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タイトル:『お姉さまは保健医』(ARMADILLO/2012年2月24日)
原画:光星/シナリオ:前山信頼
公式:http://marigold.1000.tv/armadillo/hoken/index.html
批評空間レビュー投稿:済 → ネタバレ無
定価:8800円
評価:C(A~E)


詳しい感想は批評空間さまに投稿していますので、よろしければそちらも併せてご覧になって下さい。こちらは、簡単な紹介と補足的な感想になります。

▼雑感
主人公・夏目つかさは極度のシスコン。実姉である夏目桜子と、スキンシップ過多な二人暮らしをしています。春から通うはずだった男子校に向かう途中、拉致されたつかさは、なぜかそのまま女装させられ、桜子や、幼なじみの若竹朱音の通う女子校に入学することに……。

というわけで、無理矢理感全開でスタートする本作。タイトルはどう見てもM系属性向け。一応女装潜入、ショタ、実姉、といった多用なニーズへのレスポンスが期待されますが、はっきり言ってほとんど関係ありません。桜子ルートを除いてヒロイン以外のキャラがほとんど出てこないうえに、つかさはほとんど保健室登校状態なので、潜入ものの「いつバレるか」という緊張感などは皆無。桜子とのただれた関係も、最初からただれきっていて誰一人抵抗感を感じていない+指摘する外部の目も無いので、背徳感ゼロ。辛うじてショタ、女装属性には対応してますが、メインに押し出されている感じもありません。肝心のM属性についても、せいぜいが受け専門程度。痛みや恥辱で「いじめる」という感じではなく、快感を与えて「いじる」のが関の山。時には主人公が攻めにまわることもあり、なんだかなあ、という感じです。

マイナス面ばかり言いましたが、個々のパーツのレベルは高め。テキストはテンポ良く楽しめるし、小ネタが豊富。ストーリーもちゃんと起承転結しています。絵も、多少崩れますがこのレベルなら及第点でしょうし、なによりもこのタイプの絵柄を苦手という人は少ないでしょう。どれも平均よりちょっとうえでまとまっている感じ。

ただ、投稿感想にはそのことをメインで書きましたが、まとまってはいるけれど繋がってはいないのがネック。どれもパーツとしてしっかりしているのに、この絵やテキストじゃなければ伝わらない魅力というのが感じられません。何かひとつ、セールスポイントを設定してそれにあわせて全体をコントロールしてあれば、こういうちぐはぐ感はでないのですが、その「中心」が無い。

また、単体で飛び抜けて魅力的、という要素もありません。人気絵師さんやライターさんを起用しているわけでもなく、また名前を背負っていなくても押し切れるだけのパワーも無し。あくまで無難に、平均以上のラインの要素をあつめてセットにした、という印象でした。

シーン数も水増し(選択肢の分岐がそれぞれ別シーンとして登録される)などがあり、ちょっとボリューム少なめ。特に抜きゲーとして見た場合は、Hシーンの間があきすぎることが多く、中盤以降の中だるみに繋がっていました。選択肢が多めで、攻略が面倒なのも玉に瑕でしょうか。しかもあんまりよくわからない選択肢が多いし……。

パーツのデキはいいし、もうちょっとコンセプトを明確にしていたら面白かったと思うのですが。うーん、ちょっと残念です。バランスの良さを加味してC評価としましたが、印象点としてはDくらい。エロにもストーリーにも的を絞りきれず、ふわふわした感じになってしまった作品でした。

それでは、今日はこの辺で。また明日。

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