らぶなどーる1らぶなどーる2
上月司 『らぶなどーる! 』
(電撃文庫、2012年5月10日(1巻)/8月10日(2巻)、イラスト:アマガイタロー)

『れでぃ×ばと!』の上月司氏の新シリーズ、『らぶなどーる!』。正直余り期待していなかったのですが、思わぬ掘り出し物。かなり良い感じのラブコメでした。というか、私はこういうベッタベタなのが好きなんですよ!! そうだ、これが俺たちの求めていた面白さだ!

イラストのアマガイタロー氏の絵も良いですねー。バッチリハマってる。なにげに男キャラやマスコットが丁寧に描かれているのも好感度高いです。というわけで、一躍私の中ではお薦め本になってきたので簡単に2巻まとめて紹介記事を書いてみることにしました。
(あらすじ)
私立愛杜学園高等部二年・雪村虎太郎(ゆきむらこたろう)は、どこにでもいるごく普通の男子学生……よりはちょっと目立たない、いや、だいぶ目立たない影の薄い少年。2年間一緒にいたはずのクラスメイトからも名前を覚えて貰えない不遇っぷり。それでもメゲずに学園生活を送る彼に、とんでもない不運が訪れる。なんと、入学早々一人暮らしをしていたアパートを焼け出されてしまったのだ……。

途方に暮れる虎太郎だったが、幼馴染み・相羽空(あいばそら)の助けで何とか住む場所を見つける。しかしそこは、現役モデルにして生徒会長をつとめるスーパー女子(ただし留年中)・玖珂セレスティア(くがせれすてぃあ)の私邸を改造したアパートだった。しかも、住人は女性ばかり。その中には空の妹・蒼海(うみ)や、学園のアイドルにしてクラスで最も人気のある女子・百合川雛姫(ゆりかわひなき)まで……。

入居早々、トイレで真っ裸のセレスティアと鉢合わせしてしまい、追放の危機に逢う虎太郎だったが、他の面々の説得によってなんとか執行猶予がつくことに。そのかわり、虎太郎は生徒会のマスコットであるラブラドールレトリバーの着ぐるみ「ラブらん」として働かされることになったのだった。

そんな日々を送るうちに、虎太郎は雛姫のある「秘密」を知ってしまう。結果、二人は急接近して――。
Amazon先生の評価などを見ると、「1巻はどこにでもあるラブコメ」「別に普通」みたいな評価を見かけますが、私はむしろ1巻でかなり惹きつけられました。2巻もセットで読んだ方が面白くなっていますが、1巻でも十分綺麗にまとまった良い感じの話だと思いますけどね~。

古来、恋はシーソーゲームだなんて言われますが、それは単に駆け引きというだけでなく、惹かれ合う二人の間にはどこかアンバランスなところがあったほうが面白い、というニュアンスもあると思います。美人の管理人さんと平凡な五代くん然り、女神さまと蛍一くん然り。本作で言えば、存在感抜群の「孤高の百合姫」(ひどい二つ名です)こと雛姫と、存在感ゼロどころかマイナスの虎太郎、という二人を中心に話が回るところが面白い。

加えて、途中雛姫が虎太郎にある「約束」をしてくれるように頼むのですが、そこからが本番。表面的な付き合いではわからなかったお互いの新しい面をどんどん知っていく虎太郎と雛姫二人の関係が、次第に動いていきます。雛姫と虎太郎、二人の間に流れる想いもどこかアンバランスになってきて、その微妙な崩れ具合が良い感じ。

2巻では、雛姫以上に虎太郎のことを深く理解している幼馴染み・空の存在感がぐいーんと上昇すると同時に、巻末では爆弾発言が飛び出し、波乱の予感に期待が高まります。まあ、たぶん彼女のことなんだろうけど……。虎太郎の「影が薄い」という特性も、実は意外とプラスの意味に捉えられるかもしれない可能性が示されるなど、今後に向けた土台作りが盛りだくさんの内容。

この展開だと、一度アパートを追い出されそうになる虎太郎を雛姫がかばって関係が変わるとか、そういうパターンになりそうだな……と予想しつつ、そういうベタベタな展開で良いので雛姫が素直になるチャンスが早く来ることを祈るばかり。

『れでぃ×ばと!』的なハーレム展開になるかと思いきや、今回はかなりヒロインがしっかり絞られている感じが(今のところは)しています。そしてむしろ、変にハーレムにするよりこっちのほうが軸が定まっているぶんメリハリがついていて面白い。今後の展開は正直、空の頑張りにかかっている感がしないでもありませんが。

なお心理描写や事情の説明(整合性)をきっちりやろうとするあたりが上月氏らしいところで、その意味では余りにぶっ飛びすぎてちょっと無理矢理感が拭えなかった『れでぃ×ばと!』より本作のほうが舞台設定もうまくいっている感じがします。次巻も楽しみに待つことにします!

というところで本日はおしまい。それでは、また明日。

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