうしてなのか。亜紗にとって碧はどこで特別になったのか。そんなことを考えてプレイを繰り返していました。

そもそもレビューにそのことを書くかはさておき、自分なりにこの娘のことある程度見えた! という感じがしないとなかなかレビューは書けないので、あげはや双子の「好き」の形が見えないというのは、なかなかしんどかったのです。いや、全然わかんなかった、というのも書けますが、この作品はそれじゃ勿体ないかな、と。結局疑問はなんとか解決してレビューを書いたつもりですが、うまくいっているかどうかはわかりません。「自分を見つける」という話から「自分を創る」という言い方にスライドさせたのは、「自分」なんてもともと存在するものではなくて、仲間や目標との関わりのなかで創り出されていくものだ、という、そんなメッセージをこの作品に読み取りたかったからなのですが、果たしてそこまでのことを言っているかどうか。むしろ依瑠の物語からは逆の印象も受けたので、ちょっとぼかして書きました。

なお、結構不満もあり。とはいえ致命的と思われるような部分はありません。全体としては予想通りか、それよりちょっとだけ下のラインに無事着陸したかな、という感じです。説明的な感想を書いているので説得力はないかも知れませんが、本当に心の赴くままに楽しんで、共感できるところがあればそこから物語に深入りしていけば良いという、正統派のエロゲーだったと思います。社会性とかを求めるとどうかはさておき、エンターテインメント作品として、しっかりまとまっています。

声優さんの演技もよくて、久々に何度もセリフを聞き直しました。特に小鳥は、良いセリフが多かったなあ……。

それにしても、ほたるはアレですね。絶対幸せになれないタイプ。この娘はきっと、誰かを本気で好きになっている相手しか好きになれない娘。あげはルートの最後の方で、そんな風に思いました。実に不憫……。

好きなキャラはあげは、良いと思ったルートは小鳥ルート。

あげはちゃんすきだー! だー! だー! だー!

攻略関連は後日。それではまた明日、お会いしましょう。

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レビュー:『ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~』

ビブリア古書堂3巻
三上延『ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~』

(メディアワークス文庫、2012年6月21日)

最近楽しみにしている小説の一つ、『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ。最新の3巻が発売されていたので、早速購入しました。角川のコミック・エースから漫画版も発売されていて、こちらはまだ読んでいないのですが、大ヒットからのメディア展開が始まり、アニメ化も近いのではないかと勝手に期待しています。

ご存じない方の為に少しだけどんな話なのか、説明するところから入らせてください。

メインの「語り手」は、登場人物の1人でもある五浦大輔(ごうらだいすけ)。スポーツマンで本に興味はあるのだけれど、なぜか体質で本が読めないという男。そしてこの物語の中心となるのは、「ビブリア古書堂」の女主人・篠川栞子(しのかわしおりこ)。若くて美しく、「本」に関する異様なまでの知識を誇り、しかし人見知りで接客には全く向いていない彼女と大輔が出会うところから全てが始まります。

その人が探している「本」や、読んでいる「本」。そして「本」の状態などから、栞子は人の素性や生活、更には過去や心の内まで、さまざまなことを古書店に居ながらにして「推理」します。そして時には見通した全てを利用して、人の行動までも操ってみせる。その様子はシャーロック・ホームズにも、全てを見通す神にも、あるいは隠された秘密を暴く悪魔にも見える。そんな栞子に五浦は、恐れを抱きながらも惹かれて行く。

物語は基本、探偵モノの体裁。ビブリア古書堂を訪れる珍客たちからもたらされる、「本」にまつわる風変わりな依頼(ある本を探して欲しい等)を栞子が持ち前の推理力で解決していく、というもの。その中で、話題となった「本」に関するさまざまなエピソードや、登場人物たちの人間関係が語られます。以前に大ヒットした『文学少女』シリーズと似ているかもしれません。ただし『文学少女』がどちらかといえば書籍の「味わい」や作家のドラマに比重を置いていたのに対し、『ビブリア』は書籍のあらすじや状態(初版かどうか、どの出版社から出たか等)といった客観的なデータが物語に深く関わってきます。『ビブリア』の登場人物たちは内容について感想は漏らすけれど、過度な読み込みはしない。扱うのは、あくまでデータ。そのあたりに、書籍好きでありながら「冷徹な」人間である栞子の特性と、古書店という設定が見事に反映されているようにも思われます。

また、この手のストーリーにありがちな「キャラクター使い捨て」ではなく、過去の物語で関わった人たちが次々に話に関わるのが特徴的。3巻を迎えて、世界がぐっと奥行きを増したように思われます。そのぶん、途中から入ろうとするとハードルはあがったかもしれませんが。

というわけで3巻ですが、今巻採り上げられるのは『たんぽぽ娘』(集英社文庫)、ある児童書(これは作品のタイトル自体が謎で始まるので、ネタバレを避けるために述べません)、『春と修羅』(關根書店)。裏テーマとして『王様のみみはロバのみみ』(ポプラ社)です。(こうやって書誌情報(出版社)が書いてあるあたり、上で述べた「データ」云々の雰囲気がお判り頂けるのではないでしょうか)

第二話を除き、前巻から話題になっていた失踪中の栞子の母、千恵子(ちえこ)の影が見え隠れ。二話は以前に登場した坂口夫婦(『論理学入門』の話)が再登場するので、時間があれば前二冊を読みなおしてからのほうが良いかもしれません。私はすっかり忘れていたので途中まで時々必要なところを見返しながら読み進めていたのですが、結局読み直してしまいました……。

事件の内容は相変わらず「本」絡みのちょっとしたことから、その人の私生活・感情に立ち入っていくタイプ。個人的には事件の構成としても第二話が一番好きでした。なんかこう、胸が熱くなった。こういう人情話、ベタだけど好きなんですよね。伏線とかの技巧的に良かったのは多分『春と修羅』ですけど、こういう「巧さ」なら他の本でも味わえそうなので、やっぱり第二話が好きです。

千恵子の失踪の謎、父親と千恵子の関係、栞子の千恵子に対する複雑な感情……と、なんとなくこの作品で扱われる中心的な問題が形をとりはじめた感じがあります。千恵子との現状の問題が片づいたとしても、きっと最後まで何らかの影を落とすのでしょう。そういう意味では、3巻にしてひとつの山場に近づいたニオイがします。

全体的にお涙頂戴というわけでもなし、明るい笑いがあるわけでもなし、鎌倉の閑静な古本屋らしく淡々と話が進んでいきます。それを物足りないと感じるか、趣深いと感じるかは人それぞれでしょうが、2時間ほどの落ち着いた読書をするにはとても向いているシリーズ。今回も満足のクオリティでした。

……『偽りのドラグーン』も続いていたらなぁ!!(心の叫び)

というわけで、本日はこれまで。また明日、お会いしましょう。

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水晶 雫ちゃんペロペロ(^ω^)な話

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CDI公式応援キャラクター、「水晶雫」嬢。画像は公式の起動画面です。

「新世代ディスク情報ツール」と称して配布されているフリーソフト、「CrystalDiskInfo」に、美少女キャラ・雫ちゃんが常駐する新バージョン、「CrystalDiskInfo 5 Shizuku Edition」(CDISE)が公開されました。

「和服美少女の雫ちゃん(イラスト:桐野霞さん)があなたのハードディスクや SSD を見守ってくれます。ディスクの異常を検知するとかわいい声(五十嵐裕美さん)で教えてくれるのでぜひ常駐させてくださいね♪」とのことで、ご覧のように、なかなかステキな仕上がり。

五十嵐さんといえば 鮒だお 「ひなだお!」で一世を風靡された声優さん。あと、あれです。自宅警備系アイドル・杏ちゃん。そのぷりちーぼいすで「回復不可能セクタ数が劣化! そろそろ新しいディスクを買ってよぉ~」とか教えてくれます! ひゃっほう!

ちなみにOYOYOのパソコンはいまんとこ問題ないみたいで、雫ちゃんの御声を聞く為に「機能」から「通知音設定」を選択し、音声ファイルを特に設定しない状態で「再生」ボタンを押すことで、無理矢理テストスピーチをしてもらっています。御声が聞けるのが楽しみなような、トラブルが起きたときに聞こえるのだとすれば、遠慮したいような、フクザツな心境。

使ってみた感じとしては、軽いし和むし、とても良い感じ。また個人的に、「機能」から「ディスクの管理」や「デバイスマネージャー」を一発で開けるようにしてくれる(Windowsのコンパネを経由せずに済む)のが地味に使い勝手良し。グッドです。

便利そうだけど萌え仕様はちょっと……という人にはちゃんと、通常版もあります……というか、通常版があってこっちがエクストラバージョンですね(笑)。ついつい順番が逆になってしまいました。注意点としては、「通常版をスタートアップ設定している状態で、Shizuku Edition をインストールした場合、次回起動時には通常版が起動することになります。実行ファイル名が DiskInfo.exe から DiskInfoS.exe に変更となっているため、Shizuku Edition にてスタートアップ設定の OFF/ON を実施してください。」ということです。

なお、公式ページでは壁紙なども配布されていますが、「許可無く無断で改変・転載・配布する事を禁止」、また公式画像の全てについて「直リンク禁止」となっておりますので、転載はいたしませんでした。壁紙も雫ちゃんで! という方は是非、公式のほうをお訪ねください。

ごらんの通り相当クオリティが高く、力も入っているようで、公式にプレゼント企画なども実施されています。応募要領の詳細については、オフィシャルをご覧ください。〆切は、6月24日の23:59となっています。……ってもうすぐやん!
[プレゼント企画] 公式応援キャラクター水晶雫ちゃん A2 ポスター
CrystalDiskInfo 5 Shizuku Edition リリースを記念して、公式応援キャラクター水晶雫ちゃん (イラスト:桐野霞さん、キャラクターボイス:五十嵐裕美さん) の A2 ポスターを最大 10 名様(抽選ではありません)にプレゼント(送料もこちらで持ちます)します。ご希望の方は以下の要領で応募してください。(後略)
こういうのを見ていると、「伺か。」なんかを思い出します。懐かしいなあ。やってくる「熱い夏」(主にPCの内部温度的な意味で)に向けての安全管理に、デスクトップの清涼剤として、和服美少女雫ちゃんをインストールしてみるというのも良いかもしれません。

今回はそんなお話でした。それでは、また明日。

雫ちゃん応援バナー
最後に限定版バナーを貼り貼り……。



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レビュー:『おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ』4巻

オタリア4
村上凛『おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ』4巻
(富士見ファンタジア文庫、2012年6月20日、イラスト:あなぽん)

4巻が発売されました、『おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ』。どうも略称は『オタリア』と言うそうで。「オタリア」といえば普通、チリ、ペルー、ウルグアイ、アルゼンチンなどの沿岸に生息する、ネコ目アシカ亜目アシカ科アシカ亜科オタリア属の海棲哺乳類を思い出すところなのですが……。

オタリア(動物)
オタリア。一夫多妻制社会で、ハーレムを作って暮らすそうです。意味深な。


さて、前回やや気まずくなった柏田君と桃ちゃんですが、今回はその関係の改善を目指すために、柏田君があちこちに時限爆弾をセットしてまわるような展開になっています。

ストーリーの軸は3本。1本目が桃と柏田の協力関係の行方。2本目は鈴木と桃の恋愛関係(鈴木の「彼女」疑惑について)の行方。そして3本目が、小豆と柏田の恋愛関係の行方。それぞれが入り乱れ、絡み合いながら、より関係が複雑化していく見所の多い巻です。そして相変わらず、カラオケボックス(柏田のバイト先)での山本さんは素敵に伏線だけばらまいて去っていきます。前回チョイ役だったムラサキさんは、今回はメインに近いアドバイザーとして引き続き登場……というか「リア充」ポジションだった桃が「オタク」サイドに引きずり下ろされてきた穴を埋めるべく、だいぶ便利に使われていました(笑)。

面白い巻ではあったと思いますが、ちょっと緊張感高め。それも、派手に爆発して解決が見える類のものではなく、これから何か良くないことが起こるかも、という静かで先が見えない雰囲気を漂わせています。一応ラブコメ的な展開ではありつつも、その裏には常に「自覚していない桃への想いのために、他を踏み台にしている」というメッセージが流れているように見えて、そのせいでとても重苦しい。いよいよ、本格的に物語が動き出す。そんな予感がします。いやいや、楽しみですね!

できれば長谷川さんには幸せになってほしいなあ……。

さて、ここへ来てこの作品が言うところの「オタク」が何であるか、なんとなくイメージが変わってきた気がします。

連載開始当初の表現としては、「オタク」は眉毛を整えていないヤツだとか何だとか色々言われていました。これはつまり、「流行」(周囲の人々の視線)に敏感であり、また自分がどのように見られているかという自己把握がしっかりできている、ということです。女の子にモテるとか、会話が弾むとかいうのはその結果もたらされる副産物でしかない。

その逆を行くのが、「オタク」として描かれる柏田や鈴木ら。彼らの最も本質的な特徴というのは、「自分を外側から見る目を持たない」と言うことなのでしょう。他人からの視線に鈍感であり、それゆえ自分のことについても頓着しない。

今巻で柏田は、小豆に対してある行動を取ってトラブルの引き金を引きますが、これは小豆が自分をどう見ているか(小豆にどう思われるか)に無頓着で、しかも自分が桃のことをどう思っているかを意識していないからです。

ただ、ここ最近描かれる「オタク」の性質はこれだけではないのかもしれません。というのは、同じく「オタク」であるはずのムラサキさんは非常に自己を客観視しているし、それゆえ他人が何を考えているかということに敏感です。今巻でも、さまざまな配慮を見せる。

一方、柏田や桃が傷つけられるのは、いわゆる「リア充」と呼ばれる連中の心ないひと言であったり、態度であったりします。カラオケボックスのやりとりはその典型だし、今回もその「リア充」が桃を傷つけようとする。これは単に「オタク」の側の歪んだ嫉妬ではなく、やはり「リア充」側に起因する問題点であるように思われます。

つまり、流行に敏感で他人の視線を常に意識しているはずの「リア充」たちもまた、他人の視線・思惑に対して本質的なところでは関与できていない。ここで、「リア充」と「オタク」の本質的な違いが無くなっているとも言えます。変な言い方ですが、たとえばこの小説を読んだオタクが、「あるある……やっぱ俺オタクだわ! 刺さる!」と思って身悶えたとしたら、少なくともその人には自分を外側から見る目が備わっているということになるはずです。桃というきっかけを得たことで、柏田もまたそのような視点を手に入れている。

この4巻までで、柏田の柏田たる所以というのは明らかに「鈍感」ということ――自分の気持ちもきちんとわかっていなければ、他人にどう見られ・思われているかもわかっていない――あるいは、自分が勝手に想定した「自分」の枠の中に閉じこもっているというところにありました。それが柏田の自意識の強さのような形で描かれている。

しかし、その彼の視点からすれば、「リア充」と呼ばれる連中もまた、自分にも他人にも配慮しない人間であったはずです。「オタク」の自意識は自分が何をしたいかであり、「リア充」の自意識は自分がどう見られたいか。いずれにしても、その強い自意識こそが他人との距離感を崩してしまっているのです。

そして、柏田の長谷川さんへの憧れは、彼女が自分にも他人にも適切に振る舞えている(リア充っぽい外見でありながら、子どもに優しい笑顔を向けていた)ということへの憧れである、と説明することができるでしょう。

この手の話を、「オタク擁護」あるいは「オタクを実は叩いている」のような図式から説明するというレビューが増えているようで、それは大いに構わないのですが、本作においては現状、最初に導入した一般通念としての「オタク」-「リア充」という図式は消滅しつつあるように見えます。

では、この作品の中では何が問題にされるのか。あるいは、この作品で言われる「オタク」や「リア充」は、私たちが作品の外側で使っている言葉だと何と呼ぶのが相応しいか。そんなことに関心を持ちながら、柏田と桃の関係の行く末を、楽しみに見守りたいと思います。

いやもう個人的には『れでぃばと!』よろしく(アニメほんとに最高でした)、な~んも考えずにハーレムルートでもいいんですけど、これまでの展開とかタイトルとか、柏田の自意識とか考えるにそれは無理でしょうしねぇ……(´・ω・`)。

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otoQtさんのご感想に触れて思うことなど

ツイッターをしていたら、タイムラインで興味深い感想が紹介されていました。otoQtさんのブログ、「自動再生」さまの「プレイヤーを殺すための物語――『White Album 2』」。ご本人に色々と質問をさせて頂き一応内容を消化できた感があるので、今回「感想の感想」を書いてみたいと思います。

この論の序盤の軸は三つ。
 (1) 本作で、「死にたい」と思うほどのつらさを味わった。[体験]
 (2) エロゲー(ギャルゲー)というのは主人公との同一化を目指す。[原理]
 (3) しかし本作はその同一化を拒む。[作品]

主人公への共感?」の段ではこれを受け、『WA2』では主人公とプレイヤーとの同一化を拒むシステム的な仕掛け(主人公のヴォイス、視点の頻繁な入れ替え)が多くほどこされていること。そして、そのような場面こそがなぜか「いたたまれない」のだと展開していく。つまり、同一化ができない場面においてこそ、プレイヤーはつらさを味わう、という定式化がなされます。

続く「書かれないセリフ」では、「難聴主人公」と「ヒロイン視点」を例にとり、実は同一化を拒む原理は『WA2』に特殊な事態ではなく、エロゲー一般の特徴であることが示されます。エロゲーにおいてある程度定着したこの手法によって、プレイヤーはシステム的(内容とはさしあたり関わりなく)に「主人公から引きはがされる」。これは上記の論の裏付けです。そして新たな立場として、同一化を拒まれたプレイヤーが能動的に作品世界を構築する必要にせまられる、という主張が出てくる。

そこから「プレイヤーはどこにいるか」のトピックとして、物語の内部から排除されつつも「物語へはより深く関わる」ことを強要される、「宙づり」なプレイヤーの立場が論じられます。

そして最大の難所、「〈自己〉と〈わたし〉」。ここは少々難しすぎて混乱していたのですが、ツイッターで直接お話をうかがい、何となくですが理解しました。
【補注】 私の混乱は主に、「実際に肉体を持ち、ディスプレイに向かい、マウスをクリックする、ゲームの内には何ら関わることができない〈自己〉」という表記から窺われる〈自己〉の身体性が問題なのか(だとしたら、精神的な〈わたし〉が傷つくことで身体が物理的に傷つくというのは明らかに飛躍である)、それとも〈自己〉というのは〈わたし〉とは違う精神的なものなのか(だとしたら今度は、〈わたし〉との質的な差が不明瞭に思われた)というところだったのですが、otoQtさんの説明によると、「ベルクソンによる意識の反省による自己分裂」を念頭に置きつつ、さしあたりは「メタとオブジェクトぐらいの意味」で書かれたとのことでした。この辺は管見の及ぶ限りになりますが、当時流行だった量子物理論の絡みなども意識しておられるのでしょう。
観察者としての〈自己〉と、実際に世界の中に存在する〈わたし〉の立場の分裂。そして更にその〈わたし〉が複数に分裂してしまう。これらの「分裂」をotoQtさんは、重層的な自傷作用だと指摘しています。すなわち、「〈わたし〉が物語の中に巻き込まれ傷ついている」だけでなく、更にその〈わたし〉を統御する〈自己〉も「自らが〈わたし〉達を傷付けている」状態を引き受けねばならず、傷つく。現場の〈わたし〉と、それらを統御する〈自己〉が共に傷を負っていく。それゆえ「この作品、White Album 2は「恋愛ゲームで〈プレイヤー〉を傷付けるにはどうすればよいか」という問いへの現時点で最良・最悪と思われる答えを提示している」と結論される。

ではなぜ、〈わたし〉は傷つくのか。それは、この物語が「恋愛」だからだ。そうotoQtさんは考えている。恋愛という一つの〈世界〉の構築過程の中で、複数の〈わたし〉は一旦排除されるが、それが「分裂」したものである以上、その〈世界〉と関わらざるを得ない。だから、「〈わたし〉の〈世界〉から排除された他者が〈世界〉の内に侵入してきたとき、〈わたし〉は傷つく」のだ、と。(※ここは私の読み込みです。なぜ〈わたし〉が「他者」として侵入してくるかは、本文にはハッキリとは書かれていなかったように思います)

以上が、私が読み取った限りのotoQtさんの主張であり、恐らくそれほど大外しはしていないのではないかな……。誤読しているところや、解釈が通っていないところがあれば指摘していただけると嬉しいです。


さて、私はこのように読んで幾つかの不満や疑問を覚えました。疑問としては、「〈自己〉と〈わたし〉」が良くわからないというところが一番大きかったので直接質問にうかがったのですが、他にも幾つかある。そして、不満はもう少し、この感想に対する本質的な問題を孕んでいる……と私は考えています。

まず、疑問の方から参りましょう。otoQtさんはプレイヤーが「宙づり」になったということから敷衍させて、次のように述べておられます。「どのキャラクターとも十分に同一化できないということはつまり、それぞれ場面においてそれぞれのキャラクターに同一化しうるということでもある」。

これは、〈わたし〉の「分裂」へと繋がる重要な箇所ですが、どうもうまくいっている感じがしない。なぜなら、はじめはそもそもプレイヤーがあるキャラクターに同一化することそのものが常に妨げられる(音声で主人公が相対化される/視点が順繰りに描かれてどちらにも同一化できなくなる)という意味での「宙づり」さが問題だったはずが、いつの間にか「それぞれの場面において」キャラと同一化できるが物語全体を通しては無理だという「宙づり」さ――すなわち、物語内で一貫したキャラクターに同一化できるか否かという一貫性(統一性)の問題にすりかわっているからです。何らかの方法で繋がる気はするのですが、現状書かれている内容からだけでは、アクロバティックになる気がする。どんなキャラにも同一化というと、作中の千晶が思い出されますが、やっぱりあれはあれで特殊な才能と言えます。質の違う「宙づり」をどう繋ぐのか。ここはこの感想の謎の一つです。
【補注】 この部分はPalantir_Kさんが「プレイヤの立ち位置は流石に本とかと変わらんと思うけどなぁ。」と呟いておられたのが参考になりました。本の場合、そもそも「それぞれの場面」でキャラに同一化をしないパターンもあるわけですから、一人のキャラ(主人公)に同一化できないということと、各場面でどのキャラにでも同一化できるということは、さしあたり分けて考えるのが良いのかな、と。
また、疑問はもう一つ。otoQtさんが感じた「いたたまれなさ」が本当に「分裂」の痛みなのか、ということも問題です。この感想で示されたのは、両者が同じ局面で発生する痛みであるというところまでで、本当に同質のものであるかまでは言及されていません。そんな細かいこと、と言われるかもしれませんが、初発の問題が「こうも死にたくなるのは何故なのか」というところから出発している以上、こちらのほうが本質的な問題という風にも思います。

つまり、〈わたし〉が傷つくということは、果たして死を希求するほどの痛みを伴うのか。痛み・傷つくことがあるのは認めるとしても、それから「逃げたい」というのと、「死にたい」と思うほどの苦しみとは、ただちに同一なのか。もしかするとそれとは別の何かがあるのではないか。別の言い方をすれば、otoQtさんが感じられた痛み・辛さは、主に作品の内容よりも形式に依存してもたらされる「痛み」と同質のものであるということで良いのか。この感想を拝読して、やはりそのことは気にせずにはいられないところでした。

次に、不満(疑問と分ける為に便宜上こういう言い方にしました。大きな負のイメージはありません)について。私のメインの主張はむしろこれ以下になります。

第一に、ここでotoQtさんが「理由」として述べておられる内容の大半はシステム的な問題です。少なくとも、物語の内容そのものとはほとんど関係が無い。そしてまた、そのシステムは多くのエロゲーに共通するものです。真意はともかく、そのようなものとしてotoQtさんは述べておられる。たとえば、「主人公に音声」は数は多くないにしても時々見かけるレベルですし、視点がころころ切り替わるというのも同様。それは、「難聴主人公」や「ヒロイン視点」という形一般的特徴として表現されていることからも明らかです。

いや、その「程度」こそが『WA2』の凄さだ、ということが主張であったことは理解しているつもりですが、それはつまり、ここで扱われている問題が『WA2』に固有の問題ではなく、エロゲー一般で共有可能なことがらの「程度問題」だということになります。事実、結論である「最良・最悪と思われる答え」という言い方も、「最」という比較の形に落ち着いている。

で、あるならば。形式としてはその「程度」の内実が『WA2』の感想として論じられるべき問題であるはずです。たとえば、普通の主人公音声アリと、『WA2』の主人公の音声はどう違うのか。「癖がある」という形で触れられていましたが、まさにその「癖」がどのようなものであるかというところにこそ、この作品のオリジナルな部分がある。otoQtさんの今回とられた論述スタイルならば、そこに踏み込んでこそ読者は満足できるのではないか、と。「程度」の内実に踏み込まず、一般的・原理的な話に終始したせいで、『WA2』でなくても通じる話との区別が不明瞭なまま。

そして第二。第一とも繋がるのですが、今回の話はつまり、ほとんど全てのエロゲーは「プレイヤーを傷つける」ものだということになる話だと思います。他のエロゲーと原理的に違いがない(程度の差である)部分で『WA2』の「痛み」が成立しているのですから、他のエロゲーは徹底できていないだけで、徹底するとどれも皆、プレイヤーを傷つけるものになりうる。この感想のロジックをきちんと突き詰めると、そうなるはず。

だとすれば、これはとても斬新な――otoQtさんがそこまでラディカルな意図でお書きになったかはわかりませんが――意見です。普通エロゲーは、「オタクの現実逃避」だの、「優しい妄想」だのと言われていますが、それと全く異なる「オタクは実はドM」説を唱えていることになる。賛否は措くとしても、あまり聞かない。

しかし斬新とは言っても、それは結局の所、ただ単に担ぐ御輿を換えているだけという気がしないでもありません。「エロゲーの、都合良く自己投影できるシステムによって、オタクは逃避している」という主張が、「エロゲーの、都合良く自己投影できるシステムによって、オタクは傷ついている」になっただけ。これが「オタクは社会参与している」になるか、「オタクは承認を求めて悲鳴を上げている」になるか……。最終的には解釈を巡る論争が待ち受けているでしょう。
【補注】 加えてこれだと、更なる問題が残ります。エロゲーユーザーの大半が自分を傷つける行為を喜んでやっているなら、じゃあなぜ自殺しないの? とか、そもそもなんで喜んでやってるの? という問題。これは「普段のエロゲーは極限化されていないから気づかないだけだ」のような答え方ができますが、帰結としてエロゲーを楽しんでいる人間は鈍感なバカであって、本当はエロゲーなんてやめたほうが良い、ということにもなりかねないので、個人的には乗っかりにくい議論かなと思います。
エロゲーというシステムに関する解釈をすることがが悪い、という話では全然ありません。ただ、その路線の先ではotoQtさんの出発点にあった問題意識――「こうも死にたくなるのは何故なのか」――が消えてしまう。それは、とても勿体ない、残念なことに思われるのです。


otoQtさんが一貫してとっておられる手法は、エロゲー一般に共通するシステム、あるいは構造上の問題として作品を扱うという態度です。一部で言及される作品(『WA2』)の個別的要素も、全て一般性に回収されています。故にそこからは、一般的なユーザーと一般的なエロゲーの関係が浮き彫りにされてくるしかない。

いやもちろん、そもそも言いたいのは一般的なことだ、ということなのかもしれません。この感想の主旨はつまり、「『WA2』というのは既存のエロゲーの性質を極限に高めたものである」と。それでも、その性質の極限とそうでないのを分ける規準はどこかといった前述の問題点が残るとはいえ、それなら判る。この作品に内容的オリジナリティなんてものは基本無くて、要素面からエロゲーを突き詰めた、きわめて記号的な作品である。最初からその地点が目指されていて、「エロゲーはユーザーを傷つけるもの」という結論が出たというのならすぐれて論理的な、社会学チックな議論という感じがします。

しかし私の直観では、この感想が取り出そうとしていたものは、そういう要素的な話では無い。振り返るに、otoQtさんの感想は「《こうも》死にたくなる」というきわめて個人的な衝撃から始められていました。一般的な人間なんかではない「otoQtさん」と「『WA2』」という、それぞれに固有の存在の交わりの問題こそが出発点だった。実際、otoQtさんが書いておられる他のご感想もちらりと拝読しましたが、そちらでは作品の具体的な内容をotoQtさんの個性が捉える様を表現しておられる。とても面白かった。

今回の感想も恐らく、初発の時点ではそのようなものだった。けれど手法としてシステム分析的な手法を持ち込んだが故に、かえって『WA2』の個性も、otoQtさんが切実に感じた「痛み」も、どこかへ消えてしまっているように私には思われました。少なくともこの感想から、『WA2』の具体的な像はほとんど見えてこない。そして私は、最初の書き方からその書かれていない方を期待してしまったし、今でも読みたいと思っている。そういうことです。

システム的な話で通すなら、「死にたい」というつらさも『WA2』という作品も、最初から具体例の一つとして扱うほうが妥当だったでしょう(そしてそうなると、一つの作品に対する感想・批評と言えるか問題が発生する)。逆につらさや作品自体に寄りそって行くなら、具体内容にほとんど踏み込まない、今回とっておられるような手法はマッチしないのではないか、と。

私が過去の記事で述べてきた、「言わんとすることと言えていることのズレ」あるいは「主張とそれに適した手法(切り方)」という問題が、非常に具体的に、かつ端的にあらわれていたように思われたので、今回ご本人に失礼を承知でお願い申し上げて、「感想の感想」を書かせて頂きました。恰も議論の素材のように使ってしまい、礼を失することになっていないかと危惧がないでもありません。

otoQtさんのご感想を私は興味深く拝読したし、また私なりに全力でその内容を読み取ろうと試みたつもりです。本記事は一概に私の主張のためのものではなく、最初にも述べた通り、あくまでも本旨は感想を拝読しての感想です。そして傍目になんと見えても私のような人間からすると、曲がりなりにもこういう形で感想を書くというのは、それだけ本気で敬意を払っているのだ(片手間でやったつもりもありません)と言うことはお断りしておきます。

とは言い持って、大変失礼なことや憶測じみた発言も多々。お気に障られた部分などあり愛想を尽かされるかもしれませんが、この場を借りてお詫びと、取りあげることを快諾いただいたことに感謝を申し上げます。otoQtさん、本当にありがとうございました。

ちなみにこれまた毎度の繰り返しになりますが、システム的・エロゲー一般的な話と比べて、作品個別の話のほうが良いというつもりはありません。「勿体ない」と申し上げたのはあくまで、切実な初発の問題意識が回収されずに進んだ気がするからで、むしろ一般的なことこそが最初から目指されていたということなら、私が初発の問題を重く取りすぎたということなのでしょう。

しかし、私がここで述べたかったこと――感想で言おうとしていることと、実際に何が言えているかということの違い――は、多少なりとも伝えられたのではないか。今回はそのようにうぬぼれてみます。そうして、これは敢えて論争的な書き方をしますが、その辺についてきちんと考えずに作品の感想を書いたり読んだりしていることが、私たちは余りにも多い(自分を含めています)のではないか。自嘲もこめて、そんな風に思うのです。

作品を楽しめれば良い。難しいことを考える必要なんて無い。それはそうかもしれません。でも難儀なことに、私たちは――少なくとも私自身は、感想を書いたり、その感想について語ったりすることもまた、エロゲーを楽しむという行為の一貫に組み込まれてしまっているのです。であれば、せめてそのことと真摯に向き合っていきたい。バカにされてもうっとうしがられても、そのスタンスは貫いていこうと思っています。少なくとも、自分が何を言いたいのか、他の人が何を言おうとしているのか、それをきちんと読み・考えられるようにはしたいな、と。

なお、私ならばどうしたか、というのはここでは直接の問題ではないので文章化しませんが、クソ長い過去の記事が不十分ながらも一応の説明ということにさせてください。

なんかまた長い話をしてしまいました。まあ台風だしそれもアリ(意味不明)。それでは、また明日。

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《自己紹介》

エロゲーマーです。「ErogameScape -エロゲー批評空間-」様でレビューを投稿中。新着レビューのページは以下。
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