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タイトル:『ラブesエム』(Noesis/2013年8月30日)
原画:珈琲貴族
シナリオ:永遠月心悟
公式:「ラブesエム」OHP
定価:3000円
評価:B (A~F)

▼投稿レビュー
OYOYOの「ラブesエム」の感想 (70点) (ネタバレ無し)




▼評価: 丁寧につくられたソフトSM。
「ソフトSM」というのがどういう意味か、いまひとつよく分かっていなかったのですが、なるほどなぁという感じ。SMの持つ異常性、倒錯性、非社会性のような部分をうまく排除して、健全な恋愛関係の中に落とし込んだ感じがあります。行為はちゃんとSMしつつも、内容はちょっと普通でないくらいの恋愛におさめています。スタイリッシュな演出に、丁寧に描かれたエロシーンだけで十分満足。ただ、「SMもの」と考えると一番大事なところを薄めてしまったかなという印象があったので、少し残念でした。やろうとしていたことと、両立できたと思うんだけどなぁ。

▼雑感 ※詳しい長文感想は、批評空間さまにて投稿しております。
OPがメチャクチャかっこいい! 公式からYoutubeに動画があがっています。


デモムービー(OPとほぼ同じ)。

で、このカッコいい感じがある意味すべてと申しますか、恋愛の一貫としてのSMというのを貫いた作品でした。恋愛の外装という意味でファッショナブルなSM。ドロドロした肉欲の部分はあまり出てきません。

これは決してバカにしているのではなくて、ドロドロしたSMのほうもわかっているからこそなせるワザだろうと思います。でないと、的確に「毒」を取り除けない。それに、作品の中には「バッドエンド」としてちゃっかり「毒」が含まれていますし。

日常シーンは淡白というか、正直キャラクターがどうしてそういう思考や行動にいたるのかいまひとつわからない(由人が「罠」を仕掛けるのもそうだし、彩華がボンテージを着たきりになった後の対応も同じ)ことが多かったのですが、まあ日常は場面展開を行うための糊みたいなもので、心理の動きなんかが描かれる中心は明らかにHシーンでした。

Hシーンはなかなか良かったですね。シーン数もさることながら、1シーンの密度が凄い。長さも凄い。かなり充実しています。そして、SMという肉体的なHをしながらそれぞれの心が動いていく様子を見ているのが良い。それに、黒髪美女2人のご主人様になっていじめまくるとか、男冥利に尽きるじゃありませんか。

ただそれだけに、毒のあるSMと綺麗なSMとの対立図式を作り、メインルートから毒の匂いを消してしまったのはもったいなかった。SMの真骨頂はその毒を含んだところで、心と身体が溶けていくドロドロ感にあると思うので。

う~ん。つくづく惜しい。あやかや彩華とドロドロした肉欲に溺れる描写をもっと堪能したかったです。プレイそのものは軽い感じにしても、そういう淫靡な雰囲気はもっと出たかな、と。スタイリッシュさをアピールして逆説的に淫靡さを描こうとしたフシも見えるんですけれど、そのまま綺麗な雰囲気でまとまっちゃった感があります。

あと、この作品が言うように心と身体は連動していなければいけないのだとすれば、彩華やあやかに対する私の(由人のではなく)想いというのは、どうやって昇華させればいいんでしょうね。彼女たちを想ってオナニーしてればいいんでしょうか……とかそんなことを、股間のジョイスティック握りながらぼんやり考えたのでした。

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