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小川麻衣子『ひとりぼっちの地球侵略』
(小学館、2012年7月17日)

(あらすじ)
高校に進学した男子学生・広瀬岬一(ひろせ・こういち)。入学式へ向かう彼の前に、奇妙なお面の女子生徒・大鳥希(おおとり・のぞみ)があらわれる。

――「お前の命を、もらいに来た」

彼女はそう告げると、突然岬一に襲いかかる。逃げる岬一、追う希。希は常人離れした身体能力であっという間に岬一を追い詰め押し倒す。しかし、その手が心臓に触れた瞬間、彼女は岬一を殺すことをやめてしまった。

翌日再会した希は、自分が宇宙人であることを告白し、岬一の身体に関するある秘密を明かす。そして彼女は言う。

「二人で一緒にこの星を征服しましょう!」

こうして、二人の地球侵略がはじまるのだった。

『ゲッサン』で連載中の漫画、『ひとりぼっちの地球侵略』。作者は、『とある飛空士の追憶』コミカライズを手がけた小川麻衣子氏。内容はほぼノーチェックだったので、タイトルと表紙に惹かれて購入したのですが、これが大当たり。

オルベリオという星からやってきた希は、「一人で生きて、一人で闘って、自分の星のために全力を尽くす」少女。ある事情によって生まれたときから一人、「死ぬまで一人で」闘うはずだった彼女が、はじめて岬一という「仲間」と出会います。

二人は目的は違うものの、他の宇宙人を倒すということで共闘を約束し、地球を侵略に来た宇宙人との戦いに挑みます。バトル描写はいまのところほぼ無いに等しい状態だし今後もあまり期待はしませんが、描写を見ている限りグロもいけそうな方かもしれません。よくわかんないけど。

岬一にとっては何気ない一言だった「仲間」という言葉は、彼女にとっては全く別の意味と重みを持っていて、その差の描写が面白い。彼女の過去や岬一との出逢いにはまだまだ謎がありそうで、その辺をどう扱うかで今後の評価は大きく変わるにせよ、一巻時点(1~4話)ではもの凄く良い感じ。傑作の匂いが漂っています。

絵柄はかなり可愛らしい感じで、線がしっかりしていて見やすく綺麗。背景の描き込みなどは少なめ。とはいえ人物の表情や身体の動きは丁寧で、読み応えがあります。今のところ女の子は希ちゃんくらいしか出てきていませんが、かわええのう……。普段無愛想なのに、時々無防備に笑ったり泣いたりするのが凄く心に残ります。この娘の表情がこれからどんどん豊かになっていくことを想像すると、胸が高鳴る。

先読みをすれば、こういう異なる存在との交流は「ドラえもん」のリルル(鉄人兵団)をはじめ、一方の離脱に伴う別れによって想いが結晶化されることが多いんですよね。昔はその切なさに惹かれていた部分がありましたが、最近はそれが必ずしも有効な手だとは私は思わなくなりました。視点が片方に偏りやすい短編なら効果的でも、ずっと二人の関係を積み重ねる中・長期連載の作品になった場合、一方に視点を固定しての別離は、かえって逆効果という気もする。

本作もこの二人は最後に別れるのは既定路線という感じがするのですが、その際は是非双方の視点を描いて欲しい。でもそれ以上に、願わくは彼らに幸せな未来を、と思わずにはいられません。まあ、楽しみが減るので余り先のことは考えないようにしよう……。

私が大騒ぎしているのを聞きつけた友人が一言、「ということは、俺には面白くないな」と呟いており、何だこの野郎無礼な奴だ実に怪しからん読みもせずに判断するなど言語道断四の五の言わずにマァ読んで見給え、と言いたくなったのですが、確かにちょっとモヤッとした感じが全体に漂っておりまして、彼にはあわないかもしれないなと考えて思いとどまりました。

そんなわけでまだ始まったばかりの本作ですが、これから先を楽しみにしていきます。

では、また明日お会いしましょう。

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