石原慎太郎東京都知事が先日、とうとう新党を結成しました。その名も、「太陽の党」。

関連: 石原新党、保守色前面に 第三極の結集なるか 「太陽の党」旗揚げ
 (日経新聞 2012年11月13日)

尖閣問題への対策をある意味での手みやげに、保守層の取り込みを狙った出馬であるというのはわかります。実際話題性もあるし、一定の「戦果」は見込めるのでしょう。既に「減税日本」あたりと足並みを揃え始めているという話もあります。記事にも書かれてある通り、大同団結を前提とした既存政党に対するアンチとしては面白い勢力。私は東京都の規制問題などがあるのであんまり応援する気にはなりませんが、注目度は高そうです。

なんだかんだで今回の選挙は保守が強いだろうし、間違いなくある程度の影響力は持つでしょう。

……とか何とか言っていたら維新の会と大同団結しちゃいましたけど(NHKニュース)、こりゃホントに台風の目になるのかもしれません。自爆しなければ。(11月18日追記)

しかし実質的なところよりも目を惹いたのは、何と言っても政党名。(もう消えちゃったので今更感があるとはいえ)たいようのとうて……。

太陽の塔
太陽の塔。

石原氏の著作に因んだ名前とのことですが、そういえば大昔にこんなのもありました。もともと「太陽の塔」が「太陽の季節」から名前をとったという経緯もあり、もちろんわかってやってるんでしょうけど、こうなるともう完璧にギャグの世界ですよね。

あんまり言っても一時の「不謹慎厨」みたいになるだけかもしれませんが、これだけ色々深刻な問題が起きている政局でパロディのような名前をつけるのはユーモラスというよりちょっとどうかと思うし、少なくともそう受け取られかねない可能性は見えているべき。加えて、政策や政治スタンスとは何の関係もない、一個人(党首)の業績に因んだ党名にするっていうのも何だか微妙。ナナメから見ると、どんだけ独裁やねんと言いたくなる。

思うに周辺の太鼓持ちから、「わかりやすいシンボルもあるし、党首のことを皆がすぐイメージできるこの名前にしましょう!」みたいなことを言われてホイホイ乗っかっちゃったんじゃないかなあ。こういうのを止められなくなってきたあたり、石原慎太郎氏も歳を取ったと感じます。

それにしても「たちあがれ日本」やら「国民の生活が第一」やら、「減税日本」やら。ここのところの日本の政党名はどうもギャグ色が濃い。ラノベのタイトルが長いだのバカバカしいだのと言われますが、政党の名前のほうがよっぽど奇妙に映ります。

もちろん、「新進党」や「新党さきがけ」が定着しなかったことからも明らかなように、普通の名前を付けても埋もれてしまう。既存の政党との差異を明確にして、かつ国民にインパクトを与える名前であるには分かりやすいキャッチフレーズなり政策なりをそのまま党名にしたほうが良いという判断が働いているのでしょう。

しかし、たとえば10年20年先にこの党名でやっていけるんですかと聞かれたらたぶんNOじゃないでしょうか。時流を意識したネーミングは、時代遅れになるのも早い。党名かえれば良いと言われればそれまでだけど、そういう問題ではなくて、そもそも最初から10年、20年続けるつもりで政党を立ち上げていない。別れてもそのうちまたひっつくのが前提の、ラブコメみたいな政治をやってるわけです。実際速攻消えましたし

こういう名前を見るにつけ、政策のための政党ではなくて、党派争いのための政党が乱立するという状況を反映しているようで、なんだか情けない気分になる。

ただ、見方を変えれば実際の投票基準は政党名なんぞとは無関係。政策内容吟味して行うのだと考えれば別にどうでも良いっちゅやどうでも良いところ。だからこそ、どうでも良い名前をつけているのかもしれません。党名なぞ飾りだからスルーして内容で勝負するぞ、と。そういうことなら歓迎です。

折角なのでその路線でだれか、「ちゃんと政策論争しよう」とか、「新党乱立いいかげんにしろ」とかいう新党を立ち上げてくれませんかね……。

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