◆外部リンク(本文中で採り上げさせていただいたサイト様)
関連:駄文にゅうす 様
関連:リサーチバンク ブログに関する調査 様
関連:ルーチンワーク徒然草 様
関連:まじこい4ever 様

当ブログにいらしてくださるお客様は、ユニークで大体一日に300~400前後。ただこのところ急にアクセス数が倍、下手をすると5倍とかになって驚くことがあります。私は特にアクセス解析等のちゃんとしたサービスをつけていない(何か手続きしたような気もしますが、使い道思いつかないしアクセス数以外のことを考えるのが面倒だったので解析とか放置)ので詳しくは解りませんが、ブログにデフォでついている解析によると、「駄文にゅうす」さんに記事を拾って頂いた時に、アクセス数が伸びている。

駄文にゅうすさんから直接来られる方もさることながら、駄文にゅうすさんをソースにしてニュースを拾っておられるニュースサイトさんが非常に多いようで、各種ニュースサイトさんの一次ソースとしての側面も大きそうです。しかしそう考えると、何もない状態から駄文にゅうすさんがうちのサイトにいらっしゃったというそのことが、そもそも凄いリサーチ力なのですが(できたばっかりで、しかも別に話題になったわけでもないのに)、ともあれ採り上げて頂けるというのはありがたいことです。

うちのアクセス数が上がるパターンにはもう一つ、「ハイキャン砲(ルビ:キャノン)」というのがございまして、ツイッターのhighcampusさん(@highcampus)が拾って下さった記事が、erogeNewsさん(@erogeNews )のところに飛んで、そこから広がるというもの。一度とんでもないことになって、カウンター壊れたかと思ってブログ設定いじり回したことがありました。

 ミ ζ゚<ハイキャンフライ
※勝手にネタにしてすみません。m(_ _)m ご覧になっておられたら怖いので先にフライング土下座しておきます。御無礼をお許しください。


ちなみにhighcampusさんは「まじこい4ever」さんのような情報発信型のファンブログの運営者で、そもそもご自身も発信基地になっておられたりします。うーむ。こういう、広汎な視野で色々な情報を集め、整理して発信するというのは凄いですね。私には無理。本物の臭いがします。私が魔法使い(色んな意味で)なら、さしづめ賢者。更新微妙にとまっておられるけどこっちにリンクしても大丈夫だったかしら……記事内容的にメインブログのほうではないのでご容赦いただくということで。

highcampusさんに限らず、ツイッター等でお付き合いある方が記事にコメントがてら紹介してくださったり(コメントを頂けるだけでも光栄です。別に序でにURLも呟いてネ☆ とかいう話ではないので念のため)というパターンがあり、そういうのがやはり、とても嬉しいです。ありがとうございます。これは、コメントくれくれという催促ですので念のため。

……話をもどしまして、驚くほどアクセスが増える場合、当ブログについては、大手ニュースサイトさんやツイッターの情報系アカウントさんなどの中継地点を経由することで、アクセス数が増加している、ということは明らか。

さて、私にとってアクセス数というのは、上がれば嬉しいしやる気はでるけれど、別に無くてもブログを続けることに変わりはないので、単純にご褒美という感じです。重要度は低くもないけれど、高くもない。それよりはコメントとか、ツイッターで記事に関するやりとりを頂く方が重要と言えば重要で、そのためのきっかけとしてのアクセス数、という感じはあります。

しかし、アフィリエイトなどでアクセス数を稼ぐことが急務、というような場合、やはりアクセス競争の中に身を置かねばなりません。そして、そのような「競争」の観点からウェブにおけるアクセス(リンク)の実態を捉えた興味深いネットワークの研究があります。アメリカの物理学者バラバシの研究です。

バラバシは次のように言います。
実のところ、われわれはどんな基準でリンクするサイトを決めているのだろうか? ランダム・ネットワーク・モデルによれば、われわれはただランダムにリンクを張ることになる。しかし少しでも現実を見れば、そうではないことはすぐにわかるだろう。たとえばニュースサイトにリンクしているウェブページはいくらでもある。Googleで"news"を検索すると、一億九百万件ヒットした。Yahoo!のディレクトリサービスは八千件のオンライン新聞を選び出す。では、人はどういう基準でその中から一つを選ぶのだろうか? (中略) 長年『ニューヨーク・タイムズ』を講読している人ならnytimes.comを選ぶだろうし、CNN.comやMSNBC.comを選ぶ人もいるだろう。しかし重要なのは、われわれがリンクしたがるウェブページは平凡なノードではないことだ。それはハブなのである。有名であればあるほど、より多くのリンクを獲得する。より多くのリンクを獲得すれば、ウェブ上でそのサイトを見つけることはますます容易になり、そのサイトはさらに有名になり、やがてわれわれは無意識のうちに、知っているノードにリンクするようになる。知っているノードとは、ウェブ上で多数のリンクを獲得しているノードにほかならない。要するに、われわれはハブを選び取っているのである。(バラバシ/青木薫訳『新ネットワーク思考~世界のしくみを読み解く~』、NHK出版、2002年、p.124-125)

バラバシは、それまでにあった「ランダムネットワーク」理論、すなわち「ウェブ上の全てのノードは一定で、しかも対等である」という仮説を否定し、多数のノードを集める特殊なノード、すなわち「ハブ」の存在を主張しました。今回で言えば駄文にゅうすさんや、ErogeNewsさんが「ハブ」ということになるでしょう。

彼によれば、「ハブの存在は、サイバースペースは平等だというユートピア的幻想への最強の反証」です。すなわち、「ハブは非常に目立ち、ウェブ上のどこにいてもすぐ見つかる」一方で、「ハブに比べれば、それ以外のノードは見えないに等しい」。ウェブでの発言が届く可能性は決して平等ではなく、きちんと貧富の差が生じているわけです。そして、多くのリンクを獲得した「金持ち」のノードは、そのリンクを活用してますます巨大なハブへと変化を遂げていきます。
新しいノードがリンク先を選ぶときには、すでに多くのリンクをもつノードを優先的に選ぶから、古いノードのなかでもリンクの多いものが選ばれる確率が高く、若いノードやリンクの少ないノードよりも成長が速い。ノードが次々に付け加わり、そのつどリンクの多いノードを選択してゆくと、古いノードのなかには多くのリンクを獲得して集団から突出するものが出てくる。そういうノードがハブになるのである。こうして優先的選択は、「金持ちはもっと金持ちに」という現象を引き起こす。(バラバシ前掲書、p.129)

「金持ちはもっと金持ちに」というバラバシのこの言葉は、ネットワーク社会のある側面を見事に切り取ったものと言えます。つまり、一般のノードは限られたリソース(閲覧の機会)を、ハブとなったノードに奪われ、ハブとなったノードはそうして得たリソースで成長していく。こうして、いわばリンク資本主義の世界となったウェブで、私たちは発言権を維持するために、リンク獲得競争(アクセス数獲得競争)に追われるわけです。バラバシによればこのような法則は、機械的な自然法則なのだそうですが、その辺の細かい話は措きましょう。
※ただ、バラバシの研究の真価はまさにここにあり、「複雑なネットワークにも法則はある」(p.106)ことを示し得たということ、そしてその法則というのは「ハブ」を中継してうまれる「ベキ法則」(ベキ乗の「ベキ」)である、ということのようです。これによって、ネットワークの複雑なリンク構造は、「無秩序から秩序」へと変化し、「自己組織化」という数学的基礎のうえにたった物理学上の問題として扱うことができるのだ、と。

発言を誰かに聞いて貰う/見て貰うための場であるウェブが、いつの間にかリンク獲得競争の競技場になっていた――そんな「手段の目的化」の是非はともかくとして、現実に私たちはリンク資本主義(アクセス資本主義)のウェブ空間の中にいます。そしてたしかに、ハブ云々を抜きにしても、ウェブ世界で明らかな「不平等」が生じていることは実感できる。

「リサーチバンク」さんの「ブログに関する調査」によれば(調査期間2010年9月17日から9月24日)、ブログの1日の平均アクセス数は、80%が50以下(わからないも含む)。アクセス数500を超えるブログは1.7%とのこと。1日に何万アクセスも稼いでいるブロガーは、本当に一握りということになります。一応、引用。
調査サマリー
■ブログの開設期間は、「1~2年」17.8%、「2~3年」16.9%と1~3年が多い。
■1日の平均アクセス数は、80%が50以下(わからないも含む)という結果に。
 これに対しアクセス数500を超えるブログは1.7%。
■半数以上のブロガーは週に1回以上、更新をしている。アクセス数が500を超えるブロガーは52%がほぼ毎日更新をしている。
■ブログを書く目的は「自分の日記、備忘録として」が最も多く63.5%。
■ブロガーのTwitterの利用率は3割を超える。ブログ更新などをつぶやいて告知することに利用する人も多い。

けれど、そのような「不平等」の中でも、50%以上の人が2年以上はブログを続けているというデータも、同時に読み取ることができます。これは、どういうことでしょうか。

勿論、その間搾取され続けていると考えることもできるでしょう。だから、2年でやめてしまうのだ。本当に「大富豪」になっていたら、やめようともおもわないし、やめられないのだ、と。

しかし、もっと単純に、「別にリンク獲得競争に参加していない(するつもりもない)」ということではないかという気もします。つまり、リンク資本主義とは別のロジックで動いている。そういう小さなブロックが、ウェブ世界にはたくさん存在する。「リンク持ち」が単なる「お金持ち」と根本的に違うのは、お金は無いと生きていけませんが、リンクはそんなに無くても生きていける。たとえばごくわずか、4、5人の間のコミュニティでも、自足的な生活ができるというところ。

リンクサイトをはじめとする「リンク金持ち」は、なるほど資本主義社会の搾取する側かもしれません。けれど別のロジックで動いている場所では、違う役割を持ちうるのではないか。たとえば、そういう別の世界の間を架橋する役割も担っている、などと考えることはできないでしょうか。少なくとも私自身は、リンクを頂いたことで直接来訪くださる新たな出逢いにも恵まれましたし。

なんか段々言いたいことがまとまらなくなってきた(笑)。まあ、ネットワーク社会でハブの果たしている役割というのは、これまでにも色々言われてきていますが、改めて考えてみるのも良いのかな、という感じでひとつ。私の友人がこの辺のことについて色々書いていて、バラバシの著作はそれがきっかけで読んだのですが、結構面白いです。訳者の方が後書きで、「のっぺらぼうだったネットワークが、すっきりした目鼻立ちをもった概念として立ち現れてくる」(p.325)と自信満々なのも頷ける。数学苦手なので何言ってるかサッパリわからないところもありましたが……(計算式をみると眩暈がする)。

バラバシ自身はこの後、なぜネットワークでは新参者で「金持ち」ではなかったGoogleが一気にシェアを獲得できたか、という方向へ舵を切り、ウェブのリンク獲得競争で勝ち抜く為の理論やメソッドに言及していきます。こっちのほうが記事としては需要あったかもしれませんね(笑)。

あと、これはおべんちゃらではなく、駄文にゅうすさんのような「一行ニュース」の形式、私は結構好きだったりします。特に何か文章が書いてあるわけではないのですが、どういうところからどんな記事を拾ってきて、どう並べるか、というところにきちんと意図があって配置されているように思う。ただ興味のあるものを並べただけのように見えても、そこにぱっと見えない意図が潜んでいて、それを想像しながら記事を読んでいくのって、何か面白くないですか?

他に定期的に拝読しているのは、ツイッターでお世話になってるバニッシュさんの「ルーチンワーク徒然草」さんとか。主にエロゲーのネタが転がっているので、個人的には大変助かっています。ありがとうございます。

ちなみに別に言わなくても良いことですが、今回はぺたぺたリンクを貼り付けて、一時的にハブのマネゴトをやってみようかと思っていたのです。結局面倒になって挫折しました。ネタをピック・選別するだけでも大変で……。やっぱりそのあたりで個性ってでるし、やったこともない私が言うのはおこがましいですが、一行ニュースの形式って面白い表現の気がする。

というわけで、相変わらずまとまらない話になってしまいましたが、本日はこの辺で。また明日、お会いしましょう。

追記:今回特に引用したわけではない、言及しただけの各種サイト様に勝手にリンクをはらせていただいています。ご覧になっているかはともかく、もしかご迷惑・問題等がございましたらリンクは撤去いたしますので、お手数ですが連絡を頂ければと思います。昔みたいにリンクフリーがどうのこうのというのが無くなったのはいいのですが、リンクしましたーとか報告したほうが良いのかしないほうが良いのか良くわからない旧石器時代の人間なので……。

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