最近立て続けに、若い――ぶっちゃけ20歳になったばかりくらいの――エロゲーマーの人とそれなりに突っ込んだお話をする機会がありまして。あ、突っ込むって別にエロい意味ではないですよ。んで、そのたびに言われたのが、「昔のエロゲーを知ってる世代の人が羨ましい」と。それぞれにニュアンスは違いますが、2000年以前の、いまでも頻繁に言及されるような著名な作品をプレイできていたのは羨ましいのだ、と言うのです(オッサンに気を遣ってくれた面は多分にあると思いますけれども)。具体的には『Yu-no』や『同級生2』のようなDOSゲーから、LeafVN三部作、『MOON.』『ONE』のようないわゆる(系譜的な意味での)鍵ゲーなんかの名前があがりました。

なるほど、言われてみればそんなものかもしれません。特に1995~2000年頃というのは(売上額的に見れば)エロゲーの勢いが最も盛んだった時期ですし、Windows95の登場とともに表現の幅が大きく広がり、現在の作品群のもととなったような意欲的な作品が名を連ねています。いまのエロゲーを好きになって、その過去の足跡を辿りたい……とか、そんな風に考えた時、リアルタイムで経験している世代というのはなんとなく特別に見えるのかもしれない。

まして、MS-DOS時代の作品とかになると、現在プレイ環境を整えるのが難しいようなものもあります。誰でもが気軽に踏み入れる領域じゃなくなったぶん、「秘境」みたいなイメージができあがり、そこへ行ったことがあるというだけでハクがついてみえたりするんでしょうか。本場アメリカの空気を吸うだけで高く翔べると思っていたバスケ青年みたいに。

ただ、こういう感覚は私からするとちょっと意外というか、私はむしろ、いまの若い世代のほうを羨ましいなぁと思っているところが結構あったんです。

たとえば、私の世代ですらエロゲーマーというのは日陰者というか、いまみたいに堂々とおひさまの下を歩ける感じではなかった。『To Heart』がメディアミックスに成功して一気にアニメ化とかもしましたけれども、それでも深夜の枠だったので各方面に憚りながらコソコソみていたくらいです。昨今は割と堂々とその手の話ができる! ……羨ましい。そこそこ年食ったエロゲーマーが集まると、昔の作品の話で盛り上がるのは、過去にそういう話を存分にできなかったうっぷんを晴らしている……のかもしれません。しらんけど。

あと、コミュニティの広さもあります。そもそもリアルではエロゲーやってる知り合いなんてほとんどいなかったし、ネットなんてものもろくすっぽ普及していなかったので、大学入って暫く経つまでは、本当に2、3人の「同士」たちと行動を共にして、あとはエロゲー雑誌を擦り切れるまで読む、みたいな状態。『こみっくパーティー』とかを、もうちょっと遅らせた感じというか。

いやまあ、単に私のリアルでの立ち回りが悪かっただけかもしれないですけどね。でも、その辺を抜きにしても、メーカーのOHPすらそんなに整備されておらず、エロゲーのコンテンツを楽しむという意味では、いまのほうが圧倒的に恵まれていると思います。体力的にも時間的にも記憶力とかも充実していて、また制作側の主なターゲットでもある18歳から20代前半、エロゲー的「ゴールデンタイム」を、そういう恵まれた環境で過ごすことができることは、非常に幸運ではないかと思います。

それとは別に、若い人へのレスペクトみたいなのもあって、たとえば私みたいなオッサンちょっと歳のいったお兄さんはもう、最新作をしゃにむに追いかけてプレイするみたいな情熱をなかなか持てないんですよ。時間も確保しづらいし。『おっぱいリコレクション』もまだインストールしてない有様。昔なら即日やってたでしょうに。

でも、いまの若い人たちはこう、最新作バンバンやり、同時に昔の有名な作品も、中古なりDL販売なりで安くなったのをガンガンプレイしてたりする。一部の熱心な人だけかもしれないけど、そういうエネルギーには憧れるし、同時にエネルギーのはけ口がきちんと用意されているという環境に、少しではありますが嫉妬も覚えます。

作品のクオリティーだって単純に声がついたりCG面で綺麗になったりでぐっと向上していて、20年後とかに振り返ったとき、そういう作品を原体験として持っているのはやっぱり良いことじゃないですか。

まあ結局何が言いたいかというと、時代状況的なものってどうしようもないというか、いいところもわるいところも、当然あるものだと思うんですよね。J-POPの流行みたいなもんです。私の世代はミリオンヒット続出してたけど、だからってその時代はなんでもかんでも良かったわけではない。隣の芝生は青く見えるというやつで、なかったもの、失われたものに目を向けているとキリがありません。前ばっかり見ても、後ろばっかり振り返っても。

だから、まずは自分の立場を受け入れて、でもそれにしがみつかずに進んでいくしかないのでしょう。「昔は良かった」ばっかり言ってたら今の流れに取り残されてしまうわけで、そこは前を見て歩いて行きたいし、かといって過去の流れを置き去りにしてしまって良いとも思われない。過去を「老害」扱いで殲滅するのは簡単だけど、そこにしかなかったものも、やっぱりあるんだと思う。

ちょっと抽象的というか漠然とした話になっちゃって反省。具体的なイメージはあるんですけど、書きづらいというか、もっと長くなるのでそれは別の機会にゆずることにしまして、つまるところはエロゲーが背負ってきた歴史性みたいなものを、うまく共有していければいいなぁという話です。毎度収束しないオチでごめんなさい( TДT)人。

そのためにもとりあえず、過去の名作と呼ばれているものはWindows7対応とかにするプロジェクトがあってほしいし、過去の作品一覧をデータベース化したり、本体をいつでも確認できる「バベルの図書館」(ちょっと違うか)みたいなのが欲しいなぁと思ったりするんですが、このジャンルではなかなかそういうことしづらいですよねぇ。

そういえば、明大の米沢嘉博記念図書館に行ってみたい。近いうちに機会を作ろうかな……。


このエントリーをはてなブックマークに追加