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志摩 時緒 『7時間目の音符(ノート)』2巻
(芳文社、2012年6月12日)

先日2巻が発売された「まんがタイムきらら フォワード」連載の『7時間目の音符-Score of seventh class.-』。友人に猛プッシュされていたこともあって、購入してみました。オビのキャッチコピーは、「読んで悶え転がること必至のイチャラブコメディー」。

で、感想ですが。

無理。


英語で言うと、MURI

大事なことなのでもう一度言います。

こ れ は 無 理 !


なにこれ。何なの? 第一類取り扱い危険物? 爆発しますか? 火、近づけても良いですか?

それともいじめ? 寂しい高校生活を送ったボクチンに対するいじめですか? いじめですね? よろしい、ならば戦争だ!! うぼあああああああ!!!!

……取り乱しました。

内容は、とある高校の吹奏楽部の日常を描いた話。日常と言っても、恋愛です。恋の話ばっかりです。ファック!

視点人物は二年生の男子部員・吉野葉平(よしの ようへい)。恋人は、三年生で部長の女子部員・冴木あずみ(さえき あずみ)。基本的にはこの二人が、四六時中いちゃいちゃチュッチュしてるシーンを延々描いた作品です。

どんな感じかというと……1巻の1話を紹介したほうが早いですかね。学内で、女子がつきあっている男子からネクタイをもらって身につけるという行為が流行っている。で、あずみも葉平からネクタイ欲しいなあと思いつつ、素直に言い出せずにうじうじしているのですが、葉平が気を利かせてあずみにさりげなくネクタイを渡す。で、あずみが「私中学もリボンだったから、ネクタイの結び方よくわかってなくて。だから………ね?」とか言い出して、葉平にタイを結ばせようとする。んでんで、二人の顔が近づいたところで、こう、ムチューッっとキッスを……。

うわああああああああああああああ


あーもう、書いてるだけで、書いてるだけでっ! きーっ! 「だから………ね?」じゃねーよ! ぱーやぱーや!!

べ、べつに羨ましくなんて無いんですよ! ホントに! ホントにホント!! ごめん嘘! 羨ましい! 凄く! かわって!

……たぶん、これを読んで「リアルだ」と思う人はあんまり居ないと思う。少なくとも私の乏しい三次元恋愛経験を総動員する限りは、このルートにいくフラグは現実世界のどこにも転がっていない。ただ問題は、私の豊富な二次元恋愛経験の中にもやはり、これほどこっぱずかしい恋愛はほとんど存在しないということです。……ゑ、リアルにある? ハハハ、またまたご冗談を…………冗談ですよね?

あのね、高校生の男の子がね、合宿中にね、他の男子どもがいる中でね、「そろそろちゅーしたいです」とかってね、メールはね、しないとね、OYOYOは思うの。

思うのですが、でも、これはアリ。全然アリです。何というか、観念的な恋愛のある種の極限を突っ走ってる。肌に合う・合わないはあるにしても、こんなこっ恥ずかしいこと、妄想でもなかなかできない。私は数多くのエロゲーをこなしてきて、ストレートなエロやふつうのイチャラブには抵抗力があるつもりでしたが、これはちょっと想像の遥か彼方でした。おれたちにできないことを平然とやってのけるッ! そこにシビれる! あこがれるぅ!! っていう感じです。ヨゴれちゃった私に、この世界は眩しすぎる。でも、そのまぶしさに群がってしまうのです。さながら誘蛾灯に吸い寄せられる蛾のように。

自分のトラウマが刺激されるとかそういうのではなくて、見ているだけで、この世界を想像するだけで、ひれ伏してしまうような恥ずかしさが溢れてくる。これはもう、凄い漫画だと思います。話はベタだし、絵もそんなに(こういっては何ですが)上手、というタイプではない(キャラはしっかりかきわけられています)。でも、コマ割りやセリフを含めた空気感の演出と、その演出効果を余すことなく使い切ったエピソードの数々は見事のひと言。とりあえず180ページほどしかないのに、1巻読むのに悶えすぎて1時間くらいかかりました。

2巻は、気になっていた葉平とあずみのなれそめの話が出てくる他、佐藤米子先生と米沢君の恋がちょっと進展しそうな気配。新入部員の坂本美鶴(トロンボーン)も夏祭りなどで色々絡んできて、部内に恋愛ストームが吹き荒れそうな予感。見所は、あずみ先輩の騎乗位(笑)と水着なのですが、1巻に負けず劣らず燃え尽きるほどヒートな良い展開でした。

コメディ要素は少なめで、もう何か知らんけどとにかくイチャつきたい、この世の果てでイチャラブを高らかに歌い上げたい、という人のための漫画。お薦めです。

というわけで、本日はこれまで。また明日、お会いしましょう。

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