年末が近くなり冬休みになった学生が増えてくることが見込まれたり、選挙を控えている最近は、いわゆる「釣りシーズン」だと言われます。といっても、海でお魚を釣るわけではありません。そう、この時期の釣り師達の獲物は、ネット民。電子の海を泳ぐ私たちを釣り上げるべく、虎視眈々と狙っている人々がいるのです。

たとえば、次の記事で言われている通りです。

この時期の政治家はデマに脆弱」(情報の海の漂流者 様)

と書いて、たとえばどのくらいの人がリンク先に飛ぶのか。もちろん、こういう記事に興味関心のある方なら大多数がリンクを読まれるのでしょうが、世の中そんな人ばかりでないというのは以前にもお話した通り。

関連:「情報ソースは案外気にされないという話

それでも「デマ」や「情報操作」には気をつけないと、自分が知らぬ間に加害者になっていたり、あるいはもっと怖いのは、思考を操られたりする(これは大げさな意味ではなく)ことでしょう。たとえば、本当は自分が言いたかったことと別のことになる意見に簡単に乗せられたりする。そこまでいかなくとも、(犯罪の片棒を担ぐとまでは言いませんが)意図せず他の人を情報操作に乗せてしまうというのは、大問題になる可能性もあります。

対抗手段として最も良いのは当然、高い意識とリテラシーを持つことですが、これはなかなか難しい。かくいう私も簡単にはできません。

そこで、ネットで情報に触れた時の基本的な対処法をちょっとだけ。まあ色んな人が同じようなことを言ってますけど、我流ということで。

(1)記事や意見の情報ソース(1次資料)の有無を確認する。
これが当然。そもそもあるのかないのか。無いならまず信用しない。「関係者が言っていた」とか「信用できる友人が……」みたいなのも、その書いている人がどれほど信用できて、また内容が具体的でも、基本信用しない。また、当事者の談話もあくまで視点の一つである、くらいに考える。ぶっちゃけ、エビデンスの無い当事者談話というのは一番信用ならないモノだ、というくらいに思っておいて良いでしょう。

(2)ソースを読む。
確認だけして読まない人多数。読もうよ……。読む時間が無いというのなら、そのことについて何か言うのは控えた方が良いと思います。読んだけど読み足りなかった、見落としたならしょうがないけど、そもそも読まないで意見を述べるというのは、たとえば本を読まずに読書感想文を書いているとか、そういうレベルだと思うべき。そして、それを恥ずかしいと思わないなら、ここでしている話は意味がないのであとは読まなくて良いと思います。

(3)記事や意見に反論してみる/賛成してみる
脳内ディベートです。両方の立場をとって検証してみる。簡単なもので構いません。基本的には、
 ・主張は何か
 ・論拠は何か
 ・そもそもテーマ(議題)は何か
という3点をそれぞれ1行程度の簡単な内容でまとめて、論者の主張とそれに対する反論をまとめます。そうするとたとえば、論者の主張に賛成だけど根拠が不十分だからここを詰めればいいとか、論者の主張には反対だけどこの部分は崩しにくいことを言っているとか、ここは全くデタラメだとか、そういうことが見えてくるはずです。

(4)自分の言いたいことは何か、一言で言ってみる
自分の言いたいことと記事の内容がかみ合っているかを確認してみます。かみあっていなければ、その記事を誤読しているか、その記事の書き手の主張にひきずられている可能性があります。あと、可能なら1晩寝かせてもう一度読み直すと良いかも知れません。

こういう方法に従えば、たとえば「まとめサイト」のコメント欄に書いてある情報はほとんど無意味になります(エビデンスがある場合のほうがレアだから)。時間と体力があるなら、そういう情報も自分でウラをとっていけば良いのでしょうが、いまはそう言うことができないしやる気も無いという前提で考えているので、とりあえず発信者がエビデンスをつけてくれている場合に限れば安全でしょう。

まあごくごく簡単なことではありますが、目安として。もっといえば、(1)や(2)をせずに振り回されている人かそうでないかというのも、割と判るようになるかもしれません。

あと、別に情報ソース確認しないからってその人が人間的に屑だとか、そういう話でもないのでそのことはことわっておきます。単にその人が情報発信者として信頼できるかどうかというだけのことであって、人間性の問題にまでもっていくのは余りに乱暴な拡大解釈でしょう。陳述のスタイルと人間性とは、全く別ではないかもしれないけれど、同じモノではないのですから。

ってなわけで本日はこの辺で。それでは、また明日。

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