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タイトル:『ぜったい猟域☆セックス・ロワイアル!! ~無人島犯し合いバトル~』(softhouse-seal GRANDEE/2012年3月23日)
原画:2-G、あにぃ、show/シナリオ:水無月セツオ、上遠乃きつぐ
公式:http://softhouse-seal.com/product/g-003/index.html
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無
定価:8800円
評価:C(A~E)


批評空間さまにて、感想を投稿しております。内容について興味のある方は、上記リンクから拙文をご覧下さい。

▼攻略
書くのが非常に面倒なので省略! すみません……。ただ、それほど難しいことはなく、ひたすら1キャラ追跡、中か外か(勝利条件)をテキストで確認していれば問題ないはずです。先生とのHは、その日の勝負に負けると「特訓」してくれます。梗子、蛍、菫の3人は残念ながら個別EDなし。時速70kmで高速飛行する、空飛ぶチ●コことセバスチャンも、あんまり出番がありませんでした。残念。

▼雑感
書きたいことは感想のほうで書いてしまいました。まあ、何というか非常に惜しい作品であると同時に、sealブランドのある意味はっきりした課題を突きつけた作品だったと思います。課題というのは、「ネタ」以外の部分でどれだけ魅力を出せるか、という部分ですね。持続力がない、という言い方をしましたが、あながち的外れでもないと思います。爆発力のあるギャグとネタでスタートダッシュをするし、それをフルプライスぶん続けることはできることは証明されたのですが、最初がトップスピードなのであとは頑張っても勢いが萎んでいくだけ。さすがに延々ギャグだと飽きます。30分番組だと面白かったバラエティが、120分スペシャルで同じことを延々やっているとつまらなく思えてくるのと同じ原理。特にsealのように「落差」で勝負するギャグのところは、「落ちた」状態がデフォルトになってくるとしんどいですね。

そうなると、どこかでメリハリをいれるか、別の動力(ユーザーを作品にひきつける要素)が必要となりますが、前者をとる選択肢はほとんど無い。なぜなら、メリハリなんぞつけようものなら、ユーザーが正気に返ってしまい、折角おバカなノリで盛り上げたボルテージを下げてしまうから。できれば、ギャグのほうは一本調子で行きたい。

となると後者、別の魅力を出すしかない。エロで押す、という手はあるのですが、現状でも結構完成されたエロを誇っているので、これ以上の底上げというのはなかなか考えにくい。というか、エロは完全に個人の趣向に依るところが多いので、どんなクソゲーでもお気に入りキャラのものすごいエロがあればやってしまいますし、その逆も然り。そう考えると、エロで底上げというのはあまり現実的ではない。

そこで、sealブランドが四苦八苦していたゲーム性を導入するか、シナリオ的に魅力を付けるか、という話になるのでしょう。そう考えると最近のsealさんは自分たちの行き先を見定めた上で、殻を破ろうとしていたのかもしれません。だとすると、勤勉なsealブランドのこと、そのうち私達をあっと言わせるような画期的なシステムを開発してくれるかもしれない、そんな風にも思います。

ただ、本作に関して言えば少々熱意が空回り。セックスバトルは『最終痴漢電車』のようにやりがいもなく、単に適当にクリックしていれば終わる作業。中盤以降は単なる邪魔になるので、ボタン一発でバトルに自動勝利/敗北できるような工夫が欲しかったところです。それがあれば、ゲームパートが邪魔に感じることは無かったでしょう。牽引力にもなりませんが……。

どうすれば牽引する力になるか、ということに関しては、もちろんはっきりしたことは言えないのですが、たとえば蓄積要素を増やす。落とし切った女の子を仲間的に使えるようにして、3Pイベントを増やすとか、主人公の経験値が増えて使える技が多くなると、見られるイベントが変わるとか、そういう要素があればゲームパートにやりがいが出たと思います。難度を高くする、というのも考えたのですが、抜きゲーで変にゲームが難しいと却って不人気の場合もありますから。ただ、脱衣麻雀などの経験上、理不尽なくらい強い相手のほうが実際倒したとき燃えるので、もうちょっと難しくても良かったかなとは思います。

批評空間さんでは、「バトルファック」「セックスバトル」ものという観点から非常に面白い感想を投稿しておられる方もおられました。たとえば、mezamashiさんや、houtengagekiさんのものがそれです。お二人とも同人業界に精通しておられ、「バトルファック」ものへの並々ならぬ愛と知識を感じられます。なるほど、そういう視点でみると負けシーンの不足やルールの不統一、というところが目に付いてきます。

「先入観が過ぎるかも」とhoutengagekiさんがおっしゃっていますが、それはそうかもしれません。実際、本作にバトルファック(セックスバトル)ものを期待しなかった人もいると思います。公式のジャンルは「犯るか、犯られるかの犯し合いロワイヤルADV」という、意味の分からないジャンル区分であり、そもそも同人界で流通している「バトルファック」ものを出すという意志があったのかどうかまず判りません。また、「バトルファック」ものを出すつもりだったとしても、それがお二人の言っておられる内容でなければならぬ、ということも無いでしょう。

とはいえ、「バトルファック」ものを出すつもりが無かったのなら非常に紛らわしい名前ですし、狙ってあえて違う路線の「バトルファック」ものを出したなら、既存のファンからこのような誹りを受けるのは至極当然であり、それを納得させるだけの説得力を作品に持たせられなかった時点で、本作は失敗ということになると思います。その意味で、お二人のような指摘は的を射ている。

ただ、ジャンル区分にそれほど関心がなかった、あるいは知らなかった人にとっては本作は単なる「ゲームっぽい何か」がひっついたADVであり、実際問題そういう視点で評価される可能性も少なからずあるのではないかと思います。ですので私のほうは、「プロ」の視点ではなく素人の視点で、フツーのADVとして評価をしました。結論は、やっぱり「微妙」ということになったのですが。

sealブランドの「らしさ」は非常に出ていたし、良くも悪くもギャグに特化した潔い作品なので、ブランドのファンなら買って損無し、そうでなくてもひとしきりは楽しめると思います。やった後、何かが残るかと言われれば何も残りそうにありませんが、そういう後腐れの無さも良いところと考えれば、味わいがいのある一品かもしれません。

というわけで、本日はこれで。では、また明日。

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