stmonmusu
タイトル:『聖もんむす学園』(Vanadis/2012年8月24日)
原画:ぶぶづけ
シナリオ:影花
公式:聖もんむす学園OHP
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無し
定価:8800円
評価:B(A~E)

※具体的な内容に踏み込んだ長文感想(内容紹介)は、批評空間さまにて投稿しております。ご関心あれば上記リンクよりご覧下さい。

◆評価について
感想にも書いたとおりコアユーザー向け、という感じは否めません。まあ、あわないひとはもともと検討の余地無いでしょうけど。純粋な作品としての出来映えもさることながら、この作品が出るに至った経緯や、作品内に溢れる「もんむす」たちへの愛情がとても心地よい作品です。ブランドの方向性を巡っては「売れる作品を作る」か「作りたいものを作る」かでよく議論が二分しますが、本作を見て思ったのは、「作りたいものを売れるように作る」という努力こそが今のブランドには求められているのではないか、ということでした。え? そんなの当たり前? でも、その当たり前のことが一番難しいんですよね。文章でもそうですから。

◆雑感
「シリーズ集大成」という通り、シリーズものの位置づけ。勿論これまでの作品を未プレイでもストーリーとしては全く問題ない独立した作品ですが、やはり過去作品をやっていたほうが圧倒的に楽しめると思います。

その辺はファンを大事にした、ということで良いと思うのですが、同時にこの作品が突き抜けきれなかった理由にもなっています。過去作をやっていなくても、誰もが楽しめるような普遍性を持たせることも、またシリーズファンにしか楽しめないけれどシリーズをやっていれば文句なく100点を付けたくなるようなとんがった出来でもなかった。

原因は脚本にあります。余りにも普通の学園ものでありながら、印象に残るイベントやシーンがほとんど無い。あくまでもんむすの特殊性を「そんなに特殊じゃないもの」として扱い、その上で日常を描くことに終始したせいで、もんむすを扱うことの意義が薄れてしまっている。魔物娘たちの特徴やかわいらしさは存分に描けているのに、ストーリーの側が必ずしも彼女たちを必要としないようになっていました。

もんむすの魔物らしさを求める人にはこれは物足りないし、もんむすじゃない普遍的な内容を求める人には、それならわざわざもんむすじゃなくて人間で描けばいいじゃないか、という話になる。どちらの人も、人間ともんむすという決定的な差異を乗り越える/もしくはその差異の前で立ちすくむということがポイントになってきます。そこをスルっと流しているこの作品は、やっぱり「突き抜けた」内容にはなりきれない。

でも、私はそれでもいいかなーと思うのです。だって、このシリーズが目指してきたのは「もんむすたちと普通に暮らせる社会」。そこには何も劇的なものが無くても良いし、むしろ無いからこそ意味がある。だからこの作品は、独立したゲームとしては物足りないところが残ったかも知れないけれど、シリーズの完結編としては十分なでき。

良かったヒロインは、キャラとしてはコメット。ストーリーとしてはビビでしょうか。まあビビは何となく予想ついてましたけどね……。やっぱり変化というかギャップが良いです。コメットは何というか、全く予想の付かないぶっとび方が良かった。シナリオの影花さんが「キャララ!」でお話しておられたところでは、ビビが一番苦労して(動かし辛くて)、コメットが一番好き放題やった、ということでしたが、ほんとにそんな感じ。

そういえばファムに惚れていた外人さんは、本当に本作を買う為に日本に入国なさったんでしょうか(笑)。

ともかくシリーズは一段落のようですが、これから先もどんどんもんむすの世界が広がっていくことを密かに期待したいと思います。

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