よい子わるい子ふつうの子2(仮)

18禁PCゲームをメインに、ラノベや漫画についてもダラダラ話を書きます。長文多いです。

2012年02月

どこまでも白い雪の道

2月29日。かずさの追加公演の日! というわけで、注文していたWA2の「アニバーサリーセット」が届くはずなのですが……まだこない!! 辛抱たまらん! 雪の影響で少し遅れているのかもしれませんが、今日届かないとなると色々残念なので、黒猫さんには頑張って頂きたいです。

3月7日まで締切が延びているのでまだ注文できる模様。いまだと3月下旬に届くみたいですが、作品時間にあわせた(たぶん)2月29日の刻印付きは今年限りかもしれないので、WA2ファンで、まだチェックしていなかったかたは検討してみるのも良いかも? あ、もちろんこれはステマです。

私は両方注文してしまった(雪菜は二次募集です)のですが、雪菜派なので両方注文が許されるとして(おい)、かずさ派の人は雪菜ペンダント注文したらBADエンドしか待っていない……。してみるとこのアニバーサリーセット、グッズの買い方で本当は誰派かわかる、一種の踏み絵みたいなものですね。

しかし、4年に1度の2月29日(正確には100で割り切れ、かつ、400では割り切れない年は閏年ではないのですが、細かい計算はおいときましょう)にキッチリ雪が降るとは。やっぱり今日は特別な日なんだ……! と言いたいところですが、あんまりはしゃぐと2月14日に雪が降らなかった雪菜がスネてしまいそうなので、この辺にしておきましょう。

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「アヘ顔」再考

しかし我々はこれらの一切を排除してもなお人を思い浮かべ得るが、ただ顔だけは取りのけることができない。(中略)そうしてみると、胴体から引き離した首はそれ自身「人」の表現として立ち得るにかかわらず、首から離した胴体は断片に化するということになる。顔が人の存在にとっていかに中心的地位を持つかはここに露骨に示されている。 (和辻哲郎『面とペルソナ』)

2月24日の記事に、「全く関係ない話ですが およよさんって「アヘ顔」についてどう考えておられるのですか?」というコメントを頂きました。記事は『セーエキ!ぶっかけ牧場! ~お汁いっぱい、精霊達をHに飼イク!~』の攻略と感想だったので、本当に全く関係のない話なのですが、しかし、これは大変興味深いお題を頂きましたので、ご返答がてら記事を書いてみようと思います。

さて、「アヘ顔」についての考えと言われまして、「アヘ顔、良いですね、最高だ! 顔射なんて顔が白くなるだけのクズだよ!」とか、そういう話では無いだろうと。おそらくご質問の主旨は、アヘ顔とは本質的に何であり、どうして今これほど支持を集めているのか、とかそういうお話であると考えました。想像の域は出ませんが、思いつくことを述べてみます。

まず、アヘ顔がエロゲー・エロ漫画界隈でこれほど浸透したということは、何らかの性的な表現として受け取られている証拠だと言えるのは間違いないでしょう。では何が表現されているのかというと、快感の飽和であり、そこから派生する無力さが表現されている、というのが私の考えです。

アヘ顔というのは、快感によって表情が制御不能になり、涙やら涎やらを垂れ流し、白目を剥く、みたいな状態です。多分。つまり、その意味では失禁や痙攣、気絶といったものと本質的には同じラインの上に乗るのではないかと考えます。自分でコントロールできないほどの快感を受けて征服される=無力になるということですね。

それでは、失禁やら何やらとの違いは何かということが次の問題になりますが、これは、「顔」であることかなと思います。冒頭に、『面とペルソナ』を引用しましたが、これは半ばギャグですが、半分は本気です。つまり、「顔」というのは人(キャラ)にとって、最も分かりやすい特徴であり、言うなればその人の象徴です(世の中にはおっぱいで人やキャラを見分けるおっぱいマイスターもおられるようですが……)。つまり、「顔」が制御できなくなるということは、自らの象徴・本質的な部分を支配されるということで、大変強いキャラの支配をイメージさせるのではないでしょうか。そうしてそのことが、ユーザーの征服欲を満たし、興奮へと繋がるのではないか。最もそのキャラクターの本質的な部分を押さえたという達成感が表現しやすいのが、顔だ、ということになる。だいたい、そんな感じです。

あとは、いささか雑談めいた話になりますが、昔のエロゲーはそれほどグラフィックで表情が変化しませんでした。DOSで大人気を誇った『同級生2』などは目パチ、口パクがありましたが、表情的には頬が赤らんだり、目をつぶったりするくらいだった。また当然、音声もありませんでしたから、直接あえぎ声などが描かれることも少なかった。どちらかといえば性行為の状況を描写してHシーンを演出するものが多かったように記憶しています。

しかし、次第に直接的な要素をHシーンに盛り込み、刺激に想像力が不要なものが増えてきました。最近出た某作品のUSBオナホールなどは、ネタ的に捉えられていますが、Hシーンでの刺激という視点で捉えれば非常に先駆的な仕掛けかもしれません。

と、このような内容でもって、一応の回答とさせていただきますが、お答えになったでしょうか。

「アヘ顔」について、考えたことも無かったのですが、言われてムム、ナルホド、と唸りました。いささか思いつきで述べた部分が多く、議論としてはまだまだ膨らませられるかと思いますし、もしかすると私の知らないところで既に多くの「アヘ顔」論があるのかもしれません。だとすると大変恥ずかしいことを言っているかもしれないです……。

繰り返しになりますが、不勉強なうえ、周辺的な話をよく調べもせずに書きました。もし一家言あるという方や、「アヘ顔」についての既存の議論などをご存知のかたがおられたら、是非いろいろと教えて頂きたく存じます。

といったところで、今回はここまで。それでは、また。

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レビュー+攻略:『瞳の烙淫2 ~絶対不可避の審媚眼~』

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タイトル:『瞳の烙淫2 ~絶対不可避の審媚眼~』(WitchFlame/2012年2月24日)
原画:金目鯛ぴんく、たぢまよしかづ/シナリオ:石弓達也 , 髪ノ毛座 , 須々木鮎尾 , charon
公式:http://spielsoft.1000.tv/WitchFlame/hitomi2/main.htm
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無
定価:8800円
評価:B(A~E)


2012年2月29日、感想投稿。内容について興味のある方は、上記リンクから拙文をご覧下さい。こちらは主に攻略と、補完的な雑感を扱います。

『瞳の烙印2』おわった、という話をしていたら攻略記事の要望を頂きましたので、掲載。攻略サイトのつもりは無いのですが、なんか攻略を頼りにしてくださる方が(獣の躾以来)増えたような……。攻略記事は賞味期限が早いですし、専門ではないので力の及ぶ限りになりますが、載せておきます。

▼攻略
CG回収は、Hシーンでの選択肢を総当たりしてください。差分が埋まります。

1周目(強制で「野ノ峰扇華を鈴を起点に堕とす」ルートに突入)
 分岐条件
 (1) 小鷹 初美 との初H後、「初美の携帯を見る」か「放っておく」か。
 「放っておく」を選んだ場合
  最終的に扇華に捕まるBADエンド。但し、初美と毬にはこちらでしか見られないHシーンあり。
 「初美の携帯を見る」を選んだ場合
  正規EDルート。

 (2) 扇華ルートEDの分岐
 正規EDルートに突入後は、「野ノ峰 扇華」と「悠木 さや」の2択でストーリーが進行します。その後、選択次第でルートは3つに分岐。(他キャラのイベントを残していた場合、選択は出ますがEDには関係ありませんでした)
 (A)扇華を選び続ける → 「野ノ峰扇華と同棲する」選択、扇華ノーマルED
 (B)さやを選び続ける → 「悠木さやを学園内で堕とす」選択で、さやED
 (C)さやED直前で寸止めして、最後は扇華 → 「野ノ峰扇華と同棲する」選択、扇華花嫁ED

 (3) ハーレムED条件
 (A)正規EDルートに入る(「初美の携帯を見る」を選択)
 (B)Hの際、全員に中出し/外だしし続ける
 (C)「野ノ峰扇華と同棲する」、「悠木さやを学園内で堕とす」の両方が出ている状態で、「悠木さやを学園内で堕とす」を選択。
 ※「同棲する」を選ぶと、扇華花嫁EDになります。

2周目(プロローグ後、「野ノ峰扇華を最短で堕とす」を選択可能)
 →選択肢は特になく、Hシーン連発。そのままEDへ。

▼正規EDルートでのイベント回収チャート例(能力発動モード)
※キャラ名を選択する形式ですが、キャラ名だけだと分かりにくいので、同時に表示されるイベント名で選択肢の表記を統一しました。ゲーム内で名前にカーソルをあわせてください。
※基本的に、キーイベントを踏んでストーリーが進行しても、後から回収できます。ED条件さえ踏まなければ、イベントをとりのがすことは無いと思います。
プロローグ
「野ノ峰扇華を鈴を起点に堕とす」
「野ノ峰扇華を最短で堕とす」 → 扇華ラブラブED (1周目選択不可)

※以下、ハーレムEDを目指す場合、中だし/外だしで選択肢を統一。
「???にプールで話しかける」
「???に喫茶店前で話しかける」
「繁華街を寄り道」
 →「初美の携帯を見る」
 →「放っておく」 ※最終的にBAD。初美、毬のHシーン回収で回る
「ゲームをプレイする」
「???を下駄箱前で待ち伏せ」
「陸前なつみを探る」
「坂崎咲子に毬から連絡させる」
「ゲームをプレイする」
「悠木さやを手伝う」 (イベント名「幼馴染みから肉奴隷へ」が素敵)
「悠木さやを自室に呼び出す」
「和宮和華奈に預言する」
 ※和華奈、咲子、美園と複数H 自動挿入
-----
以下、美園、さや、和華奈の三人を堕としきった時点で扇華攻略モードに。他キャラのイベントは後でも回収できますが、この時点で総当たりしておくほうがスッキリします。初美の携帯を見ていない場合、扇華攻略モード突入時にBADエンド。毬と初美のHはここで回収してください。

「学園」→「学園をサボる」
「来橋都を部屋の外に出す」
「学園」→「学園にいつも通りに行く」
「自室」→「自室に陸前なつみを呼び出す」
「学園」→「学園を抜け出す」
「自室」→「自室に八ヶ宿瑠々を呼び出す」
「自室」→「自室に近藤毬を呼び出す」
「近藤毬の誘いに応じる」
「自室」→「自室に八乙女鈴を呼び出す」
「自室」→「自室に八重樫ミリーを呼び出す」
「八重樫ミリーの本心を探る」
 ※瑠々、都、ミリー、鈴との複数H 自動挿入
 ※なつみ、愛理(初美)との複数H 自動挿入
 ※毬、ミリーとの複数H 自動挿入

「学生会室で坂崎咲子を弄ぶ」
「坂崎咲子と二人きりになる」
「桜美園を喫茶店に連れて行く」
「自室」→「自室に桜美園を呼び出す」
「自室」→「自室に和宮和華奈を呼び出す」
「学園」→「学園をいつも通りに過ごす」
 ※扇華のHイベント 自動挿入
-----
「悠木さやの誘いに応じる」
「自室」→「自室に悠木さやを呼び出す」
「自室」→「自室に野ノ峰扇華を呼び出す」
 ※さや、扇華との複数H 自動挿入
「野ノ峰扇華を教室で待ち伏せする」
「野ノ峰扇華をデートに誘う」
-----
(最終フェイズ)
※ここでイベントをこなしきると、扇華かさやのEDにいきます
「学生会室で野ノ峰扇華を弄ぶ」
「野ノ峰扇華の痴態を見たい」
 ※扇華、美園との複数H 自動挿入
 ※扇華、和華奈との複数H 自動挿入
「野ノ峰扇華と普通でないセックスをする」 (扇華ED準備完了)
 →「野ノ峰扇華と同棲する」 …… 扇華ノーマルED

「悠木さやを積極的にする」 (さやED準備完了)
 ※さや、咲子との複数H 自動挿入
 ※さや、なつみとの複数H 自動挿入
 →「野ノ峰扇華と同棲する」 …… 扇華花嫁ED
 →「悠木さやを学園内で堕とす」 …… ハーレムED(全中/全外で2パターン)
 ※さや、扇華との複数H 自動挿入
 ※さや、毬、扇華との複数H 自動挿入

さやEDを見たい場合、扇華のイベントをすすめずにさやを攻略でいけます。最後にさやの中だしを寸止めしただけだとダメ。ハーレム妊娠EDにいってしまいました。
と、だいたいこんな感じです。最初にも言った通り、差分はHシーンの選択肢を総当たりしてください。キャラの好みとしては和華奈が凄く好きだったのですが、思ったより出番が少なくて残念です……。

基本的にHするキャラの名前を選ぶだけ。Hシーンが連続で続く作品と思って貰えればOKです。ストーリー、そこそこ面白くなりそうだったのですが、大きく発展はしませんでした。残念といえば残念ですが、抜きゲーとしては正しいのかもしれません。

シーン数は、扇華が12、さやが8。その他ヒロインは3ずつ。複数Hが17。主人公以外の男キャラは一切出てきません。リンカーンとか好きな人には物足りないかも知れませんが、堕ち系ハーレムが好きな人にはスマッシュじゃないでしょうか。複数絡みのHが割と濃い目で、ヒロイン同士が競い合ったりするのが良かったです。

▼雑感
ソフトハウスキャラの主人公みたいに、凌辱はするけど他の男には渡さない、というタイプでした。割と私の好みです。ヒロインが主人公に心底惚れるわけではない、というのは全然違うところですが。ともあれ、肉体的にも精神的にも「壊す」系の凌辱とは違い、ややソフトな感じ。

Hシーン自体は結構質・量ともに充実。ただ、さすがに脇役の個別シーンが3つというのは少なすぎでしょうか。基本的にHシーンを連続で選びながらストーリーが進行するタイプなので、Hシーンが少ない=描写が少ないということになります。キャラの背景がきちんと定まらないままHだけが重なるので、いまひとつ燃えない部分がありました。やっぱり凌辱ゲーこそ、キャラの背景をきちんと描いて欲しいですね。そうしないと「堕ちた」ときの区別がきちんと分かりませんから……。

前作はわりとサイコサスペンス要素が強く、読ませる系の話だったと記憶しています。今作もそのノリかな、とプロローグが終わった段階では考えていたのですが、そこから怒濤のエロラッシュで、前作とは全然違う方向でした。主人公の能力が何だったのかとか、ヒロインとの心理的な駆け引きとか、一切無し。ハーレムルートまで全イベントをこなすと、50シーンのエロ(プロローグ含めれば51かな)が連鎖するという開き直った抜きゲーっぷり。こちらもそういうものだと割り切って、細かいツッコミとかは一切放棄しました。その意味では、かなり満足度高い。

惜しむらくは、主人公の厨二っぷりをもうちょっと発展させられたのではないかというところと、扇華がなびくときの描写をもうちょっと細かくしてもよかった(結局、キャラ描写の丁寧さという意味では同じになるでしょうか)というあたり。扇華を追い込んでいくプロセスと、さやが壊れていくプロセスの描写が非常に丁寧なだけに、他キャラの投げっぷりがかえって目立ってしまった印象です。

ちなみにキャラ的に気に入っているのは、和華奈。ツンデレというか、最初晃一のことを毛嫌いしているのに快楽でぽきーんと折れて、淫乱の素質開花しちゃったというのがかわいくて良かった。態度がくるっとかわって、扇華への忠誠も何もかも放り出して淫行に耽る、という豹変ぶりがなんかツボにはまっちゃった感じでした。実は単に、金髪ツインテールなのが気に入っただけかもしれませんけど……。

いわゆるMC(マインドコントロール)系だと、『操心術』シリーズという大物がいるので、よっぽどのを出さないと超えられないかなという感じがあるのですが、本作みたいに設定的な部分を完全プッチして、全部「能力がスゴイから」で済ませ、ご都合エロまっしぐらというのはある意味潔くてアリですね。しかし、それならなぜナンバリングタイトルにしたのか……。そこだけ、よくわかりませんでした。

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レビュー+攻略:『ホチキス』

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タイトル:『ホチキス』(戯画/2012年2月24日)
原画:marui、みことあけみ/シナリオ:原人、木場貴志
公式:http://products.web-giga.com/hotchkiss/index.html
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無
定価:8800円
評価:D(A~E)


批評空間様への感想を投稿しております。詳しい紹介・内容に興味がある方は、上記リンクから拙文をお読みください。こちらでは主に、雑感と攻略のヒント的なことを書いていこうと思います。

▼攻略
選択肢選ぶだけ。BADENDや個別のイベント回収には未対応。EDを見る為だけの攻略です。
●奈々編
奈々を手伝う
すみません、別の用事が
奈々を待つ
覗かない
大事な場所
 ※そんなに大事じゃない で解散ED
それはできません。
奈々を待つ
奈々の頼みを受ける
しずくちゃんについて奈々に聞く

●しずく編
しずくちゃんを手伝う
すみません、別の用事が
しずくちゃんに声を掛ける
覗かない
大事な場所
それはできません
奈々を待たない
奈々の頼みを断る
しずくちゃんについて奈々に聞く

●三咲編
奈々を手伝う
すみません、別の用事が
しずくちゃんに声を掛ける
覗かない
大事な場所
それはできません
奈々を待たない
奈々の頼みを断る
三咲について奈々に聞く

●ゆきの編
奈々を手伝う
いいですよ
しずくちゃんに声を掛ける
覗く
大事な場所
全然ダメじゃないです
奈々を待たない
奈々の頼みを断る
三咲について奈々に聞く
これで全員のEDを見られます。特にオススメの攻略順とかはありません。野郎EDが見たい方はAs you like it.

▼雑感
三咲EDが一番この作品らしかったでしょうか。裏メインルートは奈々でしょう。主人公の家庭事情がわかるので。

批評空間さんの感想で書いた内容の繰り返しになりますが、とにかくキャラのやっていることがおかしい、という意識がずーっと残りました。たとえばホチキスを売るための工夫ということで、「かわいいラッピングをしよう!」という提案に、皆がのる。どう考えてもありえないだろう、と思うのですが、キャラたちがそれで納得している以上はそういうものとして読むしかないわけです。

何より、互助研がどうして解散しなければならないのか、全く分からないせいでストレスがたまりました。あちらでも引用しましたが、再び。
茂 「あの、やっぱりもうどうにもならないんですか?」
かすみ 「またそれか……この前も言っただろう? 経営的に厳しくてな
茂 「どうにか互助研の売上を上げる事はできないんですか?」
かすみ 「簡単に言ってくれるな……それができたら誰も苦労はしない。そんな事ができれば、世の中倒産する会社が激減するだろうよ」
茂 「そうかもしれないですけど、このまま指をくわえて解散になるのを待つだけなんて」
かすみ 「別にずっと指をくわえてきたわけじゃないさ……今までも色々やってきた」
茂 「えっ?」
かすみ 「だが、一年前から経営的に厳しくてな。正直、ここまでもったのも奇跡みたいなものなんだ」

ご覧の通り、「経営的に厳しくてな」しか言ってくれません。どんな風に厳しいのか、まったく分からない。だから、茂たちが対策として「ホッチキスを売ればいい!」と言い出しても、なんでだかサッパリわからない、という感じで完全に置き去りにされました。試験問題集のほうが売れそうですけど……。定期的に購買層もいますし。あとは、教師の逆評定とか。

結局、何が互助研にとって本質的な問題で、それがどの程度の規模なのか分からないから、まったく話に入り込めない。そして、見ている私の方があれこれ代案を思いつく……。うぅん、という感じ。

こいつらバカだ、と断罪してもよかったのですが、彼らがそれで納得できると言うことは、茂たちにとって重要なことが何かあって、やっぱりそれにこだわっている感じはしたのでプレイを続けていました。そうすると彼らの行動よりはむしろ、言葉のほうが浮いてるということに気づきました。

言葉のほうが浮いているというのは、「互助研を潰さないため」という彼らのお題目が、実はまったく的外れということです。そもそも互助研は学校非公認。同好会未満の集団ですから、勝手に名乗っても構わない。互助研の正統性(正当ではない)を握っているのはかすみ部長ただひとりで、その彼女が納得できる形で互助研の活動を復活させればいい、というだけの話なんですよね。だから本当は、経営がどうとか、売上がどうとか関係ない。一切具体的な数字が出てこないことだって、ある意味当然なのです。でも、茂たちキャラクターはなぜかその関係ないはずのことばかりを口にするから、奇妙なねじれが発生している。

つまるところ、作品内でやりたかったであろう、言いたかったであろうことと、実際の内容が噛み合っていないわけです。設定は、互助研が潰れるという危機感に基づいて、互助研というかけがえのない場所を守る話にしたかったのでしょう。しかし、実際の内容としては互助研が潰れるということに全く説得力が無く、茂たちは単に「もっと楽しく盛り上がりたい」という感じで動いていると見た方が自然です。無理矢理「居場所がなくなる」という切迫感をもってきて強引にねじ込んでいるせいで、言動が浮いてしまう。極めつけが、ゆきのの署名活動後、かすみに行った説教でしょう。あれは本当に寒かった……。

あと、「茂犬」にまつわるエピソードなんかは、完全に後出しじゃんけんというか、伏線なんかを一切無視していきなり適当なエピソードをあとからひっつけた感じがしました。推理小説でいえば、一度も出てきたことがない殺人鬼が急にでてきて、実はこいつが犯人でした、みたいな。ちょっと残念でしたね。

作品自体は概ね丁寧につくってあって嫌いになれないのですが、オススメできるかと言われれば、かなり微妙……というかあまりオススメできません。麻耶のキャラを前面に押し出すなどしていれば、男の娘好きのファンをわしづかみにできたかもしれませんが、それも何か違うでしょうし。

ヒロインの中では、三咲が良かった。「茂たん」という呼び方へのチェンジや、ペアカップを買いに行くイベント、くまごろーとの会話など。序盤の暴力装置(汗)状態から華麗なる変貌。「あたし、バカだし、明るさと体力しか取り柄ないけど、そんなあたしを大事にしてくれる茂たんの支えになりたいんだ。だから、あたし、いつも笑顔で彼の隣にずっと居る。」という独白は、ぐっと来るものがありました。つきあうならこの娘です。間違いない。

スキップシステムなどが優れているせいで、そこまで時間がかからないのがせめてもの救いでしょうか。予約で買った方も多いと思いますので、気になる娘をまずは攻略してみて、肌に合うようだったら次の娘も……という感じで進めるのが良いかも知れません。

体験版で感じた違和感は伏線で、どこかで解消されるのかと思っていたのですが、最後までそのまま……というパターンだったので、購入を考えておられる方はまず、体験版に手を付けてみることをお薦めしておきます。そうすれば、おおよその雰囲気は分かると思いますので。

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CD:上原れな『l’espoir』

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l'espoir<ハイブリッドCD>/上原れな
収録時間: 65 分
発売日:2012年2月22日
価格:3000円(税込)
発売元:株式会社フィックス
販売元:キングレコード株式会社
初回生産版:なかむらたけし描き下ろし特製パッケージ


『WHITE ALBUM2』で数々の印象に残る曲を歌っておられた上原れなさんの3rdアルバム、『l'espoir』を公式通販で購入しました。もちろん、初回生産版です。ちょっと割高なんですが……まあポイント溜まるし……。なかむらたけし氏の描く雪菜たちが非常に魅力的ですね! ちゃっかりセンターを取ってる千晶がさすがすぎる……。それにしても、みんな冬の出で立ちなのに、雪菜だけ半袖で寒くないのでしょうか。部屋着?

さて、メインの楽曲について。SACDハイブリッド盤ですが、普通にプレイヤーで聴きました。思い出補正があるから冷静ではないと思いますが、全体的に良かった! 満足です。作中でも気に入っていた、「After All」のアレンジバージョンが凄く印象的でした。あとは、『TH2DT』のタイアップ「my friend」がなかなか。なお、「泡沫の声」は上原さんが作詞・作曲をされたということ。多才な方ですね。

もともとゲームの余韻に浸るために買ったところはありまして、その目的は十分に果たしてくれました。その他楽曲も良かったと思います。願わくは、名曲の多い『Routes』から何曲かカバーしてほしかったですが、それは又の機会を楽しみに待つということで。キャラソンアルバムとか出てくれたら狂喜乱舞なんですけど……どうでしょうか、Leafさん……!

とりあえず、しばらくは聞き倒すアルバムが出来ました。ただこれ、作業は絶対はかどらないのでリラックスタイムに……でもそれだとエロゲーできないんですよね。結局電車の移動時間とかで聴く、いつものパターンに落ち着くかな。

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レビュー:『セーエキ!ぶっかけ牧場! ~お汁いっぱい、精霊達をHに飼イク!~』

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タイトル:『セーエキ!ぶっかけ牧場!』(softhouse-seal/2012年2月24日)
原画:ぺけぽこ/シナリオ:遊真一希、坂元星日、須々木鮎尾
公式:http://softhouse-seal.com/product/058-bukkakefarm/index.html
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無
定価:1980円
評価:B(A~E)


批評空間様への感想を投稿しております。詳しい紹介・内容に興味がある方は、上記リンクから拙文をお読みください。こちらでは主に、雑感と攻略のヒント的なことを書いていこうと思います。

▼攻略
CG・イベントありのEDは三種類です。条件は、(1)魔王ペタに言われた通り、淫者の石を精製する。(2)魔王ペタの好感度をMAX(1000?)にする。(3)モン娘たち四人の神器アイテムを作成する。でした(これで回想CG全部埋まりました)。

私は同時並行でやりましたが、アイテム収集の手間を考えると3回やりなおしたほうが速いかもしれません。特に魔王様の好感度は、気にしないなら激下がりするまではずっとカステーラ喰わせておいて良いので、他の道具製造に注力できます。

なお、キャラによって採集スポットでとれるアイテムは決まっている(個数はランダム)模様。また、各回の成否判定はランダムなので、効率とか気になる人はセーブ&ロードすれば良いと思いますが、ゲームオーバー条件に日程は無い(少なくとも90日くらいやりましたが全く問題なかった)と思うので、体力無くなってぶっ倒れたとか言うのでなければ、翌日もう一度探索するほうが早いと思います。

上級採集場所の探索が可能になる条件は、おそらく初級の採集をこなした回数(どの場所、どのキャラかは不問。全体として)です。適当に探索していればそのうち解放されます。なお、参考までに以下でキャラごとの採集アイテムをまとめました。
▼こりん
●マン湖(初)
 マン水、グロイ牡蠣
●マン湖(上)
 マン水、超グロイ牡蠣

●マラ森(初)
 ペニスダケ、女体木、お汁
●マラ森(上)
 ペニスダケ、女体木、魔法のペニスダケ

●パイオツ山(初)
 貧乳岩、お汁
●パイオツ山(上)
 貧乳岩、お汁

▼パピー
●マン湖(初)
 グロイ牡蠣
●マン湖(上)
 グロイ牡蠣、超グロイ牡蠣

●マラ森(初)
 ペニスダケ、女体木
●マラ森(上)
 ムチムチ女体木、お汁

●パイオツ山(初)
 貧乳岩、巨乳岩、お汁
●パイオツ山(上)
 爆乳岩、超乳岩、お汁

▼ミュル
●マン湖(初)
 マン水、お汁
●マン湖(上)
 マン水、濃マン水、お汁

●マラ森(初)
 女体木
●マラ森(上)
 女体木、魔法のペニスダケ

●パイオツ山(初)
 巨乳岩
●パイオツ山(上)
 巨乳岩、超乳岩

▼サラ
●マン湖(初)
 マン水、グロイ牡蠣、お汁
●マン湖(上)
 グロイ牡蠣、濃マン水、お汁

●マラ森(初)
 ペニスダケ、お汁
●マラ森(上)
 ペニスダケ、ムチムチ女体木、お汁

●パイオツ山(初)
 貧乳岩、巨乳岩
●パイオツ山(上)
 貧乳岩、巨乳岩、爆乳岩

あと、多少わかりにくいかもしれませんので、Hで手に入る精霊達のアイテムもリストアップ。
トカゲのシッポ : サラ・快感
トカゲの唾液 : サラ・奉仕
トカゲのウロコ : サラ・恥辱

スライムお汁 : ミュル・奉仕
スライム乳液 : ミュル・恥辱
スライムおっぱいゼリー : ミュル・快感

けもののおっぱい : こりん・奉仕
ゴーレムのチンポ : こりん・恥辱
使用済みマンドラゴラ : こりん・快感

ハーピーのたまご : パピー・奉仕
ハーピーのマン毛 : パピー・恥辱
ハーピーの羽根 : パピー・快感

精霊の神器を作る為に必要となる特殊素材は、次の手順で手に入ります(この時、各キャラごとにHイベント発生)。
方向音痴磁石作成 → マラの森探索 → ローパーちゃんの樹液
悪魔殺し作成 → 自動イベント → ケモノのわかめ汁
穴あきビキニ作成 → マン湖探索 → 魔法のスク水
獣寄せフェロモン作成 → パイオツ山探索 → エロイタチのエロイ太刀

というわけで、これだけあればすいすいっと攻略できるのではないかなと思います。手に入るアイテムは先ほども言ったとおりランダムですので、全部の手順が一緒になるとは限りませんが、参考になれば幸いです。

▼雑感
このところどうも当たってなかったというか、いまいちな作品ばっかり踏んでたsealさんですが、ようやく来たな! という感じです。余りにも下ネタが直接的すぎて、引くひとはドンビキかもしれないのですが、私くらいのオッサンにはこのくらいで丁度でした(笑)。

何より、どのキャラもわりと可愛かったのが良かったですね。私はモン娘について語れるほど詳しくも、思い入れも無いのですが、そんな私がするりと入ることができる程度には門戸が広いと思います。逆に、モン娘にこだわりのある方からすれば物足りないのかな、と思ったりもしますが……。

オープニングでいきなり魔王ペタ様にふみふみされた挙げ句、踵をケツに突っ込まれたときはどうしようかと思いましたが、終わってみると割と攻めタイプだったエロゲルスス(主人公)くん。「今度は踵ではなく、つま先をケツ穴にぶち込んで欲しいのか!?」などと過激なことをのたまっていたペタ様も最後は良い子になっちゃって、いやはや、可愛らしかったです。どうしてエロゲルススに惚れたのか、いまもってサッパリ分からないのですが、やっぱりアレでしょうか、女の子をおとすにはプレゼント攻勢が一番である、と……。

バカゲーだバカゲーだと騒ぎましたが、考え無しのバカというわけではなく、割と様式美にきちんと押し込めているところもあり、その辺は安心して読めます。これがただぶっ飛んだ超展開なだけだったら、シュールなだけで全く面白くなかったでしょうが、きちんと下ネタにするラインみたいなのがあって、踏襲しているのは伝わってきました。

相変わらずテキストはおかしいところが結構ある(「なにせ代々受け継いだ精霊使いとしての溢れる精霊エリートだ。」とか)のですが、ゲームパートとエロパートの間に挟まれる程度だったので、そこまで気にならず。展開のマッハっぷりも、全体を流れるギャグモードによって華麗に相殺。

あとは、システムを妙に凝らなかったのが良かった。もともとこの価格帯の作品は、やりこみとか長時間プレイを期待したらいけないわけで、ヘンに凝って分かりにくいシステムにすると、慣れる頃にゲームが終わるハメになったり、システムに慣れるまでに時間がかかってフラストレーションが溜まるといった本末転倒なことになりかねません。その点本作は、インプットは単純だけど数が多い。そのぶん、アウトプットの種類を増やし、うまくイベントが回るように工夫してあったと思います。

ただレビューに書いたとおり、「sealらしさ」はあっても「この作品でなければならない」という部分は薄い。sealの中でこの作品を選ぶ意味はモンスター娘である、ということだと思いますが、そこまでモン娘が好きなら他にも有名な作品があるわけで、そっちじゃなくてこれ選ぶ理由は? と言われると、絵柄くらいしか思いつかない。その意味でのオリジナリティは、やっぱり今後突き詰めて欲しいところでしょうか。

とはいえ楽しむぶんには全然問題ないわけで、気軽に買って、気軽に遊ぶにはとても良い、低価格ソフトのお手本みたいなゲームだったということにしておきます。

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表記:「『彼女は僕に、そっとうなずいた』……あれ、うなづいた? うなずいた? どっちだっけ。よし、漢字でいいや」、の巻。

うなずいた……うなづいた? あれ? どっち? というように、「ず」だか「づ」だかわからない。あるいは、「じ」と「ぢ」のどちらが正解かわからない、という経験、皆さんもおありではないでしょうか。私はしょっちゅうです。

結論から言うとどちらでも良いのですが、この辺りのルールって良くわからないものが多いですよね。「血」が「ち」と読むから「鼻血(はなぢ)」だと習ったのですが、それならどうして同じように「ち」とよむ「地」を使った「下地」は「したぢ」ではなく、「したじ」なのか。「大詰め」は「おおづめ」、「寿司詰め」は「すしづめ」なのに、「差詰め」は「さしずめ」でも「さしづめ」でも良いらしい。おなじ「詰」の字なのに、おかしいじゃないか!

もしかすると、平仮名の表記と漢字との間には、関係が無いのではないか、という感想を抱くのも当然でしょう。試しに、ネット上でどのように言われてみるか検索してみると、たとえば次のような意見が出てきます。
Yahoo知恵袋 forestsaregreenさんの回答
「現代仮名遣い」は矛盾だらけですので、辞書で確かめるよりないと思います。(中略)「ず」と「づ」は同音とみなし、すべて「ず」に統一するというのがその趣旨だったのでしょうが、漢字との矛盾から「づ」がどうしても残ってしまったというのが実情だと思います。

Yahoo知恵袋 ka04zuさんの回答
「現代仮名遣い」では、「じ」「ず」を使うことを原則としていて、次の二つの場合に限り例外として「ぢ」「づ」を使うことになっています。
1、同音の連呼 例 つづく(続く)、ちぢむ(縮む)
2、二語の連合 例 はなぢ(鼻血)、みかづき(三日月)
「~しづらい」は、「する」の連用形「し」に「つらい」が接尾語的に付いた語、つまり二語の連合にあたるので、「~しづらい」と書きます。「うなずく」の場合はちょっと複雑です。これも「うな(うなじ)」と「つく(突く)」が合わさってできた語で二語の連合にあたるのですが、元々二語であったという意識が薄いとの理由で「うなずく」と書く、と決められてしまったのです。つまり、「例外の例外」というわけです。
ベストアンサーのものだけを拾いましたが、そのほかにも色々なことを言っている人がいて、どうも要領を得ません。というか、あまり統一的な見解がなされていないように見える。ただ、ここに「現代仮名遣い」なる名称が出てきました。

そういえば、そんなのもあったなあ、と今更思い出す私。要するに、お国が推奨する仮名遣いのルールというのがあるわけです。ワープロで変換したときに「『うなずく』が本則」などと出ることがありますが、その「則」を定めたものですね。実際の内容がどんなものだったか確認しておきたいなぁ……ということで、教えて、グーグル先生!!

現代仮名遣い(文部科学省) 

さすがは先生。5秒もかからずブツを寄こしてくださいました。さて、上をご覧になっていただければ、いきなり「あれ?」と思うところに出くわします。そう、「なお、昭和二十一年内閣告示第三十三号は、廃止する」というこの一文。どうやら、これ以前にも規則があったようです。そこで、「昭和二十一年内閣告示第三十三号」とやらを調べてみると、次のようなものがでてきました。

現代かなづかい

どうやら、「現代仮名遣い」とは別に、「現代かなづかい」というものがあったらしい。そして、「現代仮名遣い」の登場により、「現代かなづかい」は廃止された(ええい、ややこしい!)、ということのようです。では、この二つ、一体なにが違うのでしょうか。

端的には、コンセプトが違います。旧版「現代かなづかい」の「実施に関する件」には、次のように書かれていました。
國語を書きあらわす上に、從來のかなづかいは、はなはだ複雜であつて、使用上の困難が大きい。これを現代語音にもとづいて整理することは、教育上の負担を軽くするばかりでなく、 國民の生活能率をあげ、文化水準を高める上に、資するところが大きい。それ故に、政府は、 今回國語審議会の決定した現代かなづかいを採択して、本日内閣告示第三十三号をもつて、これを告示した。今後各官廳においては、このかなづかいを使用するとともに、廣く各方面にこの使用を勧めて、現代かなづかい制定の趣旨の徹底するように努めることを希望する。
この後に続く、「現代國語の口語文を書きあらわすかなづかい」というフレーズが、「現代かなづかい」の特徴をきれいに表しています。要するに、「かなづかいを口語にあわせて統一する」、「それをガンガン他の人にも勧めろ」ということの模様。文の表記が口語とずれているのが、生活にとってためにならないから、これを是正して生活を向上させねばならない!! という強烈な義務感とか熱意を感じます。

一方、新版「現代仮名遣い」の場合はどうか。こちらは、仰々しい理念や変革への熱意はなりを潜め、あっさりしすぎではないかと思うほど簡潔に、自らの立場を表明しています。
一般の社会生活において現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを、次のように定める。
所詮は「よりどころ」であって、強制力なんて無い。社会生活を便利にするための、一つの参考基準ですよ、ということになっています。そして、「廣く各方面にこの使用を勧め」ようとしていた「現代かなづかい」と異なり、「この仮名遣いは,科学,技術,芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない」と、この規則に個人レベルでは従わなくても良い(逆に言えば、日常生活のオフィシャルな場、たとえば試験や書類などでは従うのが望ましいということになるのかもしれませんが)、と言っています。

ここから分かるとおり、どうやらそもそもオフィシャルルールであるところの「現代仮名遣い」さんは、そんなに厳しい人ではない様子。守らないからといってアカウントBANとか即ブロックのような鬼対応をするようには見えない。ということはそんなに目くじら立てなくても良いのかもしれませんが、とはいえ、ここまで見たのだから折角だし、冒頭の疑問をぶつけてみたいと思います。

「現代仮名遣い」によりますと、基本原則は発音と表記をあわせる、ということになっています。そして、濁音「zi」「zu」は、「じ」「ず」のに統一する、ということです。「現代かなづかい」が「「クヮ・カ」「グヮ・ガ」および「ヂ・ジ」「ヅ・ズ」をいい分けている地方に限り、これを書き分けてもさしつかえない」として、「ヂ」と「ヅ」や「ジ」と「ズ」を音として読み分けているのなら、かき分けても良い、としていたわけですが、こうしたニュアンスを引き継いでいるとも言えます。

しかし、中には例外が存在する。石頭だった「かなづかい」さんに比べ、随分いいかげん柔和な「仮名遣い」さんは、数多くの例外を認めてくれます。懐が深いんだぜ……。

そんな例外について書かれたのが、「表記の慣習による特例」である「凡例第2」。濁音表記は、「5」項に書かれていました。以下、少々長いけれど全部引っ張ります。
5 次のような語は,「ぢ」「づ」を用いて書く。

(1) 同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」


例 ちぢみ(縮) ちぢむ ちぢれる ちぢこまる つづみ(鼓) つづら つづく(続) つづめる(約△) つづる(綴*)

〔注意〕 「いちじく」「いちじるしい」は,この例にあたらない。

(2) 二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」

例 はなぢ(鼻血) そえぢ(添乳) もらいぢち そこぢから(底力) ひぢりめん いれぢえ(入知恵) ちゃのみぢゃわん まぢか(間近) こぢんまり ちかぢか(近々) ちりぢり みかづき(三日月) たけづつ(竹筒) たづな(手綱) ともづな にいづま(新妻) けづめ ひづめ ひげづら おこづかい(小遣) あいそづかし わしづかみ こころづくし(心尽) てづくり(手作) こづつみ(小包) ことづて はこづめ(箱詰) はたらきづめ みちづれ(道連) かたづく こづく(小突) どくづく もとづく うらづける ゆきづまる ねばりづよい つねづね(常々) つくづく つれづれ

なお,次のような語については,現代語の意識では一般に二語に分解しにくいもの等として,それぞれ「じ」「ず」を用いて書くことを本則とし,「せかいぢゅう」「いなづま」のように「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする。 例 せかいじゅう(世界中) いなずま(稲妻) かたず(固唾*) きずな(絆*) さかずき(杯) ときわず ほおずき みみずく うなずく おとずれる(訪) かしずく つまずく ぬかずく ひざまずく あせみずく くんずほぐれつ さしずめ でずっぱり なかんずく うでずく くろずくめ ひとりずつ ゆうずう(融通)

〔注意〕 次のような語の中の「じ」「ず」は,漢字の音読みでもともと濁っているものであって,上記(1),(2)のいずれにもあたらず,「じ」「ず」を用いて書く。 例 じめん(地面) ぬのじ(布地) ずが(図画) りゃくず(略図)
ふむふむ……。なるほどなるほど、という感じです。これを読むと、一応最初の疑問はいろいろ解消できる感じですね。ただ、この書き方はとても分かりにくい。そのせいで、規則の解釈を巡って問題が発生しているように思われます。

たとえば、Yahoo知恵袋に書かれていたka04zuさんの回答。「現代仮名遣い」を引用し、正確な説明を試みられているのですが、微妙に外れています。どこがか? 例外を、「二語の連合」としているところが、です。

もし連合であることが問題なら、「地面」だって「地」と「面」の連合なのですから、「ぢめん」とすべきです。これについては、二語であるという意識が薄いということも無いでしょう。実はこの細則は、「連合」であることではなく、「連合によって生じた」という部分がキモ。〔注意〕の部分を読むと、そのことがハッキリとわかります。

地面や布地は、「漢字の音読みでもともと濁っているものであって,上記(1),(2)のいずれにもあたらず」、というわけです。「地」は単体で「じ」だから、このルールの対象外。つまり、連合(や連呼)によって《本来濁っていなかった音が濁った場合には、「ぢ」や「づ」を使っても良い》という設定なわけですね。「によって生じた」を落とすと、色々な例外や勘違いが大量発生してややこしいことになる。

ここまでを整理すると、以下のようなルールが見えてきます。
1.原則、「じ」「ず」で表記する。
2.「ぢ」や「づ」を使うのは、語の連呼や連合(2語が合わさる)ことで、濁音が生じた場合。
3.ただし、元来2語の連合でも、現状区別が付きにくくなったものについては、「じ」「ず」を本則とする。


ここで、恣意的な基準(客観的ではない基準)が入るのは、「3」の部分。2語の連合であるという区別がつくかつかないか、というところになるでしょう。そして、そのあたりは一応具体例を挙げつつも、最終的には「個人にオマカセです」と丸投げしちゃうのが「現代仮名遣い」ということのようです。

これを踏まえて最初の語群を確認してみましょう。

まず、「頷く」。これは本来、「項(うなじ)」を「衝く」の意味で、2語の連合です。しかし、「うなじ」が「うな」と省略されているし、漢字も「頷く」と「うなず」までをセットでまとめている。2語の連合という背景は薄れています。だから、「うなづく」ではなく、「うなずく」という表記が本則になる。

「下地」の場合は、「地面」と同様、もともと「地」を「ち」とも「じ」とも読み習わし、「連合によって生じた」濁音ではないから「したじ」、「じめん」と書きます。

「大詰め」は、「大きく」+「詰める」の2語。「寿司詰め」は「すし」+「詰める」の2語であることが比較的分かりやすいので、「大詰め」になります。

そして、「差詰め」は、「差す」+「詰める」がもともとですが、この「差す」の意味が分かりにくい、ということなのでしょう。「さしずめ」と一語で使っている場合がほとんどですから、この場合は「現代語の意識では一般に二語に分解しにくいもの」ということで、「さしづめ」は本則から外す(「さしずめ」を本則とする)ことになったのだと思われます。

と、そんなわけで意外とキッチリした約束が決まっており、条件は分かりやすかったです。確かに「現代語の意識」で二語に分けやすいかどうかはちょっと曖昧な感じもしますが、二語に分けて両方の意味の繋がりが見えない(差す+詰めるでどうして「さしずめ」の意味になるのか、すぐには分からないと思います)場合は、連合とは考えない、という風にしておけば概ね外さないのではないでしょうか。

思わぬお勉強記事になってしまいましたが、自分的にはなんかスッキリした感があるので割と満足です。少なくとも知恵袋のかたのように、「「現代仮名遣い」は矛盾だらけ」と一蹴する気にはなれなくなりました。

……という記事を書いた後、何気なく「さしずめ」でググると、こんな記事が。うわー、似たようなことを、私よりうまくまとめておられるなぁ、と自分のダメさを恥ずかしく思いつつ、少し違う部分もあったので、参考にしながらリライトさせていただきました。

ともあれ、そんなところで。

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レビュー:『エロゲーしようよっ!』

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タイトル:『エロゲーしようよっ!』(HEAT-SOFT/2012年2月17日)
原画:七G/シナリオ:DEカモ
公式:http://www.heat-soft.com/eroge/
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無
定価:3800円
評価:B(A~E)


批評空間様への感想を投稿しております。詳しい紹介・内容に興味がある方は、上記リンクから拙文をお読みください。こちらでは引用も含めつつ、もうちょっと突っ込んだ話をしようかと思います。以下、ネタバレと攻略を含むので閲覧ご注意ください。

▼攻略
由々花
選択肢1: 「あの由々花が……」
選択肢2: 「改めて見ると、けっこう……」
選択肢3: 「これは夢に違いない」
選択肢4: 「めぐりを引きはがす」
----個別----
選択肢5: どれを選んでも結果同じ。部屋でゲームやろうず。
選択肢6: どれを選んでも結果同じ。
選択肢7: 「行く」 → ED1 「行かない」 → ED2
選択肢8: (7で「行く」を選んだ場合のみ)どれを選んでも同じ。フルコース。

選択肢1: 「まわるがエロゲなんて信じられない」
選択肢2: 「わざわざ着替えたのか」
選択肢3: 「本気で言ってるのか?」
選択肢4: 「めぐりを引きはがす」
----個別----
選択肢5:「しない」 → ED1 「…………」 →ED2

選択肢1: 「ただでさえ問題児なめぐりが……」
選択肢2: 「わざわざ着替えたのか」
選択肢3: 「これは夢に違いない」
選択肢4: 「もう好きにすればいい……」
----個別----
選択肢5: 「そんなことはどうでもいい」 → ED1 「わかった」 →ED2

全26シーン(由々花10、まわる6、めぐり6、その他4)、うち各キャラED2はBADで凌辱色が強め。めぐりだけはヤンデレED。その他も凌辱色が強いものはあるが、イメージプレイ程度。
まずは攻略から、と思いましたがほとんどやるべきことも無かったです。今までの記事より、攻略を見やすくしてみたのですが、選択肢1以外関係あるのか謎。まあ、こうやったらEDに行けました、という報告ということでひとつ。

▼雑感
いやあ、面白かったです。二重の意味で。まず、単純にテキストとか設定が楽しかったです。もう一つは、読み込む楽しみがありました。構造が割と複雑かつ特殊(ユニーク)な形を取っていて、作品に深みを与えていたように思います。批評空間さんのほうでは後者にばかり注目したので、ここではまず前者から。

ヒロインとしては「リーゼロッテ(演技)」(気弱な自分を誤魔化す為に、リーゼロッテというエロゲーキャラのフリをしながら生活していた、と由々花が白状し、主人公が「俺はつい最近までリーゼロッテ(演技)とやらと喋ってたのか」と言います)がかわいい由々花が好きなんですが、キャラとしてはまわるちゃん最強ですね。

趣味のエロゲーが大貴(主人公)にバレてパニクる由々花を、「お得意のコスプレですよ。キャラクターになりきってしまえば、どんなセリフでもすぐに浮かんでくるはずです」と唆し、明らかにおかしな方向へぐいぐい誘導する腹黒さ。

「エロゲの主人公ならば、睡眠中に挿入。眠っている間に犯され、目覚めて混乱するヒロインを楽しむものです。あと、行為の後は放置、が基本でしょう。事後の世話など言語道断です。もっと人の心を捨ててください」という、凌辱ゲーに対する偏った理解(笑)。

そして、ひっくりかえって主人公を好きになったと気づいたときの態度の可愛さ。イロモノキャラではあるのですが、かなり良い味がでていました。台詞も、この娘のときが一番キレていた気がします。
まわる:「もう面倒なので、全裸で『抱いて!』と、お兄様の部屋に突撃してみてはいかがですか?」
由々花:「ただの痴女じゃない!」
まわる:「ご心配なく、すでに痴女です。ああ、いえ、恋する痴女ですね、タチの悪い。」
実の姉に対してこの暴言。更にこの後、「ご自覚がありませんでしたか? でしたらすぐ、その萌えとコスプレでピンク色な脳みそに叩き込んでください」とえぐり込むような追撃を叩き込みますが、実はこの辺こそがまわるの真骨頂という感じもします。相手のキャラの本質をうまく切り取って、絶妙に歪めて解釈する知的キャラ。こういう娘をつくれるライターさんの作品は、割と安心して、しかも楽しく読めます。

ただ、全体的に内容はちょっと予想外というか、こういう話になるとは思っていませんでした。最後、エロゲー関係ない方向に走るし、良いのかなあという気はしないでもありません。その辺は、批評空間のえびさんの感想が、困惑感をよく捉えておられます。

マトモな主人公と、エロゲーにどっぷりの三姉妹という構造。にもかかわらず、「こんなに好きって伝えたいAVG」というジャンル表記。加えて「三次元 (リアル) を侵食するエロゲッ娘たちに、主人公は打ち勝つことができるのか」というアオリ文句などから、恋愛による壮絶な現実からの撤退戦、あるいは頽落した現実の立て直しのどちらかを想像した人は多いのではないでしょうか。私の場合は、主人公の大貴くんがエロゲーにどっぷりズブズブはめられていく姿を予想していた(体験版の構成だとそんな感じでした)のですが、その予想は、斜め方向に裏切られました。

批評空間様のレビューで書いたのですが、この作品は完全にエロゲー的世界で完結しています。外側なんて、無かった(笑)。けれど、登場人物たちの意識にはメタ的な部分があります。

「メタ―ベタ」という二項対立を使うとちょっと分かりにくいかもしれないのですが、要するにヒロインたちが自覚しているレベルでのエロゲー性(自分たちはエロゲーのキャラを演じている)と、無自覚なエロゲー性(実際に自分たちが作られたエロゲーのキャラであるということ)が分かれて描かれている、ということです。普通、メタの視点(自分はエロゲーキャラである=演じている)はユーザーの視点とセットで導入されるのですが、本作ではユーザーを排除したこの世界の中でそれが成立してしまっている。

つまり、由々花たち三姉妹は皆、自覚的にエロゲーのキャラという役割を果たしながら、ベタな部分ではその演じているのとは別のキャラクター性を持っているわけです。これはたとえば、自分がゲーム機であるというメタ的な自覚を持ちながら、自分が創作物であるということは理解していない(ベタのレベルでは描かれている世界から抜けだしていない)ネプチューヌのような擬人化キャラの類型に、かなり近いのではないか、と考えたわけです。そんなわけで、エロゲーのジャンルを擬人化した作品に近いのではないか、という話を書きました(パッケ絵で三人が持ってるエロゲーのディスクが、実は彼女たちの正体なのではないかと!)。

もっともたぶんこの辺り、制作者の側の思惑とは違うのではないかな、と思います。というのは、パッケージ版に入っている「キャラクター設定資料集」に「初期設定はこうだった!」というコーナーがあるのですが、そこに次のように書かれているからです。

真面目の見えて(原文ママ)エロゲ漬けの姉&純真な妹の組み合わせでエロエロ&性に疎い女の子をエロゲ色に……という企画のはずだったのですがいつのまにか全員エロゲーマーになっていました。

当初は設定も全然違い、めぐりも不在だったようです。最初からコンセプトが立っていたわけではなかったという一事では根拠としてやや薄弱ですが、自分がわりと特殊な見方をしたという意識はある。

ただ、無理筋で読んだつもりはありません。感想に書いたのは、作品から取り出せる内容を取り出した結果、そう読めた、ということ。こんな話だったら面白かったのに、という妄想を書いたつもりは無い。何度か申し上げてきたように、制作者の意図とは別のところで作品というのは読みうるというのが私の立場ですので、その限りでの妥当性はあると思っています。

では結局私の読み筋でいくと、この作品、オチは何だったの、というのがちょっと問題かなとは思うので、最後にそれだけ補足しておきます。

本作に出てくるヒロイン=エロゲーのジャンルのほうは三種類なのに、肝心の主人公は純愛系主人公の大貴ただ一人。この話はつまり、争奪戦になったとき、どうやって自分の土俵に引きずり込むか……という勝負だったわけです。作品世界は萌え系の舞台なので、萌え純愛作品に凌辱系のヒロインやらヤンデレさんやらが出てきて、主人公を取り合う。その中で、萌えと凌辱とヤンデレの同じ部分と違うところとが輪郭を取っていく。そんな作品だったのではないでしょうか。

試みが成功したか否かはここでは問いませんが、そのように読んで、とても斬新かつ面白い、そして今後もっと掘り下げた内容を期待したくなる作品だなあ、と思ったのでした。感想に書いたとおり弱点が無いわけではなく、その辺もっとうまく作られていれば、と残念なことも多々あったのですが、ともあれ、楽しい作品と出会えて良かった。スタッフの皆さん、ありがとうございました。

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世の中に「無駄になること」も「ためになること」も無い

最近よく、このツイートに賛成、という意見が回ってくるのですが、果たしてそうだろうか、とやや懐疑的な気持ちで眺めています。ちなみに、ツイート自体は結構前のものだったのですね。最近のなのかとおもっていました。

さて、例の如く引用。
「大学時代アホみたいにバイトしてたけど、これって親が高い金を払って買ってくれた時間をバイト先の会社に安く売ってたのと同じだと気がついた」 っていう社会人の言葉にはっとする俺

以上のような内容ですね。言いたいことは、もちろん分かります。親の金を貰って大学に行っているんだから、本来の目的通りちゃんと勉強しろ、他のことにうつつを抜かすな、というニュアンスなのでしょう。ただ、それならそういえば良いわけで、あえて上のツイートのような言い方をするというのは、それが普通に言うよりも効果的で、しかもうまいと思えるからでしょう。

ここで、親の年収はいくらで時給換算するといくらだから、時給何円以上のバイトなら大丈夫じゃないか、などとピントのずれた話をするつもりはありません。ただ、このツイート、私としては凄く引っかかる。この内容を、あんまり素直に受け入れたいとは思わないのです。そのことを、少しだけメモ的に書いておきます。

表面的なことを言えば、バイトでもらえる給料だけが、バイト先の会社からの報酬なのかな? というところが引っかかる、というだけです。

そもそも、バイトで得られるのは金銭だけでは無いはずです。はず、と付けたのは当然人によりけり、職によりけりという面があるからですが、基本的にはバイト現場での交流や、バイトでの経験というのがある種の「報酬」として与えられます。

ただ、それが将来役に立つのかと訊かれたら、正直、分かりません。ただ、役に立たないかどうかも、分からないはずです。

もちろん、バイトなら大学に行かなくてもできるのだから、大学に行きながらバイトというのは意味がない、という人がいるのはわかります。が、大学生でないとやりづらいバイトがあるのも事実だし、また大学には大学の良さが当然あるわけで、バイトと大学どっちもいいとこ取りしたい、という可能性もあります。「アホみたいにバイト」というのが、大学に行かないくらい、ということなら色々考えますが……。

ともあれ今回は、そういう個別的な事象をいったん離れた上で、一歩話を進めてみたい。件のツイートが前提にしている考え方というのは、「バイトというのはそもそも無駄なものだ」ということです。これに対して、「いや、バイトは役に立つこともある」とか「立たないかも知れない」という返事を返すのは、結局ただの水掛け論でしかないでしょう。けれど、言いたいのはそういうことではない。ここで私が問題にしたいのは、経験の良し悪しというのは、あらかじめ決まっているようなものなのか? ということです。

きっと良い経験になるよ、良い経験になるからやってみなさい、そんなことをしても無駄だ――そういうありがたい忠告や進言というのは、この世界に溢れています。でも、良い経験になるかならないかなんて、先ほどから言っている通り、最後になるまで分からないわけです。そしてその「最後」がいつかを決めるのは、自分です。だから、最後まであきらめなければ、いつか良い経験に「なる」かもしれない。あの時の、あのことがあったから今の自分がいる、そう振り返る日が来るかも知れないわけです。

私が先ほどのツイートを受け入れたくない、と思ったのはこの辺が原因で、親ならまだしも何処の誰かもわからない社会人に、「勉強しろ」といわれて(しかも余り妥当ではない喩えで)、ほいほい従っちゃうことのほうが問題に思えるのです。はじめから無駄と決まっていることなんて無い。無駄に「なるかならないか」ではなく、無駄に「するかしないか」ではないのか、と。

半ば言いがかりじみた物言いであるとは思いますし、私が見落としている含蓄があるのかもしれません。そうであれば是非ともご教示いただけると嬉しいです。ただやはり、私としては、「これって親が高い金を払って買ってくれた時間をバイト先の会社に安く売ってたのと同じだと気がついた」 のなら、その後で、「なので、無駄にならないようにこの経験を活かすべく頑張る」とかいうほうが、好みといえば好みなのですが。

もっともこのツイートの後があったかもしれず、そこでの内容を読んでいないので、的外れなことを言っていたらごめんなさい。ただ、私の近隣で目にするこのツイートの解釈は、上のような内容(大学行け)だったので、ちょっと違和感を持ったのでした。

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ツイッターは四コマより妙なり ―振り向けば学長

今日は、一部地域で話題になっている、このやりとりについて、思うところを少し。

自称大学教授の矢吹樹氏(@Yabuki_Itsuki)が「放送大学を卒業して教授になっている人」に否定的な意見を述べ、「こんな教授に教わる学生がかわいそう。」と呟いたのに対し、岡部洋一氏(@__obake)が反論を……するところまで行かずに終わったこの騒動。一切編集していないのに、綺麗な四コマ漫画になっているのが、余りにも見事。

togetterをみるのが面倒だ、という方のために、本文を抜粋しておきましょう(アイコンなどが無いとあの独特の雰囲気がでないので、出来ればtogetterでご覧になることをお薦めします)。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
最近、無名大学だけでなく有名大学でも放送大学を卒業して教授になっている人がいるけど、これってありですか?本当の大学を卒業していないのですから、大学というもの自体を理解していないと思うのですが・・・。こんな教授に教わる学生がかわいそう

岡部洋一 @__obake 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
本当の大学の定義ってなんですか?放送大学は正式の大学ですが… RT @Yabuki_Itsuki: 最近、無名大学だけでなく有名大学でも放送大学を卒業して教授になっている人がいるけど、これってありですか?本当の大学を卒業していないのですから、… #放送大学

矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
@__obake それが分からないということは、貴方は放送大学出身ですか?そういう質問をすること自体が、放送大学なんですよ。違いがわからない人間が大学の教授にはなってはいけないということです。

岡部洋一 @__obake 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
私は学長です。 RT @Yabuki_Itsuki: @__obake それが分からないということは、貴方は放送大学出身ですか?そういう質問をすること自体が、放送大学なんですよ。違いがわからない人間が大学の教授にはなってはいけないということです。 #放送大学
矢吹氏は何か、徒手空拳で機関銃の前に身を晒すとでも言うか、愛すべき無防備さで自ら集中砲火を浴びに行っているような節があります。そもそも岡部氏は、ご自身のプロフィール欄に次のように書いていました。
放送大学長。2011年になって、Twitterなるものを触ってみる。でもまた時間に追われそう。大学の代表ということではなく、個人の立場で勝手に呟くのでよろしく。 http://www.facebook.com/yoichi.okabe
http://www.moge.org/okabe/
ちなみに、ちゃんとWikipediaにもお名前があり出身大学は東京大学なのだとか。ちょっと相手の方のプロフィールを見て、お名前を調べれば判ることだと思うのですが……(facebookも使っているので、ご本人でない可能性は限りなく低いでしょう)。お忙しかったのか、数多くのリプライでそれどころではなかったのか。

どうもこの矢吹氏、「分からないことは人に聞く」というのが基本的なスタンスのようです。たとえば2月12日にはこんなツイートが。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
ウィッグって中国製が多いけど、かぶったら禿げたなんてことはないんですか?以前、中国製のサンダルを履いたら、足の裏がとんでもないことになったので、心配なんですが、誰か教えて戴けませんか?
しかし、中国製のかつらをかぶったことがある方がフォロワーにおられなかったようで、返信はありませんでした。それを受けて翌日、矢吹氏はこう呟きます。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
誰も回答してくれないということは、誰もWigをしたことがないということなのでしょうか・・・。中国製のWigって禿げたりしないんですか?誰か教えて!
さすがに、実際禿げるかどうか試してみるわけにはいかないのでしょうが、そんなに気になるなら専門のメーカーさんとかに聞いてみれば良いような……。まあそのあたりは、利害関係が絡まないフォロワーさんの生の声を聞きたい、ということかもしれないし、フォロワーさんへの信頼かもしれません。ただ、矢吹氏は中国製かつらをかぶったことがある人を募集していたはずなのに、「誰もWigをしたことがないということなのでしょうか・・・」といつの間にかウィッグ全般をつけたことがない、という話にすり替わっているのはちょっとどうかと思います。

似たような事例は2月17日にも起きており、その時は中国のアリババ(オンラインでの電子商取引会社)についてでした。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
中国のアリババに注文したら、ちゃんと商品が届きますか?誰か教えてください。

矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
誰も中国のアリババって知らないんですか?
仮にも世界に進出している大企業。商品注文してちゃんと届かない可能性の方が低いと思います。執拗なまでに中国を疑う矢吹氏ですが、何か中国に怨みでもおありなのでしょうか。

まあ、発注したイメージ写真と違う、なんてことは結構あるみたいで、「中国 アリババ トラブル」でグーグル検索すると、上から三番目くらいに、「Yahoo質問板」の記事が出てきました。これも気になるなら調べようはあったと思うのですが、あくまでもフォロワーさんからのお返事にこだわるあたり、矢吹氏のフォロワー愛には相当なものが感じられます。

ついでにつっこみますが、アリババに注文した商品がちゃんと届くかという質問に答えが無かったからといって、どうして「誰も中国のアリババって知らないんですか?」という結論になるのか良くわかりません。百歩譲っても、「誰も中国のアリババで注文したことないんですか?」くらいではないでしょうか。書き方の問題なのか本気でそう考えておられるのかは定かでありませんが、どうも矢吹氏はものごとを極端に考えすぎなのではないかという気もします。

余談ですが、矢吹氏は2月9日のツイートで、「最近の学生」を次のように批判していました。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
最近の大学生の幼稚さに情けなくなってしまいます。僕は出欠を取らないんですが、出欠を取って出席点をくださいとか、小テストをしてくださいとか・・・。全く小学生じゃあるまいし・・・。昔は、大学と言えば、自分で勉強するところだったのに・・・。あ~、うちの学生ときたら・・・。トホホ・・・。
よくある懐古言説ですが、矢吹氏の思想がはっきりとここに表われています。どうやら矢吹氏にとって、「自分で勉強する」ことは非常に大切なことですが、「自分で調べる」ことはそんなに大事ではないようですね。

2月15日には、こんなツイートもありました。
矢吹 樹 @Yabuki_Itsuki 返信 リツイート お気に入りに登録 · 開く
僕の友達で占いをやっている奴がいますけど、1つ500円の壺を50万円で売っているって言ってた。騙すほうも悪いけど、騙されるほうも悪いよね。
詳しい事情はわかりませんが、本当なら、これはもう立派な詐欺に近く、私なら警察に通報するか少なくとも友人の縁を切るレベル。それを飄々と受け流しながら友人を続け、しかも「騙されるほうも悪い」などと言ってのけるあたり、さすが矢吹氏はただ者ではないオーラが漂っています。

しかし、冒頭とりあげたやりとりでは矢吹氏、「本当の大学を卒業していない」ような偽物の教授に教わっている、いわば騙されている学生がかわいそうだ、とお怒りだったのでした。その優しさの半分でもいいので、壺を買ってしまった人達に向けてあげることはできなかったのでしょうか。

ともあれ、傍目にも言い分は無茶苦茶。放送大学を「本当の大学ではない」と言い切って貶めておいて、その内実を問われたら、「そういう質問をすること自体が放送大学」、「違いがわからない人間」と、一切内実については答えることなく、自分の権威をふりかざそうとする態度。どう考えても悪役まっしぐらだった矢吹氏ですが、togetterのまとめについたコメントなどを見る限り、かなり好意的な反応が多いように思われました。

もちろん肯定的ではありません。しかし余りに華麗な自爆っぷりを披露したことに加え、岡部氏が怨みも憎しみも込めず、激昂することもなく、ひたすら冷静かつ簡潔にコメントをしておられることが両者のギャップを際立たせ、ある種の滑稽さを誘わずにはおられない状況になった。そして矢吹氏はいわばピエロとして受け入れられた、というべきでしょう。ここまで笑いモノにされたというのは、当人からすれば我慢ならないことかもしれませんが、罵倒と罵詈雑言が飛び交って見るも無惨な終わりを迎えるより、余程良かったように思います。ある意味でそれは「赦し」がもたらされたと言っても過言ではない。

正直、私が放送大学関係者だったり、岡部氏だったら怒り狂っていたと思います。そんな、本来ならば罵詈雑言を浴びせられてもおかしくなかった状況に、救いの手を結果として差しのべたのが論争相手の岡部氏であるというのも皮肉な話ですが、いずれにしても、冷静かつ穏やかに(内心どうだったか存じ上げませんが)、必要なことを整然と話された岡部氏は大変立派。

論争……というほどの話にも結局発展していない(これから何か進展があるかもしれませんが)のですが、まあそんな感じで、相手と話をする時には、たとえ相手がどれほど自分とあわず、無理無体に感じられたとしても、いたずらにけんか腰にならないことがやはり大切ですね。もちろんそれに甘えて、中味の無い言葉を使って好き勝手言って良いなどと言うつもりはありませんよ。

……と、三面記事のノリを無理矢理軌道修正しようとしましたが、やはり無理があったようです。一応結論以外のところでも、ネタを装いつつ大事な問題には触れたつもりですが。しかしまあ、双方なんかスゴイ人ですね。特に矢吹氏のほうは、キャラ立ちまくっていて圧倒的。お二人の今後のご活躍を遠いところから祈りつつ、記事を終えることに致します。

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