何年か前まで、私は結構ハンゲームで麻雀を楽しんでいました。

何と言っても人が多いのが良い。深夜早朝とわず、なんだかんだですぐ対戦できるのがありがたいです。ただ、結局いろいろあってやめてしまいました。理由としては、「ハンゲー補正」とよばれる運の偏りが気になった(実際には、純粋なランダムでなく補正をつけるほうがプログラム的な手間が激増するので、その可能性は限りなく低いと思いますが)とか、システムが大変更されて打ちにくくなったことだとか、まあ色々。ただ、それでも中心になるきっかけというのはあって、それが何というか、「麻雀に集中できない」ということでした。

ハンゲーはコミュニケーションを重視するタイプではありません。けれど、コミュニケーションできないわけではない。時々、麻雀ルームの中でもめ事がおきたり、知人同士でしゃべっていたりするのを見かけます。まあそのくらいは何てこともないのですが、長いことやっていると、とんでもないイベントに遭遇することがある。エスカレートしやすいのは「ナンパ」、「喧嘩」、「電波」の三つです。

「ナンパ」は、わかりやすいですね。女性アバターをくどき出す男性アバター、というパターンです。私は女性アバターを利用していたので、ぶっちゃけよく口説かれました。いやいやマジですよ。こう見えてもエロゲーを長くやっていますから、2次元女性キャラっぽいしゃべり方とそうでないしゃべり方の区別くらいはつきます。そして、2次元女性キャラっぽくない、でも穏やかなしゃべり方をすると、なぜか女性と思われることが多いのです。……失礼、どうでも良い話でした。

「喧嘩」は、そのまんま。打つ速度が遅くて「3939」(サクサク打て)と注意を促されることがありますが、それが段々エスカレートして暴言になることしばしば。あとは、和了批判から始まる場合も多かった。そんなことでいちいち目くじらたてなくても……と思うのですが、我慢ならない人がとにかく多い。麻雀を楽しむのではなくて、自分が勝ちたいだけ、というニオイがするので、私はこのタイプの人と囲むのが一番苦手でした。

そして、「電波」。これは被害の少ないオモシロパターンです。だいたいは一人で、とにかく意味不明なことを喋りまくる。聞いてもいないエロトークや漫談、はては家族の話まで。本人も反応が欲しいわけではなさそうで、放っておいても問題なく場は進むし対局が滞ることもありません。そのぶんマシといえばマシですね。類型としてはプロ雀士を詐称したり、邪気眼だったり。もっと変なキャラ付けしているタイプもちらほら。一度アンドロメダからの使者を名乗る人?がいましたが、それがどうして極東の僻地で麻雀やっているのか、聞き出す前に親倍に振り込んで宇宙へトンで帰ってしまい(持ち点がマイナスになり対局が終了することを「トビ」と言います)、ついぞ聞くことができませんでした。

さて、そうした様々なエピソードのうち非常に印象に残っている「イベント」の一つが、「ハンカレ王子」事件。「ハンカレ」(ハンゲーム彼氏)という言葉を知るきっかけになったことから私が勝手に名づけたのです。本日はその話を思い出しながら紹介したいと思います。もしかすると発言内容から身元バレする人がいるかもしれませんが、もう時効でしょう。まあ、アバターも名前も基本的に消したので、おそらく大丈夫だろ。

面子は、起家のviなんとかさん(以下viさん)、私、ロンなんとかさん(以下ロンさん)、takなんとかさん(以下takさん)。一定以上の実力を持った人(か、リアルマネーで麻雀マネーを買った人)しか参加できない上級卓だったこともあり、なごやかに挨拶などかわしつつ対局はスタート。一般卓は非常にいろいろな人がいて場が荒れる(麻雀的な意味でも、会話的な意味でも)ことが多くて辟易していた時期だったので、とても良い気持ちでした。

序盤は細かい応酬をしつつ、ロンさんが赤2の手を上がって頭一つ抜けだしますが、東4局で私が跳ね満をツモって逆転。いよいよ南入……というところで、点数の動きと連動するかのように、それまで静かだったチャットにも動きが出ました。なんと、ロンさんが女性アバターのviさんに色々質問をし始めたのです。

正直、「うわぁ……」と思いました。別に、自分に声かけてくれと思ったとか、そういうんじゃないですよ? ただ、南入と同時にアタックを仕掛けるあたり、完全に狙っていたのがミエミエ。viさんもお気の毒に……と思っていたら、ここからまさかの展開が続き、チャットのほうが大荒れします。

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南1局突入時、ロンさんがviさんに声をかけると……?

なんとビックリ、どうやらtakさんはviさんの恋人だった模様。それも、「ハンカレ」ではなく、リアルの(というかなんでそれがハンゲーでいちゃついてるのか……まあ人にはそれぞれ事情があるんでしょうけど)。恋人にちょっかいだされたtakさんは心穏やかではなく、「通報する」とロンさんを威嚇します。

しかし、ロンさんからしたら声をかけただけ。それで「通報」とまで言われたら、黙ってはいられない。「器の小さな男だな」と反撃を開始します。同時に麻雀のほうも反撃態勢にうつったようで、見事なゴミ(500-300点という、とても安い和了点)手をツモ。viさん最後の親はさっくりと流れてしまいました。

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名前変えてる分際でうざいよ、という発言が炸裂。

彼女の親をゴミ手で流されたのが逆鱗に触れたのか、はたまた唯一焼き鳥もちのフラストレーションが溜まっていたのか、「女が迷惑してる」とtakさんがロンさんに掴みかかります。そこからはもうデッドヒート。やれ和了がセコいだの、腐ったような奴だのと、もうお互いviさんと私のことはそっちのけで場外乱闘を展開。

凄かったのは、takさんの「名前変えてる分際でうざいよ」と、明らかに日本人の名前ではないロンさんを罵倒した台詞。すみません、私も名前変えてます……。それよりなにより、あなたの彼女さんであるviさんも明らかに名前変えてるんですけど、それはいいんですね。

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ただ、お互いいい加減疲れたのか、南3に入ると急に静かに。途中ロンさんのお友達とおぼしき人が乱入してきて、すわ援軍かと思ったらおやすみの挨拶だけしておちるという、期待はずれな事件もありましたが、他には変わったこともなく粛々と場は進行。

正直麻雀より二人の勝負の行方が気になって忘れていたのですが、気が付くと私トップのままでした。このままいけるかなーと思っていたら、なんとラス目のviさんが5巡目でリーチ。私との点差2万6千点くらいあるのにそれはどうよと思ったのですが、跳ね萬に振り込んだら私は2着落ち。viさんは跳ねツモならロンさんを抜いて2着という、いわゆる順位変動を見越したリーチの可能性もあったので、万全を期してベタオリを選択(結果的には杞憂でした)。

そして終局。親のtakさんがノーテンだったのでこれで対局終了。荒れた中盤からは想像もつかないような静かな終わりになってしまいました。

場外乱闘は(見ているぶんいは)楽しいといえば楽しかったのですが、麻雀そっちのけは本当に勘弁してほしかったです。リーチしたり和了ったりはしてましたけど、ほんとに手なりという感じで順位や点数を考えてないし……。

それに、有形無形のプレッシャーが働いて、いい加減「さっさと終わらせたいな」とか、思ってしまう。最初に書いた、「麻雀に集中できない」状態になってしまうわけです。

で、結局この事件をきっかけに「普通の麻雀やりたいならハンゲーはやめたほうがいいかもしれない」と思い、私はハンゲーから撤退を決意しました。どっちかといえば、コミュニケーションの場として見た方が賢そうですね。

アバターもかわいいし、対局中にチャットもできるするぐれたツールなので、仲間内でやるときなどは今でもちょくちょく立ち上げますが、見知らぬ人とは違うのでいいかな、みたいな気持ちに。まあ他の所でもそんなに満足できなくて、結局いまはネット麻雀から距離をとっています。

今回はそんな、思い出に残っている一局のお話でした。それでは、また明日。

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