ぱいこき10巻
松智洋『パパのいうことを聞きなさい!』10巻
(スーパーダッシュ文庫、2012年 イラスト:なかじまゆか)

というわけで、パいコキもとい『パパ言う』の10巻が発売されていたので購入。店舗ごとにメッセージペーパーが付くようで、メロンが莱香さん、アニメイトは空ちゃん、とらのあなが美羽様、ゲーマーズはひなだお! でした。私は莱香さん一筋なので当然メロン……だったのですが、とらのは4Pのリーフレットだということでとらでも購入。エロゲーと違ってラノベは特典の為に複数買いするのが楽で良いな! などと思う辺り、だいぶ調教具合が末期に来た感じがします。

『パパ言う』も10巻の大台にのったわけですが、特別なことも無く、いたって平常運転。これまでの巻同様、事件が起こり、祐太が奮闘して解決し、周りの女性陣が「キャー祐太さん、抱いてー」状態になるという安心のパターンでございました。……と思っていたら、最後に来て(私的には)結構ワクテカな展開が!! これは莱香さんの話が次巻以降動き出すのかと、期待に胸を膨らませています。ただヤングジャンプで連載中のコミックが露骨に莱香さん押しなので、本編では脇に押しのけられるのでしょうか……。

本巻は、冒頭で「普通」について祐太が色々と考え(自分は至って普通のつもりだけど、世間一般から見れば普通ではないのだろうな、という風に)、そういう彼らにとっての「普通」をおびやかすものとして、世間の偏見みたいなものがクローズアップされています。お話としては美羽がモデルにスカウトされるというところから入るのですが、祐太と三姉妹と一匹にとって、あるいはその周りの人びとにとっての幸せのありかたは何かを具体的に描こうといういつものパターンから微塵もズレていないので、既存シリーズのファンなら問題なく読めるのではないでしょうか。

ただ、さすがに少々マンネリ化してきたかな、という気もします。

この作品の持ち味は、いきなり美人三姉妹と同居することになった健全な大学生がどうなるのか、思い人・莱香との恋愛を絡めて描いていくというストーリー的な興味で引っ張りつつ、その中でもの凄く具体的なエピソードを重ねることで、登場人物たちの心情を描いていくところにありました。

推理小説であればプロットというかストーリー自体が目的であるし、キャラクター小説ならキャラクターの具体像が細かく掘り下げられていくことが面白いわけですが、そういう意味では本作は両者の中間。ストーリーで関心をひきつつ、キャラも掘り下げるという両輪を巧く回しながら、全体として何かテーマも見えてきそうな感じを漂わせていたと思います。

ただ、飽和気味だったヒロイン勢にお隣さん(栞)やら大学の同期生やら、挙げ句人妻(サーシャ)まで加わったことで、ストーリーの方はかなりカオスに。恋愛模様というのは『めぞん一刻』が良い例である程度シンプルなほうが緊張感が出やすくて良いと思うのですが、ハーレムにしたいのか誰かに軸を置きたいのか(一応空ちゃんなのだろうとは思います)段々見えなくなってきて、ちょっと停滞気味。

一方のキャラクターの掘り下げも、たとえば今回でいえば美羽の具体的なエピソードとしては「美羽らしい」ものでとてもよかったのですが、逆に言えば「美羽らしい」と思える時点で、新しい発見は少なかった。この作品、かなり早い段階で多くのキャラが固まっている気配があったし、アニメ化を経たせいか最近とみにその傾向が強い。そんな中で、既存のイメージを固めるようなエピソードが並ぶというのは、今後の伏線的意味合いもあるにせよ、ちょっと退屈に感じる部分があったことは否めません。

そのぶん、何か動き出す感じを最後に漂わせた莱香さんのあの反応が目立って良かったし、期待は高まっていますけど! いずれにせよ、ストーリーの進展か、キャラクター像に何か変化を加えるようなエピソードを投入するか、10巻も続くとそろそろどっちか欲しい時期なのかなぁ。いっそ、新キャラで2、3人女の子を増やして祐太と絡ませて、収拾のつかないバタバタハーレムになっても面白いかなと個人的には思います。売上には繋がりそうにないですが。

ともあれ、安心安定の巻でしたということで、次巻以降も期待したいところ。それでは、本日はこの辺で。また明日(*・ω・)y-~~~

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