昨日エロゲーの発売日イベントでお会いしたpomさん(@pokpokpolk)と、帰り際にちょっと雑談していたのですがその中で、「いまやるべきエロゲー」みたいなのがある、という話が出て来ました。もうちょっと詳しく言うと、時間的に今しかできないだろうからある作品をやっているのだけど、どうも今の自分の心情が求めているものとは違うのだ、みたいな話。私も以前に似たような内容をツイッターでつぶやいたことがありまして、これには大変共感しました。

エロゲーにも、魚や野菜と同じく、「旬」というのがある。私はそんな風に思っています。

たとえば、「話題性」みたいなのはわかりやすい。発売直後の、みんなが盛り上がっている時期に自分もその熱気の中に身をおくことができた作品と、「話題になったらしい」という伝聞だけで一人こっそりプレイした作品とでは、もちろん同じように「面白い」「楽しい」と感じても、その感じ方の中味は随分と異なるでしょう。

ことは、作品の側だけの問題ではありません。pomさんがおっしゃっていたように、ユーザーの環境というか、心構えというか、そういうものにも大きく左右される。たとえば私の実体験として、アリスソフトさんの『超昂閃忍ハルカ』を初めてプレイした時のことを思い出します。最初、私は全然ピンとこなかったんですね。エロさを感じなかった。なんかめんどくさいゲームだなぁ、みたいな印象を持ったのを覚えています。

ただ、その時私はちょっとリアルが忙しくて、いやなこともあって、じっくり腰を据えてエロゲーを楽しむことがしづらい状況だったんですね。気乗りはしないし、身体のほうもガンガン体力を消費したい状態ではなかった。まあ疲れてる時にかえってオカズが欲しくなるとかありますけど、そういう状態でもなく。それこそ「話題性」のためだけにゲームをやっていて、そして、全然楽しめなかった。

しばらく後になってようやく周辺が落ち着いて、そうなると、私はエロゲーマーですからエロゲーをあれこれやります。その中でいくつかの「くのいちモノ」エロゲーにトライしたんですがこれがことごとくコケまして(笑えない)。んで、「くのいちモノのえっろいゲームやりたいなぁ」と思ったんです。そこにいたってふと思い出した『ハルカ』さんを引っ張りだしたんですが……。いやあ、ほんとにお世話になりました。もうね、超エロいです。なんじゃこりゃっていうレベルで。最初にプレイしたとき、全然ピンとこなかった理由がさっぱりわからない。何考えてたんでしょう私っていう感じ。

ユーザーはよく自分の「属性」を語ります。しかし、その「属性」も、細かく見てやれば日によって違ったりするかもしれない。AVを選ぶときに「今日は~モノが見たいなあ」というのがあるのと同様、エロゲーに対する欲求も、時と場合によって違ってくるはずです。わかりやすいので抜きゲーの話にしましたけれど、明るい学園モノがやりたいときとか、暗いファンタジーがやりたいときとか、ユーザーの側のバイオリズム次第でさまざまに変化しているでしょう。こういう、「その人がエロゲーを楽しむための環境要因がバッチリ整うこと」を、エロゲーの「旬」と私は呼んでいます。

で、普段はそんなに意識されないけれど、少なからず作品への評価とか印象に、この「旬」というのは左右してると思うんです。学園モノがやりたかったのに、期待してたブランドからでたのが珍しくファンタジーだった……みたいな感じで「旬」を逃したせいで楽しめなかった作品とか、逆に「旬」だったからこそ最大限楽しめた作品とか、そういうのはある。

だから、一度「つまんない」と斬った作品でも、やり直してみると意外と楽しく感じたり、逆にものすごく面白かった記憶があるのに再プレイしてみると「あれ、こんなもんだっけ」と「?」マークがアタマに浮かんだりすることも。

とはいえ、エロゲーは一回のボリュームが結構大きめで、しかも次から次へ新しい作品が出ているということもあり、面白かった作品を再プレイすることはあっても、つまんなかった作品をあえてもういちど……ということは、まぁめったに無いだろうという気がします。よほど特殊な事情があれば別ですけれども。その意味では、「ダメ出し」食らった作品というのは、なかなかリベンジしづらい。一度「旬」を逃した作品については、「おいしいところ」をあじわうことができないまま、忘れてしまうことがほとんどではないかと思います。

逆に言えば。もしも、自分の心に強く残る名作があるという人は、その作品の「旬」を、なんらかの形で逃さずに味わうことができたのかもしれません。もちろん「旬」は一度とは限りませんが、自分を含めた周囲の環境が充実した状態で作品と巡り会えたわけで、それはきっと、とても幸運なことなのでしょう。私はエロゲーマーとして、心に残る作品と出会えたその幸運に感謝したいなぁと思うのでした。

おしまい。(オチは無い)

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