お色気満載なSF漫画、『エデンの檻』の作者・山田恵庸氏が、最近新作を連載していました。その名は『CHARON』(カロン)。多少マイルドになったとはいえ、相変わらずのエロ・グロっぽい感じがたまらなく面白く、風呂敷広げまくって後半大きく羽ばたく助走をしていたように見えたのですが……。

今週(週刊少年マガジン2014年4・5号)、いきなり終わってしまいました。 

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山田先生の前作『エデンの檻』。全21巻で完結。

相変わらず強引にサービスカット入れてくるし、あざといくせに妙にエロいしでたいへん楽しみにしていただけに、何が起こったのかわからず、読みながら変な声をあげてしまいました。コンビニで立ち読みとかしてなくて良かったε-(´∀`*)ホッ。驚いて友人にメールしたら、先々週の、各連載漫画が新春の抱負を語る4コマで予告っぽいことは言われていたそうですね。見逃してた……。

『CHARON』はどんな漫画かと言いますと、まず舞台は2040年の宇宙。地球のいろいろな組織(国連・マフィアなど)の代表者として宇宙船に乗った18人の少年少女が、「神の遺産」と呼ばれる謎のアイテムを手に入れるため、時に協力し、時に争いながら「月」でサバイバルを繰り広げる、という、だいたいそんなような話です。

主人公、九十八密(にたらず・ひそか)の能力が、どう考えてもただのテレキネシスに毛が生えたような内容なのに「神殺し」と呼ばれていたり、物語の序盤に「月で死ぬ」という文字が見つかったりと、金田一少年ばりの伏線が張り巡らされ、さあ何が起こるのか(つか、これ回収できるの?)と楽しみにしていた矢先の、あまりに唐突な終了。死ぬの誰だよ!!

山田恵庸先生といえば、『エデンの檻』で「クンニしろおらぁぁあ!」という名言を残したことでも有名であり、ソッチのほうでも新たな展開がないかと密かに期待していたのですが、残念です。

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「2ch全AAイラスト化計画」様より「クンニしろオラァァ」。実際の漫画ではコマを分けてそれぞれの台詞が言われており、単行本では「ク○ニ」と修正が入ったらしい。

今回については終わり方も非常に不自然で、なにせ伏線はほぼ投げっぱなしのジャーマンスープレックス。一応「神」が何者であったかが明らかになったかと思ったら、そこから芋づるで新しい謎をガンガン出してきて、もう完全に終わらせる気がありません。おわりのはじまり。

最終ページには定番の「山田恵庸先生の次回作にご期待ください」といった文言もありませんでした。しかも、巻末の作者コメントが、コレです。

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「短い間でしたが応援ありがとうございました。またどこか別の雑誌で会いましょう」

う~む、何があったんでしょうか(笑)。まあ「別の雑誌」つっても、月マガとかヤンマガとかの可能性はありますので、「講談社と喧嘩した」とかいう話につなげるのは早計だと思います。けれども、この書き方や、先ほど述べた連載の終わり方を見るに、「次回作」が週刊少年マガジンになる可能性はほとんどなさそう。

次は、エロゲーの原画・原作とかどうっすかね、山田先生……! (熱い視線)

しかし、『男坂』を彷彿とさせる(※『男坂』をご存じないという方は、《こちら》をご覧になってください。)、見事な終わりっぷり。なんでこんなことに……と思ったら、その手がかりは、山田先生のプロフィールに隠されていました。Wikipediaによれば、こんなお話が。

小学生時代、友人から車田正美の漫画『リングにかけろ』を読み、影響されて模写したことがきっかけで漫画家を目指す。高校時代に高橋留美子の漫画にも影響を受けて本格的に描き始める[1]。

[1] 西本英雄・著『もう、しませんから。』14巻 135ページ File.349『『エデン』はこうして生まれた!!』より。

おお……おお……。なんという熱い車田スピリット。こんなところ(「未完」)まで模倣しなくてもよかった気がしないでもないですが、これはもう間違いなく車田先生の後継者待ったなしです。しかも純血種。私は車田作品も大好きなので、皮肉ではなく、次回作が楽しみ。

果てしなく遠い坂道を、登って行かれる山田先生を、心から応援しております。