時折話題になる「絵師狩り」の話。最近では結構深刻な問題になっているみたいです。

 ▼「pixivやLINE、詐欺ビジネス「絵師狩り」横行 タダ働きで搾取、違法行為加担…」 (ビジネスジャーナル)

 一部の業者がpixivを使って安く絵をかき集めようとしている、という話が増えたのはソーシャルゲームが盛り上がり始めた頃だ。次々とリリースするゲームに大量に投入するカード画像を用意するために、既存のプロイラストレーターだけでは手が足りなかったのかもしれない。しかしそれよりも足りなかったのは予算だろう。
 
 短納期で安い原稿料、そして無限のリテイク(描き直し)。プロなら絶対に受けないような悪条件にもかかわらず、これまで好きに絵を描いて発表しているだけだった人々のうち、できればプロとして仕事をしてみたいと夢を見ていたような層が引っかかった。
 
 もしも人気が出た時には大きく使いたいからと、非常に大きなサイズで精細に描き込むことを要求されたり、イベント用の差分を大量に用意させられたりと労力も多く、割に合わないという声が方々から上がっていた。
 
 同じようなことはその後も続いており、紙媒体でもネット媒体でも、ほとんどボランティアともいえる1カット数百円程度で描かせようとする業者があるようだ。
 
 もちろん、描く本人が納得していれば、タダで描こうが1枚100円だろうが問題はない。しかしたいていは、相場を知らない素人がだまされて使われているだけだ。安すぎると感じても、自分の絵にどれだけの値段をつけてよいのかわからないという場合も多くあるだろう。迷った時には受けない、または完全なタダ働きになってもあきらめられる程度の少量の仕事しか受けないようにすることをお勧めしたい。

私の友人もソシャゲーの絵を描いていたり、ラノベに挿絵を描いていたりするので「それらしい」話はよく耳にします。当事者ではないのでその辺の「裏話」的なことをあまりうかつには言えないのですが、話を聞いているとこの手の問題というのは何というか非常に難しい感じがしてくる。単純に、「安いからやめろ」とは言いづらい部分もある。

勘違いしないで欲しいのですが、ここで言う私は「絵師狩り」を肯定しているわけではありません。半ば詐欺のような手口で、安く絵を買い叩くというのは決して褒められたものではないし、できることならそれなりの対価を支払って暮らしていけるようにしてほしいとは思う。しかし、限られたパイをどうやって分け合うかというのはきわめて難しい問題なんでしょう。

これは私と知遇のある、さるラノベ作家の言ですが、ラノベ業界全体の売上は、十年ほど大きく変わっていないんだそうです(彼はこの話を出版社の人から聞いたと言っていました)。それがどの程度「変わっていない」のか知りませんが、まあ確かに二倍三倍になってはいないでしょう。しかし、ラノベのレーベルは次々に新しいものが増え、新人賞ができることで、作家の数は毎年確実に増えています。それこそ2倍にも3倍にもなる勢いで。

もちろん「引退」する人もいるのでしょうが、基本的に自ら望んで筆を折る人は少ないので、「ラノベ作家」の数は右肩上がりに増えていく。

ということは、一定の売上を争う人の数はどんどん増えている、ということになります。少なくともラノベ一本で食っていくというのは年々難しくなっているんだ……というような話をしていました。

その時ちょうどこの記事を読んでいたので絵師の人に話を振ると、絵も似たようなもので、そもそもイラスト一本で食べていくのは難しい。でも、専門学校なんかを出てそういう技術で食べていこう、という人は年々増えていく……。そうなると、普通にやっていたらデビューすら困難なんだそうです。だから、ソシャゲーの仕事でもなんでもあるのはありがたいし、そこでツテとかをつくってステップアップしていくしかないんだ、と。そもそもpixivで活躍が認められ目に留まるような人がズブの素人であることは多くなく、少なくとも7割くらいの人は専門学校生とかそれ系の人で、リスク覚悟で実績積むためにやってる人が多いでしょ、とも言っていました。

私は彼らの話す内容がどのくらい正確であるかは判りませんが、「そういう話」は何も絵やラノベにかぎらず、それこそどこにでもあることなので、さもありなん、とは思います。

ただ、そういう余裕の無いシステムはやはり、人を育て、より良いものをつくる、という方向性からは外れているようにも思う。なんとかなればいいんですけどねぇ。